歴史認識をめぐって約十年前から始まるid:Apeman氏とガメ・オベール氏の対立。私が知るかぎりの当時の状況は下記エントリに書いた。
はてな界隈で人気があったガメ・オベール氏という人物が、何をきっかけに失墜していったかをふりかえる - 法華狼の日記
また、ガメ・オベール氏の愛読者によるid:Apeman氏への非難がひどくなりつづけている現状は下記エントリに書いた。
歴史修正主義をApeman氏らが批判した過去を、ガメ・オベール氏の愛読者はApeman氏らの過誤と主張しはじめている…… - 法華狼の日記
愛読者の現状は偽史への加担という観点から主に批判したが、単純に事実誤認も多かった。Apeman氏が10年近く一方的に嫌がらせをしているという部分からしてそうだった。
Apeman氏が批判ツイートを連投するようになったのは、ガメ・オベール氏や愛読者の側からApeman氏へリプライをくりかえしてからのこと*3。それをApeman氏の一方的な嫌がらせといえるだろうか。
*3:連投を始める以前の状況を確認するには、たとえばツイッターの検索窓に「@apesnotmonkeys since:2014-09-17 until:2014-09-19」と入力すればいい。何の前触れもなくガメ・オベール氏が被害を訴え、その主張に愛読者が乗ってApeman氏への非難が殺到したことがわかる。同時期にApeman氏がガメ・オベール氏を批判するエントリを上げたのは、あくまでその結果だということも日付から推測できるだろう。3分でわかるガメ・オベールQ&A - Apeman’s diary
こうして2014年9月以降は複数の愛読者がくりかえしApeman氏をツイッターで非難をつづけるようになり、アカウントの凍結なども呼びかけられている。
愛読者のひとりsoseki_f氏によると、Apeman氏が長期間にわたってヘイトをつづけているという。下記エントリを読むと、想像の翼を広げるようにApeman氏の心情を憶測している。
ねこびと日記: ゴボウ譚(その2) 〜 ネットを妨げる悪意とデブリ 〜
だがそもそもネットで10年もヘイトが続くとはどういう状況なのだろうか? 当時の諍いに至る記録はいくつかログとして残っている。だがログをただテキストとして眺めるだけではこの異様さを理解するのは難しい。10年もヘイトを維持したその執念や感情へと思いを馳せる必要がある。
あくまでも私の想像した情景である。だがそれに似たような理不尽なストーリーがあったのではないだろうか。それを踏まえたうえで、次の疑問について考えてみようと思う。
しかし非難の量に応じてガメ・オベール氏や愛読者へ反論している2014年9月以降の段階になると、Apeman氏の側から執着しているとはいえないだろう。
2010年1月に衝突が始まっているので、厳密には現在まででも10年に満たない。ならば5年近く執着しているかというと、その根拠を愛読者が出しているのを私は見たことがない。
Apeman@apesnotmonkeys氏がガメ・オベール@gamayauber01氏へ一方的に執着をしているという認識は、おそらく愛読者にとってApeman氏を批判するに充分な根拠なのだろう。
念のため、対象が批判されるべきであれば熱心に継続して批判すべきという考えもあろうし、問題を起こした人物がすぐ自分の過去を忘れる態度は無責任という考えもあろうが、内容が妥当であれ批判をつづけることを好まない考えもあるだろう。
しかしそもそも、その認識が事実に反していたとすればどうだろう。Apeman氏がガメ・オベール氏へ一方的に執着して嫌がらせをしていたとはいえないとわかれば、愛読者は考えをあらためるだろうか。
まず、2010年に最初の衝突が終わってから、2014年9月の再衝突までに、はてなダイアリーでApeman氏がエントリを上げて批判したのは2013年3月の1回しかない。
どうやら七平メソッドは永遠に不滅のようで…… - Apeman’s diary
首相のFacebookに「あなたたち韓国人は、現在最も世界で嫌われていて、それをまったく自覚できていない残念な民族なんだよ」なんてコメントが投稿されて、それが歓迎されている……なんて事態はそれこそ「欧州の各国」の基準ではかな〜りマズいことなんだけど、ホイホイと釣られている人がいますねぇ。しみじみとガメ*1のこととか思い出してしまいましたよ。
それも、日本語をたくみにあやつる自称フランス人が首相Facebookで歓迎された*1というWEB記事から連想したというだけで、ガメ・オベール氏への批判を主軸にした内容ではない。
4年間において1回だけ。それも3年後に短いエントリで批判対象として連想しただけのことを、はたして誹謗中傷をつづけたといえるだろうか。
一方、ガメ・オベール氏は新しい場所で違う話を何年もつづけていたわけではない。2010年6月にブログの再開を宣言するエントリで、さっそくApeman氏への否定的な言及と思われる記述がある。
ブログを再開する | ガメ・オベールの日本語練習帳_大庭亀夫の休日ver.5
