「シニア世代がデジタル社会に置き去りにされている」という言葉をよく見かけます。
特に昨今、コロナ禍において、給付金やワクチン接種の申し込みを前にして、「QRコード」が印刷された紙を手に呆然としているシニアの方を、私はよく知っています。
私にとっては社会のデジタル化は必要かつ合理的なことであり、どんどん推進されなければいけないと考えています。
一方、シニアの立場になってみれば、次から情報や申し込みはネットになります、それを利用するための機器は自分で買ってください、わからないことを質問する場所はありません、というのでは「置き去りにされている」と感じるのも仕方ありません。
私はNPO法人でのスマホ講座を開講して3年以上になり、多くのシニアの方の悩みや相談やSOSに接してきました。
わかっていることはいくつかあります。「スマホを思うように使えるようになることで、シニアの生活は改善され、幸せになる」「多くの人が同じところでわからなくなって困っている」「相談できる相手があるだけで多くの人の不安は大きく軽減される」「最初はまったくわからないと言っていた人でも、ある程度の時間で使えると感じるようになる」「シニア向けスマホサポートのニーズは、恐ろしいほど大量にある」などです。
社会のデジタル化を推進するための方策は、前からどんどん引っ張ることだけに偏っているように思います。後から押してあげる方策も行えば、デジタル化はもっとスムーズに進みます。
シニア世代のスマホ教室・相談の推進は、自治体による場所やコストの一部の負担があれば、さらに進捗すると考えますし、そのニーズは全国に広がっていると考えます。また、その教室・相談が社会に出づらい氷河期世代、若い世代が生きられる場所になる可能性もあると考えています。