狸穴猫/松村りか@mamiananeko·6月18日観測が「複数人の語り」に現れるものであってもいいと思いますけど。 つまり治療家も、分析家も、疾患当事者も「自分」だけを見ていても出てこない。 「自己」と「外界」の「界面」が変化しうるという前提の論はあまり見ないように思いますが、その辺どうなんでしょう?21
Com5thFlt@COM5THFLT·6月18日ラカンの本を日本語訳で読んで、「ラカンの専門家」を自称している大学教員たちがいましたからね。フランス語にも名詞の性別があるのに、日本語訳で読んで、原著のニュアンスが理解できるのかと、率直に言ってバカにしていました。12
Com5thFlt@COM5THFLT·6月18日フロイトは、臨床の本としてではなく、哲学書として読むべきものだと思っています。 家父長制社会ではなく、母系社会の色彩が濃い日本には、ユダヤ教的な父親の内面化としての超自我、という論理が通用するか怪しいですし。114
上山和樹@ueyamakzk·6月18日ですから、その人文的な思想が精神科臨床をどう切り盛りしてしまうか、が問題なわけで――ジャンルとして左翼系の人材も豊富です。 それと先ほども申しましたが、ドイツだったらフロイトの思想で臨床をやってOKなんでしょうか。むしろそのドイツですら「もう通用しないのでは?」として論じるべきでは。12
上山和樹@ueyamakzk·6月18日たとえばジャック・ラカンの邦訳に携わっておられるのは、多くが現役の精神科医です。ラカン好きの斎藤環も精神科医ですね。 医療が向精神薬で割り切れればいいのですが、どうやらそうもいかない――ではどうするか、というところで、人文社会系の要因を孕んだ試行錯誤が必須になっています。12
上山和樹@ueyamakzk·6月18日邦訳者の小出浩之、菅原誠一、鈴木國文、新宮一成、小川豊昭…皆さん精神科医です。読書会や解説書その他の活動で熱心に精神分析の話をされる精神科医として、藤田博史、古橋忠晃ほか、もっと何人も挙げられます。日本の精神医療言説の主流派とは言えなくとも、無視はできないのでは。11
狸穴猫/松村りか@mamiananeko·6月19日ざっくり言って、日本の精神医学、臨床心理ともに、哲学思想ほぼ無視派と、哲学思想大好き派でかなり割れているような感じですねえ。 医学書院の「精神医学」誌と「精神看護」誌の温度差、金剛出版の「臨床心理学」誌と「精神療法」誌の温度差などにそれらを見ることができるかと。12
狸穴猫/松村りか@mamiananeko·6月19日一般書を多く出す方はわりと思想や哲学方向が好きな方が多いような印象です。 ざっくりした印象ですが、「トラウマ」概念の取り扱いが大きく異なるように思います。312
上山和樹@ueyamakzk·6月19日難しいのは、哲学に興味のないかたも、心理や精神医療に関わる以上は「なんらかの」思想的立場だということです。 向精神薬だけに頼る生物学的発想も、それ自体として思想的立場ですし。 自覚的に特定の人文思想を選んだ場合も、その枠組みでしか語らなくなったりもして、また厄介ですね…。12
上山和樹@ueyamakzk·6月19日精神医学は「医学」を名乗ってますが、生物学的根拠のない診断をやってるわけで、どう治していいかもよく分からない。ひとまず症状を抑えるのに薬は必須として、患者は医師個人の思想にいきなり直面させられてしまう。 「トラウマ概念の扱いの違い」というのは、具体的にはどういう違いでしょうか。112
上山和樹@ueyamakzk·6月19日ああ、トラウマをめぐって思想の話をするかどうか…という違いですね。 心的外傷は診断学的に位置づけが難しいし、ジュディス・ハーマンが露骨に政治的・法的なトラブルになってますね(虚偽記憶)。歴史的には戦争やホロコーストにつながって、左翼的な議論に終始しがち。センシティブな内容が含まれている可能性のあるメディアです。設定を変更表示112
上山和樹@ueyamakzk·6月19日そもそもトラウマの話はあまりに紛争性が高く、「定期的に議論そのものがなかったことにされて、いつの間にか記憶喪失になり、しばらくするとまた同じ議論の経緯をくり返すことになる、歴史はそのパターンをくり返してきた」――ジュディス・ハーマンがあの本の冒頭で、大意そんなことを書いてました。112
上山和樹@ueyamakzk·6月19日トラウマをめぐる論争に関わった人じたいがズタズタにされてしまうので、慎重さが要ると思います。 (人名を間違えるミスがあったので削除して再投稿しました、すみません)112
狸穴猫/松村りか@mamiananeko·6月19日それもあるのですが、 心的外傷説は単に生物学的外傷に模して「想定したほうが観測に合致しやすい」という「設定」だと思うんですがね。 病因としての「毒」や「病原体」を、人体の防衛機構として「免疫」を、想定したのと同じようなものだと思います。121
狸穴猫/松村りか@mamiananeko·6月19日精神医学の場合、取り扱うのが「認知」や「感情」であるがために病理学(亢進性病変←→退行性病変)に乗せにくいし、直接的な実証が難しいというだけで、基本的に既存の自然科学の発想の延長線上にあるものだと思います。121
