こんにちは、ひすまるです。
夏の時期、たま~に「運転士が熱中症になり、列車に運休・遅れが発生した」というニュースを聞くことがあります。
今日は、運転士の熱中症について書いていきたいと思います。
電車の中で運転してるんでしょ?
「運転士が熱中症になった」と聞くと、こう思いませんか?
「空調がある電車の中で運転してるのに、どうして熱中症にかかるの?」と。
勤務時間の大半はそうなんですが、それでもあっつ~い外の空気にさらされることもあるんです。何パターンかご紹介していきます。
交代場所へ出ていくとき
次の電車に乗務するために、交代場所へと出ていくときは必ずあります。私の勤務箇所の場合では、職場から交代場所まで約10分が標準的な時間としてカウントされています。
急げば5分で間に合うけどな
さらに、交代場所となれば基本駅ホームの先端になるので、そこで待っている時も陽にさらされます
運転前の点検作業のとき
「出区点検」と呼ばれる作業になります。電車を本線に出して営業運転をする前に、ドアがちゃんと開閉するとか、ブレーキの効き等々を点検するためのものです。
車庫から電車を出す担当は、この点検を行いますが、車両の下回りの点検も行うため、その際に外に出ます。車両の中・外をそれぞれ往復するので、例えば10両編成の場合ではここだけで800メートルは歩いています。
(1両20メートル、中往復で20×10×2、外往復して20×10×2で合計800メートル)
さらにはその前段、車庫までの移動(これが一番辛い)にも結構な距離を歩きます。
私の場合では、複数個所の車庫へ行くことがあるのですが、近い場所で最寄り駅から約15分、遠いところで約25分ほどかかります駅から20分以上歩いて車庫に到着し、そこから点検を開始して…終わるころには汗だくなってしまいます。
異常事態のとき
運転中でも外に全く出ずに済むわけではありません。
例えば踏切の非常ボタンが押されて停まってしまった場合、踏切の確認に向かうのは運転士の仕事です。踏切内の安全確認、扱われた非常ボタンを復帰させる必要があります。
他にも置き石を踏んで異常な音がした場合でも、線路に降りて車両とレールの安全確認をしなければなりません。
パッと思いつく範囲でも、こんな感じで運転士も外に出ることがあるのです。
不規則な勤務体系で、体調管理も大変ですし、特に夏場は体力も落ちやすい。泊り勤務では仮眠時間も少なく、翌朝は睡眠不足の状態です。コロナ対策のためにマスクも手放せません。
万全な体調で無い中で外で動くと、時間の長短に関わらず熱中症になるリスクは十分にあります。
もし運転士が熱中症で倒れたら?
当然ですが、その列車は動かすことはできません。
なんとかして最寄り駅まで到着できれば良いのですが、どうしても無理な場合は駅間で停まってしまう可能性もあります。(ダメだと判断した時点で停める)
熱中症では無いのですが、運転中に意識喪失状態になった人を知っていまして、その時は意識を失う直前に非常ブレーキをかけて列車を停めた、と聞いたことがあります。次に目が覚めた時は病院のベッドで点滴されていたそうですが…。。
話がちょっと逸れてしまいました。元に戻して…
動かせなくなった列車では、交代運転士を待ってからの運転再開となります。
交代が到着するまでどれだけ時間がかかるのか?は状況による、としか言えません。
たまたま乗務員区のある駅で停まった、となればすぐに交代も可能ですが。基本的には、後続列車に交代を乗せるか車(orタクシーに乗せる)で運ぶことになると思われます。
たまたま停まった駅が複数のホームがあれば後続列車を別線に入れられるので、後続列車で運ぶことが可能になりますが、1線しかな駅の場合では後続列車の進入が不可能になるので、車で運ぶことになります。
熱中症にならたいために、対策は?
熱中症の対策には、なんといっても水分補給が大切です。
乗務中でもペットボトルや水筒を持ち歩き、適宜水分補給をすることが最も有効と考えられます。(ただしトイレの不安も…)
会社的にも、飲み物の携帯や水分補給は運転士判断でオッケーです。「なるべくお客様からは見えないところで、誤解のないように」との注釈が付きますが。。。
話は逸れますが、某大手会社では以前乗務員の水分補給は許可制でした。
運転指令に連絡を入れて許可を取り、その後に飲む。そのうえ事後に報告書を提出し、飲んだ時間やクレームの有無なんかを報告していたと…。
水を飲むのに許可制、さらには報告書とめんどくささが半端ないということで飲む人は少なかったそうです。。
クレーム対策というか、そこを気にした制度であることは一目瞭然ですが、人間が乗務している以上水分補給は必要不可欠です。水を飲んだだけでクレームを入れる方もどうかしていますが、ここまで真に受ける方もたいがいですね。
まぁこう思ってしまう時点で許可制としての意味はないですね。
結果として、数年前に乗務員が熱中症にかかってしまい、この制度がやり玉にあげられたため廃止となりました。
まとめ
・運転士も外に出ることが多い
・車庫での点検作業が一番リスキー
・水分補給は隠れてコソコソと
運転中以外には実は外に出る作業が多かったりします。
そんなわけで、熱中症のリスクは基本室内仕事であっても他人事ではないということです。
駅停車中なんかに隠れてコソコソ水を飲んだりしていますが、決して変なコトをしているわけではないので、そのあたりはご理解いただければと思います。
それでは今回はここまでです。最後まで読んで頂きありがとうございました。
暑い日が続きますが、熱中症には十分お気を付けください。