ムーサ異装展覧界
Utopiumに死す
Utopiumに死す
しらぬま彼方
展示「肖像画」
【諸注意】
・RPを多く楽しむシナリオ構成となっており、RPを好まれない方には楽しんでいただけない可能性があります。
・一部の方に対し不快に感じる描写、設定が含まれます。
・神話生物に対する独自解釈を含みます。
【シナリオの 6版/7版 コンバートについて】
不可能。
【シナリオに関するお問合せ先】
TwitterDMにてお問い合わせください: https://mobile.twitter.com/kyokyork
【概要】
「Utopiumに死す」
よみ:ユートピウムにしす
作 :しらぬま彼方
テーマ:肖像画
プレイ人数 :ふたり
プレイ時間 :5~7時間(RP次第)
推奨技能 :<三大探索技能>(準推奨として<戦闘技能>あり)
シナリオ傾向:探索者×肖像画×箱庭
・RP推奨
・特殊探索者設定あり
▼探索者について
PC 1<君は扉の向こう側からやってきた>
PC 2<あなたは扉のこちら側でうまれた>
事前秘匿なし
継続探索者の「CS 利用」可能。
ただし「肖像画探索者」という扱いとなり、「人間探索者」とは姿形や技能が同じだが、別の存在になる。
――「愛される君へ。」
ようこそ。
ここは、「肖像画」たちが人間の様に過ごす、とある奥地のお屋敷です。
人の気持ちを疑似的に体験することで、
どういった美術品が望まれるのかを知ったり、より豊かな表現を学んだりするための場所。
あなたたちは、今を生きる「肖像画」です。
「肖像画」として生まれたからには、いつか博物館に飾られなくてはなりません。
そのために外からやってきたひとりは、中で生まれ育ったひとりと出会います。
これは、そうやってふたりになった、探索者たちのお話。
以下、KP向け情報となります。
PL向け情報
■探索者について
本シナリオは、「肖像画」の探索者と一緒に遊んでもらうこととなります。
立ち絵を肖像画として扱うので、立ち絵の用意が必要です。
もちろん手描きイラストである必要はなく、利用規約に乗っ取っていれば、フリー写真やイラストなどでも構いません。
「肖像画差分」が必ず必要というわけでもありませんので、ご安心してお楽しみください。
▼探索者作成について
使用ルールブック:
クトゥルフ神話TRPG基本ルールブック(第六版)
2010,2015など各種サプリメント
基本的に、通常の探索者作成に基づいてキャラクターシートを作成すること。
本シナリオ上で職業・特徴表の限定、付与は行いません。
ただし「現在SAN値」のみ、CS記入だけ行いシナリオのコマ作成では使用しない。
【SAN】の代わりに【絵の具】を使用する。
▼【絵の具】について
「肖像画」として過ごすうちに溜まる経験値のようなもの。
シナリオ開始時の値は、
PC1は0スタート
PC2は1d20スタート
となる。
■事前情報
▼舞台設定について
あなたたちは「肖像画」です。
「肖像画」として生まれたからには、いつか博物館に飾られなくてはなりません。
そのために「お屋敷」へやってきた2人は、立派な「肖像画」になるため 日夜努力をすることになるでしょう。
▼お屋敷について
「肖像画」達が人間の姿を取り、人間のように過ごす場所。
人の気持ちを疑似的に体験することで、どういった「肖像画」が望まれるのかを知ったり、より豊かな表現を学んだりするのが目的。
「肖像画」ではあるが、ここでなら眠ることも、ご飯を食べることも、おしゃべりに花を咲かせたり遊んだりすることも自由。
館長が取り仕切っており、メイドと執事がお世話係を務める。
▼NPCについて
お屋敷には、ほかにも数枚の「肖像画」が暮らしている。
・ネモ
銀髪の女性の肖像画。1号室に住む。
いつも穏やかで、やわらかく微笑んでいる。
でもちょっといたずら好き。
「こんばんは。いい夜ね」
・ローズ
赤い髪の女性の肖像画。3号室に住む。
男性のような口調で、はっきりとものを言う。
妹のマリーを可愛がっており、探索者のこともかわいがる。
「ここはいいところだ。マリーもいて、お前たちもいるんだからな」
・マリー
赤い髪の少女の肖像画。3号室に住む。
いつも明るく元気で、よく駆け回っている。
姉のローズにとても好いており、繋いだ手は離さない。
「あのねー、マリー、おねえちゃん(おにいちゃん)のことだいすき!」
・クチナシ
修道服を着た男性の肖像画。5号室に住む。
なまぐさ神父?
酒は飲むわタバコは吸うわ、教会は自分の昼寝ポイントだと思っているらしい。
「めんどくせえなあ…」
・黒のメイド
屋敷に仕えるメイドの少女。
めちゃくちゃにおっちょこちょいで、掃除中よく花瓶を割る。
「お任せください!」
・黒の執事
屋敷に仕える執事の少年。
無表情でなに考えてるかわからないが、なにも考えていない説が濃厚。
「……おはようございます」
・館長
お屋敷の別館にある「館長室」にいるらしいが、PC2も使用人以外のNPCもあったことはない。
お屋敷内を仕切っており、肖像画を一人前と判断して博物館に送り出す役割を持つ。
KP向け情報
◎シナリオ主題について
探索者は「肖像画」ではなく、自身が「肖像画である」という催眠をかけられた人間・神格である。
また、舞台となっている屋敷は「アドゥムブラリの次元」に建てられた空間であり、彼らが滑稽な共同生活を絵画鑑賞・観劇のごとく楽しむためのものだ。
もとは「見る側」だったPC1(アドゥムブラリ)とPC2(人間)が、それぞれの理由により何かを「見て」しまったがために、「見られる側」の美術品として消費されている。
また、大きくとらえると、探索者はプレイヤーという作者に制作された存在であり、その立ち絵こそが探索者の「肖像画」だ。
パソコンの画面の先で繰り広げられるシナリオを額縁の先の絵画に見立て、それを鑑賞するプレイヤー及びゲームマスターという舞台構成ともなっている。
これら「見る、見られるの関係」が当シナリオの主題である。
(後者のメタフィクション要素がシナリオ内でPCに直接開示されるルートは現状ありません)
◎なが~いシナリオ真相
かつて、ひとりの精神科医がいた。
彼女は催眠療法による精神治療を試みていたが、理解が得られず学会でも院内でも異端児の扱いを受けていた。
彼女の元には、院内でも見放されたSAN0の患者ばかりが運び込まれており、治療にも限度があったのだ。
振るわない結果、周りの心ない言葉。
肩身の狭くなる一方の精神科医は、いつしか追い詰められてゆく。
また、勤めていた精神病院では、あまり患者の扱いも良くなく、金銭や名誉のために転院や必要のない治療を行うなどの行為が行われていた。
彼女の患者もそれによって転院を余儀なくされている。
精神科医は、助手とたった2人で奮闘していた。
そんな彼女の精神を救っていたのが患者のPC2だ。
PC2は最後まで残った彼女の担当患者だった。
彼女の真摯な治療によってほんの少しだけ回復していたのか、それとも何かの偶然か、PC2は精神科医に笑顔を向けたことがある。
PC2の笑顔は、医者としての自分を唯一認めてくれたように感じさせるものだった。
そうして、精神科医はPC2だけはせめて救いたいと思うようになる。患者として心からPC2を愛していたのだ。
ある日、彼女の唯一の助手(シナリオ内でクチナシと呼ばれる男)は精神衰弱を懸念して精神科医に息抜きを申し出る。
かねてより精神科医が好んでいた絵画鑑賞をしてきたらどうだと、「アノマリオール博物館」のチケットを渡したのである。
そうして、博物館を訪れた精神科医は、飾られた多くの美術品たちに心を奪われた。
美術品が大切に扱われる博物館のように、患者が大切に扱われるサナトリウムを作りたい。いつしかそんな理想郷を夢見ることとなる。
その後、とある古物商店にて「イステの歌」を入手。
読み解くうちに「アドゥムブラリ」について知り、彼らの次元というものがあることを知る。
精神科医は、それらの治療への転用を思い付く。
アドゥムブラリの次元に安全なサナトリウムを作ることが出来れば、精神治療の場として有効活用出来るのではないかと考えたのだ。
神話的知識をふんだんに取り入れ、彼女はそれを実行に移した。
「アノマリオール博物館」にて最も心惹かれた作品である白い絵画に似せた絵画を描き、そこに外の世界とアドゥムブラリの次元とをつなぐ門を制作。そして、その先に屋敷を立て、PC2を移送したのだ。
元はと言えば、PC2のため、患者のためのサナトリウムになる筈だった。
しかし、元々衰弱していたなかで「美」に心奪われ、冒涜的な知識の数々を得た精神科医の正気はその過程で失われてゆく。
やがてサナトリウムを形成するという願望は、サナトリウムを博物館に見立て、そこで「肖像画」(に見立てた患者)を管理するという欲望へと成り代わってしまったのだ。
時を同じくして、ひっそりと隠していたサナトリウムの存在がアドゥムブラリにバレてしまう。
精神科医の正気は、彼らの目撃により完全に決壊した。
そうしてアドゥムブラリのもとへ赴き、サナトリウムをお目溢しいただく代わりにと、彼らへの服従を誓った。
残忍な彼らが提示してきたのは、
・博物館や肖像画は、あくまで彼らの玩具・鑑賞物であること
・肖像画の中から定期的にいけにえを捧げること
・すべてを許すのはアドゥムブラリたちが飽きるまで
の3点であった。
精神科医はそれらを快諾。もはやそこに正気はなかった。ただ、催眠術と美術品、そしてPC2への執着にも似た愛が支配していた。
「肖像画として立派になるためという理由で生活を送らせ、定期的に立派になったため博物館に飾るという名目で外のアドゥムブラリに捧げる」そんな筋書きをたてる。
そして最後には、自らの精気までもアドゥムブラリに捧げ、欲望を現実のものとしようとした。
精神科医は自らのユートピアで死ぬことを選んだのだ。
しかし、助手に阻止され、彼女の精神は捧げられることなく死者となる。
サナトリウムにひとり残されたのは助手であった。
彼は、精神科医を心から愛していた。そして、その行為が許されざるものであることを理解しつつ、遺志を継ぐと決めたのである。
この時すでに助手も正気ではない。多くの人間を肖像画に見立て、犠牲にして愛する人の望んだゆがんだ理想郷を継続するなど、正気の沙汰ではない。
現在までに、多くの人間が「肖像画」として引き入れられ、アドゥムブラリに捧げられている。
ただ、精神科医が最後まで愛していたPC2だけは、サナトリウムの患者として治療し、いつか退院してもらうために催眠を続けている。
そこにやってきたのが、PC1である。
PC1はアドゥムブラリの幼体だ。生まれた瞬間、別次元にいたPC1のもととなる探索者を目撃し、無意識のうちに人間に興味を持つようになっている。
屋敷の中の生活を見ているうちに、いつしかPC1はあこがれを持ち、仲間に入りたいという欲望を持つようになったのである。
しかし、屋敷にはアドゥムブラリ内で抜け駆けをするものが出ないよう、結界が施されている。
入ることもできず、あこがれも捨てきれないPC1は、かつて見た人間の姿に化け、その扉の前でうずくまっていた。
PC1を内部に連れ込んだのはネモだ。彼女は自力で催眠を解き、ここがどんな場所であるかを知っていた。
ネモはかつて最愛の子供を失っている。PC1と子供を無意識下で重ね、親愛の情を抱いた彼女は、結界を解き、PC1を屋敷へ入れてあげたのだ。
そして、またPC1が独りぼっちになってしまわぬよう、助手に交渉を持ち掛け、自分がいけにえになる代わりに、PC1を屋敷の一員にしてあげてほしいと言う。
助手は渋ったものの、最後には了承。
PC1のアドゥムブラリとしての記憶をはく奪し、肖像画の一枚として屋敷に迎え入れることとした。
そうして、シナリオが開始する。
すべてを思い出した神格と人間は、はたしてユートピアを望むのか、現実を望むのか。
■PC
◎PC1 【贋作】
アドゥムブラリの幼体。
アノマリオール博物館の白い絵画を通してPC1の元となる探索者を見、目が合ったときに存在が確立され目覚めた。まだ赤子のような存在である。
アドゥムブラリ(見る側)として屋敷を鑑賞していたが、そのうちに箱庭を生きる人間たちに惹かれ、その優しさに憧れ、焦がれてゆく。
やがて、かつて初めて目が合ったものの姿を借りて屋敷へと侵入を果たしたのである。
◎HO2 【真作】
アノマリオール博物館を訪れた際、白い絵画に引き寄せられ、精神がアドゥムブラリの次元まで誘引された。
しかし、幸か不幸かその精神は、「次元の果て」に飛ばされる。
そこは次元と次元の狭間であり、TRPGにおけるシナリオの中と外を隔てる「額縁」(PLの視点で言うところの「画面」)が存在する場所だ。
その場所でニャルラトホテプとの邂逅を果たしたPC2はSAN0発狂に陥ってしまう。
その後、精神科医の務める病院へと運び込まれた。
■特殊ギミック・用語説明
◎絵具
処理はSANと同様。
実のところ「SAN値」のことである。
だが、SAN値は探索者・人間だけが持つ数値だ。そのため、神格のPC1と肖像画の催眠にかかっているPC2には適応されない。
彼らが「人間」になった時点で絵具が削げ落ち、「SAN」という項目になる。
◎アドゥムブラリの次元
マレウスモンストロルム(p.15) アドゥムブラリの項目を参照。
アドゥムブラリ達が群生している次元。
本シナリオでは、さまざまな並行世界や次元に通じており、その一つがアノマリオール博物館に展示される「白い絵画」としている。
また、シナリオの端っこ「果ての額縁」にも通じている。
◎「果ての額縁」
額縁とは、美術品を飾る目的のものだけでなく、窓や出入り口の周囲につける化粧木や、劇場の舞台に使われる上下左右の区切りをも指す。
ここでの「果ての額縁」は、TRPGにおけるシナリオの中と外、PCの次元とPLの次元を隔てる「画面」が存在する場所だ。
外なる神、ニャルラトホテプがそこには立っている。
古代エジプト人がかつて考えたように、人間の次元と他の外なる神の次元をつなぐ門としての役割を持つ化身の一つである。
「画面」の先に存在するのは外なる神「プレイヤー」だ。
◎お屋敷
アドゥムブラリの次元にあるサナトリウム。あるいはユートピア。
精神科医の病院をもとに形作られている。
1~10まで部屋があり、それぞれ不定発狂内容と住人の狂気が一致している。
(※PC1以外)
■NPC
◎精神科医
シナリオでは名前もない女性。
医者として否定され続け、医者というものの醜さも知り、不安定になっていた際、患者であるPC2の笑顔に報われ、救われた。
最終的には、「PC2を助けたい」という気持ちだけで努力を続けていた人。PC2に深い愛情を持っていた。
◎クチナシ
「クチナシ」と名乗る男。精神科医の助手。
幼なじみでもある精神科医に恋愛感情を抱いている。誰に見放されようとも傍で支えていたが、彼女を救うことは最後までできなかった。
せめて彼女の最後の願いだけはと、生贄を捧げ、催眠の綻びを直し、PC2の治療を続け、屋敷を守っている。
なお、冒涜的な行動の連続に、彼のSANも尽きている。「精神科医の理想郷を守る」という意志だけでギリギリ保っている状態だ。
PC2には、患者として守りたいという庇護感情と同時に、精神科医を救った(自分にできなかったことを容易くして見せた)と嫉妬じみた憧れを抱いている。
◎ネモ
「ネモ」と名付けられた女性。
しとやかな見た目に反して好奇心旺盛。若干やんちゃ。けれどお屋敷では先輩ぶって背伸びしていたりする。
いいところのお嬢様だったが、今では勘当され精神病院に押し込められていた。入院する精神病院でアノマリオール博物館の見学イベントが開催された際、白い絵画を通してクチナシに目をつけられる。
第一子を流産で亡くしている。
家の意向で嫁に出され、恋も知らず、子を産むためだけに生きていた。そんな中で周りに急かされ、詰られながらもなんとか宿った小さな命であった。
しかし流産。のちに不育症が発覚し、発症原因もわからずじまいとなる。
扉に跳ね除けられたPC1に昔の自身や抱く前に失った子供を重ね、思わず手を伸ばした。
放っておけなくなってしまい、アドゥムブラリ避けのオブジェを解除、屋敷へ引き入れてしまう。
自分にも誰かに愛を与えられることが救いとなり、抱きしめたその時、PC1に母親らしい愛、同時に恋にも似た感情を抱いている。
◎ローズ(&マリー)
「ローズ」と名付けられた女性。
「マリー」と名付けられた幻影。
学生の時分、幼い妹を事故で失い、母親も後追い自殺をしたことが原因でずっと精神衰弱状態だった。
入院する精神病院でアノマリオール博物館の見学イベントが開催された際、白い絵画を通してクチナシに目をつけられる。
妹の幻影から手を離すことを極端に恐れており、その意思が伝染して屋敷内ではマリーがローズの手を離したがらないように見えるだろう。
現実に絶望しており、基本的に思い出すことを拒む。
好物は母の作ったシチュー。だった。
◎黒のメイド、執事
アドゥムブラリに捧げられた死体を魔術によって動かしている。
催眠でかわいらしい姿に見せているが、ゾンビのようなものだ。
シナリオ内では明かされないが、精神科医と助手(クチナシ)の幼かったころの姿に似ている。
■ :イベントの区切り
○ :探索箇所
< >→ :技能ロール
★ :強制ダイスロール
描写 :催眠時の描写
描写 :通常の描写
[ / ]:探索箇所
【】 :SAN、絵の具増減
※ :KP向け補足説明
額縁。それは絵画や写真、賞状等を入れて飾るための枠。
それは窓や出入り口の周囲につける化粧木。
それは劇場の舞台に使われる上下左右の区切り。プロセニアム・アーチ。
(from Wikipedia)
君は「肖像画」である。
何よりも美しく、
何よりも健全で、
何よりも価値があり、
何よりも愛されるべき美術品だ。
「愛される君へ」
CoCWebアンソロジー企画
「ムーサ異装展覧界」(むーさいそうてんらんかい)参加作品
「Utopiumに死す」
■導入:
PC2:あなたは扉のこちら側で生まれた
(以下PC2)
誰かがあなたを抱きしめていた。
母のように力強い腕が、あなたを抱きしめ、「大丈夫」と告げていた。
「大丈夫、大丈夫」
「きっと、あなたはわたしが…」
温かな日差しが光を落とし、あなたはゆるりとまぶたをもたげました。
くあ、とあくびがもれてしまいます。不思議な夢を見たせいでしょうか。肖像画として夢を見るだなんて、久しくなかったことです。
それを見て、お茶の準備をしていた黒の執事が腰を折るのでした。
黒の執事「おはようございます」
(※PC2が、どのような朝の挨拶がしたいかによって変えること。彼はおはようのキスが頬に欲しいならそうするし、何も声をかけられたくないのであればそのままモーニングティーを淹れる仕事を続行する)
彼は朝の挨拶を済ませると、サイドボードへいつものティーカップを置きます。
湯気がくゆり、やさしい香りが起き抜けのあなたをふうわりと包み込むことでしょう。
そしていつものように、本日のお茶や本日のモーニングの説明をしてくれました。
黒の執事「本日は快晴。中庭にて日光浴がおすすめです。せっかくですので、モーニングは中庭にご用意いたしました」
彼は表情を崩さず、淡々と告げます。
「お手を」とあなたに手のひらを差し出すことでしょう。
(RPなど)
外へ出ると、それはそれは気持ちの良い朝でした。ガゼボの隣には花畑が広がり、真上には、大きく張り出た桜の枝が差し掛かっています。みずみずしい香りを胸いっぱいに吸い込んで、あなたは朝食をとることができます。
自由な食事をしてもらうと素敵!
