<休載>眠れない森のお姫さま 

ようこそ星の王子さま 成人編

続編を! との嬉しい反響にお答えして
星の王子さまである「たかぞう(仮名)」の近況報告を
させていただきたいと思います。

たかぞうが希望する合宿免許のある自動車学校へ、
発達障害があることを告げる電話をすると
受付の女性が、まず「えっ」と驚きました。
「あの、身体障害ではないんですか?」と聞き返されたので
「いえ、発達障害です。知能の遅れはない、高機能自閉症です」
と言うと、「しばらくお待ちください」と結構な時間、電話を保留にされました。
…ああ、今説明をしているんだろうなあ。
…そしてどうしようかと話し合っているんだろうなあ。
…何と言って断ろうかと考えてるんだろうなあ。

ある意味、わかっていたことだったし覚悟はしていたけど、
やはりまだ社会の理解がないのを久しぶりに目の当たりにして
少し動揺していると、しばらくして出て来た男性は
「うちではちょっと難しいと思います」と
パンフレットの明るく楽しいイメージからは程遠い、
合宿免許のデメリットをつらつらと挙げ連ねた。
そんなことは分かった上でお願いしたいのに。そこでつい、
「身の回りのことは自分でできます。ただ、大きな声を出されると
パニックになるので、路上練習で指示を出す時、気をつけていただいたり
といったお願いができないかというご相談なんですが」というと、
「命を守らないといけませんからね。怒鳴ることもありますよ」

途中まで聞いていたけど、もう後半はただ返事だけをして
何を話されたのか覚えていない。
「分かりました。ありがとうございました」と電話を切る。
電話の向こうでは、今ごろ、ああ良かった。めんどくさいのが来なくてと
ホッとして笑い合ったりしているんだろう。
そうした考えなくてもいいことをつい考えてしまうほど、
悲しみと情けなさ、そして怒りのような感情が押し寄せてきました。
(つづく)