新型コロナウイルス(COVID-19) 薬の誤解

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新型コロナのワクチン、打った方が良い?~mRNAワクチンの効果と安全性、よくある誤解

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回答:よほどの理由がない限りは、接種することをお勧めします

 日本で承認されているmRNAワクチンには、新型コロナウイルスへの感染・発症・重症化・死亡リスクを大幅に減らす効果が示されています。実際に新型コロナウイルス感染症に罹ってしまうよりも、遙かに小さなリスクで免疫を獲得できます。
 そのため、よほどの理由がない限りは、順番が回ってきた時点で接種することをお勧めします(ワクチン接種は自分だけでなく、自分の周りの人を守るという意義もあります)。

※なお、この記事内容は接種を強制するものではありません。接種するかどうかは個人の判断に委ねられますが、デマや事実誤認をもとに決断してしまうことがないよう、薬局でも行っている情報提供や対応を文書化したものです。

 

回答の根拠①:mRNAワクチンの効果

 ファイザー社製のmRNAワクチン『コミナティ』は、新型コロナウイルス感染症の発症を大きく減らす(有効率:94.6%)ことが、臨床試験で示されています1)。

 この臨床試験は、参加者を約18,000人ずつランダムに2つのグループに分け、片方のグループにはワクチンを接種、もう片方のグループにはプラセボ(偽薬)を接種して追跡したものです。その結果、プラセボ接種群では169例が発症、9例が重症化したのに対し、ワクチン接種群では発症は8例、重症化は1例に抑えられています1)。
 つまり、ワクチンを接種することによって、新型コロナウイルス感染症を発症するリスクは大きく減らせた、ということです。

1) N Engl J Med.383(27):2603-2615,(2020) PMID:33301246

※モデルナ社製のワクチンもほぼ同じです。

 

重症化・入院・死亡や、感染そのものを減らす効果も示されている

 また、mRNAワクチンを接種すると発症を減らせるだけでなく、重症化を92%、入院を87%、死亡を72%、感染そのものを92%減らす効果も既に報告されています2)。

2)  N Engl J Med .15;384(15):1412-1423,(2021) PMID:33626250

 これは、mRNAワクチンの接種が進むイスラエルで、「ワクチンを接種した人」と「そのワクチンを接種した人と年齢や居住地域などが似ているけれどもワクチンを接種していない人」とを1:1でマッチングさせて得られたデータです。つまり、ワクチンは個人を守るだけでなく、社会として感染を抑えるのに重要な鍵となることを示しています。

 

事実確認のPOINT

・mRNAワクチンの効果や安全性は、4万人規模の臨床試験できちんと実証されている
・mRNAワクチン接種で、感染・発症・重症化・死亡が大幅に減るというデータも既に報告されている

 

 

回答の根拠②:mRNAワクチンの安全性

 免疫を得るには「ワクチン接種」と「感染・発症」の2ルートがありますが、”どちらがより小さなリスクで十分な免疫を得られるか”、という視点で考えます。
 ワクチンを接種した場合でも、少なからず好ましくない反応「副反応」が現れます。つまり、このワクチン接種で起きる副反応のリスクと、新型コロナウイルス感染症に感染・発症してしまった際に負わなければならないリスクを天秤にかけて考える、ということです。

 この「ワクチン接種のリスク」と「感染・発症した際のリスク」を比較すると、「ワクチン接種のリスク」の方が圧倒的に小さいため、ワクチン接種で免疫を獲得した方が安全、というのが基本的な考え方になります。

 

「ただの風邪」とは大きく異なる新型コロナウイルス感染症

 新型コロナウイルス感染症は、下記のような点で「ただの風邪」とは大きく異なります

・若い人でも約1.0%が重症化し、高齢者では15~35%が死亡する3)
・3~6割の人に疲労感や呼吸困難、関節痛などの後遺症が現れる4)
・QOLの低下が44.1%の感染者で起こり、味覚・嗅覚障害も10%ほど残る5)
・一度退院できても、再入院/死亡するリスクが高くなる6)
・こうした後遺症によって、仕事に復帰できない人も少なくない7)

※「重症化」とは高熱が出ることではなく、人工呼吸器をつけられて寝たきりになる、生命の危機に陥るレベルのことを指します。

3) 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(2021年6月版)」https://www.mhlw.go.jp/content/000788485.pdf
4) Nat Med . 2021 Mar 22. doi: 10.1038/s41591-021-01283-z. Online ahead of print. PMID:33753937
5) JAMA.324(6):603-605,(2020) PMID:32644129
6) JAMA.325(3):304-306,(2021) PMID:33315057

7) Ann Intern Med.174(4):576-578,(2021) PMID:33175566

 つまり、「発症すると重症化して死ぬ確率がわりと高い」上に、もし回復しても「数週間~数ヶ月以上続くような厄介な後遺症が色々とある」ため、生活や仕事に大きな支障を来たす恐れがあるということです。この後遺症には、あまり効果的な治療法が確立していない、という要素も大きいです。

 

ワクチン接種で起こる「副反応」のリスク

 mRNAワクチンを接種すると、60%以上の人が接種した部分に1~2日ほど痛みを感じたり、他にも倦怠感や頭痛、発熱といった症状を感じたりすることが報告されています8)。
 いずれも重篤なものではなく、時間経過で自然に治りますが、注意してもらいたいのは、2回目の接種の後には、倦怠感が47.8%、頭痛が40.4%、発熱が21.5%とかなり高い頻度で現れる(※特に若い世代で多い)ということです8)。そのため、2回目接種の翌日~翌々日は、仕事を休む、大事な用事を入れないなどの対応をしておくことをお勧めします。

8) JAMA . 2021 Apr 5. doi: 10.1001/jama.2021.5374. Online ahead of print. PMID:33818592

 

「アナフィラキシー」の頻度について

 最も話題になっている「アナフィラキシー」に関しては、ファイザー社製のmRNAワクチンでは190万回の接種で21例(0.0011%)起きたことが報告されています9)。

9) CDC:Allergic Reactions Including Anaphylaxis After Receipt of the First Dose of Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine

 大事なのは、万が一この「アナフィラキシー」が起きてしまっても適切な対応ができるよう、ワクチン接種会場ではしっかりと準備が整えられているため、死亡してしまうような事態は防げる、つまり治療方法の確立した制御できる副反応だということです。
(※スズメバチに刺された時に危険なのは、山奥など適切な対応ができない場所でこのアナフィラキシーを起こす恐れがあるからです)

 なお、「アナフィラキシー」はドラッグストア等で購入できる風邪薬や痛み止めでも起こります。190万回で21例(0.0011%)という数字は、風邪薬や痛み止めと比べても大きな数字ではありません(むしろ小さいです)。
(参考:https://news.yahoo.co.jp/byline/horimukaikenta/20210310-00226836/

※ただし、これまでに薬やワクチン接種で「アナフィラキシー」を起こしたことがある人は、必ずその旨を相談の上で判断するようにしてください。

 

事実確認のPOINT

・新型コロナウイルス感染症は、「ただの風邪」よりも致死率が高い
・新型コロナウイルス感染症は、「ただの風邪」と違って厄介な後遺症のリスクがある
・ワクチン接種でも「副反応」は起こるが、重篤なものはなく、もしアナフィラキシーが起こってしまっても接種会場では適切に対応する準備が整っている

 

 

薬剤師としてのアドバイス:よほどの理由がない限りは、接種することをお勧め

 新型コロナウイルス感染症は、「ただの風邪」に比べると死亡したり治療方法の確立していない後遺症に悩まされたりするリスクが高い感染症です。この点で、「ただの風邪」とは根本的に異なる対応が必要と言えます。
 現在、日本で承認されているファイザー社製やモデルナ社製のmRNAワクチンは、重篤な副反応もなく、新型コロナウイルスへの感染・発症・重症化・死亡リスクを大きく減らせるという知見が、既に多くの研究結果から得られています。

 こういった理由から、このワクチンの成分に対して重いアレルギーを起こしたことがある、持病の治療スケジュールの都合から接種日を調整した方が良い、接種日に発熱していて体調が悪いなどの理由がない限りは、順番が回ってきた時点でワクチンを接種することをお勧めしています。

 ワクチンを接種するかどうかの判断は、最終的には個人の自由ですが、明らかなデマや間違った情報をもとに行った判断では、接種する・しないどちらの選択をしたとしても、大きな問題です。インターネット等で出回るいい加減な情報に惑わされることなく、冷静な判断をしてもらえたらと思います。なおその際、ワクチンには”自分だけでなく周囲の人たちを守るという意義”もあることは、念頭において考えていただければと思います。

 なお、色々な情報があって判断に困るような際は、日頃からお世話になっている医師や薬剤師に相談することをお勧めします。

 

 

判断のPOINT

・mRNAワクチンの接種で、感染・発症・重症化・死亡するリスクを大きく減らせる、という事実をまず知る
・mRNAワクチンの副反応と、新型コロナウイルス感染症を発症したときのリスクを、きちんと知って比べる
・インターネットやSNSにはデマや事実を誤認した情報も多いため、悩んだときはいつもお世話になっている医師や薬剤師に相談する

  

 

◆よくある誤解①:ワクチンを接種すれば、もう感染対策しなくて良い

 mRNAワクチンを接種して、十分に効果が得られるようになるのは、2回目の接種が終わってから2週間後です1,10)。それまでの間は、まだ十分に防御効果が発揮されていないため、感染・発症・重症化・死亡のリスクは高いままの状態であると考える必要があります(1回だけでもそれなりの効果はあるというデータもちらほらありますが、不確定です)。

10) CDC:When You’ve Been Fully Vaccinated

 また、mRNAワクチンの効果は非常に高いことが数々のデータから示されてはいますが、2回目のワクチン接種から2週間が経っても100%感染・発症しない無敵状態になるわけではありません。そのため、ワクチン接種が終わってからも、感染が流行している間は三密回避・換気・手洗いといった基本的な対策を続けていく必要があります。

※「ワクチンを接種した後に感染・発症した事例があった」ということを理由にワクチンの効果を否定する人も居ますが、その主張はそもそもワクチンの効果を勘違いしている、ということです。
※ワクチン接種が進んで感染者・重症者がほとんど出なくなり、医療体制を逼迫させる危険性も低くなって、”疫学的にただの風邪と同等に扱える”くらいになれば、感染対策も不要になると思います。

 

知っておけば惑わされない

・ワクチンの効果が十分に発揮されるのは「2回目接種から2週間」経ってから
・ワクチンの効果も100%ではないので、「接種したのに発症する」ことは当然起こり得る(だから感染対策は続ける)

  

 

◆よくある誤解②:mRNAワクチンは、ちゃんと臨床試験をしていない

 mRNAワクチンは、新型コロナウイルス感染症が流行して1年も経たずに実用化されたため、「きちんと臨床試験で有効性や安全性を確認していないのでは?」と不安に感じられた方も多いと思います。
 ですが、有効性や安全性を確認する臨床試験はきちんと何万人もの被験者を集めて行われています1)し、必要な手順はしっかりと踏んで承認されています。また、承認後のデータもきちんと蓄積・公開されています2)。

 こんなにも早く実用化できたのは、臨床試験をすっ飛ばしたからではなく、①技術自体は既に確立されていたこと、②多額の投資によって迅速な生産・供給体制を整えられていたこと、③ウイルスを使わずに作れるワクチンであること、が主な理由です11)。

