2021.04.08
豚肉の生姜(しょうが)焼き2つのレシピ。粉をふるかは、肉の厚みで決めるのが正解!
家庭料理の定番、豚肉の生姜(しょうが)焼き。新生活をむかえて自炊を始めた人が、最初に覚えたい基本の料理のひとつですよね。でも、生姜焼き用の厚めの豚肉を使ったり、薄切りの豚肉を使ったり、肉に小麦粉をふったり、ふらなかったりと、巷にはいろいろなレシピがあります。結局どれが正解なのでしょうか…?
「安心してください! そもそも生姜焼きは、生姜焼き用の厚めの豚肉でも、薄切り肉でも、どちらの肉でも作れます。調味料も同じでOK。ただし重要なことは、肉の厚みによって粉の使い方や調理方法を少しだけ変えることです。それを覚えておけば、どんなレシピで作っていいか迷うこともなくなり、おいしく作ることができますよ」
そう教えてくれたのは、伊勢丹新宿店<キッチンステージ>の柬理美宏シェフ。そこで今回は、肉の厚みが違う豚肉で作る、生姜焼きのベストなレシピを2つ、柬理シェフに教えてもらいました。
まずは、具体的な生姜焼きのレシピに入るまえに、初心者が迷いやすい「肉の選び方」と「粉の使い方」の基本について、肉の厚みでどう違うのか解説してもらいましょう。
柬理シェフが生姜焼きレシピで使う、調理アイテム<貝印>Pure Komachiグレーター 市松はこちら>>
◆解説はあとにして、先に具体的なレシピを見たい人は下記をクリック
厚みのある豚肉「豚ロース生姜焼き用肉」で作る、生姜焼きレシピはこちら!
厚みの薄い豚肉「豚バラ薄切り肉」で作る、生姜焼きレシピはこちら!
【肉の厚みで違う生姜焼きの基本① 肉の選び方】
厚みのある「生姜焼き用」のロース肉は2種類ある。やわらかくて歯切れのいい豚肩「リブロース」を選ぼう!
肉売り場でよく見かけるのが3〜4mm厚さの「生姜焼き用」という豚肉です。これは豚ロースという部位が使われていることが多く、実は豚ロースといっても2種類あります。1つは豚肩ロース側にある「リブ」、もう1つはもも肉側にある豚ロースの「ロイン」。
生姜焼きを作るなら、やわらかくて歯切れのいい豚肩ロースの「リブ」を選ぶのがおすすめ! 見分け方は簡単で「リブ」は肉の真ん中に脂があるのが特徴。「ロイン」は上(肉の片側一面)に脂がついています。
厚みの薄い「薄切り肉」は「脂の多いもの」をチョイス!
薄切り肉で生姜焼きを作る場合は、脂の少ない豚ロースではなく、脂の多い豚バラ肉を使用してください。脂が多ければ、こま切れ肉やしゃぶしゃぶ用肉でも問題ありません。
薄切り肉で作るときは、肉に小麦粉をふらずに作るのがおすすめなので、脂身の多い部位を使ったほうがパサつかずに仕上がります。
柬理シェフ曰く、選び方にさえ気をつければ、どちらの肉でもおいしく、生姜焼きを作ることができるそう。
「肉の旨みを堪能したいなら、厚めの『豚ロース生姜焼き用肉』、食べやすさとタレのからみ具合を求めるなら、『豚薄切りの肉(こま切れ肉やしゃぶしゃぶ用肉でも可)』で作るのがおすすめです」
【肉の厚みで違う生姜焼きの基本② 粉の使い方】
厚みのある「豚ロース生姜焼き用肉」は、「粉をふって」パサつきを防ぐ!
生姜焼きにおける小麦粉の役割は、タレを肉にからめやすくすること。パサつきやすいロース肉の表面に粉をまぶすことで、水分を逃さず、しっとり肉を焼き上げることができます。さらにしっかりと表面を焼くことで、小麦粉の焼いた風味が加わり、旨みがアップ。
「豚バラ薄切り肉」は、「粉をふらず」に肉の味わいをしっかり活かして!
一方で、薄切り肉に小麦粉をまぶしてしまうと、表面積が大きい分、使用する粉の量が必然的に多くなります。そうすると、肉本来の食感が失われてしまいがちに。さらに小麦粉が焼ききれず、粉の味が主張しすぎる仕上がりになってしまいます。薄い豚肉を使う場合は、小麦粉をまぶさずに焼くのが正解!