▼描写例
・フレンチトースト
昨晩から卵液につけこんだフレンチトーストは、外はカリカリとしていて、中はとろとろ舌の上へ濃厚に広がります。ラベンダーを付け置いていたメープルシロップは甘く、噛むたびにいい香りが鼻腔を通り抜けました。
・サラダ
採れたて野菜をふんだんに盛りつけたサラダはとても色鮮やか。シャキシャキと小気味良い音があなたの朝をフレッシュに仕立ててくれるでしょう。
・ハーブティー
さわやかなハーブティーが、フレンチトーストで甘くとろけた口に清涼な風をもたらします。
食事はいつも黒の執事が作ってくれます。彼は、あなたの傍に立って、ソワソワと今朝の仕事の出来を伺っているようでした。
褒められると、
「……恐縮です」と言葉少なに目礼をしましたが、長い付き合いのあなたには、彼が少し照れているのが手に取るように分かるでしょう。
(RPなど)
執事は横に立って静かに頷いたり、相槌を打ったりとあなたの話に耳を傾けておりました。
黒の執事「ネモ様よりお言付けを承っております」
黒の執事「「今日は体調がすぐれないから、部屋でゆっくりとしている」とのことです」
この屋敷で一番の友には今日は会えないようです。
彼女は、館長に認められて、近くこの館を後にし、扉の先へ行く予定がありました。
もしかすると、多少ナーバスになっているのやもしれません。
しばらくすると、あなたはふうわりとあくびをこぼしてしまいます。ぽかぽかした陽気があなたをまどろみの淵からゆっくりと手招きするのです。
ざわざわ。木陰の擦れる音を聞いていれば、あなたはすっかりと午睡に落ちてしまったのでした。
そんなあなたを見ると、黒の執事はやさしく微笑んで「おやすみなさい」を言いました。
暖かい陽気とはいえ、このままでは風邪をひいてしまうかもしれません。黒の執事は、さっそく柔らかな羊の毛のケープを取りに、あなたの部屋へと戻ってゆきました。
まどろむあなたを、太陽と花々のまなざしがじっと見守っています。
PC1:君は扉の向こうからやって来た
(以下PC1)
そうして君は、扉の前に立ったのだ。
だからこそ、君は扉に手をかけた。
誰かが君の手を安心させるように握る。
そして、
バタン、と背後から扉の閉まる音が響き、君はハッとします。
あたりを見渡せば瀟洒なエントランス。家具や壁はつやめく木で組み上げられ、磨き上げられた床にうつりこんでいます。光を取り込む窓たちは幾何学模様の掘り込まれたすりガラス。天井からは、大きくて繊細なシャンデリアがつるされていました。
今日から、ここが君の住むお屋敷です。
君は肖像画。立派な美術品として博物館に飾られるべく、このお屋敷で過ごすためにやってきたのです。
意気込み新たに、辺りを隈なく見ていた時でした。
「こんにちは!」
と、元気な明るい声がかけられます。
そこに立っていたのは、黒い服に身を包んだ少女でした。
にこにこと微笑んで、鈴が転げるような元気な声をあなたに向けて。
黒のメイド「はじめまして、(PC1)様!」
黒のメイド「私が本日より(PC1)様のお世話をさせていただきます。黒のメイドと申します。よろしくお願いいたします!」
◎メイドから伝える情報
※後に回しても構わない
・屋敷には10の客室があり、今は1,3,5,10が使われているということ
※1 クチナシ、3 ローズとマリー、5 ネモ、10 PC2
・PC1の部屋は9番だがまだ準備が整っていない。準備が整い次第案内するということ
※通常、来る前に部屋は準備されている筈だ。PC2やNPCには違和感がある。
・お屋敷のうち、別館は立ち入り禁止であること
しばらく会話をした後、黒のメイドはハッとしたように手を打って「まずはお屋敷のご案内からですね!」
とあなたを先導し、奥へと駆けてゆきました。
★離れるタイミングで、<アイディア>→
ふと、どこかからじっとりとした、強い視線を感じた。
『しかし見渡しても誰もおらず、意識してしまえばその視線は口に入れたわたあめのようにほどけて消えてしまいます。』
(※ アドゥムブラリ、白い絵画を見る人、そしてゲームプレイヤーやゲームマスターの視線)
先に行ったメイドが明るくあなたを呼びます。その声に、飛んでいた意識も引き戻され
あなたは多少背後が気になりつつもついてゆくこととなるのでした。
「この先は別館です。館長室や使用人室がありますが、先ほど言ったように立ち入り禁止ですからお気をつけください!」
「こちらは図書室! 多くの書籍がございます。素晴らしい絵画になるため、知識は必要なものですから、ぜひ色々とご覧くださいね!」
「こちらが食堂ですね。食事は体調第一にメニューが組まれておりますから、できる限り3食きちんと食べましょう! 奥の扉はキッチンに通じております。お料理は執事が担当いたしますからね!」
「ここが〜」
くるくると彼女は目まぐるしく歩き回り、屋敷の内部を案内してくれます。張り切っているのかその歩みはぱたぱたと忙しなく、どっと疲れが襲ってきてしまいました。
あなたは少しばかりの休憩を所望しようとメイドを振り返ります。
が……そこには誰もおりません。
きっとあの調子で、あなたがついてきていないことにも気づかず、案内を続けて行ってしまったのでしょう。
取り残されたあなたは途方に暮れつつも、とりあえず彼女を探すしかないのでした。
歩いても歩いても長い廊下。見知らぬ屋敷特有のものか、あなたには全てがよそよそしく感じられます。
ひどく心細い中、ふと、奥の付き辺りに大きな扉を見つけます。
あなたは惹かれるように、そのノブに手をかけました。
その先にあったのは……
まぶしいまでの光に満ちた、すてきな中庭でした。
花の香りとうすももの花びらを乗せた風が吹きます。
君はそれらに誘われ、奥へ奥へと歩きました。
やがて見えたのは美しい桜の木。
その下には、花々咲きみだれる中ぽとんと白いガゼボが立っていました。
ガゼボにいたのは、一人の○○(男性、女性などPC2に合わせて表現を変える)。
桜の花弁がふりそそぎ、まるでうすもものシーツをかぶっているかのよう。
彼(彼女)の寝息、君の息遣い
それ以外は遠く切り離されて、まるで世界にたった二人だけのようだったのです。
それは、不思議な不思議な出会いのお話。
■本編
■イベント:合流
中庭のガゼボで眠っていたPC2を迷い込んだPC1が見つけました。
そうしてこの物語ははじまります。
【絵の具+1d10】
(合流。RPなど)
しばらくお話をしているとぱたぱたと足音が近づいて参りました。
そして草の影から現れたのは、黒い服に身を包んだ執事の姿でありました。
黒の執事は少し驚いたように目を見開きます。
黒の執事「お帰りなさいませ」
「黒のメイドがそちらに向かったはずですが……お一人でらっしゃいますか?」
事情を話すと、「そうでしたか」と黒の執事はため息をつきます。少しだけ呆れたような、けれど優しいため息でした。
黒の執事「それでは私が代わりに案内の続きをいたします。」
「もしよろしければ、(PC2)様もご一緒に。先輩肖像画としてひとつご助言などいただければと」
そう言って黒の執事は再度腰おります。
『そしてあなた達は2人一緒にこの屋敷を駆け巡り、愉快で不思議なこの館の住人たちに出会います。』
※もしも先にRPでPC2が案内をするのであれば、執事は後ほどメイドと登場させても◎
■イベント:あいさつ
[図書室/礼拝堂]
○図書室:「ローズとマリー」
まずは、いつでも手をつないでいる仲良し姉妹。
姉はローズ、妹はマリー。
彼女達は今日は図書室におりました。どうやら姉のローズが、妹のマリーに絵本の読み聞かせをしていた模様です。
2人は君とあなたに気がつくと、マリーの方が本を投げ出し、ローズを連れてぱたぱたと駆け寄ってきます。
マリー「わあ!こんにちは、(PC2)!
それに……もしかして、新入りさん!?初めまして!わたしね、わたしね、マリーよ! ねえねえ、お名前を教えて! 絵本はどんなものが好き? お絵描きはできる? 好きなお花は、食べ物はなにかしら? それと、それとっ!」
マリーと手を繋いだローズは引かれるように共にやってきて、
ローズ「こらマリー。あまりはしたない真似をするんじゃない。ふたりともびっくりするだろう」
と軽く叱ります。
マリー「うぅ、ごめんなさい……」
ローズ「聞きたいことや伝えたいことは、ちゃんと一つずつ。わかったな?」
マリー「はぁい!」
そう言って、マリーは再度あなたと君に向き直るのでした。
マリー「あたらめまして、わたしマリーよ! こちらはね、おねえちゃんのローズ! よろしくね」
RPを自由にしたところで、執事が次を促す。
あるいはローズが「マリーに絵本の読み聞かせの途中だから」と伝えて別れる。
○礼拝堂:「クチナシ」
次に出会ったのは、なまぐさ神父のクチナシです。
彼は礼拝堂におりました。礼拝堂と言っても、中庭の奥に佇む小さな温室です。
壁はガラス張りで、ところどころが美しいステンドグラスに変えられており、床へうつる太陽光の色は万華鏡。光の入り方でくるくると変わっては、君とあなたの目を楽しませます。
暖かいところを好む植物に加え、祭壇といくつかのベンチがあり、彼は入り口のところに佇んで、神様の像を見つめておりました。
……タバコ片手に。
クチナシ「今日は礼拝の日じゃねえぜ。」
振り返ることもなく、なまぐさ神父は一言そう言いました。さらに声を掛ければ、彼は眉を上げて振り返り、
クチナシ「……あ? なんだ、しらねぇ顔がいんな。新入りかなんかか?」
と、隣の木にもたれかかりました。
彼はあなたと君の話を、あまり興味なさそうに聞きます。名前を聞いてみれば、
「クチナシ」
と短く告げて再度タバコを一服。静謐な空間にもくもく煙が散らばります。そのまま君とあなたに背を向けると、ひらりと手を一度振ります。
そうしてそのままどこかへと行ってしまうのでした。
残されたのは2人だけ。なんとも修道服の似合わない男でありました。
◎案内後_屋敷の中
案内が終わったあたりでメイドがかけてくる。
執事が一緒でなければここで彼も合流、PC1との顔合わせを行う。
黒のメイド「申し訳ございません! 私ったら、メイド失格です……」
「以後このようなことが無い様に、胸に刻みます…!」
「最後のご案内だけは、私にもお手伝いさせてくださいませ! ふふ、(PC1)様のお部屋、ご準備が整ったのでございます!」
嬉しげな黒のメイドは、お掃除頑張りました!と万歳でちからいっぱい伝えてくれます。
そうして、就寝に向けて食事をとり、入浴を済ませたのちに、君とあなたは自室へと向かうことになるのでした。
■イベント:月夜のネモ
挨拶が終われば食事や身支度を整え、PC達は自室で就寝となる。
やがて夜の足音がひたひたとやってきて、君とあなたはベッドへ潜り込みます。
けれどふかふかの毛布を頭までかぶっても、瞼の裏に見たい夢を描いても、どうしても眠気は訪れてくれません。
仕方なく君とあなたは起き上がったのです。
扉を開けて廊下を歩いて、しばらくするとふたりはばったり出会いました。
(RPなど)
おしゃべりをしているそんな折でした。すき間風より小さな歌声が聞こえてきたのは。
耳をすませてみればどうやら中庭の方からです。
ゆっくりと開けたとて、ぎい、と軋む扉に、おっかなびっくり開けてみれば、まん丸くて大きなレモン色の月の下、一輪の花が…
いいえ、凛と咲く花のように美しい女性が歌っていたのです。
ふたりに気がついたのか、彼女はひたりと歌うのをやめ、振り返りました。
ネモ「こんばんは、素敵な夜ね」
「わたしはネモ」
「あなたが新入りさんね。ふふ、噂になっているわよ」
PC1秘匿:彼女と以前どこかであったことがあるような気がする。
・前にあったことがあるか?
「あら……どうかしら。わたし、ずうっとこのお屋敷にいるのだもの」
・眠れないの?
「少しね。もしかしてあなたたちもかしら?」
・体調大丈夫?