11) CDC:COVID-19 Vaccine Basics: What Healthcare Personnel Need to Know

 

① mRNAの技術を用いたワクチンの研究は、何十年も前から行われていた

 承認されて実用化されたmRNAワクチンは今回が初めてですが、この技術自体は何十年も前からずっと研究が続けられてきたものです。そのため、新型コロナウイルス感染症が流行し始めた時点でゼロから基礎研究を始めたのではなく、既に基礎研究は十分に行われおり、すぐに臨床試験を行うだけの準備は整っている状態だった、と言えます。実際、ファイザー社は新型ウイルスが特定されてわずか19日後にワクチン開発のプロジェクトを立ち上げ、2020年4月にはもう臨床試験をスタートさせています。

※実際のスケジュール
(2019年12月29日:中国の海鮮市場で謎の肺炎が流行、というニュース)
(2020年1月8日:原因となるウイルスSARS-CoV-2が特定される)
(2020年1月16日:日本で最初の感染事例が確認される)
2020年1月27日:mRNAワクチンのプロジェクト始動
2020年4月23日:PhaseⅠ/Ⅱの臨床試験開始
2020年7月27日:PhaseⅢの臨床試験1)開始
2020年11月18日:mRNAワクチンで95%の発症予防効果が得られることを確認
https://investors.biontech.de/static-files/53f0968a-279b-4f82-a2fc-d67dcb6e4e91 より)

 

② 国などの多額の投資により、経済的コストを無視した生産体制を整えられた

 通常、医薬品は臨床試験で有効性や安全性が確認され、承認されてから生産体制を整えます。先に生産体制を整えていたら、もし承認されなかった場合に全てが無駄になってしまうからです。このような金銭的リスクや経済的コストの大きな選択は、普通はできません。
 しかし今回のmRNAワクチンの開発では、国などが多額の投資を行い、承認された時点ですぐに生産・供給を始められるように準備を進めていました。これによって、臨床試験の結果が得られてから生産・供給までの時間を大幅に短縮することができています。

 

③ ウイルスを使わずに作れる

 既存のワクチンは、感染症の原因となるウイルスを取り出し、培養して増やし、そのウイルスを使って作ります。そのため、たとえばウイルスを安定して増やす技術などをまず確立させる必要があります。
 ところが、今回のmRNAワクチンはウイルスそのものを使わずに作ることができます。そのため、ウイルスを培養する技術や手間が要らず、またウイルスの遺伝情報を世界中で共有して一斉に研究・開発を進めることができました。

  

知っておけば惑わされない

・mRNAワクチンも、きちんと必要な手順や工程を踏んで承認されている
・これだけ早く実用化できたのは、技術が確立されていたこと、金銭的コスト度外視で開発できたこと、ウイルスを使わず作れたことが主な要因

 

 

◆よくある誤解③:治験の完了が2023年なのにいま使っているのはおかしい

 国の資料などで「治験の完了時期が2023年と書いてある」ことを理由に、治験が完了していないから効果も安全性も未検証なワクチンだ、と主張する人が居ます。確かに、「全ての試験が完了している」わけではないのは事実ですが、それが意味するのは、承認に必要となる基本的な有効性や安全性を確認するための治験(Phase3)までは済んでいるけれど、「効果がいつまで続くのか」といった長期的なデータはまだ揃っていないので、そこは引き続き年単位での追跡(Phase4)が行われている、というのがより正確です。

参考)群馬大学医学部付属病院臨床試験部「治験の3つのステップ

 つまり、承認のためのプロセスはきちんと完了していて、その上で、現在は販売後の追跡調査が行われている、ということです。これは「製造販売後臨床試験」や「市販後調査」などと呼ばれるもので、今回のワクチンに限らずどの薬でも行われているものです。

 なお、このPhase4では長期的な安全性についても検証されますが、ワクチンによる副反応はそのほとんどが接種直後~2ヶ月以内に現れるため、新たに判明するリスクを心配する必要性は非常に低いです。そのため、多くの医療者が気にしているのは「いつまで効果が持続するのか(何回接種しなければならないのか)」といった点です。

知っておけば惑わされない

・ワクチンの承認に必要な有効性、安全性はきちんと治験で検証済み
・現在行われているのは、「ワクチンの効果がいつまで続くのか」などを検証する長期的な追跡調査

 

※ちなみに、「空間除菌」や「サプリメント」「健康食品」なんかは、まず治験が行われてすらいません。治験というステップを物凄く気にするのであれば、そういったものにも慎重でなければ矛盾してしまいます。

 

 

◆よくある誤解④:mRNAワクチンの長期的な影響はわからないので、接種しない方が良い

 確かに、mRNAワクチンを接種して10年後、20年後にどんな影響が出るかは、まだデータが存在しません。そういった意味で「わからない」というのは事実です。
 しかし、mRNAというのは基本的にすぐに分解されてしまう(むしろ維持することが難しく、冷蔵庫のコンセントが抜けただけで廃棄処分になる)もので、長期的に体内に残るようなものではありません。こういったmRNAの特性上、長期的な影響は考えにくいというのが現段階での妥当な意見と思われます。
(既存のワクチンでも、2ヶ月以上が経過してから起こるような副反応はありません)

 なお、長期的な影響がわからないという点では、新型コロナウイルスに感染して発症してしまった場合の影響もわかりません。むしろ、感染・発症してしまった場合には、疲労感や呼吸困難4)、味覚・嗅覚障害5)といった後遺症が残ること、こうした後遺症によって元の仕事に復帰できなかった人が少なくない7)ことも報告されているほか、血栓症などを起こして死亡・再入院するリスクが高くなる6)ことも報告されており、こちらは明確に長期的な悪影響がありそうです。

 つまり、長期的な影響を本当にマジメに考えるのであれば、ワクチン接種よりも感染・発症してしまった場合の方が悪影響は大きいと予想されるため、むしろワクチンを接種した方が良いと考えられます。

※実際、麻疹(はしか)では感染・発症して数十年後に起こる致命的な合併症(SSPE:亜急性硬化性全脳炎)があります。

 

知っておけば惑わされない

・ワクチン接種の長期的な安全性のデータはまだ存在しないが、mRNAの特性から考えると「すぐに分解されてしまう」ので考えにくい
・新型コロナウイルス感染症を発症した際の長期的な影響もわからない(むしろこちらは短期的にも悪影響が大きいというデータがある)

 

※ちなみに、「空間除菌」や「サプリメント」「健康食品」なんかの長期的な安全性も、ほとんどはわかっていません。長期的な安全性・・・というものを物凄く気にするのであれば、そういったものにも慎重でなければ矛盾してしまいます。

 

 

◆よくある誤解⑤:mRNAワクチンで、自分の遺伝子が改変される

 そんなことができるなら、今ごろ世の中は美男美女だらけで、がんや遺伝病はとっくになくなっています。

 高校の生物で習う項目に「セントラルドグマ」というものがあります。簡単に言うと、「DNA」→「mRNA」→「タンパク質」という合成の流れの大原則です。

 「DNA」は、いわば”生物の設計図”です。これはとても大事なものなので、核というものの中に大事に収納されていて、外から何かが入ってきて簡単に書き替えられたり、あるいは「DNA」が核の外にフラフラと出て行ったりすることはありません。

 「タンパク質」を合成する際には、この「DNA」の必要な部分だけがコピーされて、外に出されます。この”一部コピーされたもの”が、「mRNA(メッセンジャーRNA)」です。この「mRNA」は、核の外でタンパク質合成に関わります。
 なお、この「mRNA」が核内に戻ることは基本的にありません。また、「mRNA」はタンパク質の合成が終わればすぐに分解されてしまいます(実験などで扱う際には、むしろ分解されないようにすることが難しい=ワクチンも冷凍保管が必要)。
 そのため、接種したmRNAが体内に長く留まって、ヒトの細胞の核内に逆流してDNAに組み込まれ、その結果ヒトがウイルスになってしまう・・・!なんてことは、どう頑張っても起こり得ないということです。

 なお、一部特殊なウイルスは「逆転写酵素」というものを持っていますが、それはごく一部の特殊なウイルスの話であって、mRNAワクチンの話には当てはまりません。

 

知っておけば惑わされない

・「mRNAが自分のDNAに組み込まれてウイルスになる」なんてことは、高校生物を習っていれば「起こり得ない」ことがわかる
・もしもDNA改変が可能なら、あらゆる遺伝病は既に撲滅済みで、整形手術ではなく「美男美女になるDNA改変ビジネス」が流行っていると思われる

 

 

◆よくある誤解⑥:ワクチン接種後に亡くなった人が居る、これはワクチンが原因だ

 「ワクチンを接種した後に亡くなった」という時間的な前後関係にある事実だけで、「ワクチンのせいで死亡した」と因果関係を決めつけることは、あまりに短絡的です。「空気を吸った後に亡くなったので空気は危険だ!」とか「湖に生贄を捧げたら雨が降った、だからこれからも生贄を捧げる必要がある!」という思考と何ら変わりありません(前後関係と因果関係の違い)。

 日本では、1日に3,800人くらいの方が何らかの理由で亡くなっています。そのため、ワクチンを多くの人に接種すると、必ずワクチンを接種した後に亡くなる人は出てきます。むしろ出てこなければ不自然です。
 大事なのは、そこに「ワクチン接種による影響」があるかどうかを確認すること、つまりワクチンを接種した人と、ワクチンを接種していない人とで比較し、その数がどう異なるのか(回答の根拠①の臨床試験のような比較)、そこにどんな要因が影響しているかを冷静に評価することです。
(参考:https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210221-00223746/

 なお、ワクチンに未知のリスクが潜んでいないかどうかは、きちんと細かな追跡調査が行われています(※ワクチン接種後に落雷に遭った、というようなものまで把握しています)。そのため、もし「ワクチン接種によって死亡者が増えているかもしれない」といった傾向が観察されれば、その時点で発表・調査が行われます(が、今のところ日本でも世界でもそのような増加傾向は観察されていません。感染・発症が減って死亡者はむしろ減っています)。

 ちなみに、アストラゼネカ社やJohnson&Johnson社のワクチンでしばしば血栓症リスクの問題から「接種が一時停止」したり、1000万人に1人レベルの稀な副反応までを検出できていたりする・・・という事実は、こういったセーフティがしっかりと機能している証拠と言えます。

 

知っておけば惑わされない

・「湖に生贄を捧げたら雨が降った、だから日照りが続いたら生贄を捧げろ」という主張はどこかおかしい、ということを貴方は理解できる
・別会社のワクチン接種で「一時停止」が起こる、1000万人に1人の副反応を検出できているのは、安全性のデータをきちんと追跡・監視しているから

  

  

◆よくある誤解⑦:ニュースで副反応がいっぱい報道されているのに「因果関係は不明」で逃げている

 「副反応か」「副反応でないか」という二択で考えると話が極端になります。上記のような因果関係をしっかりと検証するまでは、「副反応だ」というのも早とちりで、「副反応でない」と断言するのも難しいからです。そのため、現時点では「因果関係は不明」としか表現が出来ません。むしろ、これが科学に誠実な表現です。

 ただ、この表現が不安のタネになっているのも事実です。そこで、ニュースで報道された「接種後に起きた何か」は、「副反応かどうか」ではなく、「どの程度、副反応っぽいのか」という”程度の視点”で見てもらうのが良いと思います。

 ニュースでは、「落雷に遭った」とか「トラックに轢かれた」に近い、相当に”ぽくないもの”まで一緒くたに報道されていますが、”ぽくないもの”は無視してOKです。科学的に”ぽい”ものが見つかれば、アストラゼネカ社製のワクチンの血栓症のように研究者たちも現場の医療従事者たちも騒ぎますし、接種を一時的に停止するなどして検証が行われます(1000万人に1人レベルの稀な副反応までを検出できています)。

 なお現状、既に世界で相当数の接種が行われていますが、mRNAワクチンの有益性を覆すような顕著なリスクは観察されていません。そのため、今後何かのリスクが指摘されたとしても、一般論としてのmRNAワクチンの有益性に大きな影響を与えることは考えにくい、稀なリスクの指摘が主になると思われます。ただし、その稀なリスクが”自分にとって大きいか小さいか”は、改めて評価する必要があります。

 

知っておけば惑わされない

・「副反応に決まってる」も「絶対に副反応ではない」も、どちらも早とちり
・”ぽくないもの”は無視する、”ぽいもの”は今後の検証を待つ
・”ぽいもの”が見つかった場合は、それで改めてメリットとデメリットを天秤にかける

 

※数日で回復する軽いものではありますが、mRNAワクチン接種と「心筋炎」の発生との関連が現在示唆されており、専門機関が詳しく調査中です(2021年6月12日時点)。ただ、もし関連があっても950万人に7人とその頻度はコロナに感染して心筋炎を起こすよりもかなり低く、更に症状もごく軽度なもののため、ワクチン接種の有益性が上回る、ということは変わりありません。

  

  

◆よくある誤解⑧:ワクチンを接種すると、血栓ができやすくなる?

