アローラ!Lixyと申します。先日、もこう先生とその周辺コンテンツを題材にした「Big Brother」の音MADを投稿しました。
ここでは(一般的に)難しいとされている男性ボーカルの人力や映像の質感など、技術的な要素をある程度文字に起こすだけにとどめておきます。ただ、音MADの制作方法それ自体がまだあまり体系化されておらず、数多の作者が自己流で作り続けているという事実があり、僕もその例外ではないので正直この情報があなたにとって有益なものであることは保証できません。上記リンク先の拙作を閲覧の上で「最終的な音声や映像はこの動画に漸近していく」ということを承知の上でご覧ください。
・制作環境
ごめんなさい、実はPCの基本的な情報についていまだにきちんと理解していない上に購入履歴も見つからなかったのでおそらくこれが僕の使ってるものだ!というノートパソコンのリンクを貼っておきます・・・本当にごめんなさい
https://www.amazon.co.jp/dp/B08ZXMR4W3
恐らくこれのミドルスペック、512GBのものです
・使用ソフト
音声:REAPER,VocalShifter
映像:AviUtl,Blender,GNU Image Manipulation Program(1280×720p,30fps)
・人力
大まかな手順としては
素材を集める→VocalShifter(以下「ボカシフ」)で音程を均す→さらに母音だけボカシフで5倍くらいに引き延ばして別途出力→素材にSoloistを適用してREAPERで並べ、音合わせをする
なのですが、正直これに関しては賛否あると思います。第一に音程を一度まっ平にしてしまうのでリアルな人間の歌声からは離れたものになってしまいます。もこう先生が歌っている、というよりもこう先生の声で作ったボーカロイドでベタ打ちしている、といったイメージでしょうか。もしかしたらUTAUを使った方が早いかもしれません。
ただ、BigBrotherを作るにあたっては「一人の人間が第三者の恣意のままに歌わされている」という表現それ自体に大きな意味があると判断し、あえて単調に歌わせることを意識しました。(正直楽するための言い訳と言われても否定はできないです・・・泣)
音素の連結は下図のように行っています。
子音を頭に持ってきて、それにシンセ化した母音を被せるイメージです。
次にVSTです。余談ですが、僕は歌うことが好きで歌ってみた動画をたまに投稿しており、その際に学んだMixの知識が多分に人力にも影響しています。
Wavesのプラグインばかりですが、僕はあまり有効活用できていません。これだけならフリーのVSTでも十分代用できると思います。(TDR Novaはもともとフリーです)
まずEQで大雑把な下処理をします。低すぎる音域、具体的には100Hz以下は音圧を上げる際などに邪魔になるので思い切ってばっさりカット。音声波形を見て尖っている部分をなめらかにするように各つまみをいじっていきます。高音域は1オク上のハモリで補強できるので気持ち強めに削っています。
ディエッサー。子音の音量を下げて調節したうえでそれでも気になる音をちょっと抑えるのに重宝します。
リバーブ。プリセット通りだと強すぎたのでRoomsize,Distance含め主張しすぎない程度にとどめておきました。
コンプレッサー。どこかでボーカルのレシオは2~4ぐらいが良いと聞きました(実際どう違ってくるのかは僕の耳では分かりませんでした・・・)。前述の通り「歌わされてる感」を演出したかったのでリリースをかなり大きく設定しています。
TDR Nova。フリーのダイナミックイコライザーです。自力で削り切れなかった低、高音域をちょっと削ってくれるかな?ぐらいの気持ちで使っています。
他の音については特別変わったことをしておらず普通にDTMerの解説動画などを見た方がはるかに有益であることに加え、逐一紹介しているととんでもない分量になってしまうので割愛します;;ごめんなさい;;
・映像
はじめに、この映像を作るにあたって一番参考にしたであろう記事を紹介します。
NYDパートの作り方など、この記事で書かれていることは割愛させていただきます。真に偉大なのはビッグ・ブラザーではなくみまらかさんなのではないでしょうか?少なくとも僕はそう思います。
拙作も途中でPFが何度も破損し、途中エンコの結果を継ぎはぎしてなんとか完成させたという経緯があるので覚えている限りのことを書かせていただきます。
・冒頭~0:35「暗示のようにキミを追う」まで)
このシーンです。素材配置はBig Brother - ニコニコ動画をリスペクトしています。大まかな手順は
素材を配置する→煙、カメラ枠(?)のオーバーレイ素材を合成→フレームバッファで色調補正(明るさを下げる、ちょっと彩度を上げてコントラストを強めに)
こだわりポイントです。「すいすいで上を取り」に合わせて画面に水滴がくっついています。作り方はこちらを参照してください
冷凍ビームで画面が凍てついてしまいます。これも単に氷をイメージした水色のオーバーレイ素材を合成しただけです。
・0:52~1:37(NYDパート後~mochaさんリスペクト)
この辺りで構成に行き詰ってしまい、そろそろ3DCGやらないと表現が尽きるな・・・と痛感し、この作品のためにBlenderを一から勉強しました。
今でもまだまだ勉強中であまり教えられることはありません。チュートリアルをいくつか消化して数か月触ってたら簡単な部屋のモデリングくらいは辛うじてできるように(?)なるということだけ記しておきます。石膏像や監視室の椅子など、複雑な小道具はフリーの3Dモデルをインポートしました。
スペックの問題でレンダリングはすべてEeveeで行いましたが、Google Colaboratoryを用いればcyclesでレンダリングできるみたいですね。もっと早く知っていればもうちょっと質感がマシになったかもしれません。
参考:非力なPCでもBlenderで高速にレンダリングする方法|yossymura|note
また、動画説明欄にある通り1:47~2:07の映像はメダカガニ(https://nicovideo.jp/user/91474266)
さんに制作していただきました。本当に素敵な映像をありがとうございました!!
・2:07~
サムネイルにもなっているにすペクトのシーンです。奇跡的にここのpfは残っていました。
彩度を150くらいまで上げる→色差色ずれ→差分スピード線凸エッジ→明暗粒状化
ディスプレイスメントマップはシーンに以下のような動画を作成して使用します。
あとこれが参考になるかも
誰でもレトロな動画に!VHS風エフェクトの作り方!【AviUtl】 - YouTube
また、全編を通してc累の「色空間の彩度合成」「色空間の明度合成」を多用しています。これもまだまだ効果的な使い方は模索中です。
技術的な話は以上となります。睡眠不足や度重なる分割エンコが祟ってかなり雑で曖昧な表現が多くなってしまったのは本当に申し訳ございません。私、LixyのTwitterでご連絡いただければ時間と気力の許す限り質問にはお答えいたします。Lixy🍬 (@x264guiEx) | Twitter
それでは!読んでくれてありがとう!