「体調は、寝ていたら少し良くなったの。夜風に当たりたくなって歌っていたのだけれど……ごめんなさい、起こしてしまった?」
・RP後
ネモ「これをあげる」
そういって渡してくれたのは、銀のパレットナイフです。磨かれたそれは、月の光でぴかぴかと、いっそうきれいに輝いていました。
「きっと、あなたたちに必要となるものだから」
「これは、積み重なった絵の具を削り落とすもの」
「使い方は、その時になればわかるわ」
しばらく月夜のお話し会をしていると、ふうわりとあくびがもれてしまいました。
そんなふたりを見て、ネモはくすくす微笑みます。
「おやすみの魔法をかけてあげる」
そう言って、ネモはふたりの額にキスを落としました。
あんなに張り詰めていたきもちはいつのまにか落ち着き、あなたたちは、ようやくゆっくり眠ることができたのです。
こうして(PC1)は、この屋敷の住人すべてとご挨拶ができました。
きっと明日からは楽しくて素晴らしい毎日が待っている、そんな予感に胸をトクトクとはずませて。
さあ、今日はゆっくりおやすみなさい。
【絵の具+1d10】
■イベント:夢①
PC1秘匿:夢①
そこは昼下がりの午後だった。
お屋敷の庭に集まるのはマリーとローズ、それに見守るように木陰に座るネモ、隣に立つクチナシ。
そして、青空の下で彼らと笑う(PC2)。
皆はひどく楽しそうで、その時間はとても穏やかに過ぎていた。
そして、そんな彼らの夢を見るあなたも、いつしかあたたかい心地に包まれていたのだ。
PC2秘匿:夢①
そこは昼下がりの午後だった。
お屋敷の庭に集まるのはマリーとローズ、それに見守るように木陰に座るネモ、隣に立つクチナシ。
そして、あなた。
皆はひどく楽しそうで、その時間はとても穏やかに過ぎていた。
これはかつての記憶だ。このお屋敷で過ごした何気ない日々のひとかけら。
昔の夢を見たあなたは、あたたかい気持ちで目覚めるだろう。
■二日目:屋敷の生活
さて、お空の高いところで太陽がにっこりわらって、待ちに待った朝がやってまいりました。
(PC1)にとっては、今日からがお屋敷生活の本番です。
(PC1)のもとにやってきたメイドは、生活について軽く説明を始めます。
ひとつ、夜更かしはしないこと
ひとつ、みんな仲良くすること
ひとつ、館長にお認めを受けるまで絶対にお屋敷の外に出ないこと
以上を守って生活をするのが、肖像画として立派になるためのきまりごとでした。
また、奥にある別館は立ち入り禁止というルールもあるようです。
■探索パート
1日に2か所の探索が可能。
[ネモの部屋/中庭/礼拝堂/図書室/エントランス/別館入り口]
なお、それぞれ夜には個別の夢イベントが挟まる。
※技能失敗処理について:
SAN(絵の具)Cイベントが個別に挟まる。
▼以下描写例
「ふと、あなたはどこからか視線を感じた。見回しても誰もいない。いったい何者があなたを鑑賞しているのか、ふと不気味に思うかもしれない。
【絵の具C 0/-1d2】
そんなことに気を取られていたからか、あなたは目の前のことに集中できず、技能に失敗してしまうことだろう。」
■イベント:毎夜の夢
PC1秘匿:夢②
夢の中で、君は絵を鑑賞していた。
肖像画が鑑賞だなんて、おかしな話だ。
だが、君はその絵からなぜだか目が離せなかった。
どんな絵か、それはよく見えない。だがそれは、あまりにも素敵に見えたのだ。
周りの誰もが嘲り笑うその絵に、君はあこがれた。
だからその絵に手を伸ばしたのだ。
PC2秘匿:夢②
夢の中で、あなたは絵を描いていた。
肖像画が絵を描くだなんて、おかしな話だ。
だが、あなたはどうしてか描かざるを得なかった。
一体何を描いているのか、よく見えない。
見たものを留めたいのか、忘れるために自身の外に放出したいのか。
一種の強迫観念のように、あなたは描き続けていた。
■イベント:夢 三日目
PC1秘匿:夢③
目を開ける。眼球が景色を切り取り、写し、観る。
そこには、白い、彫り込みのされた円柱が、高く天井まで伸びていた。
あなたは、どこかの建物を窓らしき四角から覗き込んでいる。ふわふわとした感覚が、それは夢であることを告げていた。
窓の向こう、緻密な並びの柱たちが、大理石の床にミルク色の影を落としている。
それは、ドリス式と呼ばれるギリシア建築における柱と梁の意匠。パルテノン神殿にも使われた、最もシンプルかつ合理的な建築だ。
等間隔に並べられた単円柱はローマ以降の建築のような華美さが無く、古典的建築法をふんだんに取り入れた内装だった。
広々とした空間を区切る白壁の、シルクのような滑らかさ。
そこには、さまざまな展示品が飾られていた。
ふしぎな色遣いの絵画群、何をかたどったかもわからぬ石膏像、『心臓』部位のない女性体のオートマタ、手のひらに収まる程度の青く輝くガラス玉。
美しく、どこか怪しいそれらに、しかし窓の先にいる君は、近づいて見ることが叶わない。
ふと、君に影が落ちる。誰かが近づいてきたのだ。
あなたの窓を見つめるその人
と、目が、あった。
それは、
その人物は、
(PC1)、あなたと同じ姿をしていた。
【絵の具C -1/-1d3】
PC2秘匿:夢③
視線を感じ、あなたは目を開けた。
緻密な並びの柱たちが、大理石の床にミルク色の影を落としている。
それは、ドリス式と呼ばれるギリシア建築における柱と梁の意匠。パルテノン神殿にも使われた、最もシンプルかつ合理的な建築だ。
等間隔に並べられた単円柱はローマ以降の建築のような華美さが無く、古典的建築法をふんだんに取り入れた内装だった。
ふと、あなたはかつてここに来たことがあると思い出す。
「アノマリオール博物館」
いわくつきの美術品が数多く収められ、コレクターやマニアの間でよく取り沙汰されると聞いたことがある。
白壁には、さまざまな展示品が飾られていた。
ふしぎな色遣いの絵画群、何をかたどったかもわからぬ石膏像、『心臓』部位のない女性体のオートマタ、手のひらに収まる程度の青く輝くガラス玉。
そのなかであなたの目を引いたのは、「白い絵画」であった。
美しく繊細な意匠の額縁に、まっさらな絵画が入れられている。 ただ白いだけでどうやら何も描かれていないようだが、これで完成品らしい。学芸員がそう説明をする。
その絵を目にしたとたん、誰かに呼ばれたような感覚がしたのだ。
誘われるように目の前までやってきたあなたは、ふとめまいを起こし……
そして、そして。
その後どうしたのだったかよく思い出せない。
ただ、誰かの目が、あなたを見ていた。
【絵の具C 0/1】
■イベント:夢 四日目
PC1秘匿:夢④
夢の中で、君は絵を鑑賞していた。
肖像画が鑑賞だなんて、おかしな話だ。
だが、君はその絵からなぜだか目が離せなかった。
どんな絵か、それはよく見えない。だがそれは、あまりにも素敵に見えたのだ。
周りの誰もが嘲り笑うその絵に、君はあこがれた。
けれど、その絵を見る君はひとりぼっちだった。
絵の中とは打って変わって水を打ったようで、冷たくて、暗くて……
周りに渦巻くのは黒々とした悪意の影ばかりだったのだ。
そんな君の手を、つかむものがいた。目の前の絵画から伸ばされた白い手は、あなたの冷たい体を抱きしめ、そして語り掛ける。
「あなたは、ひとりなのね」
「大丈夫、おいで。ここはやさしいところだから」
初めて感じたその体温は、じんわりとあたたかく、なぜだか泣きそうな心地になったのだ。
あの日、君の手を取って抱きしめてくれたあの人は、いったい誰だっただろうか。
【絵の具 +1d5】
PC2秘匿:夢④
夢の中で、あなたは何か、絵を描いていた。
肖像画が絵を描くだなんて、おかしな話だ。
だが、あなたはどうしてか描かざるを得なかったのだ。
見たものを留めたかったのか、忘れるために描きたかったのか。
一種の強迫観念のように、あなたは描き続けていた。
キャンパスにのせられる絵具は赤であり、青であり、黄色であり、緑であり、極彩色であった。だが、なによりもひたすらの「黒」であった。
その黒色は、嘲笑うように言った。
「深淵を、のぞいてしまったね」
【絵の具C -1d3/-1d8】
「黒」は、いつしか空間全体を覆ってあなたの周りを抱きかかえ覆いつくした。どうすることもできず、「黒」の中に沈んでいく。
そこは、冷たくて、苦しくて、痛くて、何より底なしに暗い。
「大丈夫」
その時、暖かな光がふりそそいだ。
何者かにに抱きしめられ、あなたの身体はほのかに楽になる。ゆっくりと目を開けても、逆光でよく見えない。
けれど、誰かがやさしくあなたに笑いかけていたのだ。
「大丈夫、大丈夫よ」
「きっと、あなたはわたしが…」
「わたしが守るわ。(PC2)」
「あなたがあの時、暗く沈んでいたわたしを助けてくれたように。今度はわたしが。」
目が覚める。
ひよりひより鳥の声がした。ふと目元に触れれば、あなたはいつの間にか涙を流していたらしい。
それほど恐ろしい夢だった。
けれど、安心する夢だった。
■探索箇所
○個室
番号の振られたプレートがかけられている。
1〜10となっており、1番にクチナシ、3番にローズとマリー、5番にネモ、9番にPC1、10番がPC2。
ネモは基本部屋にいる。
○ネモの部屋
【絵の具 +1d3】
体調が優れないという理由で扉越しの会話となるが、希望すればRPを行うことができる。
〇別館入り口
【絵の具 +1d3】
大仰な、けれどシックにまとまった美しい意匠の木製の扉です。過ごしてきた何月によるものか、ドアノブに施された金細工は鈍い輝きとなっておりました。しかし埃の一つもなく、十全に手入れされているのでしょう。
<目星>もしくは<アイディア>
→扉は貝のように口をつぐんだまま、開くことはありません。
よくよくと見てみれば、どうやら鍵穴などもないようで、いったい館長だとかメイドや執事だとかは、どうやって中に入っているものでしょう?
不思議に思うことでしょう。
※メイドたちに聞くと、入ろうとしたのですね!ぷんぷん!みたいな感じで怒られてはぐらかされる。
○中庭
【絵の具+1d3】
ローズと手を繋いだままマリーがやってきて、
マリー「いっしょにあそびましょう!」
とひまわりの柄のボールを差し出してきました。
ひまわり柄に負けないほど、彼女の笑顔は輝いていました。
手を引かれてきたローズは苦笑して、「遊んでやってくれるか」と頼み込んでくることでしょう。
※本当に離したくないのはローズの方である。そのため、ローズの幻影であるマリーはずっと手を繋いだまま存在する
ボール遊びできる!!
▼ボール遊びルール
縄を丸くしたゴールがいくつかできている。ゴールに向かって投げ、見事輪っかの中に落ちたら加点。
3回勝負!
<投擲>と<DEX*5>の組み合わせロール
両方成功した人は1d10、ひとつ失敗した人は1d6、両方失敗した人は1d3点
○礼拝堂
【絵の具+1d3】
クチナシがいる。
クチナシはベンチでタバコ吸い吸い、ぼんやりとうららかな陽気に身を任せておりました。
やってきた君とあなたの姿を目にとめると、クチナシはめんどうそうな表情を隠しもせず、しっしっと手を振ります。
彼はうるさいのと面倒なのが大の嫌いなのです。
RPとか出来る。
クチナシはなんだかんだと面倒見が良いように、PCたちの話に付き合ってあげましょう。
話しかけてこなければひとりでぼんやりし続けます。
<目星><アイディア>
中をぐるりと見渡すと、奥に青い一角があるのが見えました。それは、花壇いっぱいに青い花が植えられた場所です。
5つの花弁を持つその花は、風に揺れてゆらゆらと踊っていました。
クチナシに聞いてみますと、たった一言
「ネモがやった」
と返します。きっと彼女が植えたのでしょう。
<博物学><知識/2>
ネモフィラの花。
図書館の本で調べると花言葉がわかる。クチナシに聞いても分かる。
・ネモフィラの花言葉
「どこでも成功」「可憐」
「あなたを許す」
※最後の「許す」はクチナシへのメッセージ
○エントランス
【絵の具 +1d3】
黒のメイドがエントランスのお掃除をしていました。
サッサッという軽快な音がします。壁に飾られた大きな額縁をはたきでふわふわ叩いて、埃を落としているのでしょう。
ご機嫌な黒のメイドは鼻歌まで歌っているようです。
[オブジェ/絵画/扉]
・オブジェ
中央に腰くらいの高さの円柱があり、そこに多面体のオブジェが飾られています。
美しい多面体。どこか不思議な感じがするでしょう。ガラスのようなものでできており、内側から薄らと発光しており、どうやら照明器具のようでした。
※アドゥムブラリの対抗策。これが結界の役割を果たしている
PC1秘匿:ひどく嫌な感じを覚える。あまり近寄りたくないと感じるだろう。
PC2秘匿:いつもより光が弱い気がする。また、少し向きもいつもと違う。最近移動されたのだろうかと感じるだろう。
・絵画
美しい額縁に不釣り合いな、何も描かれていない真っ白の紙が飾られておりました。
よくよく見てもまっさらで、何も描かれてはいないようです。
PC2秘匿:<アイディア>→
どこかここではない別の場所でこの絵に似たものを見たことがあるような気がする。
(スペシャル以上、もしくは絵画系技能で、似てはいるが全く同じものではなかった気がするとわかる)
※実際は、博物館と繋がっている。助手はここから生贄を拉致している。
なお、現在はただの真っ白なキャンバスだが、催眠が完全に解けた状態で見るとその白が博物館の壁であるとわかる。
・扉
大きな大きな、両開きになった木製の扉です。
この先は外につながっておりますが、まだ肖像画として十全でないあなたがたが出ることは許されてはおりませんでした。
PC1はこの向こうからやってきたのです。
PC1秘匿:<絵の具>→
はた、とあなたはこの扉をくぐった時のことを思い出す。
この扉の前に立って、ノブに手をかけて、中に入って……
では、その前は?
あなたがいたはずの「扉の先」とは、いったいどのようなところに繋がっていたのだっただろうか。博物館か、美しい庭園か、はたまたうらぶれた路地裏か。
あなたにはどうしても思い出せない。
PC2秘匿:<絵の具>→
はた、とあなたはこの扉を、こちら側から見た記憶しかないと思い出す。
そうだ、あなたは扉のこちら側で生まれた。だから外の記憶など無いのが当然だ。
だが、PC1は?
彼(彼女)はこの先から来た。あなたと彼(彼女)の間に横たわる違いとはいったいなんなのだろう。
扉を開こうと近づけば、メイドが慌てたようにパタパタとかけよってきました。
「いけません! 外へゆくのは、館長から禁止されておりますからね。」
どうやらあなたたちがこの扉を開けることは、館長でないと許可できないようでした。メイドが唇を尖らせて、じいっと目を光らせて見ておりますから、これ以上開けようと試みるのは難しいでしょう。
※この先はアドゥムブラリの次元であり、PC1がやってきた"外"である。
別館で見つかる多面体を持たずに外に出るとアドゥムブラリの餌食となるので、無理に出ようとする場合はさりげなく止めましょう。
★他への移動
エントランスから移動するとき
<アイディア>→
どこからか、視線を強く感じる。それは君たちをじいっと鑑賞する視線だ。
愛も、悪意も、さまざまな感情の混ざったようである目に、あなたたちは晒されている。
【絵の具C 0/-1】
○図書室
【絵の具 +1d3】
<目星><図書館>→
・鉱物図鑑
銀についてのページに目が行く。
「銀は、美しい白い光沢を放つことから、占星術や錬金術などの神秘主義哲学では月と関連づけられ、銀は男性を、金は女性を意味していた。
ある時を境に位置が逆転し、銀は月や女性原理などを象徴する物となり、一方、金は太陽や男性原理などを象徴する物となった。
また銀の聖性をもとに、西洋の物語においては邪悪なものを撃退するガジェットとして銀の弾丸がよく登場する。」
・「アノマリオール博物館」のパンフレット
とても綺麗な装丁の冊子です。展示作品の解説はなく、写真だけが整然と並べられたもののようでした。
その中に、真っ白い大きな絵画を見つけられるでしょう。
エントランス探索後、あるいは<アイディア>成功でエントランスにあるものとよく似ているとわかります。
<絵画系の技能>もしくは<目星>→
似ているが似ているだけで別、いわゆる贋作では無いかとわかる。
<アイディア>→
これらにどこか見覚えがある。いつかこれらの展示物を見たことがあるような、そんな既視感に襲われるだろう。
※この屋敷にあるものはアノマリオール博物館で見たものを模倣した作品。アノマリオール博物館に所蔵された真作と繋がっている。
※PC2は訪れたときの記憶がある。しかし、PC1の既視感は白い絵画を通してみたものに対して発生するため、白い絵画は見たことがないと感じる。
・総合的な医学書
他の本に隠れて見つかる。
まるで、もともとは何冊か所蔵されていた中で、一冊だけ置き忘れて回収し損ねたかのような配置だと感じる。
どんなに探しても、医学書はこれしかない。
★医学書を見たタイミングで
<絵の具><聞き耳><アイディア>など→
ぱり、となにかの音が耳を擦れた。
それは、あなたが動いた時、何かに触れた時、この空間全体から、家なりのように聞こえてくる。
ぱりり、ぱり、ぱり。
思わずあなたたちは目を瞑る。
やがて、すっかりと音の洪水はおさまって、あたりには鳥の鳴き声だとか、どこかで笑うマリーの声だとかが遠く聞こえておりました。
いったいなんだったのでしょうか。
ふと手元を確認しても、先ほど見つけた本は影も形もありませんでした。白昼夢を見ていた……?