 ワクチン接種後に、わずかながら血栓症のリスクが高くなるという報告があるのは、アストラゼネカ社製のアデノウイルスベクターワクチンです12)。日本で広く使われているファイザー社製/モデルナ社製のmRNAワクチンでは、血栓症のリスクが高くなるという報告はありません。

12) Engl J Med . 2021 Apr 9. doi: 10.1056/NEJMoa2104840. Online ahead of print. PMID:33835769

知っておけば惑わされない

・接種後に血栓リスクが報告されているのは「アストラゼネカ社製」のワクチン
・日本で使われている「ファイザー社製」や「モデルナ社製」のワクチンでは、現在のところ血栓リスクの報告はない

 

 

◆よくある誤解⑨:ワクチンには水銀や胎児の細胞が入っているから危険

 mRNAワクチンは、mRNAとそれを運ぶ脂質で構成されています13)。水銀やアルミニウムなどの金属類は含まれていません。全ての医薬品の組成は添付文書として公開されていますので、簡単に確認することができます。
 また、胎児の細胞や虫の細胞といった意味不明なものが混入した医薬品は存在しません(そんなものは承認されません)。こういった事実無根のデマを流す人の話は、完全に無視して大丈夫です。

13) コミナティ筋注 添付文書

知っておけば惑わされない

・mRNAワクチンには、水銀やアルミなどの金属類は含まれていない
・胎児の細胞や虫の細胞といった意味不明なものが入った医薬品は存在しない

※一部、製造工程で水銀含有物を用いるワクチンはありますが、「残存する量」や「それの影響の程度」を考えれば無視できるものだ、という話はこちらにまとめています。
※一部の「漢方薬」では、虫や動物由来の素材を”原料”として用いていることがあります。

 

 

◆よくある誤解⑩:妊娠中はワクチンを接種してはいけない

 たとえば薬やワクチンを一切使わない自然な状態でも、常に流産は10~15%ほど起こってしまうものです14)。これは、明確に何かの原因がなくとも、自然に発生してしまうものです。そのため、薬やワクチンの安全性を考える際には、このベースラインのリスクを高め得るかどうか、で評価します。
 これに関して、妊婦さんにmRNAワクチンを接種しても、流産や早産といった胎児への悪影響は増えないことが確認されています15)。これは、ワクチン接種の後に流産や早産が絶対に起こらないという意味ではなく、元からあるリスクがワクチン接種によって高まることはない、という意味です。

 こうした根拠から、日本の国立成育医療研究センターも「妊娠を理由に接種を控える必要はない」という立場を表明しています16)。また、アメリカ17)やイギリス18)では、妊娠中に感染・発症した際のリスクは大きいことから、妊婦さんへの接種はむしろ「推奨」されています。

 妊娠中は、自分だけでなくお腹の子どものことも考えないといけないため、色んなことが不安になると思います。だからこそ、その不安につけ込むようなデマは許されないことです。

14) BMJ.24;320(7251):1708-12,(2000) PMID:10864550
15) N Engl J Med . 2021 Apr 21. doi: 10.1056/NEJMoa2104983. Online ahead of print. PMID:33882218
16) 国立成育医療研究センター「妊婦さんの新型コロナウイルス感染症に関するFAQ
17) 朝日新聞 4月24日

18) Royal College of Obstetricians and Gynaecologists「Vaccine choice for pregnant women welcomed by maternity Royal Colleges

 

知っておけば惑わされない

・妊娠を理由にワクチン接種を控える必要はない
・ただし、妊娠前に接種しておく、妊娠初期は避ける、産婦人科施設で接種するなどができれば◎

 

 

◆よくある誤解⑪:ワクチンを接種すると不妊になる

 「ワクチン接種で不妊になる」という話は、新型コロナウイルスのワクチンに限らず、HPVワクチン、麻疹のワクチンなど様々なもので出回ります。しかし、これまでのワクチンでもそのようなリスクは発生していませんし、mRNAワクチンでも同様に心配する必要はありません19)。
 少なくとも、これまでに何億人もの人に接種され、そのようなリスクを示唆するようなデータは観察されていませんので、「ワクチン接種で不妊になる」という根拠のない「デマ」で不安を煽ってくる人は無視してOKです。

 なお、むしろ1~2回の注射で”不妊”にできるのであれば、それはとても便利な避妊薬として承認されると思います(緊急避妊薬は72時間以内に飲まないといけない等、大変です)。

19) CDC「Myths and Facts about COVID-19 Vaccines
※日本語の情報を参照したい方はこちら

 

ファイザーの公式に「不妊になると書いてある!」という人へ

 文章をちゃんと最後まで読みましょう。そんなことは書いてありません。
 「当初は可能性が考えられたので、動物実験で確認しました。その結果、不妊の可能性は否定されました」と書いてあります。この「当初は可能性が考えられた」の部分だけを切り取って騒いでいる方がおられるようです。



https://www.pfizer.com/news/hot-topics/the_facts_about_pfizer_and_biontech_s_covid_19_vaccine?s=09

 上記、該当のファイザーの公式の資料です。
 7番の項目を見てみましょう。SARS-CoV-2のスパイク蛋白と、胎盤のタンパクのアミノ酸配列が似ているため、COVID-19のワクチンを作ると不妊症になる可能性があるかもしれない・・・という疑惑が当初はあったようです。けれど、そもそもこの2つのタンパクは免疫学的にも全く異なるものだと結論付けています。
 更に、mRNAワクチンを妊娠前・妊娠中の動物に接種する検証を行った結果、生殖能力・胎児の発育・出生後の成育に、ワクチンの悪影響は確認されませんでした(In an animal study in which the COVID-19 Vaccine was administered prior to and during gestation, no vaccine-related adverse effects on female fertility, fetal development, or postnatal development were reported)と記載されています。

 文章は、慌てずちゃんと最後まで読みましょう。

 

知っておけば惑わされない

・「ワクチンで不妊になる」という話は、よく出回る根拠のないデマ
・mRNAワクチンも何億人もの人に接種されているが、不妊リスクは発生していない
・そんな簡単に不妊にできるなら、避妊薬として承認される

 

 

◆よくある誤解⑫:ワクチンには新型コロナウイルスが入っているので、接種すると感染する

 ワクチン接種後に感染・発症した事例がニュースになると、「ワクチンでウイルスを体内に入れたからだ」と騒ぐ人が現れますが、これは間違いです。

 まず、「よくある誤解②」で解説したとおり、このmRNAワクチンにはウイルスそのものは含まれていません。ウイルスの”ごく一部(スパイクタンパク)”の、それも”設計図(mRNA)だけ”を接種するタイプのワクチンです。そのため、ワクチンを接種したことで体内でウイルスそのものが増えることはありません(※感染するとウイルスそのものが天文学的な数に増えます)。

 なお、ワクチンを接種しても感染・発症する可能性があることは、「よくある誤解①」で説明したとおりです。ワクチンで100%感染・発症しない無敵状態になるわけではないので、たくさんの人にワクチン接種をすれば、接種後に感染・発症してしまう人が出てきても、何ら不思議ではありません(※ただし、重症化・死亡リスクは減らせているので、発症してしまった人にとっても”無駄打ち”だったわけではありません)。

 

知っておけば惑わされない

・mRNAワクチンに「ウイルスそのもの」は含まれない
・そのため、ワクチン接種したことで「ウイルスに感染する」「ウイルスが体内で増える」ことはない

  

  

◆よくある誤解⑬:持病がある人は、ワクチンを打たない方が良い

 一部週刊誌などで、「持病がある人はまだワクチンを打たない方が良い」という情報が出回っています。確かに、病気の状態や行っている治療の内容によっては、薬やワクチンのタイミングを考えた方が良いケースはあります。しかし、持病がある人が一概に全てワクチン接種に慎重になる必要はなく、むしろ持病がある人は新型コロナウイルス感染症も重症化しやすいため、接種できるタイミングで積極的に接種した方が良い、というのが基本の考え方になります。

 つまり、「持病がある人のうち、状況によっては薬や接種のタイミングを調整した方が良いこともある」が適切な表現になります。 

 接種のタイミングを考えた方が良いケースとしては、たとえば関節リウマチなどで「メトトレキサート」や「JAK阻害薬」を使っている人は、ワクチン接種後1週間は薬を一旦休むことが推奨されていたり、「リツキシマブ」を使っている人は、その薬を使う4週間前にワクチンを接種しておくことが推奨されていたり20)・・・と、疾患や薬の内容によって細かく考える必要があります。そのため、週刊誌ではなく自分の主治医に相談するようにしてください。

20) American College of Rheumatology「COVID-19-Vaccine-Clinical-Guidance-Rheumatic-Diseases-Summary

 

知っておけば惑わされない

・持病がある人は、新型コロナウイルス感染症も重症化しやすいので、むしろワクチンは積極的に接種をした方が良い
・ただし、状況によっては薬や接種のタイミングを調整した方が良いこともあるので、週刊誌ではなく主治医に相談する

  

  

◆よくある誤解⑭:ワクチンの効果は2ヶ月しかもたない

 ワクチンの効果が発表された当初は2ヶ月間のデータしかありませんでしたが、2ヶ月で効き目がゼロになるわけではありません。実際、2回接種をした人は6ヶ月後でも91%以上の有効性を維持しているというデータが出てきています21)。
 1年後、2年後にどうか…というところはまだわかりません(現在調査継続中)が、少なくとも半年はしっかりと効果が続きますし、半年でいきなりゼロになるわけでもなさそうだということがわかります。

21) https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-04-01/pfizer-shot-remains-more-than-91-effective-after-six-months(論文は未発表)

 

知っておけば惑わされない

・ワクチンの効果は2ヶ月で無くなるわけではなく、少なくとも半年は90%以上の効果が維持される
・それ以降の効果は、今後の情報を追っていく必要がある(まだデータがないだけで、効かないと決まっているわけではない)

