ムーサ異装展覧界
The Grimoire of Evil
The Grimoire of Evil
小早川
展示「古本」
【諸注意】
・一部過激な表現を含む場合があります。
・ダイスの結果によってキャラロストする可能性があります。
・上記の為、継続探索者を使用する場合はご注意ください。
【シナリオの 6版/7版 コンバートについて】
可能。ただし、シナリオの根幹が変わるような改変は不可。
【シナリオに関するお問合せ先】
TwitterのDMにてお問合せください。
https://twitter.com/Koba_noshin
【概要】
「The Grimoire of Evil」
よみ:ジ グリモワール オブ イービル
作 :小早川
テーマ:古本
プレイ人数 :2人
プレイ時間 :4~5時間
推奨技能 :なし
シナリオ傾向:刑事×犯罪者/秘匿あり/一本道シティ
近頃巷を騒がせている異常連続殺人事件。
手口は不明だが、そのどれもが綺麗に首を落とされており、ほとんど抵抗の跡も見られないという。
特筆すべきは、落とされた頭部が見つからないこと。被害者は全て犯罪者か、それに類する行いをした者であること。
その一貫した殺害の矜恃のようなものが、一部の若者を中心にカルト的人気を誇っている。彼らの間で犯人のことを首切りの断罪者「コンヴィクター」、一連の殺人は【サバキ】と呼称され礼賛の声も上がるほど。
しかして、強権なる統制は幾ばくの秩序を齎し。
果たして、正義と悪は表裏一体となる。
すべては、魔書の言う通り。
以下、KP向け情報となります。
HO紹介
本項ではPLに開示、また選択してもらうHOの詳細について記す。
HO1 敏腕刑事
貴方は人一倍正義感の強い人間だ。刑事の路へ進んだあなたは世に蔓延る悪をより身近に実感し、看過できないものと認識しているかもしれない。
そんなとある日、とある博物館のチケットを手に入れた貴方は気分転換にと訪れた。
そこで、存在しえない古書の展示を目にしたとき、貴方は取り憑かれてしまった。悪の魔書に。
その日以降、貴方は夜ごとナニモノかに語り掛けられる。
『悪ヲ滅セ』『罪二罰ヲ与エヨ』と。
その声に呼応するかの如く貴方の意識は闇に沈む。気が付けば黒衣を身に纏い超常なる力をもって、人に害なす悪人の首をその手で落としていた。
殺しても殺しても声は鳴りやまず
落としても落としても悪は潰えない。
その身朽ち果てるまで、悪意を喰らう断罪者”コンヴィクター”となりつづけるのだ。
貴方は魔書に魅入られてしまい、魔書の下す殺害の指令に逆らうことができない。
その代わり魔書の力を借りることができ、黒装束に身を纏って鋭利な武器を持たされる。
その装備をもってして貴方は制裁に及ぶことができる。
そして、貴方の落とした首を魔書は一呑みで喰らってしまうのだ。
【覚醒】
夜になると、貴方は魔書の力を身に纏うことができる。
HPが倍化、dbに+1d6。任意の刃物を装備し、技能は80%として扱える。
短距離であれば瞬間転移が可能である為、死角に回るなどして回避不可の攻撃を行える。
貴方が自分の行いにどういった思考を抱くかは任意であるが、事実”コンヴィクター”の出現によって日本の犯罪率は低下の一途を辿っている。
HO2 特殊犯罪者
あなたはとある魔術師一族の末裔だ。あなたの一族には使命がある。それは先祖が世に放ってしまった『悪の魔書』なるものを探し出して処分することである。
人がその魔書に触れると、悪意に飲み込まれ憑りつかれてしまう言い伝えられている。これは一族の恥でもあるが、衆目に晒されるべき内容では無いため他言無用の掟がある。
現在に至るまで明確な魔書による事件を誰も確認できていない為発見はおろか情報もほとんど無い状況である。