【絵の具C 0/-1】
→探索終了後下記へ。
■イベント:お花畑の歓迎会
穏やかな日々は、演劇の幕間のように早々と過ぎてゆきました。
そうして、七日ほどが経った晴れの日のことです。
その日はなんだか、朝からわくわくとした心地で心臓の鼓動もわき立っておりました。
というのも、今日は一日かけてPC1の歓迎会が行われる日なのです!
食堂でご飯を作って、中庭を飾り立てて、踊ったり歌ったり。
きっとそんな楽しい日になることでしょう。あなたたちは誰に起こされずとも、やわらかな布団を跳ね除けて、おはようをしに起き上がりました。
部屋を出ると、どんっと衝撃がお腹に走ります。思わずよろけると、腰にさっと手が添えられて、転ばないよう支えられるのです。
ローズ「大丈夫か? いつもマリーがすまないな」
マリー「おはよう! PC1、PC2!」
そこには満面の笑みを浮かべるマリーと、申し訳なさそうに眉を下げるローズがおりました。
2人は今日を手を繋いで、仲睦まじげにしております。
マリー「私たちは、お庭をきれいきれいにするからね! あのね、きっとすっごく可愛くして、PC1をびっくりさせちゃうんだから!」
ローズ「どうしてもって聞かなくてな。というわけで、中庭の準備は私たちとメイドに任せてくれ」
「代わりに、食堂の方を見てきてやってくれないか? 2人だけでは酷だろうと思うからな」
「執事とクチナシのことだよ。といってもクチナシが手伝うと言っていたわけでは無いが……あいつのことだから、興味ないフリをして気遣っているだろう」
あなたたちは、姉妹に見送られ、ローズの依頼通りに食堂へと向かうのでした。
■イベント:歓迎会準備
[食堂]
○食堂
向かってゆくと、キッチンから良い香りと、カチャカチャと食器の擦れる音がしてきます。
どうやら既に準備は始まっているようでした。
執事「おはようございます」
クチナシ「げ」
それぞれの反応であなたたちは迎え入れられました。
大理石のテーブルにずらりと並べられていたのは、銀のボウルにゴムベラ、大小の泡立て器、さらにさらに、まっさらなお砂糖にとろりととろけるチョコラータ、紙袋はちきれんばかりの小麦粉、こっくり室温で柔らかくなったバター、ころころ可愛らしい卵たち!
★<アイディア>→
クッキー作るんじゃない!?と分かる!
▼おやつ作成イベント!
ダイスロール説明
生地作り、アレンジ、焼き上げという三つの過程がある。
それぞれ、
<DEX*5>や<製作:お菓子><製作:料理>
など、関係ある技能を振りうまく行ったかを決めよう。
成功するほど美味しいクッキーが作れてハッピー!
なお、PCごとに1回ずつだけ執事かクチナシの手伝いを受け、振り直しをすることができる。
もしもそれ以外のものが作りたいならいい感じにダイスを決めていい感じに作ろう!
①生地作り
お砂糖とバターを練って、卵をとろーり数回に分けてくわえたあとは、ふんわりするまで泡立て器でかきまぜます。
しっかり量を測った小麦粉をふるって、さっくりとヘラで混ぜて、粉っぽさがなくなれば生地が完成!
②アレンジ
ここはアドリブで好きにしてもらおう!抹茶味紅茶味やチョコ風味にしてもいいし、ナッツを入れても美味しいし、食べたいものを作るのが吉!
チョコを入れたり、オートミールでさくさくさせてみたり、なんだって自由に作ることができます。机の上のドライフラワーやホシブドウ、はちみつたちは、入れてもらうのを今か今かと期待の眼差しで待っていることでしょう!
③焼き上げ
日差しや暖炉のパチパチいうあたたかな音に負けないで!
うたたねの欲をふりはらって、おしゃべりをしながら待っていれば、いつしかキッチンはあまくて香ばしい香りに満ち満ちてきます。
やがて、胸の高鳴る数十分が過ぎ、オーブンはチンと可愛らしい音を奏でました。
君たちのクッキーが焼き上がったのです!
→焼き上がったのち、ネモの部屋に招待状持ってくよう、クチナシが依頼してくる。
▼探索箇所追加 [ネモの部屋]
〇ネモの部屋
扉をノックすれば、中からネモの「どうぞ」という声がかかる。
中はさほどあなたたちの部屋と変わらないようでした。けれど唯一、ここにもネモフィラの花が窓辺のプランターにて花弁を揺らしております。水をやっていたのか、真鍮のじょうろを窓辺においてネモは振り返りました。
「ようこそ、月の綺麗な夜以来ね」
「ここでの生活には慣れたかしら」
「ふふ、みんな良い子でしょう」
・招待状を渡す
「……ありがとう」
「そうね。体調が良かったら、ぜひ」
そういって微笑みました。
<心理学>→
来るつもりはなさそうだとわかる。
言及した場合、「……まだ、少し体調がすぐれないものだから」と告げる。
ある程度RPしたところで
ふと、楽しそうに談笑していたネモが黙っていることに気がつきました。
月光のように、穏やかな目であなたたちを見つめていたネモは、やがて口を開きます。
「わたしね、今日の夜、こっそり外へ行くわ」
「こっそり行く理由?……そうね、」
「わたし、最後まで美しく咲く花として記憶に残りたいのよ。
誰にせき立てられるでもなく、自分で選んで、自分の足で外に出たって、そう見せつけてやりたいの。ただそれだけ」
「本当は、出てゆくまで誰にも会わないつもりだったの。だから、あの夜はちょっとだけ誤算」
そう言って少し笑います。困ったように眉を寄せ、それでもどこか嬉しそうなのでした。
「ねえ、人間は、いったい何のために生きているのだと思う?」
「なんてね。ふふ、ただ謎めいたことが言ってみたかったのよ。先輩っぽいでしょう」
「でも、わたしたちはこうして人間みたいな生活をしているでしょう。だから、こういうことを考えて見てもいいかもしれないわ」
「わたしはたった一つ、答えをもっているの。今度、もしもまた会えたら、その時に教えてあげるわね」
■イベント:歓迎会
やがてすっかりと準備も終わり、待ちに待った歓迎会が開かれます!
お花やリボンでぜいたくにかざられた中庭は、いつもとはまた違った華やかさをまとってあなたたちを迎えました。
どこからかシチューのいい匂いも漂ってきて、シチューが大好きなマリーも大喜びをしています。
もう少しもすれば、きっとあなたたちの焼いたクッキーたちも遊びに来るのでしょう。
簡単なレクリエーションも用意され、盛大に祝われながら、それはそれは楽しい時間を過ごすことができるでしょう。
ローズ「実はな、歓迎会はクチナシが主導したんだ。あれでいて案外細かいやつだからな」
クチナシ「陰口は感心しないぜ」
ローズ「はは、褒めたのさ」
クチナシ「どうだかね。別に殊更褒めるべきことでもないだろ、ただ、昔新入りにゃ優しくしろって口を酸っぱくされたもんでね」
ローズ「ほほう、いったい誰に」
クチナシ「……あ? あー……忘れたよ」
<心理学>→
濁している。
※かつて、正気の頃の精神科医に言われた。
遊べる!
みんなでおしゃべりしたり、ご飯を食べたり。自由に描写を追加して遊ぼう!
歓迎会はつつがなくおこなわれる。
→満足したら下記へ
夕刻、空が茜色に染まる頃、
しばらくすると透明な歌声が聴こえてきました。ネモの声です。どうやら部屋から歌っているようでした。
不思議な響きはどこか愛に満ちているようで、木々のざわめきすらも、引き立てる楽器に変えてしまいます。
それまで騒いでいたマリーも、ぱたぱた駆け回っていたメイドも動きを止めて、みんな耳を傾けていました。
歌が終わる頃には傾いた日は完全に落ちており、まだ色の薄い月が空の高くからみんなを見下ろしています。
キャンドルの明かりを頼りに、みんな身を寄せ合っていましたが、ローズの音頭で歓迎会は解散となりました。
【絵の具+1d10】
■深夜イベント:「さよなら、ネモ」
どこからか歌が聞こえました。
愛しげな響きが夜の暗幕をやわらかくかきあげて、君とあなたは目覚めます。
二度三度瞬きをすれば眠気などどこかへ立ち去って。
それがネモの歌であることと、きっとこれから外へ向かうのだろうこととを直感することでしょう。
○エントランス
ひたひた屋敷の廊下を歩けば、エントランス、窓に向かって佇むネモを見つけることができました。
いつもと違う真っ黒い服を着ています。それはちょうど、黒のメイドにそっくりな仕立てのワンピースです。
頭には黒いレース仕立てのヴェールをひとすくい、月光の髪を隠してしまっておりました。
その姿はなにか物思いに耽ってあるようでも、何かを待っているようでもあります。
声をかけると「あら、」と驚いたように振り返り、「ふふ、こんばんは。いい夜ね」と微笑みます。
・誰かを待っていたのか
「ええ。……でも、やっぱり来てはくれなかったわ。分かってはいたけれど」
・誰?
「さあ、いったい誰なのかしら。わたしにもほんとうのところはよく分からないわ」
「しいて言えば……共犯者、かしら」
※クチナシが来てくれないかと淡い期待を抱いていたが、一方できっと来ないだろうことは理解していた。
彼の正体が「クチナシ」という患者でないことを知っているため、誰だか分からないと告げる
「でも、そんなことよりも、あなたたちが来てくれたことがとても嬉しい」
そういって彼女はあなたたちをぎゅっと抱きしめました。
その腕は暖かく、愛に満ちていたのです。
※RPを自由にできる。
思い出があるならそれを語ってもいいし、各々に対するネモからの愛を伝えてあげるといいだろう。
ネモが願っているのは、二人が幸せであること、PC1がひとりにならないことだけである。
「さよなら。……良い夢を」
彼女は一度振り返りました。銀の髪が散らばって、黒いスカートが夜闇に溶けて。
けれど、その瞬間に月は厚い雲に隠れてしまって、いったいネモが最後にどんな顔をしていたのか、今でもあなたたちにはわからないままなのです。
PC1秘匿:あなたは、ふと暗い中にたたずむ彼女を、そして先ほど抱きしめてくれた彼女の腕を、知っているような気がして胸が締め付けられた。
そうだ、それは確かに、夢の中であなたの手を取り抱きしめた誰かのものと同じだったのだ。
PC1:【絵の具+1d10】
PC2:【絵の具+1d5】
■イベント:過ぎ行く日々
それから、しばらくの時が経ちました。
めくるめく過ぎていく時間は、花を咲かせては散らし、君とあなたの毎日を飾り立てます。
おいしいごはんに舌鼓を打ち、いくらかの本を読み、皆との交流を深め、博物館を夢見ながら、生活はつつがなく営まれてゆきました。
【絵の具+1d20】
そうして、ぴかぴかの新入りだったPC1もこのお屋敷にすっかりと慣れた、そんな夜半のおはなしです。
■イベント:月のない夜
ふと、君とあなたは目を覚まします。
何故か眠れません。それは、(PC1)が初めてこの屋敷に来た時と、同じようなこころもちでした。
あなたたちはあの日と同じように自室を出て、そうしてあの日と同じように廊下でばったりと出会うのです。
そんな時、なにかの影が通ります。
それは、いったい誰だったでしょう。夜半の黒色は濃く塗り重ねられて、君とあなたには判然としません。
けれど、その誰かが、屋敷の奥へ向かったことだけはわかるのでした。
白兎とアリスのように追いかけていってみれば、夜の屋敷はまるで別世界のようです。描かれた背景のごとく、作り物めいて見えるのです。
何者かはどうやら館長室の方へ向かったようでした。しかし、君とあなたが別館の扉を押しても引いても、やっぱりそこは開きません。
先ほど、確かにここに入っていったはずだというのに、なにやらおかしな話でした。
しかし、扉に触れた時、がさりと奇妙な心地がしました。
手触りが、おかしいのです。
館長室の扉は、まるで、油絵の具で塗り込められているかのように、がさがさ、ごつごつとした手触りに変わっていて……
→銀のパレットナイフで削る
ぱりり、ぺりり、ぽとん。
そこの絵の具を落として仕舞えば、描かれた油絵の、その下絵があらわになるでしょう。つるりとした別の扉が現れるのです。
全く不可思議なことですが、本当の扉が、油絵に描いた偽物の扉ですっかりと隠してあったようなのです。
※ここでPC達の絵具を確認し、心配な数値であれば【絵具+1d10】で調整してかまわない。
■別館
扉を開けると、組み木の床と壁が美しい廊下が続いておりました。点々と一定間隔に並んだ燭台が、蝋燭の炎を揺らしています。
廊下には、左右に扉があり、右は「使用人室」と銅のプレート、左は「資料室」と銀のプレート、そして最奥にある扉には「館長室」と金のプレートがかかっております。
[使用人室/資料室/館長室]
〇使用人室
それはひどくいびつな光景でした。木造りの殺風景な部屋にはずらりと質素な同じベッドがいくつも並べられ、そしてそこには二人の少年少女が何人も横たえられていたのです。
そう、「二人の少年少女」が、「何人も」。
そこに寝かされていたのは、どれも黒のメイドと黒の執事の姿をしていました。それが、何体も、ベッドに横たわっているのです。
燭台に照らされるその肌は一層白く、まるで陶器の人形が並べられているようでありました。
【絵の具C -1/-1d3】
[黒のメイド/黒の執事]
・黒のメイド/黒の執事
触れてみれば氷の様に冷たく、息もしていません。しかし肌は柔らかい。人形ではなく、人間の死体のような状態だとわかります。
何をしても目覚めることはないようでした。
<アイディア>→
メイドはおっちょこちょい、執事はぼんやりが原因で幾度か怪我をしていたが、傷はすぐに、すっかりと治っていたようでした。
このお片付けされたドールハウスのような光景を見た後だと、スペアと交換されていたなんてことにも思い至り、なんだか空恐ろしい気持ちになってしまうのでした。
【絵の具C 0/-1】
〇資料室
本棚がいくつかあります。部屋は暗く、ろうそくの灯だけですべてを調べ切るのは骨の折れることでしょう。
手前側の本棚であれば、よくよく見てみることができそうです。
・本棚①
<図書館>→
「医学書」
図書室にあった医学書のシリーズもの。
一冊欠けているのがわかる。図書室にあった本がここに移動させられたのだろう。
そのうち一冊だけしおりが挟まっているようだ。読むことができる。
書籍『催眠について』
「…よって、現代では、被催眠者は受動的に催眠状態に陥るのではなく、自身の意思によって能動的に催眠を許容することでより深い結果が得られるとされている。
催眠者からの暗示を自ら理解し受け入れる、肯定的構えの高いものほど、催眠状態にスムーズに移行するのである。」
・本棚②
図書室にあったものと同じアノマリオール博物館のパンフレットがある。
こちらは随分と熱心に読み込まれており、図書室のものはいわゆる保管、鑑賞用だったのではないかと思われるだろう。
中からは使用済みの半券が落ちてくる。
版権が挟まっていたページには、例の「白い絵画」の写真が載っていた。
→あらかた見た後で
一冊の本を何気なく手に取り、ぱらりぱらりと捲ります。それも一つの医学書の様で、暗い場所で目を通すには難解な文字軍が君とあなたの目をくらませます。
仕方なくあった隙間に戻し、しかしその本はうまく収まってはくれません。
どうやら、奥で何かにつっかえているようなのです。
・本棚の奥
そこにあるのは、何かの資料がファイリングされた冊子でした。
表紙を開いて、君とあなたは面食らいます。どのページにも、べったりと絵具がこびりついているではありませんか。
それは、ここに来るまでの別館入り口と似たような様子でありました。
→パレットナイフで削る
ぱりり、ぺりり、ぽとん。
紙すらも破けてしまわぬよう、細心の注意を払ってパレットナイフを動かします。そうしてそのページにあった黒々とした絵の具をはがし削った、
そのとたん。
あなたたちの中に、なにかの奔流が流れ込んでくるではありませんか。
それは色彩であり、音楽であり、記憶でありました。
ぐるぐると視界ははじけ、黒く染まり、そして……
■現実:精神病院
ふと気がつくと、探索者はどこか無機質な部屋の中に立っていた。
切れかけた白熱灯が二人を青白く照らし出し、甘い眠りからたたき起こされたような喪失感にしばらく呆然としてしまうだろう。
あたりにあるのは白いメッキのはげかけた資料棚。先ほどまで調べていたのと同じ並びの書籍が収められている。
リノリウムの床に先ほど絵具をはがしたと思しき冊子が落ちていた。
・冊子を拾う
拾えない!