  

 

◆よくある誤解⑮:アジア人は感染・重症化しにくいから、ワクチン接種のメリットが低い

 新型コロナウイルス感染症の感染・重症化には、あまり人種差はないようです。「日本人は重症化しにくい」という期待はできないと思われます。
 実際、イギリスの人口ベースのコホート研究では、アジア人の死亡リスクは白人に比べてむしろやや高め22)です。これには生活環境や経済的状況なども関係するため、遺伝的要因があるかどうかはわかりませんが、少なくとも「重症化しにくい」というような兆候は見られません。
 流行状況が全く異なる地域の、死者の数字だけを見て比較したような主張には注意が必要です。

22) BMJ.371:m3731,(2020) PMID:33082154

 

知っておけば惑わされない

・新型コロナウイルス感染症の感染、重症化などに目立った人種差はない
・「日本人は重症化しにくい」という間違った情報で対策を緩めるのは危険

 

 

◆よくある誤解⑯:1回接種した状況では、むしろ感染リスクが高くなる

 確かに、mRNAワクチンは1回の接種では本来の高い効果(回答の根拠①)を得られないため、ワクチン接種後にも感染対策を続ける(よくある誤解②)必要があります。
 しかし、初回接種の21日後には70%程度の効果が得られているという報告があります23)。そのため、「感染リスクが高くなる」ということはありません。

 ただし、2回接種よりも効果はかなり劣るため、2回のワクチン接種を完遂することを強くお勧めします。

23) Lancet.S0140-6736(21):00790-X,(2021) PMID:33901423

 

知っておけば惑わされない

・初回投与でも、3週間後には70%くらいの効果は得られる
・・・・が、1回接種は2回接種よりも大きく効果が劣るので、しっかり2回の接種を完遂することが大事

 

 

◆よくある誤解⑰:ワクチンを接種すると”無症状”が増えるので、むしろ感染が拡大する

 ワクチンには発症や重症化だけでなく、感染を減らす効果が実証されています2)(回答の根拠①)。また、ワクチン接種で「無症状」の感染者を5分の1に減らせる可能性も示されています24)。そのため、ワクチンを接種すると無症状の感染者が増えて、むしろ感染が拡大するのでは・・・といったことは心配しなくて良いです。

 実際、地域のワクチン接種率が高くなると、その地域のワクチン非接種者の感染も大きく抑制できそうだということも示されています25)。つまり、ワクチン接種は自分だけでなく「周囲の人を守る」ことにも繋がる、ということです。

24) JAMA . 2021 May 6. doi: 10.1001/jama.2021.7152. Online ahead of print.PMID:33956048
25) Nat Med . 2021 Jun 10. doi: 10.1038/s41591-021-01407-5. Online ahead of print. PMID:34113015

 

ファイザーの公式に「ワクチン接種者の呼気や汗からスパイク蛋白が放出されると書いてあるから危険!」という人へ

 治験の資料にも公式の文書にも、タイトルのような文言は記載されていませんし、接種が進む国からもそのような話は報告されていません。
 根拠だと主張されている治験の資料の該当部分には「ワクチンに対して吸い込む・皮膚に触れるといった暴露を受けた女性が妊娠した場合は、報告してください」という記載26)がありますが、これを読み間違えたか、あるいは意図的に魔改造したものと思われます。

26) Pfizer PF-07302048 (BNT162 RNA-Based COVID-19 Vaccines) Protocol C4591001該当の記載は67~68ページ

 そもそも、スパイク蛋白が放出されたら”どう危険なのか”もよくわかりません。それでワクチンを接種せずに免疫を獲得できるなら、むしろラッキーなのではないかと思いますし、もしウイルスに感染したらスパイク蛋白どころかウイルスそのものが天文学的な量に増えて放出されるので、やっぱりワクチンで感染・発症を防いだ方が良いということになります。

 

知っておけば惑わされない

・ワクチンの「感染を減らす」効果は既に実証されている
・ワクチン接種で「無症状」の感染者も大きく減らせる
・ワクチン接種で「周囲の人の感染リスク」も大きく減らせる

 

 

◆よくある誤解⑱:変異株にはワクチンが効かない

 現在のところ、日本で使われているファイザー社製のmRNAワクチンは、α・βの変異株にそれぞれ効果があることが確認されています27)。また、血清を用いた研究では、デルタ株、カッパ株、イータ株にも有効であることが示唆されています28)。つまり、変異株にはワクチンが無意味、というわけではありませんので、従来同様にワクチン接種が重要になります。

 一方で、アストラゼネカ社製のワクチンでは一部の変異株に対して防御効果が得られない可能性29)も示されており、今後の情報には注意する必要があります。

 なお、ウイルスの変異はヒトとヒトの間で感染を繰り返すことで起こります。そのため、ワクチン接種によって感染や発症そのものを減らしていくことが大切です。

27) N Engl J Med . 2021 May 5. doi: 10.1056/NEJMc2104974. Online ahead of print. PMID:33951357
28) Nature . 2021 Jun 10. doi: 10.1038/s41586-021-03693-y. Online ahead of print. PMID:34111888
29) N Engl J Med . 2021 Mar 16;NEJMoa2102214. doi: 10.1056/NEJMoa2102214. Online ahead of print. PMID:33725432

 

知っておけば惑わされない

・ファイザー社製のmRNAワクチンは、変異株に対しても防御効果が確認されている
・新たな変異に対しては、今後の情報に注意しておく必要がある(変異を多発させないためには流行させないこと=ワクチン接種することが大切)

 

 

◆よくある誤解⑲:ワクチンで副反応が起きても何も補償されない

 ワクチン接種が原因で健康被害を受けた場合は、国の補償制度(予防接種健康被害救済制度)を受けることができます。「補償されない」というのは間違いです。

 

知っておけば惑わされない

・ワクチンで健康被害を受けた場合は、国の補償制度を受けられる

  

  

◆よくある誤解⑳:ワクチンについては、医師や薬剤師の間でも賛否両論ある

 持病やアレルギー歴などの特殊な事情がある人の接種は、タイミングを”慎重に考えるべき”という意見は確かにあります(※大事です)が、ワクチンの有効性や安全性、さらに新型コロナウイルス感染症の厄介さを冷静に把握している現場の医師・薬剤師で、mRNAワクチンに対して「全面的に否定的な人」は基本的に居ません。大部分の医療従事者がワクチンを”有益”と評価して、個人の判断は尊重しつつも、基本的には接種を推奨しています。
 一部、ワクチンの有効性(回答の根拠①)を知らなかったり、ワクチンについて色々と誤解をしていたり(よくある誤解①~⑲)する人が、憶測や感情で否定していることはありますが、これは賛否両論あるとは言いません。

 明日の降水確率は90%です。おでかけの際は傘を忘れないようにしてください。なお、雨が降るのは傘を売りたい人たちの陰謀なので傘を持っていかない方が良いという意見もあります。…これを両論併記とは言わないのと同じです。

 

知っておけば惑わされない

・まともな医師や薬剤師の間で、賛否両論ある話ではない
・科学的根拠と個人の憶測を、同じレベルで扱わない

 

 

◆よくある誤解㉑:何か裏があるから「デマ」が流れるに違いない

 デマを流す人の目的は様々ですが、およそ以下の3パターンに分けられると思います。それぞれ明確に「個人的な目的」によってデマを流していますが、微妙にその目的は異なるので、別々の対応が必要です。

① デマを流して自分の利益に誘導しようとする人
 「ワクチンは無意味、危険」というデマを流し、強い不安に苛まれている人や、情報リテラシーの低い人を自分の信者として集め、その人たちにインチキ商品を売りつけて利益を得ようとしているタイプです。つまり、知名度やお金のためにデマを積極的に流しています。
 実際、ワクチンに関するデマを流している人たちは、それで大金を得ていることがわかっています30)。

 30) CCDH 「pandemic profiteers the business of anti-vaccine

 →こういう人には、近づかない(しかるべき場所へ通報する)

② 「ワクチンを接種しない」という自分の判断を正当化したい人
 なんとなくワクチンが不安で「接種しない」という判断をする人は居ると思います。それ自体は、何も悪いことではありません。しかしその中にごく一部、自分のその「接種しない」という判断を正当化するために、真偽を問わず自分にとって都合の良い情報(デマ)だけを集めてしまう人が居ます(ここまでは、ある意味①の被害者です)。
 さらに、その情報(デマ)を根拠に「だよね、だよね、ワクチンなんて打たないよね」と言って不安を紛らわせ合う仲間が欲しくなると、その仲間作りのために次第に自ら積極的にデマを流し始めるようになります31)。

31) 熊本日日新聞「「ナースがワクチン接種で死亡」 フェイスブックでデマ 社会不安背景にうわさ拡散か(2021年5月19日)

 →相手の感情が落ち着くまで、一旦距離をとる(正論を述べても反発されるだけ)

 

③ 「正義感」が暴走している人
 本人は「善意」や「正義感」で、この情報をみんなに知らせなくては…!という思いで情報を拡散しているのですが、その情報の真偽を確認するというステップを忘れている、もしくはそれができないタイプです。こういうタイプの人は、自分の正義感を原動力にして、結果的にデマを広めることになってしまっています。とてももったいないことです。
 また、その正義感に酔って「正義のもとではどんな暴言や業務妨害も許される」と過激な行動に出る人には、現場は大変に迷惑しています32)。

32) 京都新聞「「子どもへのワクチン接種やめろ」電話殺到 12~15歳に接種の町に「〇すぞ」脅迫も、業務に支障(2021年6月7日)

 →その「動機」と、結果として広めている「情報の真偽」を分けて議論する

 

知っておけば惑わされない

・デマを流している人には、実は色んな事情がある

 

 

◆その他、よくあるデマやコメントについて

・ワクチンを接種したら5年後に死ぬ
→ワクチンが完成したのは2020年の秋頃なのに、どうやって「5年後に死ぬ」ことを2021年春の時点で確認したのでしょうか。時空が歪んでいます。

・ワクチンを接種したマウスは2年後に全て死んだ
→マウスの寿命は2年くらいです。天寿を全うされたようです。最近はネコやウサギに改変されているようですが、いずれにせよデマです。

・ワクチンを接種すると5Gに接続される
→意味がわかりません。もし本当に接続されたらWi-Fiは要らなくなって便利ですね。

・ワクチンには思考を奪い取るマイクロチップが入っている
→入っていません。まずシリンジに入りません、針も通りません。

・ワクチンを接種した部位に磁石がくっつく
→手品師じゃあるまいし、鉄板でも埋め込まない限り、磁石がくっつくわけないでしょう。

・ワクチンを接種すると、触れた電球が点灯するようになる
→ピカチュウでもないのに、むしろどうやったら点灯するのか教えてください。

・「デマだという根拠」を示してください
→根拠がない誤情報をデマと呼びます。議論の順序として、まずはそちらが自説の裏付けとして信頼に足る根拠(例:公的機関の情報、査読済みの学術論文など)を示すのが先です。なお本記事では各所、公的機関の情報や査読済みの学術論文を根拠として明示しております。

・ワクチンが危険だという証拠はこれ(YouTubeや謎の画像)だ!
→信頼に足る資料(公的機関の情報や査読済みの学術論文)か、もしくはそれらを根拠として明示した資料をお願いします。それ以外は吟味・評価に値しません。医療の話をするにあたって、議論の俎上に乗ってすらいないということです。

