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『稲川会』に7人の総長が誕生 秋晴れの契り~親子盃/一家継承盃

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「お手を拝借! よぉーお」

大広間に関東三本締めが高らかに響き渡った。長時間に及ぶ儀式を終えた最高幹部らの表情は明るく、何より、この日の主役たちが踏み締めるような足取りで退室する姿が印象的だった。

秋晴れに恵まれた大安吉日の10月25日、年に一度となる稲川会(内堀和也会長=東京)の盃儀式が執り行われたのである。

神奈川県横浜市内にある稲川会館の前には、貞方留義理事長(三代目埋地一家総長)を筆頭に紋付羽織袴姿の最高幹部らが整列。内堀会長を出迎えた。齋藤孝一総本部事務局長が司会進行役を務め、まず内堀会長と、新たに直参となった5名が交わす親子盃の儀式が挙行された。

上座の左右に内堀会長と貞方理事長が座り、新直参である三代目越路家一家の石田建夫若頭、裕統一家(小林勝彦総長)の工藤繁若頭、十二代目小金井一家の千葉一也若頭、五代目林一家(松尾次郎総長)の岡野美智男総長代行、七代目大場一家の田中安良代表と、特別推薦人が向かい合った。媒酌人は水野勇慶弔委員が務め、介添人の四代目山川一家(小林稔総長)の髙橋健・水野組直参が、祭壇から真っすぐに伸びた白布の上を通り、御神酒や供え物を厳かな動作で運んだ。

5つの盃が作られ新直参らが飲み干すと、大広間は盛大な拍手に包まれたのだ。

続いて、一家継承盃が執り行われた。今年は稲川会・小原忠悦最高顧問の三日月一家、吉原勝彦最高顧問の七熊一家、遠藤通夫最高顧問の相模一家、井積宏之最高顧問の越路家一家、木川孝始最高顧問の習志野一家、さらに横須賀一家、大場一家の七家名となり、内堀会長と貞方理事長、全直参が見守る中、それぞれ先代と向き合う形で継承する直参が着席。先に先代が盃に口を付け、横須賀一家は先代に代わって神奈川ブロック統括長の鈴木政行運営委員長(二代目杉浦一家総長)が、大場一家は霊代を東海ブロック統括長の坂井繁生会長補佐(四代目森田一家総長)が務めた。

稲穂の代紋を照らすのは“俠たちの情熱”

その盃に御神酒が注ぎ足され、継承する直参の前に運ばれた。盃を飲み干し、懐へ納めると祝いの拍手が鳴り響き、七代目七熊一家・近藤新一総長、四代目三日月一家・原田秀夫総長、二代目相模一家・広石健総長、四代目越路家一家・石田建夫総長、二代目習志野一家・楠野伸雄総長、十代目横須賀一家・西家隆翔総長、八代目大場一家・田中安良総長に、歴史が引き継がれたのである。

儀式が終了したのち、池田龍治総本部本部長(十二代目小金井一家総長)による祝いの挨拶が行われた。それぞれの先代には「昭和、平成、令和と半世紀を超える歴史ある稲川会において、その旗を死守され、ご苦労様でした。今後も最高顧問として一段上からのご指導をお願い申し上げます」とし、子となった新直参、一家を継承した直参へも祝いと激励の言葉を述べた。

それを受け、親子盃、一家継承盃を受けた10名の直参を代表して、稲川会執行部でもある七熊一家・近藤総長が挨拶。「任俠道の原点に立ち返り、さらなる稲川会の飛躍、発展に精進する覚悟でございます」と力強い言葉で返したのだった。

最後に、沖勝彦執行部(二代目山瀬一家総長)による中締めの音頭で、約3時間にわたる儀式を終えたのである。

関東の組織関係者が言う。

「内堀会長が理事長を務めた頃から進めてきた体制固めを、今は貞方理事長が受け継いでいる。六代目体制になって約1年半、これからもさらなる強化が図られていくだろう」

稲穂の代紋を照らすのは、〝俠たちの情熱〟だった。

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