なるほど! 一見、小麦粉を使用した方がいいように思いますが、薄切り肉の場合は、必ずしもメリットにはならないんですね。
【疑問】焼くまえに、豚肉はタレに漬け込むか否か?
あと1つ、気になっているのですが、生姜焼きのレシピによっては、事前にタレ(下味の調味料)に漬け込むものとそうでないものがあります。こちらはどちらがいいのでしょうか? 柬理シェフに聞いてみました。
肉の厚みに関係なく、漬け込む必要はなし! 肉は肉でおいしく焼いてから、タレをからめるのが正解
「個人的には、生姜焼きは肉の厚みに関わらず、タレに漬け込む必要はないと思っています。タレに漬け込んだ豚肉をフライパンで焼くと、しょうゆの焦げた香りがつくだけで、焼いた肉の旨みを引き出せません」と柬理シェフ。
「おそらく肉をタレに漬け込む意味は、肉の臭みを消し、味をしみ込ませるために漬け込むのだと思いますが、現在の生肉は昔ほど臭みがないので、そこまで気にする必要はない」とうから納得です。
「厚みがある豚肉といっても、生姜焼き用の豚肉くらいの厚みなら、焼いたあとでタレにからめても充分に味がつくので不要です。タレに漬け込むことよりも、重要なことは、肉は肉でおいしく焼いて、タレは焦がさずにからめてあげること。それが、もっともおいしく仕上げる方法だと思います!」
プロならではの理論的な意見ですね。これからは生姜焼きの豚肉はタレに漬けておかなくてもOKと覚えました!
それでは、大変おまたせしました! 実際にレシピをご紹介します。まずは、厚みのある豚肉「豚ロース生姜焼き用肉」で作る生姜焼きから見ていきましょう。
【厚みのある豚肉で作るレシピ①】粉をふってしっとり! 生姜焼き用豚肉の生姜焼き
まずは、一般的に「生姜焼き用」とパッケージに記載されている、少し厚めの豚ロース肉の生姜焼きレシピを紹介します。粉をまぶして焼いた豚肉は、噛むたび肉の旨みが感じられて食べ応え抜群! シャキシャキとした玉ねぎの食感もいいアクセントです。甘辛く、パンチのある味つけは白いご飯が進むこと間違いなし!
<材料>(1~2人分)
- 豚ロース肉(生姜焼き用)…150~300g
- 玉ねぎ(1cm幅のくし形に切る)…1/4個(約50g)
- 調味料(タレ)
生姜のすりおろし…大さじ1/2
玉ねぎのすりおろし…大さじ1
にんにくのすりおろし…少々
しょうゆ…大さじ2
酒…大さじ2
みりん…大さじ1
砂糖…大さじ1 - 小麦粉、サラダ油…各適量
<作り方>
1. タレを混ぜ合わせる
調味料の材料は混ぜ合わせておく。
「調味料は必ず事前に混ぜ合わせておきましょう。1つずつ加えていると、最初に加えたものが煮詰まってしまうなど、狙いどおりの味になりませんし、加えるときに慌てなくていいので失敗しません。また、生姜はなるべく使う直前に皮ごとすりおろすと、風味がしっかり残るのでおすすめです。玉ねぎは肉をやわらかくする働きと甘みを、にんにくは味にパンチが出ます」
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2. 豚肉に粉をまぶす
バットに小麦粉を広げ、豚肉の両面に薄くまぶし、余分な粉をはたく。
3. フライパンに油をひき、豚肉を重ならないように並べて焼く
フライパンにサラダ油を入れて中火で熱し、2の豚肉を並べて焼く。
「今回は直径26cmのフライパンを使っています。なるべく肉同士が重ならないように入れて、いじらずにしっかりと豚肉を焼いていきます。一度に多めに作りたい場合は、『豚肉を焼いて取り出す』という工程を何度か繰り返すようにしてください」
4. 1〜2分たって焼き色がついたら裏返す
裏面も同様に焼く。
「小麦粉の香ばしい風味を引き出せたらOKです」
5. 玉ねぎを加えて肉をかぶせ、蒸し焼きのようにして炒める
豚肉の両面に焼き色がついたら、玉ねぎを加える。
軽く混ぜたら玉ねぎを下に敷き、豚肉をその上に重ね、1〜2分蒸し焼きの状態にする。
「豚肉にはすでに火が通っているので、このタイミングでは玉ねぎを加熱していきます。玉ねぎの上に豚肉を重ねることで、肉の旨みを玉ねぎが吸いやすくしてあげましょう。特に混ぜながら炒める必要はありません」
6. タレを加える
玉ねぎがしんなりしたら弱火にして、1のタレを加えて全体を軽く混ぜる。
「このタイミングで初めて、全体を混ぜます」
1〜2分たって軽く汁気が飛んだら生姜焼きの完成。
「調味料の煮詰まり具合で、味の濃さが変わるので、好みで調整してください」
生姜焼きって、肉を炒めて作るイメージでしたが、触らずに焼くなんて意外です!