・〇〇だから危険という意見もあるのに、なぜ推奨するのですか?
→その「〇〇だから」の〇〇の部分、しっかりと信頼に足る資料(公的機関の情報や査読済みの学術論文)を根拠としてまず示した上で述べてください。薬剤師の視点から考えて、その根拠が妥当で本当に危険だと判断されれば、推奨しません(例:市販薬の痛み止めに含まれる催眠鎮静薬や、ちゃんと臨床試験が行われていない新薬に過剰な期待を寄せることに対して、私は反対の意見を述べています)。

・なぜワクチン接種を強制するのですか?
→”強制”は一切しておりません。薬剤師として、よほどの理由がない限りは接種した方が良いよ、と”推奨”しているだけです。デマ情報を使って「ワクチンを接種させないように”強制”・”強迫”・”業務妨害”している方」からこれを言われることには、強い違和感があります。

・ワクチンを推奨している人は製薬企業からお金をもらっている
→私は1円ももらっておりません。お金で主張が変わると思う方は、ぜひ一度Amazonギフトカード等でも良いのでお送りください。それで私の主張が変わるかどうかを確認できると思います。

  

 

このブログも、所詮は一人の薬剤師が書いたただのブログ
 その通りです。だからこそ、公衆衛生の専門家たる薬剤師という国家資格を有する者として、実名を公開した上で、更に自分の意見の根拠として公的機関の情報や査読済みの学術論文を明示し、「事実」と「意見」を分けて話をしております。そのため、少なくとも”客観的・科学的に検証することができる内容”ではあると思います。何か気になる点がございましたら、根拠を添えてその旨ご指摘いただければと思います。

 本記事を読んで色々な誤解が解けましたら、下記のような、信頼に足る情報源で改めて正確な知識を身につけていただければと思います。

★厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(2021年6月版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000788485.pdf
★厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/
★「こびナビ」
https://covnavi.jp/

 

※なお本記事のコメント欄は、無料お薬相談室でもなければ、不安やフラストレーションをぶちまける落書き帳でもありませんので、全てのコメントへの対応はできかねます。ご了承ください。
※友人から「ちょいちょい本性が出てる」と言われたので、ちょっと口が悪くなっていた部分は書き直したりしてます、すみませんm(__)m

 


 

 

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コメント

  • コメント (68)

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    • Fizz-DI
    • 2021年 4月 19日

    【加筆修正】
    mRNAワクチンの臨床試験、PhaseⅠ/Ⅱは2020年4月にスタートしていたというご指摘をいただいたため、その旨を加筆修正しています。
    (参考)
    https://investors.biontech.de/static-files/53f0968a-279b-4f82-a2fc-d67dcb6e4e91

    • 2021年 5月 26日

    これを書いた方、身分証明っぽいものはあるんですかね?
    ワクチン反対派の人達が、身元を明かして動画作ったりしてるのに、こんなんで信用できると思ってるんですか?

      • Fizz-DI
      • 2021年 5月 26日

      これを書いている者ですが、実名も顔写真も公開していますし、薬剤師免許の有無も厚生労働省のデータベースで確認していただいて大丈夫です。
      また、私の主張には全て公的機関の情報や査読済みの学術論文を根拠として添えておりますので、何か違うと思われる部分は同じように公的機関の情報や査読済みの学術論文を添えてご指摘いただければと思います。

      以上、よろしくお願いいたします。

      • 2021年 5月 26日

      ページ下方には筆者のプロフィール書いてあるし、顔も出てますね。薬剤師免許があることは以下のURLから確認できます。
      https://licenseif.mhlw.go.jp/search_iyaku/search.do

      • 匿名
      • 2021年 5月 26日

      コメント欄からちょっと下に行けば筆者の方の実名含むプロフィールが載っているのに「身元を明かしてないのに信用できない」はないのでは…
      調べる以前のレベルですよ

      • あさんへ、興味を持ったことは素晴らしい。応援したい
      • 2021年 5月 27日

      反論するとしたら、査読を受けた論文を根拠として示しているんだから、
      「この研究からこの結論を導き出すのはおかしい」「この研究は国内の臨床に当てはめられない」
      という方向ですね。お前は誰だ!名を名乗れ!という攻め方は筋が悪い。

      そのためにはまず根拠として引用している論文を一読しましょう。議論はそれからです。
      ご親切なことに 1) 〜 24) それぞれの一番最後に論文へのリンクを貼ってくれています。PMIDの後の数字です。

      なぜ論文をありがたがっているか?
      極論、XXが効いた!効かなかった!なんて発表は誰でも好き勝手に主張できるわけです。本当に?って疑問も湧いてくるかと思います。ただ、査読付きの医学雑誌に掲載されたということは、他の専門家のチェックを受けてOKが出たことを意味しているそこそこ信頼できます。そうして集められた知見から信用するしないをご自身で熟考なさってはいかがでしょうか。

      英語が得意で全部スラスラ読めるなら結構ですし、そうでなくても自動翻訳サイトでタイトルとAbstractの部分だけでも目を通せばざっくり。最近の自動翻訳はDeepLとか普通に読める日本語が出てくるので驚きます。完全に余計なお世話ですが大学に行くとそうういう勉強ができて楽しいですよ。

    • 名無し
    • 2021年 5月 26日

    分かりやすかった!
    ありがとう!

    • 2021年 5月 26日

    両親が反ワクチンを強く主張しており、大変困っていたところこの記事を発見しました。私では上手く説明できなかったワクチンのことを、細かく丁寧に説明してくださっていて大変読みやすいです。ありがとうございます。

    • 2021年 5月 27日

    医療関係者です。
    とても読みやすい文章であり、途中に挟まれるスライドもシンプルかつ美しく惚れ惚れしました。
    少しでもワクチンへの誤解がなくなると良いなと思っています。
    素敵な記事でしたのでアマゾンギフトカード贈りたいくらいです!

    • 質問者
    • 2021年 5月 27日

    副反応を気にして、2回目のワクチン接種を行わなかった知り合いがいます。3週間後に2回目の接種ができない場合、速やかに2回目接種を行うようにとの情報を目にしました。
    2回目の接種が何ヶ月も先になったとしても2日目を摂取して2週間後には3週間後にすぐ接種した時とほぼ同様の有効性は期待できるのでしょうか?
    また、そのようなデータはあるのでしょうか?

      • Fizz-DI
      • 2021年 5月 27日

      今のところ、しっかりとデータがあるのは「3週間後に2回目の接種をした」場合のものだけです。
      そのため、これから外れた場合にどうなるのかは「わからない」というのが実情です。

      ただ、やむを得ない事情によって12週間以上の間隔があいてしまった場合にも十分な抗体価が得られる(むしろ抗体価は高くなるかも)というデータも得られつつあり、もしかすると今後は「3週間間隔」という基準が変わってくる可能性はあると思います。
      1回接種だけでは有効性は70%程度とかなり落ちる可能性があることも踏まえると、何らかの事情で3週間以上の間隔があいてしまったとしても、どこか良いタイミングで2回目の接種を受けた方が良いと思われます。

    • 医師K
    • 2021年 5月 27日

    素晴らしいまとめありがとうございます!!
    一点、セントラルドグマが絶対かどうかについてだけ、HBVのようにゲノムの組み込みが起こることもがある以上、逆転写酵素を持つウィルスとの共感染で絶対に起こる確率がゼロとまでは言生きれないかななんて思ったりはしますが。

      • Fizz-DI
      • 2021年 5月 27日

      コメントありがとうございます。そう言っていただけると励みになります。

      逆転写酵素を持つウイルスに関しては確かにご指摘の通りなので、”そういうウイルスが居る”ことは一応の事実として記載しつつ、セントラルドグマに関しても「大原則」という表現をしています。
      その、ごく一部分で逆方向に進み得ることは「天文学的な確率の偶然が重なった場合、理論上はゼロとは言えない」というレベルのもので絶対にゼロとは言えないですが、「ワクチンとして接種したmRNAがヒトのDNAに組み込まれて自分がウイルスというものになる」みたいなことは”ゼロ”と強めに否定しても差し支えないかなと考えて今の表現を選びましたm(__)m

    • 2021年 5月 27日

    私はワクチン接種反対派です。このように接種を進めるような記事を書いて、死亡者がでたらどうするつもりですか?
    あなたはコロナウイルス及びワクチンの全てを理解していると言えるのですか?

    記事には、接種は自己判断というような記載もありますが、あなたの記載からは接種を強く進めるような意図を感じます。

    未だによくわからないコロナウイルスやワクチンに関して記事を書くなら中立を貫かれては如何ですか?

      • Fizz-DI
      • 2021年 5月 27日

      >反対派です
      そうですか、それも別に構わないと思います。ただ、貴方と貴方が接する人の感染・発症・重症化・死亡・後遺症リスクは高いままの状態が続きますので、これからも感染症が流行している間は厳重な感染対策を続けられることをお勧めします。

      >未だよくわからないワクチン
      去年末には臨床試験のデータが公開され、今年には何十万人規模のリアルワールドでのデータも論文として発表されているワクチンが、なぜ”未だよくわからないワクチン”なのでしょうか。むしろ、何が判明すれば”よくわかったワクチン”となるのか、貴方の基準を教えていただければと思います。

      >接種を強く勧めるような意図を感じる
      最終的な判断は各々委ねられることになりますが、私は”よほどの理由がない限りは接種することをお勧め”しておりますので、そう感じていただければきちんと日本語が伝わったのだと思います。
      中立とは、立場を曖昧にすることではありません。薬剤師としてワクチンが有益であると科学的に評価できれば、それを推奨するのが真の中立だと考えております。

      >コロナウイルス及びコロナワクチンの全てを理解していると言えるのか
      もちろん全てを理解しているとは言いませんが、世界で行われている主だった臨床試験の結果や査読済みの学術論文には多く目を通し続けておりますので、「現時点で確からしい情報」は広く確認できていると思います。逆にお聞きしますが、貴方は”全てを理解”した上で反対しておられるのでしょうか。

      >死亡者が出たらどうするつもりか
      これも逆にお聞きしますが、貴方のような反対意見によってワクチン接種の機会を逸し、それによって感染・発症・重症化・死亡したらどうするおつもりなのでしょうか。

    • K
    • 2021年 5月 28日

    ファイザー製のワクチンが12歳以上に引き下げられるみたいですね。
    でも、小児への接種となると、コメントを見る限りでは、コロナによる死亡率の低さ、ワクチンの用量などの問題から、反対する声も多いようです。
    我が家は受験生の子どもがいるので、インフルエンザワクチンと同程度の安全性であれば接種しようと思いますが、実際のところどうなのでしょうか。
    https://news.yahoo.co.jp/articles/c073c0c4a6589701381b48b27e36248e2b6cc74e

      • Fizz-DI
      • 2021年 5月 28日

      COVID-19に関して、小児自身のリスクは確かにそれほど高いものではないため、ワクチン接種で得られるメリットは高齢者などに比べると相対的にやや小さくなるのは確かと思います。
      ただ、ワクチン自体がそこまでハイリスクなものではないこと、小児でも重症化・死亡リスクはゼロでなく後遺症リスクも考えられること、変異株などの出現によって重症化する年齢層が低くなってきていること、たとえ軽症であっても感染すると色々な社会的行動に制限がかかってしまうことなどを踏まえると、個人レベルで考えても、よほどの理由がない限りは接種しておくのが良いと考えられます。

      また、小児の間で感染がくすぶっていると、先行して接種している高齢者のワクチンの効果が切れ始めたときに(※まだワクチンの効果がどのくらい持続するか明確なことはわかりませんが)、小児が火種となった家庭内感染などが増えるといったことも考えられます。そのため、社会全体としてもワクチン接種はメリットが大きいと考えられます。
      個人的には、子どもに「自分が両親や祖父母に感染させて死なせた」なんてトラウマを与えないためにも、重要かと考えています。

    • めいこ
    • 2021年 5月 28日

    コロナワクチンについて、体格差の違う欧米人と同じ量を接種するのはいかがなものかというコメントをよく見かけます。
    この度、接種できる年齢も引き下げられ、量については特に問題はないということなのだと思いますが、専門家の方から見て、ワクチンの接種量についてはどう思いますか?