「はてな」 にも巧妙な嫌がらせを書き込む人が現れる。
今度は自称サルというヘンな人とその腰巾着の人々があらわれて、おまえの英語は間違っておる。ニセガイジンだろうと言い出した。
本物の英語は日本人には判らないのに、いまえの英語はあっさりわかるところがニセモノの証拠である。動かぬ証拠としておまえは「従属節」を使わないではないか。
第一、ガイジンにこんな完璧な日本語が書けるわけがない。
牛蒡がどうとかこうとか、山本七平がどうとかこうとか、わしにはあんまり興味がわかない話を、憲法論争のような顔でわめき立てる。
珍しや、その頃ほとんど睡眠なしで焦眉の急の凍死菖蒲に出ていたわしは、うんざりこいて、えーかげんに相手をすることすら出来なかった。
ここでのガメ・オベール氏の説明は、冒頭のエントリで書いたように、私が知るかぎりの当時の状況とは順序も論争の要点も異なっている。
だとしてもApeman氏の1回に対してガメ・オベール氏も再開時の説明1回だけなら、被害者として当然の反応だろうと愛読者は思うだろうか。
しかし実際には、2010年11月、2011年5月、8月、2012年4月と、さらに4回のエントリでガメ・オベール氏は言及し、Apeman氏への否定や嘲弄をくりかえした。
佐藤亜紀(@tamanoirorg)さんへの返信の続き | ガメ・オベールの日本語練習帳_大庭亀夫の休日ver.5
今回も、ヘンなひとが何人か来たけど、Apemanのときとは違って佐藤亜紀さんのほうはこれらを指揮しているわけではなさそーだ。
日本語インターネットという洞窟 | ガメ・オベールの日本語練習帳_大庭亀夫の休日ver.5
前には、同じページやAPEMANというひとのわしに対する勇み立った攻撃ぶりを見て、実は腹を抱えて笑っていた。
ゆっては悪いと思うから、黙っていただけで、冗談も皮肉も通じない、子供のようにナイーブな、そのくせ意地だけは徹底的に悪い、バカの見本のようなひとびとだとおかしがって、英語友達にはよく紹介していた。
「落ちこぼれ」の弁 | ガメ・オベールの日本語練習帳_大庭亀夫の休日ver.5
ブログを昔から読んでくれているひとたちのために言うと、あの最初から最後までバカバカしい(というほどの価値もない)なりゆきの「ごぼう」の頃ね。
みなが憶えているように、いつのまにか英語の達人になった500人ばかりの「はてな市民」たちによって、わしは「ニセガイジン」ということになったが、だから、そういうことはどうでもよかった。
自分でないもののふりをする、ということ | ガメ・オベールの日本語練習帳_大庭亀夫の休日ver.5
初めから極めて失礼な態度で話しかけてきた人が何人かいて、そのうちのひとりはなんだかはてな社会に割拠する隣組軍閥の頭目であったらしく、「はてな社会」のあの有名な農耕社会性格を反映して何百人というひとが非難にあらわれた。
バカバカしいので冗談を述べてからかったら、それを真に受けたひとびとがもっと怒り狂う、という結果になった。
上述のようにApeman氏が2013年にエントリを上げた後も、ガメ・オベール氏は2013年6月に、否定的な言及をおこなうエントリを上げている。
明日があるさ | ガメ・オベールの日本語練習帳_大庭亀夫の休日ver.5
チョーくだらなかった(マジメに騒いだはてなの人たちごみん)「ニセガイジン」騒ぎと、それにつづく「はてな」住民の大挙襲来と執拗でバカみたいな攻撃のあとでは軽蔑しか残らなかった。
ちなみに、Apeman氏個人への否定とは断言できなくても、はてなコミュニティを批判するガメ・オベール氏のエントリが他にもある。
こうしたエントリ群を見るかぎり、「ヘイトを維持したその執念や感情へと思いを馳せる必要がある」対象は、Apeman氏ではなくガメ・オベール氏こそふさわしいと感じてしまう。
それでは、ツイッターにおいてはApeman氏がガメ・オベール氏に執着していたかというと、愛読者のひとりのko_mutsuki氏が示したツイートは3回だけ。
はてなユーザーとして当時の論争を見ていたid:zaikabou氏*2は、ツイッターの状況を追って、最初の衝突から大規模な再衝突まで散発10回と指摘している。
私も調べてみたが、2014年9月以前に検索できる言及数は、たしかにko_mutsuki氏の提示をふくめて10回前後。しかもガメ・オベール氏がブログで5回言及した後の2012年8月が初めてだった。
しかしびっくりするほどガメ公の時と同じ展開だなぁ。「俺は皆の知らない資料を知ってる」とハッタリ。しかし知っているはずのことについてなにひとつ具体的なことは言えず。
— apesnotmonkeys (@apesnotmonkeys) 2012年8月15日
ガメ公がTLに現れる度に己の影響力の小ささを思い知らされる気分になる。
— apesnotmonkeys (@apesnotmonkeys) 2013年9月12日
ガメの書いてる英語を思い出すな〜。 / “[PDF]『英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄』に関する各社報道について” http://t.co/ocf1UJZmbk