以上が、厚みのある豚肉「豚ロース生姜焼き用肉」で作る、生姜焼きレシピでした。続いて、厚みの薄い豚肉「豚バラ薄切り肉」で作る、生姜焼きレシピを見ていきましょう。
【厚みの薄い豚肉で作るレシピ②】粉は不要! 余分な脂を落として作る、豚薄切り肉の生姜焼き
薄切りの豚肉で作る場合、粉をふらずに豚肉を焼くので、香ばしくジューシーなおいしさが特徴。タレともよくからむように、余分な脂を落とすポイントは目からウロコなのでお見逃しなく! 箸で食べるのにほどよいサイズ感で、付け合わせの野菜と一緒にもりもり食べられますよ。
<材料>(1~2人分)
- 豚バラ薄切り肉…150~300g
- 玉ねぎ(1cm幅のくし形に切る)…1/4個(約50g)
- 調味料(タレ)
生姜のすりおろし…大さじ1/2
玉ねぎのすりおろし…大さじ1
にんにくのすりおろし…少々
しょうゆ…大さじ2
酒…大さじ2
みりん…大さじ1
砂糖…大さじ1
柬理シェフが生姜焼きレシピで使う、調理アイテム<貝印>Pure Komachiグレーター 市松はこちら>>
<作り方>
1. タレを混ぜ合わせる
調味料の材料は混ぜ合わせておく。
2. 豚バラ肉を切る
豚バラ肉を食べやすい大きさに切る。
3. 豚バラ肉を焼く
フライパンを中火で熱し、油を引かずに2の豚肉を並べて焼く。
「バラ肉の場合は、肉からたくさん脂が出てくるので、あらかじめサラダ油をひく必要はありません。今回は直径26cmのフライパンを使っています。なるべく肉同士が重ならないように入れて、いじらずにしっかりと豚肉を焼いていきます。一度に多めに作りたい場合は、『豚肉を焼いて取り出す』という工程を何度か繰り返すようにしてください」
4. 軽く焼き色がついたら全体を炒める
「片面を焼き色がつくまでしっかり焼いたら、初めて全体を混ぜ、肉に火を通していきます」
5. 火が通ったら一度、取り出して脂を捨てる
ザルを重ねたボウルに肉を取り出して、脂をきる。
「バラ肉からはかなりの量の脂が出ているので、ペーパータオルで拭くのではなく、ザルにあげてしっかりと脂をきるようにしましょう。脂を捨てないとタレが薄まってしまい、でき上がりの味がぼやけてしまいます。バラ肉の場合はこのひと手間がとても重要です」
6. フライパンに肉を戻し入れ、玉ねぎを加える
フライパンに5の豚肉を戻し入れ、玉ねぎを加えて中火で1〜2分炒める。
「豚バラ肉の旨みと脂を玉ねぎにからませるように、菜箸やトングなどで混ぜながら、全体を炒めます」
7. タレを加える
玉ねぎがしんなりしたら弱火にして、1のタレを加えて全体を軽く混ぜる。1〜2分たって軽く汁気が飛んだら、生姜焼きの完成。
【まとめ】両方試して、好みの味を見つけて!
いかがでしたか? 豚肉の厚みによって異なる2種類の生姜焼き。食べ応えのある厚めの豚肉でも、タレとのからみ具合が絶妙な薄切り肉でも、どちらもおいしそうなので、迷ってしまいます。ぜひ両方とも作ってみて、自分好みの味を見つけてみてください。
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プロが愛用する、調理道具をチェック
今回、柬理シェフが生姜焼きを作るときに使用していたプロの道具をご紹介。普段何気なく使っている調理道具をプロ仕様にするだけで、料理の味が格段にアップします!
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※取扱い:伊勢丹新宿店 本館5階
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