      • Fizz-DI
      • 2021年 5月 28日

      他の多くの専門家と同様に増減の必要はないと考えますが、その詳しい理由についてはこちらの記事がわかりやすいと思いますので、参考にしていただければと思います。
      https://mi-mollet.com/articles/-/28668?page=4

    • 匿名
    • 2021年 5月 30日

    私は信用しません。そもそも公的機関のデータが信頼出来る根拠がありません。

      • Fizz-DI
      • 2021年 5月 30日

      貴方が信用するしないは貴方の自由ですが、私は薬剤師として、そのような個人的な「感覚」や「思い込み」「先入観」だけを根拠に薬の評価をするわけにはいきません。そんなことをすれば、患者に身体的・経済的な負担を与えたり、必要な治療から遠ざけてしまったりすることになるからです。そのため、できるだけ信頼に足る、客観性のあるデータに基づいて物事を考える必要があります。
      その際、現状で最も確からしく、判断材料として妥当な情報源となるもの1つが公的機関や査読済みの学術論文で示されたデータです。それが全てというわけでも、絶対というわけでもありません。「評価・吟味するに値するこれらの情報をベースにして考える」ということです。

      そのため、私の主張に変だと感じるところがあれば、同じように公的機関の情報や査読済みの学術論文などの「評価・吟味するに値する情報」を根拠として添えて、ご意見をいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

      ※ただの誹謗中傷コメントを返信されましたので書き込みを制限させていただきました。

  1. いい記事をありがとうございます。
    私も医療従事者の1人です。
    ただ、家族に陰謀論にのめり込んでいる人がおり、
    先程どれだけ医療従事者差別・ワクチン接種者差別をされて辛いかを本気で話しましたがダメでした。(私のしんどさより、”真実(という陰謀論)”の方が重要みたいです。)
    今後、お互いがいない者として扱おうという話になりました。「コロナワクチン」が家族を引き離すのではなく、「人の気持ちを考えられない」ことが家族を引き離しました。
    愚痴になってしまいましたが、今後も適切な情報発信を頑張ってください。応援しております。

  2. ワクチンに関する色々な情報を大変わかりやすくまとめていただき、ありがとうございます。

    一応、医学関係のデータ解析屋をやっているので、ワクチンの重症化予防効果について、少しだけコメントさせていただきます。

    ワクチン分野では、ワクチン接種群の重症例の割合と、ブラセボ接種群の重症例の割合を比較して、ワクチン接種群の方が重症例の割合が小さければ、「重症化予防効果」があったと表現するのが一般的のようです。

    でもこれは、厳密には「重症COVID-19発症予防効果」と表現するべきではないかと思います。

    そして統計学的には、ワクチン接種群のCOVID-19発症例中の重症例の割合と、プラセボ接種群のCOVID-19発症例中の重症例の割合を比較して、ワクチン接種群の方が重症例の割合が小さい時は、「重症化予防効果」があったと表現するのが良いのではないかと思います。

    ファイザーの論文に記載されたデータから計算すると、「重症COVID-19発症予防効果」は確かにあるのですが、「重症化予防効果」はほとんど観察されていません。

    そのため、よく言われる、

    「ワクチンは、たとえ発症しても重症化を防ぐ効果がある」

    という表現を信用して、ワクチンを接種した人が運悪くCOVID-19を発症した場合、「自分はワクチンを接種したので、重症化する可能性は低いから大丈夫だ!」と安心してしまうのは危険ですから、注意する必要があると思います。

    我田引水で恐縮ですが、詳しい説明は、僕の個人的ウェブサイトの次ページをご覧ください。

    http://www.snap-tck.com/room04/c01/vaccine/vaccine008.html

      • Fizz-DI
      • 2021年 5月 30日

      コメントありがとうございます。
      「COVID-19を発症してからの重症化抑制」と「重症COVID-19の発症抑制」の違いについて、詳しく教えていただきありがとうございます。
      現場レベルでの議論では意識したことはありませんでしたが、確かにこの2つは厳密には少し違ったものであることが少し理解できました(たぶん)。
      どのように表現するとこの部分も齟齬なく伝えることができるか、いただいたURLも参考にしながら少し文章を見直してみたいと思いますm(__)m

    • 匿名
    • 2021年 5月 31日

    大変わかりやすかったです。
    順番が来たらワクチンを打とうと思ってましたが、某ポータルサイトでワクチンの記事を読もうとすると
    必ずと言っていい位にワクチンに対するネガティブなコメントがたくさんあって、
    その強い主張にだんだん不安も覚えてしまいました。
    ここのサイトを見つけてホッとしています。
    おそらく私のように不安を煽られてしまう人も少なくないと思います。 
    このような形で言われているような誤解を一つづつ解いてくださると本当に助かります。
    また不安を覚えた時にこちらを見て心を安定させます。
    ありがとうございました。これからも頑張ってください。

    • わかもの
    • 2021年 5月 31日

    高校の時、化学とってなかったけど、わかりやすかったです。親が陰謀論に頭をやられてしまってたんですが、これでいい武器を手に入れられました。

    雑多に情報を摂取するんじゃなくて、ちゃんとした情報をもとに考えないと意味ないなーと思いました。(陰謀論は”情報”に含んではいけない)

    • ADE
    • 2021年 6月 01日

    先週、大阪大学および日本医療研究開発機構から発表された以下

    新型コロナウイルスの感染を増強する抗体を発見―COVID-19の重症化に関与する可能性―
    https://www.amed.go.jp/news/release_20210525-02.html

    についてはFizz-DIさんはどのようにお考えでしょうか?
    旧型コロナでもADEの知見はあったようですので懸念されていたことだとは思いますが
    ワクチン賛成派の方のご意見を伺いたいです

      • Fizz-DI
      • 2021年 6月 01日

      すみません、返答が乱雑だとご指摘いただいたため、改めて返答を書かせていただきます。
      私は免疫学者ではないので細かな免疫反応の詳細なメカニズムまでは詳しく議論できませんが、現状、何十万人にもワクチンを接種した結果として感染や発症・重症化は「減っている」ことが報告されているため、「現行のワクチン接種が徒になって感染・重症化しやすくなる」といったことを現場レベルで心配する必要はないと考えております。ただ、こうした観点からより有効性・安全性の高いワクチンが開発されれば良いなとも思っています。

    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    こちら、しっかり海外の論文等読まれている方の反対意見です。
    ttps://note.com/nakamuraclinic/n/nd6f4ca0d5038
    昨年だと散々陰謀論扱いされていたコロナ生物兵器説も、最近になってそれを示唆するリーク情報が出回っていたり、確かにトンデモも多いですがもはや陰謀論を陰謀論wwwと笑っているような状況ではないと思います。

    ※有害な内容と判断したためリンクは切っています(by 管理人)

      • Fizz-DI
      • 2021年 6月 05日

      拝読いたしましたが、何の根拠もなくご自身の憶測で無理矢理にこじつけた話ばかりで、科学の議論の俎上に載せるに値しないと判断しました。以下、その理由をいくつか説明します。
      .
      .
      1:「マスクで低酸素脳症になる」という主張
      根拠となる公的機関の情報や査読済みの学術論文が1つも示されていません。”がんになる”とまで書かれていますが、例えば「マスクをしていた人としていなかった人とを比較して、がん発症が多かった」というような臨床試験の結果を根拠として示していただかなければ、その主張の妥当性を客観的に評価することができません。つまり、根拠もなく「増える」とだけ書かれても、それは「便所の落書き」と同じで、”議論の俎上に載ってすらいない”ということです。
      なお、「マスクをつけたくらいで低酸素脳症にはならない」という検証結果を示した論文を1つこちらで共有いたします。
      https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33125030/
      .
      .
      2:「治験の参加者が死にまくっている」という主張
      これも、何一つ根拠となる情報が示されていないのですが、何を根拠にそう言っておられるのでしょうか。これがもし、ただの妄想ではなく事実だとするなら、その情報は私も確認する必要がありますのでその根拠となる公的機関の情報や査読済みの学術論文を教えていただきたく思います。
      .
      .
      3:「ワクチンを打ったら改造人間になる」という主張
      こちらで示されている論文は「ウイルスに感染した場合」の話で、「ワクチンを打った場合」のものではありません。つまり、この論文を根拠にして”改造人間になる”と主張するのであれば、それは「ウイルスに感染したら改造人間になる」という意味なので、むしろ感染を防ぐためにワクチンを打たないとヤバいです。
      .
      .
      4:「イベルメクチンは現場では効く」という主張
      私も効けば良いなとは思っていますが、残念ながらまだそのような明確なデータは示されていません。「現場で効いた」「現場で効かなかった」という経験をたくさん集めて客観的に評価したのが臨床試験です。主観的な経験談だけで物事を語るのは科学の議論ではありません。根拠以前の問題です。科学的根拠がないのに「現場で効く」と言われても、こちらが困ります。まず、この方が「効くという根拠」を示してもらわなければ、話が始まりません。
      なお、「臨床症状の短縮には有用でなかった」という臨床試験の結果ならあります。
      https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33662102/
      .
      .
      5:「流産率が12.6%」という部分
      自然な状態でも10~15%くらいは流産は起こってしまいます(参考: http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa23.html )ので、むしろワクチン接種では何も影響してなさそうだということがわかります。ワクチンに対する安心材料になると思います。
      .
      .
      …これ以降は、ウ〇コがどうとか書いてあって、読むに値しませんでしたので、これで終わらせていただきます。少なくとも上記5点において、”医学”や”薬学”という観点からは明らかなデマや議論にすら値しない主張、論文の誤読です。これを書いている方は、論文等をしっかり読めている人でも全くないと思います。

    • コバ
    • 2021年 6月 05日

    2回目を受けた医療従事者です。周りから「2年後に死ぬ」や「子供を残して死ぬつもりか?受けないほうが良かった」等色々言われて参っていました。分かりやすく納得できるものを見つけて不安が軽減しました。本当にありがとうございました。

    • 匿名
    • 2021年 6月 06日

    有益な情報をまとめてくださって本当にありがとうございます
    お忙しいところ本当にありがとうございます。
    コロナワクチンのデマを流す、危険性ばかり主張する、そんな人ばかりで本当に悲しいし悔しいです。
    そういった意見を調べもせず簡単に受け入れてしまう人が多い。
    私の10人程度の小さな職場では「ワクチンを接種したくない」人が多いです。
    絶対に嫌がられるでしょうが、それでも私は職場にこのサイトをシェアします。