そんな折、あなたの元に魔書の存在を知る人物から『本について情報共有をしないか』とコンタクトがあった。藁にもすがる想いでその提案をあなたは承諾し、指定されたとおり黒装束を纏ってとある廃工場へ赴いた。しかし、その場所には誰もいなかった。否、直後押し寄せた警官隊によってあなたは訳も分からず拘束されることになる。連続殺人事件の被疑者として。
あなたを担当した刑事、松原章一はあなたに魔術の素養があることを看破し、こう話を持ち掛けてきた。
「俺に手を貸してもらおう。そうしたら、君が犯人じゃないってこと認めよう」と。
あなたは優秀な魔術師である。任意の呪文を3つまで修得することができる。
(推奨:攻撃系・人心操作系)
また、MP20を貯蔵した装身具を身に着けている。
人物紹介
松原 章一 -マツハラ ショウイチ-
元探索者の刑事。過去に怪事件を解決した経歴があるが、代償に大切な友を失っている。
その功績から警察の一部上層部に認められ、一般人では対処が難しい特殊事件を扱うよう言い渡されている。
一見だらしなく見えるが、実際だらしない。
根回しと情報網に強いため、松原を出し抜くことは非常に困難である。
自身から首を突っ込むのはいやなので、適役とばかりにHO2に厄介ごとを押しつけた。
間 大五郎 -ハザマ ダイゴロウ-
連続殺人事件 本部長。頑固一徹なザ・昭和刑事。
現場百遍タイプで功績は優秀だが、こと今回の事件では役たたずらしい。
強い正義感を持つHO1を気に入っている。
最近の悩みは涙もろいことと喫煙スペースの少なさ。
古書店のバイトちゃん
ひと気のない古書店の店番をし続ける物静かな少女。
見た目年齢は十代中ごろといった様子で、勤務の経緯は不明。
曰く「時給がいいから」という理由だけで働いている。
とはいえ店をほったらかしにし続ける店主にはフラストレーションがたまっている。
古書店 店主
奇妙な本や骨董品を蒐集する事が趣味な変人。
何か明確な目的があるようには見えず、その素性も謎。
浅黒い肌のアラブ系男性だったり、赤髪にハーフマスクの青年だったりする。
本編に登場させるかどうかは任意である。
全てを知った風な口ぶりでで探索者にヒントを与えてもいいだろう。
模倣犯
STR:15 CON:11 POW:22 DEX:16
APP:7 SIZ:16 INT:18 EDU:17
・こぶし/キック80% ・鉈80% ・回避50%
・肉体の保護 ・幽体の剃刀 ・門の創造 ・マインドブラスト
HO2の家名に名を連ねていた人物。それゆえ苗字はHO2のものからいただくのがいいだろう。
名前はKPの裁量で決めてよい。
魔書の存在をいち早く見つけ、私利私欲のために悪用しようとしているコスい悪党。
コンヴィクターと同じような殺人を犯していればいずれ本人と会えると確信していた。
ケタケタと狂ったように笑う黒装束の人物である。
prologue
2021年6月6日
警視庁 異常犯罪特別対策室
「クソっ!」
そう怒鳴り散らしながら勢いよく机をたたくのは、厳めしい顔をした壮年の男性。間 大五郎。
彼は近頃世間を賑わせている連続異常殺人事件を追うチームの指揮権を執っていた。しかし、この様子を見るに状況が芳しくないことは一目瞭然だ。その場にいた数十名の刑事たちも、大五郎の憤りに少なからず共感しているだろう。
連続異常殺人事件。手口は不明だが、そのどれもが綺麗に首を落とされており、ほとんど抵抗の跡も見られないという。特筆すべきは、被害者は全て犯罪者か、それに類する行いをした者であること。その一貫した殺害の矜恃のようなものが、一部の若者を中心にカルト的人気を誇っている。彼らの間で犯人のことを首切りの断罪者「コンヴィクター」、一連の殺人は【サバキ】と呼称され礼賛の声も上がるほどである。これらの世論が、事件解決に奔走しつつも成果を出せない警察側の士気を大幅に下げていることは言うまでもない。