なぜが手がすり抜けてしまう。まるで霊体だとか、生き霊だとか、そんなものにでもなったような心地だ。
【絵の具C -1/-1d3】
※ここにいるPCたちは精神体のため、基本世界に干渉することはできない。
できる干渉はパレットナイフを使うことだけである。
・扉から外へ
先ほどとは違う、金属製の扉だ。キイっと音を立てて開く。
先には廊下がつながっており、目の前には似たような金属扉、廊下の右奥には「院長室」というプレートのかかった木の扉、左奥には別の扉がある。
[霊安室/院長室/もう一つの扉]
〇霊安室
目の前の金属扉には「霊安室」と書かれている。
開けてみると、使用人室と同じ配置で質素なパイプベッドがおかれている。
そこにはメイドと執事が寝かされていたのと同じ配置で誰かが安置されている。
ただ違うのは、それらがすべて別の姿をしているということと、そして何より、そのすべてが目をカッと見開いているということだった。
【絵の具C -1/-1d4+1】
[安置された人々]
・安置された人々
皆一様に喪服のような黒い衣装に身を包んでいる。メイドと執事が着ていたものと同じしつらえだ。
目を見開いたまま固まっており、どこか別の場所を見つめているかのような不気味な視線を空に投げ続けている。
それぞれ胸には一輪ずつ百合がおかれている。まだ新しいもののようだ
みていると、ずるり、と何かがうごめく。
それは肌をのたうつ斑紋であった。不気味に輝いては肌の上を蠢いている。
PC2秘匿:
あなたは彼らのうち数名を知っている。
それは、あなたとともにお屋敷で過ごしていた、そしていつか館長に認められ博物館に飾られていったはずの仲間たちだ。
〇院長室
鍵がかかっているのか、入ることができない。
〇もう一つの扉
その先にあったのは病院だ。
見渡せば、清潔な白を基調とした廊下が広がっている。いくつか病室が並んでいるようで、それぞれ扉には番号が振ってあった。
ふと、その光景に探索者は既視感を覚える。
その間取りは、探索者がすごしていたお屋敷の間取りととても似ている……いや、同じなのだ。
別館がスタッフルームに、食堂や図書室が診察室に、個室が病室になっているだけで。
【絵具C 0/-1】
PC2秘匿:<絵の具>→
それだけではない。
あなたは確かに、この光景をその目で見たことがある。
※PC1は知らない
■探索パート
[個室1,3,5,9,10]
〇個室
中に入れば、とても明るい病室のようだった。気を遣ってあるのか白だけでなく優しい色合いの壁紙や家具があり、窓から光が差し込んでいる。
しかし、病人特有の饐えたような臭いがそこがただの部屋でないことを証明していた。
・部屋全体
<目星>→家具の角にはパッドが貼り付けられている。また、クローゼットもタンスも全て鍵がかかる仕様のようだ。
窓には白いカーテンがかけられて気付きづらいが、その先には白い柵が外と内を隔てていた。
・ベッド
誰かが寝ている。
ベッドの傍にはカルテがかけられている。
→以下部屋ごとの描写
1の病室:クチナシ
誰もいなく、カルテもない。
だがシーツには若干の乱れがあり、触れてみればほんの少しだけだがぬくもりが残っている。
つい数時間前まではここにいたのだろうか。
3の病室:ローズ(幻覚)
ローズが寝ている。ひどく衰弱しているようだ。
カルテ
「幻覚を発症。
交通事故で亡くなった妹の幻影を見ており、幻影から目を離すことを極端に嫌がる。
声を掛ける、接触を試みると、妹と離されるよう錯覚を起こす。
些細な行動が妹を連れて行かれたという幻覚につながる。要注意。」
5の病室:ネモ(フェティッシュ)
誰もいない。だが、窓辺にはネモの部屋と同じようにネモフィラの鉢植えがある。
カルテ
「フェティッシュを発症。
ある特定の事柄に、異常なまでに執着する。執着対象は都度変化するため、細心の注意を心がけること。」
<目星>
マットレスとヘッドボードの隙間に何かが落ちている。
資料:「ネモの手紙」
「これを読んでいるということは、私はもうそこにはいないのね。「久しぶり」になるのかしら。
あなたたち、自分のことはわかった?
そのパレットナイフには、わたしがすこしの手を加えました。
魔を払う銀の形を変えて。
塗り込められた絵の具を払拭し、物の本質を暴き出すその形は、この世界で自身を取り戻すのにとても役立ちます。
この絵画の中で、全てを思い出して、それでもそのまま一生を終えることを選んだわたしには、もう必要のない物。
けれど、あなたたちは違うかもしれません。
最後に残した宿題のこと、覚えているかしら。
「ひとは何のために生きるのか」
ここで暮らしていて分かったの。ひとは、愛のために生きるのよ。だから、ひとであるわたしは愛のために生きて、死ぬことにした。
あなたたちの中では、答えは出たのかしら。まだ難しいかもしれないわね。
その答えを見つけて、これからどう生きるか選ぶには、全てを思い出して、全てを知る必要がある。
苦しいことかもしれないけれど、どうかあなたたちにとって、良い物語となることを祈っているわ。
あなたに、本当のさいわいが約束されますように。」
9の病室:PC1
誰もいない。花がいけられていたようだが、すでに花も花瓶の水も枯れている
カルテもなく、ベッドにも使用した形跡がない。
PC1秘匿:ベッドにパレットナイフが使えると感じる
→パレットナイフを使う
ぱりり、ぺりり、ぽとん。
やがてそこに浮かんだ光景は、PC2の姿であった。
病室ではなく10番の部屋で、病院などでなくお屋敷の中。この数か月でよくよく見た姿だ。
ベッドで起き、執事の作るご飯を食べ、皆と会話をしたり、中庭で休息をとったり。
そこにはネモもいた。優しく微笑んで、PC2に子守唄を歌っていた。
幸福な日常らしい光景。しかしなぜか、その光景には違和感を覚える。
そうだ、これは、ここで過ごす誰の視点でもない。俯瞰したそれは絵画を覗き込むような……「鑑賞者」からの視点だった。
PC1秘匿:君は確かにその光景に、「見覚えがある」と感じる。ズキリ、と頭が痛んだ。
PC2秘匿:視点は違うものの、起きていることがら自体はあなたの記憶と合致する。これらは実際にあったことだ。
その他の病室(2,4,6,7,8):
誰もいない。花がいけられていたようだが、すでに花も花瓶の水も枯れている。
〇10の病室:PC2(強迫観念にとりつかれた行動)
中に入った探索者を迎えたのは、むせ返る迄の濃い絵の具の香りだった。
内装はこれまでの病室とほぼ変わらない。
中には一台のベッドがあり、誰かが寝ている。
その中でより異質な存在感を放つのは、絵画の存在だ。
[ベッド/カルテ/絵画]
・ベッド
寝ている人物の鎖骨下あたりにむけて点滴が施されているようだ。
ベッドの傍にはカルテがかけられているのはこれまでと変わらない。
だが、そこに寝ている人物は、確かに(PC2)あなた自身であった。
PC2のみ【絵の具C -1/-1d3】
・PC2のカルテ
処方薬、薬液などの情報の他に、附記がある。
「強迫行動を発症。
絵画を描く行為を続けている。拘束具要。
何かを見たと証言しているものの、支離滅裂により詳細不明。
その何かを描いていると見られる。共通して見られるモティーフは黒色の楕円である。
時折なにか呪文のようなものを発声する。その際無理に止めると暴れるため注意。
また、絵の具等を取り上げた場合、壁や天井、家具等場所に拘らず、自身の血液を用いて続けようとする。他者がいた場合血液採取のため襲いかかってくる事例あり。」
・絵画
なにを描いたものか、黒を、赤を、青を、白を、緑を、色という色を塗り込み、重ね、混ぜ、揺らがせ、愛し、憎悪し、混沌とした何者かの像が描かれている。
絵具の香りの根源はここだろう。
PC2秘匿:ここにもパレットナイフが使えるとわかる
→パレットナイフを使う
ぱりり、ぺりり、ぽとん。
「深淵を覗いてしまったね」
瞬間、削った奥から、ずるり、と、情景が飛び出してくる。
その光景の中、目の前には、黒い男が楽しげに立っていた。
「深淵を見るよう、運命付けられたもの"探索者"よ!
偶然から生み出された能力も、恣意で描き込まれたその肉体も、その美術たる生命のすべてをわたしが鑑賞し、わたしが記録し、わたしが愛そう!」
「さあ、お前は、わたしを、鑑賞し、記録しなさい」
その言葉とともに、目の前にいた男の気配が膨張する。
ぱくり、とひらいた頭頂部が溶けた。
どろどろ黒い粘液が溢れ出し、見る間にその肉体を覆ったかと思えば、円錐形の三番足へと変貌する。頭部からは、黒々と輝く触手を伸ばして見せた。その顔面に当たる部分に顔はない。ただどこまでも深い深淵が広がっていた。
目の前にいたものは、顔のない、異形の化け物だ。
※CSに記載された当時のSANでSANCを行う。
【SANC 1d10/1d100】
1回生存
音を立てて何かが崩れ落ちる。
【SANC 1d10/1d100】
2回生存
それは君の背後、そして今度は右から聞こえた。
【SANC 1d10/1d100】
3回生存
やがて左側からも瓦解の音が聞こえ、放り出される感覚に陥る。
目の前には、額縁があった。
【SANC 1d10/1d100】
4回生存
額縁の先から、あなたを見る視線を感じた。それは、絶えずあなたに注がれている。
「見てしまったね」
耳元で声がした。
愉悦と狂気に満ちた声色はあなたの脳に直接塗り込められる。
【SANC 1d10/1d100】
※以降SANが0になるまでSANCを繰り返す。ひどいことをしてごめんね…
※上記描写は第3の壁までが崩れてゆくイメージです
・SANが0になった
その渦巻く狂気があなたの薄っぺらな理性を剥ぎ、本能を打ち砕き、何もかもを蹂躙した。
目の焦点はずれ、像を結ぶことも無くなり、息の仕方を忘れ、あなたは、あなた? あなたとはなんだったか、それすらも、何もわからなくなり、なにも……
やがてあなたがこれまでの人生で必死に縋ってきた、当たり前だと思い込んできた「正気度」はぐちゃりと踏み潰されてゆく。
目の前の黒いものは楽しそうな笑い声を立てた。
「仕方がない、そう言う台本だからね」
PC2秘匿:あなたは、この景色に強い既視感を覚える。
と、同時に。ぱり、ぱりと乾いた音が自身の身体から聞こえることに気づくだろう。
自分にパレットナイフが使えるとわかる。
→パレットナイフを使う
PC2:あなたは思い出す
ぱりり、ぺりり、ぽとん。
嘘の絵の具が剥がれ落ち、やがてあなたは思い出す。
あの日、あなたは、黒い男と目があった。
とある筋から招待を受け、アノマリオール博物館の特別展に行った時のことだ。
展示物の1つにあった「白い絵画」を見た瞬間、何かに引き込まれるような感覚を覚え、気づけば奇妙な空間に立っていたのだ。
暗い闇のなか、周辺のみ丸く薄明るい空間。
その中央には、額縁があった。
大きく、細工も美しい、尾を噛んだ蛇が彫り込まれたもの。
それだけでなく、妙に目を引く額縁であった。
壁などもないのにぽっかりと浮かび、あなたの側を向いていた不思議ゆえだろうか。
「やあ、ここまでやってくるとは、珍しいこともある」
その男は、額縁の上部に腰かけ、あなたを見下ろしていたのだ。
「……なるほど。次元の狭間に誘引されたんだね。ここに通じる通り道は、世界中に隠れている。木の葉の影、路地裏の奥、天井裏のつづら、パンドラの隅、君の瞳の中。」
「さて、君はどこからここにやってきたのかな」
「アノマリオール博物館か。ははあ、あそこはいろいろなアーティファクトたりえる物品が所蔵されているからなあ……」
ふむ、と興味深そうに顎に手をやる。
さほど遠いわけでもないのに、その顔は闇に紛れたように認識できない。
「さて。ここは次元の狭間。見る・見られるの臨界にして、あえて名付けるとすれば、「果ての額縁」といったところか」
「通常、君たち探索者の来るところではないんだよ」
その存在は、一区切り入れると
ぐにゃり、と、見えない顔を喜色に歪めた。
「君、深淵を覗いてしまったね」
それ以降起きたことは、先ほど見た映像の通りだ。
その化け物との邂逅は、あなたの薄っぺらな理性を剥ぎ、本能を打ち砕き、何もかもを蹂躙した。
あなたは、ニャルラトホテプとの邂逅により、その正気度が0にまで削られたと言うことを思い出す。
この時点で、PCは探索者としての記憶を取り戻す。名前、過去、これまでの通過シナリオ、関係のある二人ならお互いのこと、その全てを自分のものとして、はっきりと思い出すことができる。
探索者は「肖像画」などではない。人間だ。
【SANC 1/1d5】
PC2→絵の具をSANに変える。
正気とは、人が人として形を保つためのものだ。
→すべての部屋を探索したところで視界が暗転する。
■イベント:起床と違和感
瞬きを一回。
それだけであなたたちの意識はくるりと翻った。そして。
ふわりとどこかから優しい紅茶の香りが君とあなたの鼻をこそこそとくすぐりました。
いつのまにやら、君とあなたはお屋敷の、PC2の部屋にぼんやりとたたずんでいたのです。
先ほどまでの光景は、いったいぜんたい何だったのでしょう。見渡しても寝かされた顔色の悪いPC2も、気味の悪い何者かの肖像画もありません。
君とあなたはほっと息をつくのでしょうか。
PC1
ふと腕を上げて、自身に違和感を持つ。何に由来する違和感かは分からない。
ただ、「どうして病室にもいない、カルテもない自身がこの場所にいるのだろう」という漠然とした不安がそうさせるのかも知れなかった。
PC2
ふと、視界に入れた(PC1)の姿がブレる。
しかし、瞬きをする間にその違和感は霧散することだろう。
しばらくしたところで、
コンコン。
部屋の扉に生真面目そうな、ノックの音が訪れます。
「おはようございます!」
そういうのは黒のメイドの声でした。紅茶の香りが一段と近づいて、どうやらおめざのお茶を持ってきてくれたようなのです。
・入室を許可
「失礼します」
そう告げて、黒のメイドはいつものように部屋へと入ります。やがて現れたその姿に……
探索者の背筋に、ゾッと冷たいものが走った。
そこにいたのは、黒のメイドの皮を被った、別な人間の死体だ。
肌を這いずる斑紋、青白く乾いた肌、異様なまでに細い枯れ枝の手足。それらを覆い隠すように、べったりと油絵具が塗りたくられている。
<霊安室>で見たあの死体に、絵の具でもって黒のメイドが描かれている。それはひどく歪な姿だ。
【絵の具C、SANC 0/-1】
※黒の執事も同様の姿に変貌している。
・パレットナイフを使う
ガリ、と絵の具が剥がれ落ちた。瞬間、目の前で動いていた黒のメイドらしか何かは崩れ落ちた。
もはやピクリとも動かない。ただ偶然にも首はかくりと探索者の方へ向いていた。そのどこと言えぬ場所に向けられた視線が、まるで「見られている」様に感じられる。
○廊下
部屋の外に出れば、
違和感はよりひどいものに変わる。
すりガラスの窓から取り入れられた太陽の光が、いつものようにぽかぽかと廊下に差し込んでおりました。
違う、それらは全てちぐはぐに絵の具で描かれていた。
どこからか美味しそうな香りがして、
そこにあるのはむせかえるような絵の具の臭いだけだ。
きっと黒の執事がモーニングを作ってくれているのでしょう。君とあなたの心は自然と沸き立ちます。
そんなわけがあるものか。きっと黒の執事もメイドと同様なのだろうと探索者は察する。
ここはしあわせの理想郷
ここは一体、なんだ?
