沖縄県立美咲特別支援学校はなさき分校を今春卒業した自閉症がある照屋樹さん(18)が、卒業前の3月3日、普通自動車免許を取得した。同校で在校中の同免許取得は初めての快挙。樹さんは「好きな所に車で行けるのが楽しい」と、今では母の良江さんら家族を乗せてドライブを楽しんでいる。(中部報道部・仲村時宇ラ)

普通自動車免許を取得し、車を運転する照屋樹さん(左)と、母の良江さん=3月22日、北中城村・県立美咲特別支援学校はなさき分校

 樹さんは昨年夏、パワーショベルなどを操縦するための講習を受講。修了証をもらったことが自信となり「もっと新しいことに挑戦したい」と、普通自動車免許の取得を目指した。11月ごろから学校の授業後に沖縄市の川端自動車学校に通い、講義や実技講習の受講を進めた。「引っかけ問題が苦手だった」と、仮免許の学科試験には2回失敗したが「落ちても『次こそは頑張るぞ!』と思った」と諦めずに復習を続け、3度目の試験で合格した。

 自動車学校での卒業試験を終え、臨んだ学科試験には見事一発で合格。「合格するとは思わずびっくりした。心からうれしかった」と話し、家族や学校に報告する際には「ちょっとどや顔でした」と笑う。

 良江さんは「自信が付いて人が変わったようだ」と樹さんの成長を実感。「助手席に座っているのが夢のよう。丁寧に運転していて、お父さんより安心だ」と樹さんに頼もしさを感じている。

 同校の大城麻紀子副校長は「後輩の生徒たちにとっても、頑張れば免許が取れるという励みになる」と喜んだ。