陰鬱とした雰囲気の会議室に、入室する人物がいた。その男はゆったりとした足取りで大五郎の元までくると、封筒から取り出した紙を差し出した。大五郎は男の顔をにらみつつもその紙に目を通し、間もなく目を剥いた。
「ッ!ふざけるな!対策チーム解体だと!?おい松原、なんの冗談だこれは!」
松原と呼ばれた男は後頭部をポリポリと掻いて答える。
「エイプリルフールならとっくに終わってますって。これは上層部からの命令ですよ、大五郎さん」
「この事件は、俺が引き継ぐんで」
事も無げにそう言い放ち、踵を返す松原。その場にいた刑事たちに「お疲れ~」と軽く手を振り、そのまま会議室を後にした。
残された大五郎は口をパクパクとさせ、目を伏せる。松原の持ってきた封筒を握りしめ、勢いよく机を叩いた。
「クソっっ!!!」
chapter.1 合縁奇縁
2021年6月7日 東京某所 喫茶店
「…と、言う訳で。君らには、いま世を騒がせている怪事件を解決して貰いたいんだよね」
席に着くや否やコーヒーを3つ注文した松原は、すかさずそう切り出した。
「あ、紹介遅れた。こっちがウチでも優秀なデカ、HO1くん」
「そしてこっちが、こないだ逮捕した異常殺人事件の犯人(仮)のHO2くん」
そういって、目の前に座る探索者二人を紹介する。
「HO2くんが無罪を主張するもんだからさ、拘留期間中の今のうちに真犯人見つけてそれを証明してほしいわけ。俺だって疑いたくはないんだよ?でも状況がねえ…」
「まーでも、今回においてHO2くんはとても役に立つと思うから、HO1はしっかりサポートしてあげることな」
探索者たちの言葉をのらりくらりと交わし、松原は資料を渡す。
「きっと君たちならできるって、信じてるからさあ。ほら、今朝の事件の調書だよ」
【最新の事件】
2021年6月7日 未明
江東区のアパートで首切り死体が発見された。
被害者は無職・猪俣秀夫(36)。首元を鋭利なもので切断されており、頭部も発見されていないことから一連の異常事件と同一の犯行と見られている。
第一発見者は安藤美香(17)。数日前から行方不明になっていた安藤は、猪俣によって誘拐・監禁され性的暴行を受けていた。事件当日の朝、安藤が目を覚ますと、猪俣は部屋の中で壁に凭れて亡くなっていた為、猪俣が所持していたスマートフォンの緊急ダイヤルで通報に至ったとのこと。
当時は、安藤の逃走を防ぐためか部屋の鍵はダイヤルロックとチェーンの二重でかかっており、侵入は不可能であったという。
【HO1用情報】
猪俣は昨晩貴方が断罪した男だ。
「江東区なんて車出せばすぐ行けるっしょ。頼んだわ」
「君たちは急ごしらえのコンビってことになるから、ちゃんと仲良くな?あと俺の名刺ね、なんかあったら連絡して!出れるかわかんないけど!」
提供されたアツアツのコーヒーをグイっと一口で呷ると、自分のコーヒー代だけその場においてそそくさと出て行ってしまった。
貴方たちは仕方なく、江東区の事件現場へと赴くことになるだろう。
(現場へ向かう道中、二人の会話を促したり食事をとらせるなど、交流の機会をとるとよい)
江東区 事件現場アパート
今朝発覚したばかりの事件の為、あたりは騒然としている。警察によって現場一角は封鎖され、その周りを近所のやじ馬がたむろしている。HO1にとっては見慣れた光景だ。
人ごみをかき分けてKEEPOUTのテープをくぐり、部屋まで向かうことができる。HO1が名前を出すなら、どうやら松原から話は通っているようで道を開けてくれるだろう。
部屋に入ると、むっと鼻を衝く鉄さびた悪臭を感じる。何度嗅いだことがあろうと、この悪臭に慣れることは難しいだろう。さらにこの部屋はそれ以外にも生ごみやろくに洗濯もしていない脱ぎ散らかした衣服、度重なる性行為の跡などが散乱している。数人の警察関係者が部屋の外でうずくまって戻していたのもうなずける状況だ。0/1の正気度喪失。