— apesnotmonkeys (@apesnotmonkeys) 2014年5月11日
自称「英語のネイティヴ話者」なのに、"Caucasian" を「コーカシアン」とカナ書きしていたやつがいましたなぁ。ガメのことですがね。 / “10 most difficult English words to pronounc…” http://t.co/474NCvHFn6
— apesnotmonkeys (@apesnotmonkeys) 2014年7月29日
ガメ・オベール氏を能動的に批判したといえるのは、批判対象として連想した上記の4回くらいしかない。
他の言及は、ガメ・オベール氏の情報が流れてきたり、被言及されたことへの反応であったりで、さらに消極的な動きが2回あるくらい。
ガメの連れ。当然のようにバカ。 http://htn.to/yE99No
— apesnotmonkeys (@apesnotmonkeys) 2011年2月24日
終風 meets ガメ。
— apesnotmonkeys (@apesnotmonkeys) 2012年10月3日
さらに1回、資料を読むにあたって証拠が記述されていれば謝罪をすると予告したツイートもある。これは批判かどうか微妙なところ。
ちなみに「バターン死の行進の最中に捕虜にゴボウを食わせて死刑になった非実在日本兵」の裁判のことがこの本に書いてあったら、ガメに土下座すると予告しておきます。
— apesnotmonkeys (@apesnotmonkeys) 2013年3月27日
ここまでで明確な言及は7回しかなく、その内容も文字通りつぶやきにとどまるようなものばかり。わざわざ何も知らない第三者へガメ・オベール氏への批判をつづけるような行為ではない。
念のため、違う単語で言及するなどして、検索に引っかからなかったツイートもあるとは思う。しかしsoseki_f氏が「想像」したように「片方は相手の姿が消えても、なお延々と大声で罵り続けた。しかもそのうえに誰彼かまわずに、あいつは嘘つきだ、卑怯者だと言い続けさえした」という事態があったなら、もっと多数のツイートやエントリで批判した形跡があるはずではないか。
実は他に否定的な言及は少数あるのだが、どれも異議への反論として言及したものばかりで、それらはApeman氏の執着と考えるべきではないだろう。
たとえば2014年8月の2回のように、第三者をかいして言及したものでも、ガメ・オベール氏の言及が先にあった。
@poppo0226 いや、私はそんな「裁判記録」など存在しない、ガメは嘘をついているということを確信してますので、尋ねる動機などもちあわせてません。
— apesnotmonkeys (@apesnotmonkeys) 2014年8月27日
@poppo0226 ガメが私に執着しているのは、彼の吹いたデタラメを私に指摘されたカラなんですよ。そのデタラメに関心がないというのなら、私にメンション送ったことを謝罪して今後一切私に関わらないで下さい。
— apesnotmonkeys (@apesnotmonkeys) 2014年8月27日
さらに調べていくと、2014年1月の時点でも小さな再衝突が起きていて、再反論のように言及していたらしいこともわかった。
これぞ天唾もの! 「ガメさんは、もしかすると普通の人が入れない場所の情報を読める立場にいるのかもしれない」などと妄想を逞しくする「とりまき」に殿軍やらせてさっさと逃げ出した男がw @gamayauber01 @SatoshiMasutani
— apesnotmonkeys (@apesnotmonkeys) 2014年1月3日
SatoshiMasutani氏のツイートに保存されるかたちで、ガメ・オベール氏からも言及があったことが確認できる。
この再衝突において、ガメ・オベール氏へ直接にツイートしているものは他にあるが、継続しているやりとりを一方的な執着とはいえないだろう。
「裁判記録」はどうした? 『神は信ぜず』には「末尾参考図書」なんてないぞw @gamayauber01
— apesnotmonkeys (@apesnotmonkeys) 2014年1月3日
ついでに国民のほうは「隣の国がうるせーで、あの死んだにーさんたちが集まってる神社はなかったことにすべ」というのはなんの話だ? @gamayauber01
— apesnotmonkeys (@apesnotmonkeys) 2014年1月3日
ここで問題となるのは、やりとりの対象であるガメ・オベール氏のツイートが消去されていること。
時系列からすると、どうやらApeman氏ではなくガメ・オベール氏から言及したらしいが、正確な衝突の状況はわかりづらい。
他にApeman氏がガメ・オベール氏へリプライを送っている下記のツイートも、元となったツイートが消されていて、どちらから言及したかが断言はできない。
@gamayauber01 おい、「裁判資料」はどうした?