    • たけし
    • 2021年 6月 06日

    身内や知り合いが、ワクチン接種後に重篤な症状になったり死亡したといった内容のツイートをまとめているサイトを発見して非常に不安になりました。本当にこのワクチンは注っても大丈夫なものなのでしょうか?
    全部を確認したわけではありませんがアカウントは実在してるようです。
    これらが事実なら現在厚生労働省が発表している死亡者数85名どころでは済まないと思います。
    すでに数百名が亡くなっているかもしれません。

    ttps://ameblo.jp/sunamerio/entry-12678158714.html?frm_src=favoritemail

      • Fizz-DI
      • 2021年 6月 06日

      色々な情報が出回っていて不安になってしまっている心中、お察しいたします。

      その上でのアドバイスですが、貴方は「明日宇宙人が攻めてくる」というツイートを集めたブログを見ても不安にはならないと思います。
      貴方が”これが事実なら”とご自分で仰っている通り、「事実かどうか」「どのくらい信頼に足る情報なのか」をまず評価することが大切です。
      ただのツイートを並べただけの情報を”事実かもしれない”と考えてしまうのは、恐らくいま色々な不安が強く、その不安の裏付けとなるような情報ばかりを集めてしまう状況だからと思います。
      これは不安を感じている人間なら誰でもやってしまうことです。私でもなります。
      一度、ワクチンについて調べるのを止めるか、あるいは目を通すにしても冷静な情報(例:→ https://covnavi.jp/ )だけにすることをお勧めします。

      「ワクチン接種後に死亡した人がいる」という事実から、「ワクチンが原因で死亡した」と結論付けるのは、あまりに短絡的です。「カレーを食べた後に亡くなった」「空気を吸った後に亡くなった」…という話を聞いて、いきなりカレーや空気を危険なものだとは考えないと思いますが、基本的にはそれと同じ考え方です。
      今は、「ワクチン接種の帰り道に交通事故に遭った」というような”ワクチンとはほぼ無関係のもの”まで、ワクチン接種後に起きた好ましくない出来事は”全て”を国が集めて調べています。本文中にも記載していますが、大事なのは、そういった出来事が普段よりも増えていないかどうか、を見ることです。その調査で、現状は「ワクチン接種者の方が顕著に死者が多い」といった兆候は日本でも世界でも観察されていません(世界でこれだけ接種が進んで観察されていないので、今後も顕著なリスクが明らかになる可能性は極めて低いです)。

      「ワクチンを接種して死んでしまうリスク」というほぼ心配する必要のないリスクを心配するあまり体調不良になったり、寝不足になって仕事でミスをしたり交通事故遭ったりしては、元も子もありません。
      私の友人知人には医師・薬剤師・看護師が多いですが、私の知る限り全員がワクチンを接種して全員が今日も普通に生活をしておりますので、今日はそれだけ耳に入れて、しばらくワクチンの話題からは距離をとっていただくのが良いのかなと思います(ワクチン接種を決断するまではまだ時間もあると思いますので、落ち着いたら改めて読みに来ていただければ嬉しいです)。

      なお現状、こうした「接種後の死亡・副反応」を装ったデマ投稿が非常に多いという事実は知っておいてもらえたらと思います。
      参考: https://kumanichi.com/articles/233560

    • なかた
    • 2021年 6月 06日

    先週ワクチン1回目を接種しました。
    Twitterを始め、ネットでは様々な情報が流れており不安になります。最近ではワクチン接種をした人からスパイクタンパク質が排出されるので、未接種者に悪影響があるという情報を目にしました。家には家族もおり、寝室も一緒なのでとても不安になりました。実際どうなのでしょうか…?

      • Fizz-DI
      • 2021年 6月 06日

      現状、私はそのようなリスクを明確に示唆する公的機関の情報あるいは査読済みの学術論文を知りません。もし何か信頼に足る根拠の裏付けがある話なのであれば、その根拠たる情報を共有していただければと思います。

      もし信頼に足る根拠が無い情報なのであれば、信頼できない&評価するに値しない”便所の落書き”レベルの話なので、気にする必要はないと思います。

        • はやし
        • 2021年 6月 07日

        有用な情報配信をありがとうございます。
        私も同じ情報を読み不安になっています。
        情報元は以下医院の接種者立ち入り拒否のコメントです。コメントに言及されているファイザーの治験のプロトコルを見ましたが、プロトコルには被曝を想定する記述はあるものの、被曝結果などは書かれていませんでした。このプロトコルの記述が医院の言う通り根拠になりうるのかどうか、判断出来ず困っています。
        以下リンク切ってます
        ttps://www.moritatsu-eye-clinic.com/index.html

          • Fizz-DI
          • 2021年 6月 07日

          すみません、こちらの元資料のどこに該当の記述があるのでしょうか。
          どこにもそのような記載は見当たりませんでしたが・・・

            • はやし
            • 2021年 6月 08日

            ご多忙のところ、返信いただき恐縮です。ファイザーのプロトコル67ページの最後から68ページの頭にかけて書かれてる文のようです。日本語の他の記事を見ても、その箇所が該当とありました。英文記事ですが、資料へのリンク付きのものがありましたので以下記載します。
            ttps://www.henrymakow.com/2021/05/vaccines-will-harm-unvaccinated.html
            薬の開発における治験プロトコルの位置付けなどさっぱり分からないのですが、被曝件数など何も書かれて無くても、こちらの記述だけで被曝を裏付ける根拠になるのでしょうか?

            • Fizz-DI
            • 2021年 6月 08日

            該当部分は「ワクチンを吸入・皮膚接触した後に妊娠が判明した場合は、報告してください」と記載されているだけで、「ワクチン接種者の呼気や汗にスパイク蛋白が放出され、ワクチン接種者が周囲に悪影響を与える」というような文言は書かれていませんので、きちんと元資料をご確認お願い致します。

    • 匿名希望
    • 2021年 6月 07日

    はじめまして。貴ブログを拝読させていただき、島嶼ワクチン非接種派でしたが近々接種しようかと思っています。
    とは言え、ワクチンの危険性を訴える文章はあちこちで見かけ、まったくの素人の身としては本当に大丈夫なのかなと一抹の不安も感じざるを得ません。
    すぐ上で同様の質問に回答されていて、過度の不安を覚えるぐらいならワクチン関連の情報は調べない方がいいというのも正しいと思います。
    しかし、以下のまとめブログのように頻繁に更新され、麻痺や皮膚異常など恐怖を煽るような画像や動画のURLも一緒だと半信半疑ながら引っかかるものがあります。

    ttps://note.com/info_shinkoro/n/n8e88da9471ac
    (あらかじめリンクは外しております)

    麻痺や皮膚異常や失明といったリスクはデマか、限りなく低い可能性という認識でよろしいのでしょうか?
    ちなみにかかりつけ医(精神科。現在パキシル12.5㎎定期服用中)に電話でワクチン接種(介護施設勤務で今月中にファイザー製接種予定)の可否を尋ねた所、「まったく問題ないですよ」とのお言葉はいただいています。

    ご多忙中まことに申し訳ありませんが、返信いただけますと幸いです。

      • Fizz-DI
      • 2021年 6月 08日

      コメントありがとうございます。
      専門知識がなければどの情報が信頼できるのか判別できず、不安が強まってしまうこと、本当に大変な状況と思います。
      貴方の状況を詳しくご存知であるかかりつけ医の「まったく問題ない」というアドバイスを大事にしてもらえたらと思います。

      >麻痺や皮膚異常や失明といったリスクはデマか、限りなく低い可能性という認識
      それで良いと思います。少なくとも、これだけ世界中でたくさん接種されている現状でも実際にそのようなリスクが顕著に増えるといった兆候は観察・報告されていません。「新型コロナウイルス感染症に罹患してしまった」際のリスクと比べれば、「ワクチン接種で免疫を獲得」する方が圧倒的にリスクが小さく、ワクチン接種の有益性が上回ると考えるのが妥当です。

      >半信半疑ながら引っ掛かるもの
      そのお気持ちはわかります。であれば、一度「新型コロナウイルス感染症に罹患した場合」の危険性や大変さを訴える情報も合わせてご覧になってはいかがでしょうか。
      「ワクチン接種で”起こるかもしれない”こと」と「感染・発症して”実際に起きたこと”」とを比べて「どちらがより安全に免疫を獲得できるのか」を比較してみるのも、良い比較になると思います。

    • Goo
    • 2021年 6月 10日

    コロナやワクチン接種について分からないことだらけで、
    日々色々な情報と噂の違いも判断出来ずに困っていました。
    とても分かりやすく家族にも共有した次第です。

    家族の一人が先日1回目の接種を済ませたところでして、
    本人は副反応もなく元気に過ごしているのですが、
    接種直後から薬品のような強い体臭を感じることが多々あり、
    接種後にはよくあるものなのか疑問に思い調べてみたものの、
    該当するものが見当たらずこちらにコメントをさせて頂きました。

      • Fizz-DI
      • 2021年 6月 10日

      コメントありがとうございます、参考にしていただきありがとうございます。
      ぜひ、厚生労働省等の情報とも照らし合わせつつ読んでいただければと思います。

      薬品のような体臭とのことですが、ワクチンの成分や作用メカニズムから考えても、これまでの報告を踏まえても、恐らく無関係と思います。
      もし万が一、これが何かワクチンと関連していたとしても、現状元気に過ごされているのであれば特に気にする必要はないと思います。
      ただ、ワクチンとは無関係に「体臭が急に変わった」というのは何らかの体調変化の兆しである可能性もあります。そのような変化が何日もずっと続く、その体臭がどんどん強くなっていく、といったことがあれば、一度病院で相談されるのが良いかと思います。

        • Goo
        • 2021年 6月 10日

        何かにつけて不安を感じてしまいがちな状況なので、ご意見を頂いて安心しました。
        2回目の接種に向けて様子を見たいと思います。
        ご返信ありがとうございました。

    • 削除しないでくださいよ
    • 2021年 6月 10日

    とてもじゃないが仕事の依頼したくありません

      • Fizz-DI
      • 2021年 6月 10日

      デマ情報のURLは、公衆衛生上の問題があるため削除させていただきます。
      なおデマを広めるようなお仕事は私もやりたくありませんので、ご依頼いただかなくて結構です。薬剤師として国民の健康に資する仕事を今後も続けてまいります。

    • ただの医学生
    • 2021年 6月 14日

    そもそもデマを信じてしまう人は根拠を求めてなかったり、根拠がどこにあるのかがわからんのかもしれん。。

    アカデミックな現場にいる人はこのサイトの文献の示し方で伝わるんだが、そもそも文献の示し方がわからん人にはそれすら伝わらないのかもしれん。。。

    100%って言葉は強力だからこそ、なかなか使いにくいのに

    • 匿名
    • 2021年 6月 14日

    負けずに頑張ってください。

    ここにコメントを丁寧にご返信くださっていることが残っているおかげで、
    「ああ、ワクチン反対派、誰もまともな反論してないな」って気づくきっかけにも
    なると思います。
    科学的根拠に基づいたワクチン反対派がいるなら僕はそれを否定しません。
    ただ「雰囲気と感情」だけのワクチン反対派が目を覚ましてくれることを祈り。