鑑識らの調査・保存もあらかた終了し、現場科学検査班による鑑定が行われている。その脇で貴方たちも現場を調べることができるだろう。
〇探索箇所の提示
[玄関、遺体、棚]
・玄関
調書にあった通り、ダイヤルロック式の鍵とチェーンで二重に鍵がかかっていた様子。外側からはおろか、内側からも開けることは困難であろうことは明白である。現在は警察の手によってチェーンは切断されてしまっているが、それ以外に無理やり開けた痕跡はない。
◇<アイデア>
【HO1用情報】
随分と強固なカギだが、転移によって侵入した貴方には無意味なことだ。
【HO2用情報】
そも、深夜にこれほどのロックを無理やり開けようとすれば大きな音が鳴るだろう。
・遺体
首元で綺麗に切断されている男性の遺体。
◇<目星・アイデア>
【HO1用情報】
あなたが自らの手によって処刑した、クズの遺体。思い出したくもない悪人の姿を見て、断罪の瞬間がフラッシュバックする。わずかに憤り、あの魔書がケタケタと笑った気がした。1/1d3の正気度喪失。
【HO2用情報】
争いや抵抗の形跡も見られず、断頭されている。果たして人間の首というものは、人の手によってこのように切断できるものなのだろうか。そして落ちたであろうはずの頭部が転がったような血痕も見当たらない。まるで切断された瞬間に頭部が消し飛んでしまったかのようだ。あまりに異質で不可解で不愉快な光景に1/1d3の正気度喪失。
また、あなたはこの遺体とその周辺から微かに魔術の痕跡を感じることができる。しかし、元を辿ることも何の魔術なのかも判別がつかない。
・棚
無造作に詰め込まれている生活用品の中に、一部だけ少し整頓された引き出しがあった。そこには、中高生女子の写真が2枚セットでいくつも保管されていた。一枚目はおそらく盗撮だろう、制服を着た元気な姿。もう一枚はこの部屋であられもない姿にて手足を縛られ蹂躙された後の写真。この猪俣という男が、どれほどの罪を重ねてきたのか。そのすべてをアルバム感覚で保管している尋常ではない精神に血の気が引くかもしれない。0/1の正気度喪失。
貴方たちがあらかた捜査を終えると、外から叫び声が聞こえてくる。
その場へ向かうなら、薄汚れた格好で頭を振り乱す少女がいた。
おそらく第一発見者の安藤美香だろう。
周囲の女性警官が必死に宥めようとしているが、聞く耳を持たず叫び散らしている。
◇<聞き耳・日本語>
「あたしは救われたの、”コンヴィクター様”によって!」
「警察なんて、後始末をするだけ、本当に苦しんでる人たちを助けてはくれないの!」
「いや!あたしもあの方のようになりたい!悪人たちに等しく正当な【サバキ】を!!」
どうやら精神錯乱状態に陥ってしまっているようだ。精神分析を行うことも可能だが、落ち着きを取り戻すだけで言葉を発することはなくなるだろう。間もなくして少女はパトカーに乗せられ、この場を後にした。家族との面会後、場合によっては精神病棟へ移送されるのかもしれない。
◇<図書館・オカルト>
Convictor とは、英語で「判決を下す」というような意味を持つ。語源は中世の首切り処刑人のことを指していたといわれる説もある。
初動捜査はここにて終了し、貴方たちは一度本部に戻ることになるだろう。
(朝の時点で交流の機会がなかった場合、この段階で行わせてもよい)
東京都 警視庁 玄関
貴方たちが本部へ戻ると、苛立った様子の男が缶コーヒーをあおっているのが目に入る。男はHO1に気づくと声をかけてくる。
(大五郎は優秀なHO1を目にかけているため、認識はあっていいだろう)
「HO1!ちょっとこっちに来い!」
怒気を孕んだ声を振り絞り、グイっとあなたに近づくと肩をガッと掴まれる。
「お前、松原の推薦であの事件を担当しているんだってな……」
「頼んだぞ!ついぞ俺では解決へ導くことはできなかった。だがお前なら!刑事然とした正義感を持つお前ならきっとやれる!」