— apesnotmonkeys (@apesnotmonkeys) 2013年11月8日
とはいえ、Apeman氏とガメ・オベール氏や愛読者が再衝突したのが、2014年9月からさらにさかのぼることは間違いない。
こうなると、2013年3月から2014年9月まで、はてなダイアリーでエントリを上げていないことが、むしろApeman氏には珍しく消極的な態度だったような気がしてくる。
一方、ガメ・オベール氏がApeman氏に言及しているツイートは2014年9月以前にも複数あったらしいが、上述したように多くが消されている。
とりあえず現存するツイートだけでも探したところ、2014年9月以前に検索できる言及数は2回くらい、先に紹介したリプライを足しても3回だけ。
しかし、愛読者らのツイートに引用されるかたちで形跡が確認できる言及数は4回ほどあり、これらの元ツイートは消されているようだ。
また、Apeman氏個人というより、はてなユーザー全体へ批判的に言及している複数のツイートも確認できる。
はてなダイアリーを使っていた時代もガメ・オベール氏の愛読者による好意的なコメントは多数あったが、よほど批判がこたえたのだろうか。
また、他に4回ほどの言及が愛読者らのツイートに引用されるかたちで形跡が確認できるが、やはり元ツイートは消されているようだ。
こうしてガメ・オベール氏はApeman氏やはてなに批判的に言及しては消しているわけだが、それが誠実なふるまいとは私には思えない。
消していることを知っている愛読者はどう思っているのだろうか。それを知らない他の愛読者はどう思っただろうか。
いずれにしても、ツイッターで形跡が残っているだけの言及数で比べても、Apeman氏とガメ・オベール氏に大差はなく、一方的に言及していたとは考えづらい。
なおかつガメ・オベール氏のツイートは愛読者へ向けたものが多く、むしろsoseki_f氏が「想像」した「片方は相手の姿が消えても、なお延々と大声で罵り続けた。しかもそのうえに誰彼かまわずに、あいつは嘘つきだ、卑怯者だと言い続けさえした」という情景に近い印象がある。
念のため、ツイートを向けられた愛読者のツイートに形跡が残ったため、個人のつぶやきとしての言及の比率が少なくなったという可能性も考えられる。しかし、その場合はApeman氏よりガメ・オベール氏こそが数においても相手へ強く執着していたことになる。
何より、最初に比較したようにブログでの言及数はガメ・オベール氏が多く、なおかつツイッターでの言及に先行しているのだ。
Apeman@apesnotmonkeys氏がガメ・オベール@gamayauber01氏へ一方的に執着をしているという認識は、おそらく愛読者にとってApeman氏を批判するに充分な根拠なのだろう。
しかしその認識が事実に反し、むしろガメ・オベール氏こそがApeman氏に執着していたとすればどうだろう。もしそうだとすれば、愛読者は考えをあらためるだろうか。
ここまで私は考える材料を提示したが、簡単な調査にすぎないので、もちろん抜けがある可能性はある。ガメ・オベール氏の愛読者がApeman氏の執着を批判したいなら、きちんと調べてみるといい。
事実をひとつひとつ確かめて、批判できる根拠を積み重ねることができれば、批判の正当性が確保できるだろう。
*1:同時期のドラマとの類似点と相違点が興味深かったので、後日に私もエントリを上げた。念のため、自称したプロフィールを信用したとしても批判できることも最後に明記している。Apeman氏にしても、プロフィールへの懐疑よりも、本質主義的な主張が歓迎されていることへの批判を重視していることを留意。『相棒season11』第17話 ビリー(と、安倍晋三首相Facebookの話) - 法華狼の日記
*2:今件において独立した場所で私と混同されていて、それぞれすぐ誤解はとけたらしかったが、どんな表情をすればいいのかわからなかった。あんとに庵 on Twitter: "あ、間違えてたwww 済みません。法華狼さんだった!! しかも「華」しか合ってない! ほんとうに済みませんでした。… "Imanaka Daisuke on Twitter: "どっちも「華」がつくので、ややこしいですよね。私、法華狼のtwittetアカウントが分かってないです。… " しかしいわれてみると漢字三文字で中央に「華」、かつ仏教的なイメージをもったハンドルネームという共通項はあり、今件で初めて意識した人ならば混同することに無理もないかな、とは思った。