何者かの視線を、強く感じる。
【絵の具C、SANC 0/-1】
■探索パート:本館
[廊下/別館入り口]
〇空間にパレットナイフを使う
ぼろりとくずれ、先には黒々とした空間が広がっているのが見える。そして、「目が合った」。
一体何となのかはわからない。しかし、そこに広がる暗い影と目が合った様に感じる。
〇NPCを探す
・黒の執事→キッチンにいる。メイドと同様の姿。
・クチナシ→見当たらない
・ローズ&マリー→下記イベント
〇廊下
きゃらきゃらという姉妹の笑い声が、廊下の先から耳をくすぐりました。きっとこの先にいるのでしょう。
近づいてゆけば、いつものように、仲睦まじそうな話声。やがて姿も見えてきます。
彼女の様子はいつもと変わらず、絵の具に塗れているなんておそろしいこともありません。
手を繋いだ先は壁に隠れておりました。きっとマリーも変わらないのでしょう。ローズの様子からそれが伝わります。
あなたたちは、ほっと安堵するかもしれません。
近づくと、その手に握られているものに気づきます。それはマリーのかわいらしい小さなお手々
などではなかった。
それは、絵の具の塊であった。
まだ固化しきっていないのか、所々ぐにゃりと歪むそれが、子供の人形にマリーを描いたものだとわかる。
まるでそこにマリーが生きている様に、ローズは変わらず談笑を続けている。
あまりにも、いつもと同じ様子であることが、この状況ではあまりにも異質だ。
【絵の具C、SANC 0/-1d3】
声をかけると、いつもと同じように対応する。
ただしマリーの声は当然聞こえない。ローズはまるでマリーが話しているように間を開け、声をかけながら返答を返してくる。
★<アイディア>→
このパレットナイフが催眠を解除するためのものならば、彼女にも使えるのではないかとわかる。
→パレットナイフを使おうとする
瞬間、パレットナイフを持っていた手に衝撃が走る。
パンっと乾いた音がして、遠くにパレットナイフが落ちた。
ローズが、あなたの手をはじいたのだ。
ローズ「……めろ」
ローズ「やめろ!!」
肩で息をし、彼女は激高した。
「それで何をするつもりだ!」
・真実にかかわる話をしようとする
「いやだ、いやだ、いやだ! 聞きたくない!」
と叫び、首を左右に振りたくる。
マリーの人形と手をつないだまま耳をふさぎ、聴く耳持たないようだ。
パレットナイフを使うのであれば、無理やり行うしかないだろう。
・あきらめて去る
貴方たちが踵を返すと、ローズは安堵したようにマリーの人形を強く抱きしめた。
「ああ、ごめんな。ごめんな、驚かせて。大丈夫、大丈夫だからなマリー。お姉ちゃんはずっと一緒だ。お父さんがいなくても、お母さんが死んじゃっても、わたしは、わたしだけはずっとずっとずっと一緒だ。愛してる、マリー……」
そうぶつぶつとつぶやき続けているのが背後で聞こえ続けることだろう。
・パレットナイフを使う
<STR10との対抗>
→成功
「あ、」
最後はローズの小さな声だった。
そうして。
ずるり、と記憶の奔流が彼女から飛び出てくる。
■姉妹の記憶
そこは夕暮れ時の公園だった。
ボールが足元に転がってくる。追いかけてぽてぽてとかけてきたのは、元気そうなマリーの姿だった。
「おねえちゃん!ボール、取れたよ!」
「こら! ボールを追いかけるときはちゃんと周りを見ながらな」
「はーい、お姉ちゃん!」
心配そうに声をかけたのはローズ。しかし、彼女の姿は今よりも幼く、学生ほどに見えた。
彼女の昔の記憶なのだろうとあなたたちには判断できる。
やがて日が暮れ始め、二人は公園を後にしようとする。その時、ピリリ、と電子音。どうやらローズに電話がかかってきたようだった。
「少し待ってて」と彼女はマリーとつないでいた手を離す。
「はあい」と返したマリーは、ボールで一人遊びを始めた。投げてはキャッチ、投げてはキャッチ。
と、ボールをうまくとることができず、ボールがころころと転がった。
「あ、」
転がるボールは道路の方へ。追いかけるマリー。
気づいたローズが「待て!」と叫ぶも遅い。クラクションの音が高く響いた。
シーンが切り替わる。
そこは葬式だった。しとしとと雨が降っている。
「かわいそうにねえ、あんなに小さいのに」
「どうして飛び出したりしたのかしら」
「お姉ちゃん、一緒にいたんでしょう?」
「手を離しちゃったんですって」
「仕方ないわよ、ほら、あそこお父さんがいないから」
「お母さんがちゃんとしていればこんなことにならなかっただろうに」
「かわいそうにね」
シーンが切り替わる。
そこは薄暗い部屋だった。雨が屋根を強く、断続的に叩いている。
暗い中、啜り泣く声。
「お母さん、何か食べないと」
そういって部屋に入ってきたのは、ローズだった。
お盆に湯気を立てたおかゆをもって、すすり泣く母に近づく。
しかし、そのお盆は母に思い切りはたかれ、地面に落ちた。
母親は激高する。
「あなたがいけないのよ!」
「あなたがちゃんと見ていないからでしょう!!」
「あ……違う、ごめんなさい。そんなつもりはなかったの違うの。」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
「いいんだよ。お母さんは、何も悪くない」
ローズが抱きしめると、母親は縋り付いた。
瞬間、バタン!と言う音とともに目の前の景色が変わる。
音はキッチンの方からだ。
目の前には、もう誰もいない。
キッチンの方に行くと、机の上にラップのかけられたシチュー、「ごめんね」とだけ書かれたメモがあった。
また、部屋の中央には、椅子が倒れていて、その上には、
母親の体が、ぶらぶらとゆれていた。
玄関からローズの声がかかる。
「ただいまー」
ぱたぱたと、足音が近づく
「……おかあさん?」
ぶつん。
【絵の具C、SANC -1/-1d3】
「あ、あ……」
弱弱しいローズの声に、あなたたちの意識は引き戻される。
ローズは、絵具にまみれた人形に縋り付き、呆然としていた。
「いやだって、いったのに」
「どうして」
その瞳は暗く、こぼれる涙すら枯れたように、乾いていた。
硝子の両目が、ゆっくりとあなたたちに向く。
「はは、おかしいな」
「思い出したのに、マリーはとっくに死んでるって、理解したのに」
「なんでだろ。……もう、狂うこともできない」
そのままマリー人形を抱きしめ、何を言われても返事をしなくなる。
■探索パート:別館
[資料室/館長室]
○資料室
月もなかった昨晩とは違い、昼間の今は室内がひなたの如く、明るく照らされておりました。
今であれば、書架をしっかりと調べられるだろう。
[カルテ/奇妙な古書/手記]
・カルテ
顔写真もついた詳細なもの。クチナシ、マリー、PC1のものは見つからない。
→調べていると、間から1枚の紙が落ちる。
・紙
写真のようだ。きれいな白衣の女性がはにかんで映っている。
PC2:彼女から懐かしい感じを覚える。以前どこかで会ったことがある、それどころか、なぜか彼女の笑顔はあなたを精神的に落ち着けてくれるだろう。
裏→
魔術【魔力を付与する】
1d4の正気度と1MPを消費し、サイズ5以上の生物を血のいけにえとすることで、魔術的素養のあるオブジェに守りの魔力を込めることができる。
・奇妙な古書
『Song of Yste』
<異次元の吸血の影>「Adumbrali」
Adumbraliは影のような存在で、「深淵の次元」に住んでいる。
彼らは残虐で無慈悲な性格の種族である。犠牲者を殺す前に駆り立てもてあそぶことを好み、その後黒い触手で体液を全て吸い取ってしまう。
犠牲者の死体には奇妙な斑点が浮かび上がり、目は開いたまま固まる。その目はまるで別の次元を見つめているようである。
彼らは一部を除き、通常、「深淵の次元」にとらわれている。
ただし、他の次元から犠牲者を連れてくる手段を複数所持しており、それらを統合して「捜し求めるもの」を創造した。
「捜し求めるもの」は多次元に入り込むことができ、多次元から催眠術を駆使して犠牲者の精神をよびこむ存在だ。
(マレウスモンストロルム P.15)
ページには挿絵が載っている。
多面体の内側に煌々と光が灯っているようだ。どこか不思議な力を感じる絵である。
★<アイディア>→
エントランスにあったものと等しい
PC1:この挿絵からもひどく嫌な感じを覚える。
【絵の具C、SANC1/1d4】
・手記
とある精神科医の残した手記のようだ。
「あの子」と呼ばれる患者を担当していたようで、その様子や言動、治療進行などが細かくチェックされ書き留められている。
また、加えて所感を不定期で書いていたようだ。
途中から分量が増え、文字があれている個所を見つけられる。
「まただ。この精神病院では、あまりにも患者の扱いがひどい。
金銭や名誉のために転院させたり、挙句の果てには必要のない治療を行う行為が行われている。
わたしの患者も、転院を余儀なくされている。
どうしてそんなことができるの? 反対をすればまた私の立場が弱くなるだけ。
あの子のためにも、我慢をしなければいけない。でも、許せない。」
***
「どうして理解してくれないの!?
これは純然たる治療なのに、研究だとか道楽だとか、なんてそんなふうに侮辱するなんて
これほどまで社会が進歩したとて、未だ催眠療法への理解も研究も遅れている。
結果を出すには、途方もないケアと時間が必要なのに……」
「今、不安定な状態であの子を放り出すわけにはいかない。最悪の場合、亡くなってしまう可能性だってある」
「あの子が自身の力で起きたことを想起し、この催眠を解かなくては、この治療は意味をなさない」
「それまで近くでケアをし続ける必要がある。わたしがなんとかしないと……」
***
この間は思うようにいかない研究や治療についてが散見される。
がらりと雰囲気が変わるのは以下の記述からだ。
***
「今日は助手に気分転換に博物館に行くことを勧められた。最近よく眠れていないの、彼にはお見通しだったみたい。
ありがたく好意に甘えることにする。
わたしは元々絵画がとても好き。『アノマリオール博物館』?すてきね。それに何より、あの子がこうなる前に行っていた場所でもある。何か治療のヒントが見つかるかもしれない!」
***
「なんと素晴らしいところだったかしら!アノマリオール博物館は!
全ての作品には、美しく、繊細で、悍ましいまでの魅力があった。奇妙に心惹かれる。あの場所にまた行きたい」
「美というものは素晴らしい。一体誰が、美しさを目の前にして、それを傷つけようと思う?
わたしは、あんな場所が作りたい
人とはそもそも、美術品みたいなものだ。神様に創造された美術品だ。
何よりも美しく、
何よりも健全で、
何よりも価値があり、
何よりも愛されるべきものだ。
尊ばれるべき人々が、その価値を自他共に認め合える、誰も傷つけられない美しい空間。
そんな場所を、わたしは」
***
「「あなたは、理想郷を求めているのですね」
今日、「此其彼堂」(こそあどう)という不思議な古道具屋で言われた言葉だ。
かなり年季の入った立ち姿の店だった。なぜか心惹かれ、入店した。
板張りの床いっぱいに広げられた古道具や骨董品達は、歩んできた歴史を抱え込むようにして静かに呼吸していた。
ぎしぎしという床のなる音も、今でもはっきりと覚えている。
けど、あそこで会話した店員の姿形はなぜか薄らぼんやりとしていてよく思い出せない。
世間話のつもりが話し込んでしまって、いつのまにか私の悩みも理想も全てぶちまけてしまっていたのに。」
「そっか、私が求めている世界は、ユートピアなのか。」
「古道具屋で購入した古書を読む。ありふれた詩の翻訳や哲学ばかりで、とても読みづらいうえに冗長だ。
けれど、店員はとても気になることを言っていた。
この本には、多くのオカルティックな事柄が暗号の様に隠されていて、そのなかにはこことは別の次元に住まう化け物についての記述があるらしい。
傾倒しすぎないように気を付けてと付け加えていたけれど、なんなのかしら
別の次元。そこであれば、理想郷も見つかるのかな」
***
「みつけた、わたしの理想郷」
***
「イステの歌を参考に、別の次元にサナトリウムを形成した!
ここは、催眠治療との相性がとても良い。これまで不完全だった治療が飛躍的に進んだ。
より深い催眠が出来るとあって、あの子には自分が肖像画であると思い込ませる術をかけた。
自らを美術品だと思うことで、自己肯定感はより高まって、自傷も無くなった。
日々の生活もきちんと営んでくれる。よかった。
大丈夫、いつかちゃんと人としても、自分を愛せるようになるからね」
***
「ものだと思い込ませるのは気が引けると助手はいった。
何を言うのかしら!
自分が価値あるものだと思わせるには、自分こそ美術品だという催眠下に置くのはとても効率的だろうに。」
「それに、何より、
肖像画としてあるあのこは、ほんとうに美しい。」
***
「わたしはあの子にあって救われた。あの子がいつか笑ってくれるようにだったら、なんだってできる」
***
「さいきん、わたしはどんどんおかしくなっている。あの博物館で絵をみてからだ。
まっしろい絵。何かによばれ、目があったような気がした。そのときから、わたしは「美」にとらわれてやまない。
あの本の読み方をりかいして、その感覚は日ましにつよくなっている。
ちがう、わたしはただ、あの子が救われる場所が欲しいだけだったのに」
そこからしばらく記述は途絶える。
***
「<異次元の吸血の影>が、ここに気づいてしまった」
「守らないと、守らないと、守らないと、守らないと、守らないと、守らないと、守らないと、」
「そうだ、私は、この博物館の館長なのだ」
「ここを守るためならなんだってしてやる」
***
この先は1ページ破れている。
〇館長室
扉を開ける。さらりと涼やかな風が通り抜けた。
扉の先に広がっていたのは、室内ではない。広大な花畑だった。
どこまでも続くように見えた夜空は、しかしてガラス張りの壁や天井で区切られているようだ。
宇宙に突然花畑が咲き誇ったように、ひどく幻想的な風景であった。
咲き誇っているのは白い百合たちだ。
その中央には、硝子の棺があった。傍らには何か落ちている。
[棺/落ちているもの]
・棺
女性が眠るように横たわっている。
その姿は、やつれてはいるものの写真にうつっていたものと同じだとわかるだろう。
PC2秘匿:あなたは彼女に既視感を覚える。と同時に、母のような力強い腕に抱きしめられた記憶を想起する。
・落ちているもの
メモのようだ。
「我が親愛なる助手
あとはすべてあなたに託しました。
あの絵画は外につながります。そこからうつくしい肖像画を連れてきて。
うつくしい肖像画はこの世界を飾り立て、この世界の贄となります。
私のうつくしい、うつくしい博物館を、どうかとこしえなるものに。」
★<目星>→
ひどくかすれた文字がある。
「PC2 ごめんなさい」
■イベント:黒幕
「そこで何してる」
背後から声をかけられる。
振り返れば、佇んであなた達を見つめるクチナシの姿があった。
眠そうに欠伸をし、いつもの同じような様子だが、タバコは咥えていない。
あなたたちと目が合うのを待って、彼は再度口を開いた。
「ここは立ち入り禁止のはずだぜ」
「俺か? お前らが入っていくのが見えてな。たしなめに来ただけだ」
・問い詰める、確信に迫るなど
クチナシは、やおら後頭部を掻いて大きくため息をついた。
「やっぱり、一度とけちまった催眠術を新しくかけなおすには時間も才能も足りねえか」
「ようこそ、当博物館の最深部へ。ここまで来たのはアンタらが二番目だ」
・何か質問をする
「そりゃ気になるだろうな」
「まあ焦るなよ 一から説明してやる」
そう言って手を叩くと、彼の背後から絵具まみれの執事とメイドがぎこちない動きでやってくる。
まるで操り人形のように、かくん、かくんと生気がない。
クチナシは、手早く机と椅子が並べられるのを、そして紅茶を入れられるのを当然のように腰かけて見ていた。
すべての準備がそつなくこなされると、クチナシは探索者たちを見もせずカップに口をつける。
「ま、座れよ」
▼以下説明例
・この場所
「ここは、とある化け物が支配する次元さ。
そこに作られた、精神摩耗患者に「自分は肖像画である」と思い込むよう催眠をかけて寄り集めた偽りのサナトリウム。こいつは「博物館」と呼んでいたな」
といって棺を横目で見る。
・棺の女性は誰?