厳めしい顔にさらに皺を寄せてそう激励してくるだろう。
彼、間 大五郎は薄っすらと目に涙を浮かべていた。
そうして隣にいるHO2に視線を移す。大五郎は低く唸った後、口を開く。
「こいつぁ誰だ?」
「ふん、くれぐれも足を引っ張るんじゃねえぞ」
ひとしきり話して貴方たちをしっしと追い払おうとする大五郎だったが、ふと何かを思い出したように鞄をあさり、ファイリングされた資料を手渡してきた。そこには『マル秘!断頭殺人事件』と書かれていた。
「俺らが血眼になって探した過去事件をまとめたモンだ。役立てろよ」
大五郎はあなたのほうは見ず、そう言い放ち懐から煙草を取り出す。口に咥えたところで『庁内禁煙』の張り紙を目にし、ため息を吐いた。
「生き辛い世の中になったもんだ…」
警視庁 内部
庁内で落ち着ける場所を見つけ、大五郎から受け取った資料に目を通すことになる。
【マル秘!断頭殺人事件】
以前に大五郎が指揮を執っていた異常殺人事件特別対策室による調査資料のまとめ。要点は以下。
・事の始まりとみられているのは2021年5月20日に起きた事件。被害者は上森和也(28)。当時は深夜の2時13分ごろ、杉並区の路上で同僚である岸瀬弘之(27)と口論になった。激昂した上森は岸瀬を絞殺し、その場から逃走。これは目撃者からの証言と監視カメラの映像から明らかになっている。しかしその直後の2時24分ごろ、後を追った目撃者が上森の首無し遺体を発見したという。
・上記の事件を皮切りに、毎日のように都内で首無し遺体が発見されるようになった。ある時はひき逃げ車両の中で。ある時は銀行の金庫内で。またある時は大企業の秘書室で。おおよそ人が侵入して犯行に及べるような場所でないケースも多々起こっている。
・犯行に共通点を上げるのならば、まず第一にその殺害方法。すべて首から先を鋭利な何かで切り落とされ、頭部は発見されていない点。第二に被害者がみな何らかの罪を犯した人物である点。第三に犯行はすべて夜間に行われているという点。第四に犯行は主に都内で行われているという点。
・以上のことから、犯人が尋常な人間であると仮定した場合、複数犯であり、被害者の行動や犯罪歴をある程度把握できる情報網を持っている。尚且つ、昼間に表立って動けない何らかの理由がある(殺害道具の運搬の為か)。
・近頃は都外でも類似する事件が発生している、おそらく模倣犯だろう。犯罪者のみをターゲットとした一連の殺人事件によって、少なくとも都内の犯罪率は急激に減少の一途を辿っているのも事実である。世間では”コンヴィクター”などと呼称され持て囃されているようだが、単なる極悪な殺人者でしかない。早急に捕え、然るべき処罰を与えねばならない。
意見を交わしあい、この日の探索は終了。
犯行は夜間に行われるが、人間一人でどうこうできるものではないと思われるため、HO1は自宅待機を厳重に言い渡されている。HO2は拘留期間中の為、拘置所へと戻ることになる。
夜間の行動は個別フェイズへ。
【HO1】
断罪の時がやってきた。
貴方の傍らに現れた魔書は、命令を下す。
「悪ヲ許スナ…断罪セヨ…」
その言葉通りに今日もまた黒装束に身を包み、夜の街を駆ける。
今宵のターゲットは港区の麻薬密売人。
ひと気のない倉庫の中で、取引が今まさに行われようとしている。
(ここではHO1がコンヴィクターとして悪を断罪するシーンを演出しよう。刃物技能を振らせ、三下悪党の首を刎ねてもらってもよい。刎ねられた首は魔書がぺろりと食べてしまう。)
あなたが今宵の断罪を終えた帰り道。
とある裏路地にて貴方は出会った。同じように黒装束を纏いて夜に暗躍する影と。
その影も貴方に気が付いたようで、進行方向を変え貴方へ急接近。そのまま襲い掛かってきた。
かろうじてその一撃を躱した貴方に、影は上ずった声で語り掛けてくる。
「もしかしてアンタ、”ホンモノ”かい…?」
戦闘開始。
VS ???
