＜休載＞眠れない森のお姫さま　

ようこそ星の王子さま　成人編

たかぞうが持って帰ってきた合宿免許のパンフレットには、
施設の細かい情報が載っていました。
学校から宿泊先までの距離、昼ごはんは弁当か食堂か、
宿泊先にwifiはあるのかなど。
近くにコンビニあるみたいねえ。ここは敷地内に寮があるのね。
あらすぐ目の前が海よ！　ここは熊本から遠すぎるわねえ…

そう言いながら、2人でパンフレットをめくっていると
お互い、気になり始めたことが一つ。
当たり前のことだけど、「合宿免許はこんなに楽しい！」
「お友達もたくさんできました！！」と
元気で楽しそうな今時の若者たちが、
集団でバーベキューしたり、遊んでいる様子が載っています。
かわいい女の子がみんなでニコニコ手を広げている。
やばい。これはアレだ、きっと。多分。ねえ、たかぞう？
「…免許が取れればそれでいいのに、こんな人たちと一緒に
行動しないといけないのかな」
あーーーーーーーやっぱりね、ホラね。
どうしても、人の輪に入ることに二の足を踏んでしまうのね。
しかもこんなパリピな雰囲気の子たちの輪になんかねえ。入れないよねえ。
「これは広告だから、こんな人ばかりじゃないよ、もちろん。」
「大丈夫、別に学校終わったらすぐに自分の部屋に戻ればいいじゃん！」
と一生懸命安心させようとしてフォローを試みました。
「約15日間か。オレもたないかもなぁ」と、ここにきて後ろ向き発言。
え、待って待ってさっきまでこのステーキサービスとか、
ホテル宿泊とかに浮き足立ってたじゃない！？
…もうしなびちゃってる…やばい！！
そしてその数日後。
「やっぱり、免許いらないんじゃないかな」
（つづく）