「こいつのことは、まあもう手記も読んだんだろう。あれを書いた女さ。
もとはただの精神科医、催眠治療を専門にしていた。だが冷遇を受けていてね。精神的に弱ってこのざまさ。
最終的には「美術」なんてもんに狂って、人間を肖像画にした博物館の館長になる、なんて夢を持ちやがった。
そんな自分のユートピアをとこしえのものにするため、化け物に命までうっぱらおうとしたんだ。
まあ、それ自体はうまくいかなくて、精神だけ死んじまった状態だけどな。
馬鹿な奴だろう?」
・肖像画について
「精神病患者だよ。
もとは彼女の患者が一人だけだったが、今は俺があの絵画を通して外から引っ張ってきている。」
「精神病患者を狙う理由はひとえに催眠を施しやすいから。」
「そうして肖像画って飾り立てて、それっぽい名前を与えて、やがて化け物に貢物としてささげる。
この空間でそういう喜劇を演じさせ、鑑賞させるのも外の化け物たちと彼女がした約束なんでね。」
・絵画について
「あの絵はアノマリオール博物館ってとこに通じててな。もともとあそこにはアドゥムブラリの次元と通じた絵画があったから、そこに横穴開けるみてえな感じでエントランスの絵とつなげたのさ」
「ああ、エントランスのは贋作にもならねえ偽物さ。次元を通じさせるには、似たもの同士のほうがやりやすかったからな。」
「アノマリオール博物館はあの近くのデカい精神病院と提携してるらしくてな。チャリティー目的で個展だか特別展示だかして、精神病患者を招いたりなんだりするイベントがあんだよ。治療の一環なんだと」
・クチナシは?
「俺はこいつのタダの後釜さ。
助手風情が、後を託されちまったもんでね」
・どうしてそんなことをしているの
「……それがこいつの遺言だったんでね。」
・PC2について
「自分の身に何が起きたか、理解できたんだな」
「お前は、特別だ」
「彼女はお前のことをひどく気にかけていた。精神的におかしくなっても、最後の最後までな。
もとはといえば、お前のために、お前の治療がゆっくりできる環境が欲しいっつってこの場所の構想が立ったんだ。」
「言ってたよ。あんたに笑いかけられたんだと。
ただそれだけだ。それくらいのちっぽけなことで、あいつは心の底から救われちまったらしい。」
「毎回かけてきた俺の慰めなんかより、よっぽど効く薬だったんだろうぜ」
「だから、この場所は、PC2、お前のための箱庭だ」
・ネモについて
「ネモはそれを知っていた。承知の上で、この世界の贄になることを選んだのさ」
「さっき言った一番目ってのがネモでね。どういうわけだか催眠にかかりなおしたわけでもないのに、ここで生きてここで死を選んだ」
「まあ、最後の最後に取引を持ち出されたがな」
・取引について
「それは、お前の話が済んでからだ、PC1」
・PC1について
「で、だ。お前のことだよ」
「お前は、俺が連れてきた肖像画なんかじゃない。白い絵画に施された外への門をくぐってきた客じゃねえもんな」
「お前は、扉をくぐってきた」
「あれはもとより入口じゃねえ、化け物にいけにえをささげるための出口さ。
しかし、お前はあの向こうからやってきた。
化け物の次元から、やってきた。
もうわかってんだろう。お前は、神話的化け物だよ」
PC1秘匿:瞬間、
PC1:君は思い出す。
ぱりり、ぺりり、ぽとん。嘘の絵の具が剥がれ落ち、やがて君は思い出す。
そうだ、君はずっと見ていた。
君の次元にあったその屋敷は、君たちにとって、愉快な鑑賞物に過ぎないはずだった。
人工のやさしさでのびのび養殖される様を絵画の様に鑑賞しつくしておいて、
いずれ献上されれば残虐にいたぶってその絶望を楽しみ、時に希望を与え裏切った時の表情を悦び、
最後には養分として苦しみを与えながら吸収する。
彼ら「肖像画」……いや、「犠牲者」に逃げ場などない。ここは君の……
アドゥムブラリのための次元だ。
その屋敷はまさしく、美しく飾り立てられただけの、いずれ死者となる生き餌が集った餌箱。
それなのに、どうしてだろう。
君は、ひどくその空間から目が離せなかった。
いつからか、君は、他のアドゥムブラリたちとは違う視線をそれに向けていた。嘲笑でも舌なめずりでもない ただそれはひどく純粋たるあこがれだった。
君が生まれ落ちたその時、とある人間と目が合ったからだろうか。
うまれたばかりの君がのぞいた次元の狭間は、人間の住む次元、博物館に展示される絵画に通じていた。
君がのぞいているとも気づかず、その人間は絵画をじっくりと見ていた。
人間に目が合ったという自覚があったかは分からない。
だが君は覚えていた。その人間の容姿も、声色も、記憶も、その狭間から読み取れたものすべてを。
そうして君は、(PC1)として扉の前に立ったのだ。
それは楽園へのプロセニアム・アーチであった。内側に香り立つのは本来君に用意され得ぬ死であった。
それでも、いや。
だからこそ、君は扉に手をかけた。
そして、
けれど。君のその手はすんでのところで止まってしまった。
扉に感じるのは「拒絶」だったのだ。魔術的な光の気配を敏感に察知できた。
その感覚は、多面体の挿絵を見たときに感じた拒否感を何倍にも膨らませたようなものだ。其れがある限り、君は先にはいけない。
冷たい場所に置き去りにされたような心地がする、そんなときだった。
突如、その光の気配が遠ざかり、扉が開いたのだ。
ぽかんと見守るあなたの手をつかんだのは、一人の女性だった。
ネモだ。
「あなたは、ひとりなのね」
「仲間がいても、ひとりぼっちなのね」
「……わたしとおんなじ」
扉から伸ばされたネモの腕は、あなたの冷たい体をしっかりと抱きしめ、そして語り掛ける。
「おいで。ここはやさしいところだから」
「大丈夫、わたしはきっとあなたの味方よ。例えあなたがなにものなのだとしても」
初めて感じたその体温は、じんわりとあたたかく、なぜだか泣きそうな心地になったのだ。
あなたは、自身が肖像画でもなく、ましてや人間でもない、アドゥムブラリの幼体であることを思い出す。
屋敷の中を鑑賞していたあなたは、しかしその世界や人間にあこがれを持ち、やがてその中に入ってゆきたいという神話生物らしからぬ人間的な願望を持ち始めた。
そこで、あなたが生まれたときに別の次元で見かけた人間、PC1の姿や記憶を借りた。
しかしアドゥムブラリよけの魔術により侵入がかなわなかったところを、ネモによって招き入れられたのだ。
【絵の具C -1/-1d5】
***
PC1:
君は、この次元にとらわれている神話生物だ。
絵画を通して、彼らと同じ次元に飛びたいと願うのなら、なにか別の生き物を犠牲にするしかない。
誰かの肉体を奪い、自身の精神をその内部に転移させることで<捜し求めるもの>の亜種として、絵画の先に行くことができるだろう。
魔術(特殊)【精神の移送】
POW3の永久喪失と引き換えに、生きた人間か死体に君の精神を転移させる。
ただし、アドゥムブラリの犠牲者(斑紋が浮き、目を見開いた状態の遺体)を用いることはできない。
■小休止
PC1のPLさんはここで悩まれることかと思う。
一度短い休憩などをはさみ、以降の選択に備えてもらうとよい。このタイミングでKPはアドゥムブラリについての情報を開示すると親切かも。
なお、正体を思い出したからと言って無理に神格らしいRPをする必要はない。
ここまでの日々で十分人間性の獲得をしていると判断できるなら、変わらない性格であってもおかしくはないだろう。
■選択
質問が終わり、シナリオの真相があらかた分かったところで発生。
PC1、PC2それぞれの身の振り方について二つの選択をしてもらう。
◎この後どうしたいか
PC1秘匿:
・屋敷に残る
・アドゥムブラリの次元に帰る
・人間になるため魔術を行使する
PC2秘匿:
・屋敷に残る
・人間の次元に帰る
◎屋敷をどうしたいか
・存続を願う
・放棄を願う
(あり方を否定する、あるいは生贄を止めたいと願うなど語気の強さに関わらず今のままを拒否するならこちら)
■クチナシとのイベント分岐
この後どうするかを決め、エンド分岐に進んでもらう。
ここで変化するのは、それぞれに対するクチナシの対応であるが、基本的にPCがどうするかについて強く口出しをすることはない。多少セリフや行動が変わるのみである。
ただし、下記2つの選択の場合大きく変化し、戦闘や逃走ロールが発生するため注意。
・屋敷のあり方を否定する選択
・PC1が人間になることを望む選択
①屋敷の存続を願う
〇PC1が
・屋敷に残ることを望む
・帰ることを望む
〇PC2が
・屋敷に残ることを望む
・帰ることを望む
③屋敷の放棄を願う
②PC1が人間になる呪文を使う
で描写が分岐する。
■①屋敷の存続を願う
※その場合は、各々屋敷にとどまるか元居た場所に帰るかの質問にシフトする。クチナシはそれぞれの答えを待つことだろう。
〇PC1へ
・屋敷に残ることを望む
その言葉を聞くと、クチナシはしばらくの沈黙ののち、口を開いた。
「ネモは、お前をこの屋敷の一員にすることを条件にいけにえになることを飲んだ。」
「どういうわけだか、お前はあいつの特別だったらしい」
「だが、」
ざわ、と彼の背後に黒の執事と黒のメイドがやってくる。
屋敷で生活していた生き生きとした様子は今やみじんもなく、生気のない死体たちが絵具のかけらをぼろぼろとこぼしながら集ってゆくのだ。
どこからか、冷たい風が吹くような心地がする。
クチナシは、目を見開く。感情の1つもない視線は、PC1を射抜いた。
「どんなに人間の振りをしようと、お前は化け物だ。いつ本性が現れて隣のPC2を毒牙に掛けるかもわからねえんだよ」
「なあ、そんなにお前はその人間的理性に自信があるのか?」
「誰かを傷つけない余裕はどこからくる」
(RP)
※PCの選択、RPが揺らがない場合、クチナシはここに残ることを許す。
※場合によっては ■イベント:戦闘 へ。
「その言葉、違えねえな」
クチナシは、鋭い口調で最後にそう問いかけた。
貴方の返答を聞くと、「そうか」と大きく息を吐く。
張りつめていた何かを吐き出すような、背負っていたものを諦めて投げ出すような、大きく長い嘆息だった。
「……わかった。だが監視は続ける。少しでも妙な動きをすれば……いや」
「関係ないか。どうせ内側でアドゥムブラリがちっとでも暴れちまえば、はかなく消える夢の世界だ」
そういうと、突然クチナシは行儀悪くどっかりと姿勢を崩し、椅子に背を預けた。
「あーあ!」
「ネモとの約束だしな! ……最初から無下に追い出すつもりもなかったさ」
つぶやくような声を風に乗せ、あなたたちに向け
「好きにしろ」
と口の端をゆがめる。
・帰ることを望む
そうか、とひとつ頷く。その表情は存外穏やかだった。
「なら、さっさと行きな」
「俺たちにとっては恐ろしい場所だったとしても、もともとはお前のための次元だ」
「……まあ、俺が忘れていなければ、また扉をノックすればいい」
「茶くらいは出してやるよ」
〇PC2へ
・屋敷に残ることを望む
「そうか」
穏やかな表情で、クチナシは頷く。
「それもきっといいことだ。ここはお前のための場所だからな」
「あいつもきっとよろこぶ」
「……きっとな」
かみしめるような声色だった。彼がいったい何を考えているのか、あなたたちには理解は及ばない。
だが、少なくとも彼の眼は海のように凪ぎ、穏やかだった。
・帰ることを望む
「ああ、そうか」
「そうか……」
そうつぶやくように言った後、クチナシはPC2を見つめ、近づく。
「催眠ももう残っていない」
「そのうえで、精神的に安定した状態だ。眼球運動にも問題なし、体温も正常、言葉もはっきりしている。なにより、絵を描くことに執着する様は見られない。」
「……頑張ったな」
そしてPC2を、強く強く抱きしめた。
ふとあなたの記憶を、PC1が屋敷に来た日見た夢がかすめる。
あの時の女性的な腕ではないのに、あの時と同じくらい、優しい腕だった。
きっとあれは、精神科医に抱きしめられた日の夢だったのだろう。なぜか今、ようやくそう思い出した。
「……俺たちは、この日をずっと待っていた」
「退院おめでとう」
★二人で出る選択をした場合
→エントランス: ■イベント:理想郷の崩壊 へ
★どちらかが残り、どちらかが帰る選択をした場合
→エントランス: ■イベント:お別れ へ
★二人で残る選択をした場合
→ ■エンドU へ
■②屋敷の放棄を願う
(※屋敷を閉じるよう言う、屋敷の在り方に否定的発言をする場合、PCがどうしたいかに関わらず発生。
クチナシの精神はもはや擦り切れているため、この屋敷の存続だけに固執するようになってしまった。)
そういわれると、クチナシはぴたりと黙り込む。
あたりには風もない。花も揺れず、ただあなたたちの呼吸の音が妙に大きく聞こえた。
その沈黙を破ったのもまた、クチナシだ。
クチナシ「お前まで彼奴を裏切るのか、PC2」
クチナシ「いけにえが許せないか、お前はネモとも仲が良かったし、ローズともよく話す。だから許せないか」
「それの何が悪い! あいつはただ、お前を助けたかったんだ、PC2!」
「お前を治療したくて、それしかもうなくて、だからあいつは追い詰められて狂った。それでもお前だけは、他人や自分を犠牲にしてでも救いたかったんだ!」
「押しつけがましいか? だが、それが愛なんだろう」
「ネモは、どういう意図だかPC1、お前をこの屋敷の一員にすることを条件にいけにえになることを飲んだ。
代わりにアドゥムブラリが侵入できないようにする結界を一度消した。
お前は何一つ知らないところでな。あいつはそれでもと望んだんだよ。なあ、それだって同じじゃないのか」
「誰だってそうだろ!? PC1を連れ込む代わりに自分をなげうって周りまで危険にさらしたネモも、幻影だとしても妹とずっと一緒にいたいからって思い出すことを拒み続けるローズも!(そのローズの催眠を無理やり解いたお前らだって!)」」
喉から絞りだすような激昂だった。
これまで見たこともない形相で、口をゆがめて彼は叫ぶ。その様子は、ぎりぎりで保っていた正気の壁がぼろぼろともろく崩れ去っていくようであった。
「自分でも他人でも、何かを犠牲にしないと、誰も救えねえんだよ!」
「誰も愛せないんだよ!」
はあ、はあ、と荒い息を吐く。
いくばくか感情を抑え込むように、彼は今一度深呼吸をし、続けた。
「何といわれようともな、俺は、ずっとずっとずっと、こいつの理想郷を守るためだけに生きてきたんだよ」
「何人の人間を犠牲にしても、何をしてでもだ」
クチナシの目がひどく暗い色を帯びる。
「……それをぶち壊すなんて、俺が許すと思うか」
瞬間、背後のメイドと執事が、関節の曲がる方向すらも無視したいびつな態勢で、あなたにとびかかった。
→ ■イベント:戦闘 / ■イベント:逃走 が選択できる。
※逃走を選ぶ場合、この屋敷にとどまる選択肢は消える。
※PCたちの選択がどうあれ、この場所を否定された段階でクチナシと衝突することとなる。
■③PC1が人間になる呪文を使う
※この場では、棺の中の精神科医かクチナシ、PC2を奪うことができる。
○クチナシを選ぶ
→ ■イベント:戦闘 へ。
○精神科医を選ぶ
ダイスは必要ない。下記に進む。
PC1がその呪文を唱え始めると、クチナシはひどく狼狽し始める。
「待て、それは……」
「やめろ! それだけは、彼女だけは!」
と必死に棺に縋り付くのがわかる。
だが、そんなもの些細な行動だった。呪文の詠唱は止まらない。止められもしない。
「やめろ! もう、もうやめてくれ! 彼女を、俺から奪わないでくれ! 彼女のためにずっと生きてきた、もうそれしかおれには……!」
「お願いだ、おねがいだから……」
呪文の詠唱が、完了した。
PC1秘匿:
瞬間、君の体が、ずん、と重くなる。
とくとく、とくとく。胸の奥に、あたたかいものが染み出し、かわいらしく鼓動していた。
それが、人間が持つ心臓であることも、
そこをさして「こころ」と呼ぶことも、
君は知っている。
先ほどまで不安定だった君の体は、今やしっかりと地に足ついていた。
君は、もう化け物ではない。「人間」なのだ。