HP20 MP30 肉体の保護20点 db+1d4
STR:15 CON:11 POW:22 DEX:16
APP:7 SIZ:16 INT:18 EDU:17
・こぶし/キック80% ・鉈80%(1d8+db) ・回避50%
・肉体の保護 ・幽体の剃刀 ・門の創造 ・マインドブラスト
HO1の凄まじい攻撃に感嘆するように笑いながら3R程戦闘に興じる。
ダメージが嵩んで来たあたりで頃合いを見て戦線離脱する。
「ああ残念。そろそろ時間だ。楽しかったよ」
「ゆっくり話したいこともあるし、また明日にでも会おうね、コンヴィクター」
そう言葉を残すと、背後に現れた闇の中へ消えていく。貴方の瞬間転移でも追いきれない。
【HO2】
拘置所の舎房にて間もなく就寝時間を迎えるころ。
現段階では、貴方の容疑を晴らす事の出来る有力な手がかりもいまだ見つけられていない状況である。
そんな折、おしゃべりで嫌味な担当刑務官が点検にやってくる。
「随分と焦っているようだな、まあ容疑をかけられてるんじゃあ当然か」
「お前も俺みたいに、休日は優雅に博物館で美術品の鑑賞に耽るような生活をしていればこんなことにはならなかっただろうにな」
「とはいえ、そんな博物館からも盗みを働く不埒な輩はいるもんだ。知ってるか?先月の古書盗難事件。俺も詳しくは知らないんだが、本好きとしては許せない話だぜ」
「いずれにせよ連続異常殺人犯であるお前には関係のない話だな、はっはっは!」
(ここではHO2の魔術やアイデアを行使して刑務官を懐柔・洗脳し脱獄してもらおう。普段の持ち物は別室にて保管されているため、目の前の刑務官さえどうにかできれば外に出れる。)
なんとか拘置所を抜け出すことに成功した貴方は、博物館から消失した本について調べを進めることができる。
◇<オカルト、図書館、知識半分>
アノマリオール博物館という場所で5月18日より行われていたとある展覧会が行われていた。曰くつきや不可思議な物品を数多く取り扱っていたというその場所で展示されていた本の名前は『The Grimoire of Evil』というものだった。出自を辿ると、それはとある古書店から寄贈されたものらしい。どうやらこの場所からそう遠くなく、古書店にしては珍しくまだギリギリ営業時間のようだ。
タクシーなどを使い、貴方はその古書店までたどり着く。大通りからわき道にそれた裏路地に居を構える古書店は、間もなく閉店時間のようで年の若そうな女性店員が店仕舞いの準備を進めている。
「こんな時間にお客さんですか?珍しい……いらっしゃいませ。何をお探しで?」
聞くところによると彼女はアルバイトであり、店主はめったに姿を見せないのだという。
・The Grimoire of Evilについて聞く
「あ~、じ…なんとかかんとかね。店主が話していたのを少し聞きましたよ。なんでも、結構な呪詛・怨念が籠った魔術的に価値のある代物だとか。でも、『悪魔に魅入られるような才能ある人間でも現れない限り、あの本は目覚めることもないだろう』っていってましたね」
・実際に本が目覚めた、世間を騒がせている事件はそれによるものだ、などと伝える場合
「…本当です?なんて事をしてくれたんですかあのバカ店主は…」
「申し訳ありません、詳しいことは私ではわかりかねるので……」
「すみません、店主今日も帰ってこないみたいなので、そろそろ閉店します。確か明日の日中に店主が帰ってくると言っていたので、なるべく捕まえておきますね」
ばいばい、と彼女は手を振り貴方を見送るだろう。
(MP回復の為とさらなる余罪回避のため、拘置所に戻って休むことを推奨しよう。)
chapter.2 暗中飛躍
2021年 6月8日