    • 2021年 6月 14日

    なんなんだろなこの何かやれば止めれば感染拡大が止まるコロナが消えていくみたいないい回しする連中
    お前みたいなのが一番「悪」だろ

    コロナは変異し続け拡大は止まらないしワクチンは後追いで株によって効かないし副反応も当然でる
    人生で感染しないやつなんて存在しない未來しかない

    ワクチン打つなり感染したその時、運の悪いやつから死んでくだけだよ

      • Fizz-DI
      • 2021年 6月 14日

      私は薬剤師として、現在までに得られている知見から考えれば「ワクチン接種が進めば感染拡大は抑えられそう(だけどまだまだ油断はできない)」という話をしているだけなのですが、貴方からは「悪」に見える・・・ということは理解しました。

      mRNAワクチンは現時点で確認されている変異株には有効そうだということ、更に変異はヒト-ヒト間で感染を繰り返すことで起こるためワクチン接種によって感染を抑制することが大事だ、というお話は本投稿内(よくある誤解⑱)でも述べさせていただいた通りですので、読んでいただけますと幸いです。
      「ワクチンを接種する」のと「感染する」のを比較すると、「ワクチンを接種する」方が相当に安全かつ楽に免疫を獲得できます。貴方の仰る”運悪く死んでしまう”というリスクを少しでも減らすためにはワクチン接種をした方が良いですよ、というお話をしております。

    • Fizz-DI
    • 2021年 6月 14日

    【大きな修正点】
    回答の根拠②の重症化・死亡の数字について、古いデータの数字になっていた部分がありましたので、2021年6月時点の日本のデータを反映しました。

    • dragon
    • 2021年 6月 14日

    実はネット記事とチラシ情報でワクチン不安になっていました。
    落ち着いた丁寧な説明で、この先のワクチン接種に安心できました。
    本当に、ありがとうございます。

    • 研究者目標の学生
    • 2021年 6月 14日

    情報ありがとうございます。
    疑問などを的確に説明してくださって大変分かりやすかったです。
    質問ですが現時点でワクチンの接種後何か気を付けた方が良いでしょうか?
    私の父は職業も相まってワクチン接種に意欲を示していますが基本平日は運動量が多い職業なので何か気をつけるべきことがありましたら教えてくださると幸いです。

      • Fizz-DI
      • 2021年 6月 14日

      コメントありがとうございます。

      ワクチン接種後の注意点ですが、一般論としては下記のようなところを気をつけていただければと思います。
      ・2回目接種の後は発熱や倦怠感・頭痛が出やすいので「おやすみ」にしておく
      ・何かの持病があって薬を服用している場合は、発熱して食欲がなくなった時などには薬をどうすれば良いかを主治医と相談しておく
      ・もし寝込んだ場合でも、水分補給はしっかりとすること(飲水制限がなければ)
      ・ワクチン接種後に深酒はしない方が良い

      ・・・その他、特殊な事情がある場合は、事情をよく知っているかかりつけの医師・薬剤師と具体的な注意点を相談していただければと思います。

    • peach
    • 2021年 6月 14日

    有益な情報ありがとうございます。
    友人から生殖機能が衰えるような話を聞いて、打つ気満々だったところ、少し止まって考えるようになってしまいました。そう言った生殖機能の変化などはこれから何年もかけて研究して分かっていく感じでしょうか?
    友人と話して不安になってしまい、調べてこちらに辿り着きました。やはり基本的には大きな問題ないと思っており、打とうとは思っています。

      • Fizz-DI
      • 2021年 6月 14日

      コメントありがとうございます。
      確かに生殖機能の変化なども含めて追跡調査されてはいますが、世界で億単位の回数が接種されている現時点で特にリスクは観察されていないので、今後も何か大きな問題が見つかることは基本的にないと思います。ワクチンによる悪影響・副反応が接種から何ヶ月も経ってからジワジワと出始める・・・というのは極めて考えにくいからです。
      そもそも我々が普段から口にしているような飲食物(健康食品やサプリメント、お菓子、清涼飲料水など)の”長期的な影響”も、データがないという意味ではワクチンと同様にわからないものばかりです。が、いずれも「長期的な影響は考えにくい」から問題ないと判断されて日常的に使われています(・・・むしろワクチンの方が使用実績が圧倒的に多くデータも追跡されているので、より安全と言えるかもしれないくらいです)。

      「もしかしたら何か小さな問題は今後見つかるかもしれない・・・」というのは確かにそうですが、そのリスクよりも、コロナに罹患して体調に支障を来たすリスクの方が遙かに現実的ですし、感染症に罹った時の方が何年も経ってから発症する合併症もあってよりリスクは高いと判断するのが妥当と思います。

    • Fizz-DI
    • 2021年 6月 14日

    インフルエンザのワクチンについての質問も多いのですが、

    ・ワクチンを接種したのに発症したことがある
    ・ワクチンを接種していなかったのに発症しなかった

    ・・・こういった”個人の体験談”だけでワクチンの有効性を語るのにはどういった問題があるのか、といった話は下記記事にまとめてありますので、参照していただければと思います。

    https://www.fizz-di.jp/archives/1073916148.html

    • S.
    • 2021年 6月 14日

    ワクチンについてこんなにもしっかりと情報を確かめている記事を見たことがなかったため、読了後とてつもない満足感に包まれております。
    以前からワクチン接種については前向きに検討していましたが、さらにその気持ちを強めることができました。ありがとうございます。

    コロナウイルス感染症についてのニュース、および情報はそこらかしこに溢れていて、これまで以上に「真偽」を見極める・確かめる必要のある状況だなと日々感じております。
    これまでも情報の取捨選択や一次ソースの確認など、いろいろと気をつけていましたが、より一層気をつけていこうと思います。
    (載せてくださっていた参考文献やサイト、執筆者など、今後調べる際に参考にさせていただきます。)

    薬剤師さんとのことで、今この状況下でとてもお忙しい中、このような有益な記事を執筆してくださったことに心から感謝します。どうかご自愛くださいませ。

    • NA 質問させていただきたいです
    • 2021年 6月 15日

    SNS等で流布している様々な誤解に対する分かりやすい回答で、真に受けてはいなかったものの、日々感じていた不安な気持ちが薄れました。
    質問なのですが、ワクチン接種を迷っているという知人から、その不安要素としてファイザー社副社長?による危険性の主張を聞きました。
    個人的には否定派の信憑性を高めるため利用されている(正しい書き方か分かりませんが…)といった印象で気にもとめていないのですが、何の根拠もなしに知人に言っても自身の感想となってしまうので、客観的にその主張は正しくないというものがありましたら教えていただきたいです。

      • Fizz-DI
      • 2021年 6月 15日

      その副社長が「何を根拠にして論を述べているか」が大事だと思います。
      海外のファクトチェックでも、そのファイザー社の副社長の言説は「根拠のない誤情報」と既に評価はされていますが、私が確認した限りでも何ら信頼性のある根拠は示されておらず、聞き流して良い話だと判断しています(例:よくある誤解⑩⑪)。

      下記URL、「こびナビ」の先生方が監修した記事で本件については詳しく書かれておりますので、参考にしていただければと思います。
      https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/vakzin-fc-2

        • NA
        • 2021年 6月 15日

        返信ありがとうございます。
        記載された記事も確認し、やはり1つの誤解として拡散されていたのだと理解できました。
        今後も接種関連の情報が知りたい時は、積極的にこのサイトを訪れようと思います。お忙しいとは思いますが応援しています。

    • A.
    • 2021年 6月 15日

    情報をわかりやすく説明していただきありがとうございます。

    母がペニシリンアレルギーで接種にかなりの不安を訴えています。
    本人がかかりつけ医や市や県などに問い合わせをしたのですが、情報が無いらしく混乱しております。
    最近では色々と調べては危険な情報ばかり拾い、精神が不安定にさえなっています。

    こちらで質問すべき事ではないと思いますが、ペニシリンアレルギーとワクチンについて何か情報がありましたら教えていただけると幸いです。

      • Fizz-DI
      • 2021年 6月 15日

      ペニシリンアレルギーは「ペニシリン」に対するアレルギーですが、mRNAワクチンに「ペニシリン」は含まれていないので、基本的には関係ないと考えられます(ペニシリンと類似した構造を持つ物質も含まれていません)。また、現状ペニシリンアレルギーの人で副反応が多かったというような話もありませんので、問題ないと考えて良いと思います。
      「そばアレルギーだけどエビを食べても大丈夫か」という疑問と同じように、慎重になるのは良いけど禁止する必要もない、というところです。

      ご本人が凄く心配されているとのことですので、接種会場では「アレルギーが心配だ」という旨を現地の医療従事者に伝え、経過観察の時間を少し長めにとる等の対応をしてもらうのが良いのでは、と思います。

      ただ、そのペニシリンアレルギーは何年前にどういった症状が現れたものなのか等がわからないと個々の判断は難しいと思いますので、主治医の先生の指示に従っていただければと思います。

    • 満漢全席
    • 2021年 6月 15日

    義理のお父様から「ワクチン接種で今後ますますコロナ患者が増えるぞ〜」とか、それに絡めて子宮頸がんワクチンに関して「受けないほうがいい!ありゃ副反応がひどいからね」と言われて辟易していたところだったのですが、自分の考えは、査読付き論文や公的な情報に照らし合わせて間違っていなかった、、、と思うことができました。
    ワクチン接種の順番が回ってくることを気長に待とうと思います!
    わかりやすい記事をからありがとうございましたm(_ _)m

    • いち日本人
    • 2021年 6月 15日

    本文およびコメント欄での返信すべて目を通させて頂きました。感謝しかありません。

    『ワクチン自体にもリスクはあるが打たずに感染した場合のリスクの方がより大きいため打てる機会があればさっさと打とう』という当方の考えが補強された気がしてすっきりしました。

    一部過激な反ワクチン派の無理筋な批判コメントにまで冷静かつ丁寧に返信してらっしゃる筆者様は大人だなぁ…と苦笑いしつつ、有用な情報を今後も発信してくださるとありがたいです。

    • ベイズ
    • 2021年 6月 15日

    高齢者は副反応リスクよりも感染リスクのほうが上回るのは事実ですが、若年層はどうなのでしょうか?
    若年層は重症化しにくい、副反応リスクは逆に大きいので、接種しないほうが安全だと思います。

      • Fizz-DI
      • 2021年 6月 15日

      若年層が「重症化しない」わけではありませんし、「重症化しなかった」からといって後遺症がゼロとは限りませんし、そもそも自分が感染すれば周囲の人に感染を広げることになります。
      副反応の発熱・頭痛・倦怠感は1~2日で治まりますので、”取り返しのつかない事態”になる可能性があるのはどちらか、を考えていただければと思います。

■主な活動

【書籍】
■羊土社
薬の比較と使い分け100(2017年)
OTC医薬品の比較と使い分け(2019年)
■日経メディカル開発
薬剤師のための医療情報検索テクニック(2019年)
■金芳堂
医学論文の活かし方(2020年)

 

【連載】
Medical Tribune / PharmaTribune
ダイヤモンド・ドラッグストア
m3.com

 

【講演】
薬剤師会(兵庫県/大阪府/広島県/山口県)
大学(兵庫医療大学/同志社女子大学)
学会(日本薬局学会/プライマリ・ケア連合学会/アプライド・セラピューティクス学会)

 

【監修・出演等】
異世界薬局(MFコミックス)
Yahoo!ニュース動画
フジテレビ / TBSラジオ
yomiDr./朝日新聞AERA/BuzzFeed/日経新聞土曜版/日経トレンディ/大元気/女子SPA!ほか

 

 

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