狸穴猫/松村りか@mamiananeko·6月19日従来、類型化と薬物療法以外では、かなり哲学的に扱われていた「精神疾患」の捉え方が、PTSD概念の登場によって、自然科学的な捉え方が導入されたがための、思想対立ではあるかもしれませんね。131
狸穴猫/松村りか@mamiananeko·6月19日統合失調症的症状を統一的に扱えるような自然科学視点の病態モデル(not薬理モデル)が無いor一般的でない、ために、人文哲学領域との接近(しばしば過剰な)が起こるのだと考えます。 「当時者研究」でしばしば現象学が援用されるのも、そういった現象だと考えます。121
上山和樹@ueyamakzk·6月19日trauma という概念やその説明モデルそのものから考え直すこのお話、私には非常に面白いです。 私は中学のころ(1980年代)からこの概念に執着していたんですが(思想的興味)、当時は日本語文献を探してもまったくなかった。 それが1995年の阪神淡路大震災とサリン事件で逆にインフレが〔…〕12
上山和樹@ueyamakzk·6月19日〔…〕生じたみたいになって、もはや追い切れないほど膨大な「トラウマ」書籍(日本語)が大量に。最初はめぼしいものをチェックしてたんですが、説明原理がどれも同じで、基本概念を一通り知った後は触らなくなりました。(村上春樹が『アンダーグラウンド』を出しましたが、私はすでに食傷気味でした)12
上山和樹@ueyamakzk·6月19日私は1998年に初めてネットにつないだのですが、最初にやったのは当時の検索エンジンで「trauma」「トラウマ」を調べるという作業だった。それで気付いたのは、英語圏にはこの「trauma」について凄まじく膨大な情報があるということです。当時でも、ネット上では日本語圏より遥かにたくさんあった。12
上山和樹@ueyamakzk·6月19日(そういえば検索結果に外科系の trauma が膨大に紛れ込んでしまって、これをよけて心理的 trauma に絞り込んで情報を探すのに少し苦労した記憶が) しかし情報が多いだけで、基本的な説明原理や発想は日本と変わらず、情報漁りそのものはすぐに飽きてしまったのでした。12
上山和樹@ueyamakzk·6月19日そうした経緯にある私にとって、松村さんの切り口は斬新でした。 これは14年前に斎藤環氏の講演を大まかに文字起こし下ものです→ https://technique.hateblo.jp/entry/20070315/p1… 医学部で習う精神医学の「原因論」を説明しています。PTSDは「心因」とされており、ここにいわゆる心脳問題の奇妙さが極まると。センシティブな内容が含まれている可能性のあるメディアです。設定を変更表示113
上山和樹@ueyamakzk·6月19日つまりPTSDは「心因」であり、説明原理的には脳髄そのものには問題がないはずなのに、たいへん派手な症状が現れる(解離、多重人格、記憶障害etc.)。 「脳髄ではなく《心》のトラブルのはずなのに、説明原理は身体医学的」という矛盾がありますね。センシティブな内容が含まれている可能性のあるメディアです。設定を変更表示13
上山和樹@ueyamakzk·6月19日そして説明原理があまりに単純すぎるため、逆に哲学的な興味は持続しにくい。 いっぽう統合失調症は説明原理が哲学的になりがちだし数々の人文思想を刺激してきたのですが(「スキゾ」としてポストモダン思想の核心理念にすらなった)、今は薬物療法が主体で、これも身体医学に還元する方向と言える。23
上山和樹@ueyamakzk·6月19日2013年にDSMが「5」に改訂されたとき、それまでのカテゴリ乱発志向から「スペクトラム」志向に、つまりグラデーションの発想に変わりましたよね。それぞれの病名をバラバラに見ていたのが、根底から変わってしまった。13
上山和樹@ueyamakzk返信先: @ueyamakzkさん、@mamiananekoさん、他4人そういう根本的変化が身体医学のほうで起こることはもはや考えにくいわけで、これは精神医学の基本思想が、まだ原理的に不安定であることも意味すると思います。午前9:16 · 2021年6月19日·Twitter Web App3 件のいいね
狸穴猫/松村りか@mamiananeko·6月19日返信先: @ueyamakzkさん、@COM5THFLTさん、他3人心因の「心」という設定が粗いのでしょうね。 治療に供するためには「知覚」「認知」「感情」「思考」「記憶」「想起」「学習」…とか、一旦ガシガシ切り分けてからフィードバックシステムとして組み直したほうがいいのかもしれませんね。23
狸穴猫/松村りか@mamiananeko·6月19日器質的原因というのも非常に「静的」な捉え方のように思いますね。 人間成長して老いていくわけですから、変化するものとして「成長抑制要因」+「脆弱性ベクトル」くらいに複数要因の合成として捉えた方がうまくいきそう。 プログラミング用語でいうと…正規化されてないって感じです。13