朝、HO1はHO2を迎えに拘置所に向かうだろう。
なぜか昨晩の記憶があいまいな担当刑務官に話を通し、HO2は再び外に出ることができる。
本日も例の事件を解決するための捜査になるだろう。その為いったん警視庁へと車を走らせる。しかし、その道中、無線が飛び込んできた。
『千代田区にて殺人事件発生。千代田区にて殺人事件発生。例の首切り事件と思われる。担当刑事は至急現場へ向かわれたし、繰り返す__』
貴方たちの車は方向を変え、千代田区へと急ぎ赴くこととなる。
千代田区 現場
現場に到着した貴方たちが目にしたのは、例に漏れず首の無い遺体。
被害者は江藤信二(25)。二輪車で歩行中の女性からバッグをひったくって逃走中だったとのこと。
住宅街の塀に激突し二輪車は大破。首無しライダーはそのまま路上へ放り出され絶命していた。
0/1の正気度喪失。
〇探索箇所の提示
[道路、遺体]
・道路
◇<追跡、目星、運転>
激突した塀までの路上に、いくつかブレーキ痕や靴を擦ったような形跡が見られる。果たして一瞬で首を落とされた人間にこのようなハンドル操作が可能だろうか?
・遺体
◇<目星、医学>
今回の被害者の首元は、一連の連続殺人のような綺麗な切り口ではないことがわかる。非常にわかりづらくはあるものの、鋭利な何かで何度か切り付けられたような痕跡がある。
(遠くから何度も幽体の剃刀によって首を斬りつけた為、このような状況になっている。)
◇<アイデア>
【HO1用情報】
これはもしや、昨晩出くわした黒装束による犯行かもしれない。思えば遭遇した時も千代田区の方角からやってきたことを思い出す。そうなれば、彼もまた魔書に取りつかれた同胞なのだろうか?
『明日また会おう、コンヴィクター』
そう言葉を残していたが、いつ姿を現すだろうか。
【HO2用情報】
立派な犯罪ではあるものの、ひったくり程度でサバキが行われるのだろうか?コンヴィクターの殺人に見せかけた巧妙な模倣犯の仕業の可能性も大いにあるだろう。これも魔書による被害のひとつなのだとしたら、こうして事件を追っているのでは埒が明かない。
『明日の日中に店主が帰ってくる』
今ある手掛かりは、昨晩の彼女の言葉のみだ。
この場で得られる情報はこのくらいである。HO2が古書の件を共有するならば、古書店へと向かうことになるだろう。
東京 某所 裏路地
大通りからわき道へとそれた裏路地に居を構える、ひと気のない古書店へやってきた。なぜこのような場所に店を構えたのか、儲かる気がないとしか思えない立地である。
店は営業中のようで、店頭に立って掃除をしている少女がいる。貴方の来訪に気が付くと、少女はお辞儀をしてくれる。
「あ、お客さん、ようこそいらっしゃいました。って、惜しかったですね、ついさっきまで店主来てたんですけどまた出ちゃいました……」
肩を落として申し訳なさげに彼女はそう言った。
「でも、安心してください。お客さんがまた来てくれたらお伝えする内容は店主から伺ってます。さあ、どうぞ中へ」
店内へ招いてくれるようだ。
古書店 店内
外観から感じた印象とは打って変わり、内装は思った以上に広いものだった。様々な言語で綴られた書籍の類が所狭しと本棚に押し込められている。この広い店内をアルバイト一人に任せきりなのだとしたら、ここの店主は正気ではないとしか思えない。
「埃っぽいんで、あんまり吸い込まないようにしてくださいね」
「さて、店主の話だとこのあたりの一角にお客さんの求めてる情報が眠っているはずとのことでした。詳細までは私たちも分かりかねてしまうので、お手数ですがここからお探しいただいてもよろしいですか?」
<図書館、目星、幸運>
『セイギのみかた』という物語を綴った本が見つかる。