人間の姿になった場合、絵の具をSANにする。正気度とは、そも探索者だけに許された「人間らしさ」の象徴だ。
○PC2を選ぶ
※呪文の行使に3ターンかかるものとし、PC2が抵抗するなら戦闘ラウンド発生。
また、PC2が許容しようとしまいと、クチナシはPC2を守るため止めにかかる。
→ ■イベント:戦闘 へ。
■イベント:戦闘
▼エネミー
・黒のメイド
STR12/CON15/SIZ8/POW1/DEX7
HP12/db+0
噛みつき 40% ダメージ1d3
箒 25% ダメージ1d8+1+db
・黒の執事
STR17/CON15/SIZ10/POW1/DEX5
HP13/db+1d4
噛みつき 30% ダメージ1d3
こぶし 50% ダメージ1d6+db
・クチナシ
STR12/CON11/SIZ14/POW18/DEX14/APP13/INT17/EDU20
HP13/db+1d4/SAN0
回避 35%
拳銃 40% ダメージ1d10
キック 50% ダメージ1d6+db
▼戦闘処理
・PC2は狙わない。
・戦闘中に呪文を行使する場合、3ターン行動不可。
・宣言のみで ■イベント:逃走 へ移行することが可能。
・PC1が戦闘不能になった場合、PC2が連れて行くことで ■イベント:逃走 に移行が可能。
・メイド、執事は銀のパレットナイフを使用することで戦闘不能に陥る。その場合、ロールは<絵の具>か<SAN>で行う。
・クチナシが倒れた段階で執事、メイドともに動きを停止する。
▼戦闘後描写
どさ、と音を立ててクチナシがその場に崩れ落ちた。
それと同時に、敵対していた黒のメイドや執事たちが動作を停止し、一人、また一人と倒れ伏す。やがてその場に立っているのは、あなたたちだけとなった。
「ああ、くそ」
息を詰まらせながら、クチナシは棺の方へ手を伸ばす。
もはや限界の身体をひきずり、息も絶え絶えに棺のそばまでやってくると、彼は冷たいガラスに額を当てた。
「なあ、俺、これで、よかったんだよな」
その声に、返す人はいない。
ただ花だけが静かに、すました顔で凛と咲いていた。
「おい、にんげんになりたいんだろう PC1」
「じゃあ、ちゃんと使えよ」
そう言い残して、
突如、彼は機敏に動く。
首にかけていた十字架を取りあげた。
薄い光に反射して、その切っ先がナイフのように鋭くとがっていることに気づく、そして彼は、
十字架のナイフを自身に深く突き刺した。
花が揺れる。
鮮血が舞う。
それはスローモーションの動画を見ているようだった。彼から最後の力が抜け、ゆっくりと頽れてゆく。
そして、ゆっくりと目を閉じ、やがて動かなくなった。
棺に重なり倒れ伏したクチナシは、それでもなぜか十字架を握ったままだった。
一度も触れたところを見たことのなかったしろものだ。だというのに、花に囲まれ目をつむるその姿は、妙に神聖だったのだ。
なまぐさ神父は、死ぬ間際に初めて、誰かのために、神に祈りをささげたのだろうか。
もはやあなたたちにはわからない。
月が、抱きしめるように取り残された君たちを見ている。
【SANC 1/1d4+1】
→呪文を使う
PC1:
瞬間、君の体が、ずん、と重くなる。
とくとく、とくとく。胸の奥に、あたたかいものがじわじわと染み出し、かわいらしく鼓動していた。
それが、人間が持つ心臓であることも、
そこをさして「こころ」と呼ぶことも、
君は知っている。
先ほどまで不安定だった君の体は、今やしっかりと地に足ついていた。
君は、もう化け物ではない。人間なのだ。
人間の姿になった場合、絵の具をSANにする。正気度とは、そも探索者だけに許された「人間らしさ」の象徴だ。
★二人で出る選択をした場合
→エントランス: ■イベント:理想郷の崩壊 へ
★どちらかが残り、どちらかが帰る選択をした場合
→エントランス: ■イベント:お別れ へ
★二人で残る選択をした場合
→ ■エンドU へ
■イベント:逃走
▼逃走ルール
各々エントランスの絵画に行くまで、逃走ロール(DEX*5)に3回成功する必要がある。
これを選択した場合、この屋敷の外に出る選択をしたこととなる。
ここからDEX順の行動となる。
できることは以下の通り
・逃走:DEX*5
手を引いて逃げる場合は、PC1とPC2のDEX平均値*5で判定する。
先に3回成功したものがいた場合、補助を行う宣言で成功値に+10%
・妨害:任意の<戦闘技能>など
成功した場合、1d3を振る。出た出目分のメイドと執事がそのターン行動不可。
メイドと執事は全部で6体。攻撃を仕掛けてくる。
当たると成功値からマイナス10%
ローズを連れて行く、肉体を奪うなど試みる場合は1ターンかけて<目星>で発見、次のターンで行動を起こすことができる。
→エントランス: ■イベント:理想郷の崩壊 へ
■イベント:理想郷の崩壊
あなたたちはエントランスへと向かう。白い絵画は相も変わらずそこにあり、大きな扉もまた鎮座している。
道をたがえるのであれ、共にするのであれ、貴方たちが行くべき方向はもう決まっていた。
そちらへ向かおうとした、その時だ。
エントランスの奥、暗がりからずるり、と影がうごめいた。
それは、PC1、君にならわかるだろう。それはこの次元の支配者、アドゥムブラリだ。
アドゥムブラリの群れを目撃し、崩壊の危機に瀕したことによる【SANC 1d3/1d10】
彼らの侵入する裂け目は、君たちが削った空間から伸びていた。あなたたちを妬むがごとく、ずる、ずると影がしのびより、やがて絵具に、この博物館に、彼女の理想郷にひびが入る。
ここから逃げ出したいのであれば、君たちは、
一度失った人間性を、
もとより持っていなかったはずの人間性を
しっかりとつかんだまま、絵に飛び込まなくてはならない!
<SAN/2>ロール
〇成功
間一髪、白い絵画にとびこむことができる。
→ ■エンドA へ
〇失敗
・PC2が失敗、かつPC1がアドゥムブラリの場合
PC1秘匿:君であれば、きっとPC2を助けることができる。ただその背を押す、それだけだ。
しかし、同時に確信する。
そうやって助ければ、君はこの陰にとらわれて、この崩壊する世界にとらわれて、
「君」という意識はなくなってしまうだろう。
どうしますか?
→助ける
PC2、間一髪、あなたは間に合わない。
伸ばされた影の触手が君の足をつかんだ。逃がさないとばかりにそれはあなたをこの次元にからめとろうとする。
その、時だった。
ドン
衝撃を受け、君の足は自由になる。背後に見えたのは、(PC1の特徴)だった。
そうだ、つい先ほどまで、あなたの隣にいたはずのものだった。
(RP:少しだけ)
→ ■エンドA へ
・上記以外の場合
間一髪、あなた(たち)は間に合わない。
伸ばされた影の触手が君の足をつかんだ。逃がさないとばかりにそれはあなた(たち)をこの次元にからめとろうとする。
その、時だった。
ドン
衝撃を受け、君の足は自由になる。背後に見えたのは赤い髪だ。投げ出された絵具の人形が落下し、どこかに落ちる音がする。
「逃げて!」
ローズだった。あなたの代わりに影にとらわれた彼女が、泣きそうに微笑んでいた。
「さっきは、ごめんね」
「本当は、知っていたさ」
「この場所が、わたしたちを深い傷から覆い隠す箱庭であることも」
「そんな皮をかぶった、ただの餌箱であることも」
「それでも、わたしはよかった」
「マリーと一緒に、生きていられる、ここが、わたしの理想郷だったから」
「でも」
「君(たち)の生きるべき場所はここじゃないんだろう」
「さよなら」
「元気でね」
→ ■エンドA へ
■イベント:お別れ
あなたたちはエントランスへと向かう。白い絵画は相も変わらずそこにあり、大きな扉もまた鎮座している。
道をたがえるのであれ、共にするのであれ、貴方たちが行くべき方向はもう決まっていた。
辺りは静かだ。
今ばかりは、なぜだかアドゥムブラリ達の視線も感じないような気がした。
あなたの息遣い、君の息遣い。
お互いを見つめる視線。
それ以外は遠く切り離されて、まるで世界にたった二人だけのようだった。
(RP 心行くまで)
★絵画の外へ
→ ■エンドA
★扉の外へ
→ ■エンドP
★屋敷にとどまる
→ ■エンドU
■エンドA:END Anomalior
※白い絵画を通して人間の次元(外)へ出た場合
君達は、白い絵画に吸い込まれてゆく。
絵画と同じように白みゆく視界の端、あなたたちの暮らしたやさしいばしょがぱりり、ぺりりと崩れ果て。
(※崩壊イベント後の場合下記一文を加える。
誰かの理想郷は、背後で終演の鐘を鳴らしていた。)
そして…
あなたたちは気がつくと、どこかに立っていた。
大理石の床、白い壁、立ち並ぶ円柱。多くの額縁には絵画が飾られ、遠景と近景が入り混じった不思議なハーモニーを奏でている。
屋敷の中から見た絵画の白は、この壁の色が映っていたのだ。
そこが、「肖像画」であったあなたたちの目指していた外。
博物館であることを知る。
背後を振り返る。
そこには、何も描かれていない絵画があった。
夢も、理想も、正気も、狂気も、誰かの死も、そこにはもはや見えなかった。
君たちは、額縁を超えた。
額縁。それは絵画や写真、賞状等を入れて飾るための枠。
それは窓や出入り口の周囲につける化粧木。
それは劇場の舞台に使われる上下左右の区切り。プロセニアム・アーチ。
見ると見られる、世界と世界を分け隔てるものだ。
(RP)
やがて天を切り取る小さな窓の外が白み始める。
飾られた美術品たちは、ほのかな光を浴びてゆっくりと呼吸を始めた。
背後から学芸員の女性に声を掛けられ、あなた(たち)は振り返ることになるのだろう。
「ようこそ、アノマリオール博物館 「ムーサ異装展覧界」へ」
「展示品が抱える物語の一つ一つを、どうぞ心行くまで”ご覧”ください」
■エンド P:END Proscenium arch
※扉を通してアドゥムブラリの次元へ出た場合
※他人をかばうなどして、崩壊に巻き込まれた場合
それぞれ辿った分岐によって下記を読み分ける。
○崩壊イベントなし→
「そうして、あなたは扉の先へ向かった。
黒く染まりゆく視界の端、あなたたちの暮らしたやさしいばしょがぱりり、ぺりりと崩れ果て。」
○崩壊イベント後→
「そうして、あなたは陰に飲まれた。
黒く染まりゆく視界の端、あなたたちの暮らしたやさしいばしょがぱりり、ぺりりと崩れ果て。
誰かの理想郷は、背後で終演の鐘を鳴らしていた。」
そして…
気がつくと、穏やかな闇に抱かれ、あなたはその次元に揺蕩っていた。まつ毛を揺らし、遠く見上げれば、きらきらと星の輝きが微笑みかける。
PC1、あなたは帰ってきた、と感じることだろう。
そこは、どこまでも静謐だ。
と、感じたのは、ほんの一呼吸の間だけだった。
見られている。
視線が、視線が、視線が、一斉にあなたを「見た」。
かつてこれほどまでに悍ましい目線を感じたことがあっただろうか。
上空に瞬くそれは星などではない。夥しいほどの目だ。キシキシ何かが擦れている。カサカサ何かが蠢いている。
PC1→それは、裏切り者であるあなたを妬み、嫉むものたちだった。
PC2→それは、この次元を統べるものが、獲物を見定めた知らせだった。
視線にさらされ、無遠慮に丸裸にされる。いやらしいほどゆっくり伸ばされた陰に巻きつかれ、締め上げられ、呼吸もままならない。化け物の伸ばした鋭いものが皮膚に突き刺さった。あなたという個は、意思とは無関係に解釈され、ずるり、と吸い上げられてゆく。痛い、痛い、いたい。
冒涜的な感覚とともに、冥府に続くまどろみへとあなたは落ちてゆく。
その時だった。
なにか、あたたかなものがあなたに触れた。
「大丈夫」
女性の声がする。それはきっと、君のよく知る声だった。酩酊した意識では、はっきりと見定めることもできない。
声はやがて白く美しいかいなとなって、あなたの手を引く。
「一緒に眠りましょう」
「ふたりなら、どこまで行っても、さみしくないわ」
抱きしめられ、背を撫でられ、あなたはようやく息をついた。
あなたは、額縁の内側を選んだ。
額縁。それは絵画や写真、賞状等を入れて飾るための枠。
それは窓や出入り口の周囲につける化粧木。
それは劇場の舞台に使われる上下左右の区切り。プロセニアム・アーチ。
見ると見られる、世界と世界を分け隔てるものだ。
あなたは、世界の奥、深淵の底へと、沈む。
不思議とそれは穏やかだった。
確かに愛された君は、見守られながら、とこしえの眠りに身を任せた。
おやすみなさい。
■エンドU:END Utopia
※屋敷に留まることを選んだ場合
ぱちり。
ひとつ、まばたきをした。
目の前に広がっていたのは、いつもの変わらぬお屋敷でした。
窓から取り入られた白いひかりを反射して、細かなほこりがきらきらと舞っています。
壁も、床も、触れあう肌も、ぱりぱり音を奏でるものなどありません。
あなたの「見た」ものこそが、正しくそこにあるものなのですから。
静かな屋内にいると、中庭で遊ぶローズとマリーの会話も、メイドの駆け回る音も、胸を締め付けるくらい、おだやかだったのです。
(RP 満足いくまで!)
あなたは、額縁に収められた理想郷を選んだ。
額縁。それは絵画や写真、賞状等を入れて飾るための枠。
それは窓や出入り口の周囲につける化粧木。
それは劇場の舞台に使われる上下左右の区切り。プロセニアム・アーチ。
見ると見られる、世界と世界を分け隔てるものだ。
やがてあなたは、ユートピアにて死す。
それが幸いであることを祈って。
■:エンド取り扱い
◎エンドA
探索者生還
▼エンド報酬
・AF【正気度】
あなたが人間であり、探索者である証。
これを所持し続ける限り、冒涜的で愛に満ちた様々な「シナリオ」を経験し続けられる。
・さらに正気度回復1d10
◎エンドP
探索者特殊ロスト
※アドゥムブラリの次元にて精神が眠りにつく特殊ロストエンド。
もしも、【絵の具】が【SAN】になっていた場合は下記を追加
▼エンド報酬
・AF【正気度】
あなたが人間であり、探索者である証。
これを所持し続ける限り、冒涜的で愛に満ちた様々な「シナリオ」を経験し続けられる。
特殊ロストだが、救済シナリオやお別れシナリオに連れて行くことが可能。
共に眠りについた誰かの腕が、新たなシナリオの次元へ手を引いてくれることだろう。
◎エンドU
探索者特殊ロスト
▼エンド報酬
・AF【絵の具】
あなたがこの絵画の中を選んだ証。
これを所持し続ける限り、優しい箱庭を夢見続けられる。
精神体として屋敷の中で暮らしていく特殊ロストエンド。
探索者の選択次第で、今後絵の具をいずれ外を目指す時が来るかも知れないし、永劫幸せな夢を見続けるのかも知れない。それは探索者次第だろう。
催眠術は、被催眠者の享受によって成立する。
ただし、そこには定期的な犠牲が必要となることを忘れてはいけない。
■:おわりに
「PLに、GMに、シナリオに、NPCに、ダイスに、」
「そして、運命に愛された君へ」
探索者はPLによって制作された美術品だし、シナリオは彼らが展示される博物館だと思って作成しました。
自分の意に反して鑑賞されて、解釈されて、好き勝手に愛される「理不尽さ」をちょっとでも楽しんでもらえたらいいなとおもいます。
ここまでご覧くださりありがとうございました!
シナリオ作成:しらぬま彼方
■:クレジット
格別の感謝を捧げます。
・シナリオ名:潮騒に月見里
シナリオ作者:七篠K(Twitter:https://twitter.com/trpgkallase)
・シナリオ名:然らば永劫、見よ美し
シナリオ作者:かあこ(Twitter:https://twitter.com/nisekaako)
・シナリオ名:爛爛
シナリオ作者:つきのわむく(Twitter:https://twitter.com/tukimeguri)
以下の画像は企画「ムーサ異装展覧界」開催期間内において、セッション目的でのみ利用可能。
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