【セイギのみかた】
とある所に、正義感の人一倍強い男がいました。男は悪を憎み、自分の身を呈してでも正しくあろうと人々に訴え続けました。それこそが、みなが幸せになる唯一の道だと信じて疑いませんでした。
ところが人々は、ほんの些細な悪事にも罰を求め続ける男を受け入れられなくなっていきました。自分が受け入れられないのは、正義が足りないからだと、男はいっとう強引に悪を裁いていきました。
彼は、誇りたかった家族や血縁の人間にもいよいよ疎まれ、ひとりぼっちになってしまいます。
独り善がりな"正義"はいつしか"悪"と烙印を押されてしまい、男は狂ってしまいました。そうして、誰よりも正義をめざした男は悪意の神に見初められてしまうのでした。
本の詳細や筆者などは記載がなく、少女に尋ねても首を横に振るだろう。
本を調べ終えると、少女が申し訳なさげに歩いてくる。
「目的のものは見つかりましたか?お力になれず申し訳ありません……」
「代わりと言っては何なのですが、こちらをお納めください」
そういってHO2に手渡してきたのは、布で包まれた何か。
開いてみるとそこには、刀身に奇妙な文様が彫られ淡く光を放つナイフだった。
「店主が最近仕入れたとかいう”はまのないふ”というものらしいです」
「随分と大事そうにしていましたが、いいんです。少しは痛い目を見ればいいんですよ」
(この破魔のナイフは最終局面において使用するキーアイテムだ。少女は理解していないので、めちゃくちゃなイントネーションで発音するといいかもしれない。)
「あ、先ほど読んでらっしゃった本も持ち出してしまって構いませんからね」
「きっと、貴方のお役に立ってくれると思います」
(こちらの本も、後ほど情報を出すために必要なアイテムである。なんとかしてHO2に持ってもらおう。)
そうして、用事を済ませた貴方たちは古書店を後にするだろう。
夕暮れ 裏路地
店を出て大通りや車へと向かう道中。ビルに囲まれたこの場所には光があまり差して来ず、都会特有の孤独で不気味な雰囲気を漂わせている。一層暗く見えるその道の奥から、拍手をしながらとある人間が姿を現す。
黒装束に身を包み、フードを目深に被って表情の見えない怪しげな人物がそこにはいた。
「やあ~、ヒ・サ・シ・ブ・リ」
(これは両者に言っている。)
僅かに見える口元はニタニタと気色の悪い笑みを浮かべているのが見て取れる。
「おっと、下手な真似をするなよ?こいつがどーなってもいいのかい……?」
と言って、男はスッと腕を上げると、HO2のほうへと腕を伸ばす。
HO1がそれを庇おうとしたり、声をかけたりすると男は高い声で笑う。
「なァんてな、用があるのはアンタだぜ」
方向を変え、男はHO1のほうへ向けて指をパチリと鳴らした。
瞬間、あなたは直接精神に作用する錯覚か幻覚のようなものを見る。
【HO1用情報】
世界のすべてが貴方を糾弾し、貴方の掲げる正義に誰も賛同せず、あなた自身が悪と断ざれ処刑される。怒りと苦しみと悲しみの果てに至り、しかしそこには積み上げられた髑髏の山と奇怪に笑う大きな口が存在しているばかりだ。やがて口は開かれ、貴方の意識は喰い潰された。
正気度5減少。強制発狂により気絶。
HO1の身体はその音と共に硬直し、ぷつりと糸を切ったようにそのままゆっくりと倒れ行く。
黒装束の男はスッと近寄りHO1の身体を担ぎ上げる。
「大事なお話があるからな、邪魔者は失せな」
そう言いながら、HO2へニタリと笑いかける。ほんの一瞬、顔が見えた気がした。しかし男はそのまま、この街を包みゆく闇の中へと姿を消してしまった。
共に事件を追っていたHO1が目の前で何者かに攫われてしまった事により0/1の正気度喪失。
chapter.3 破邪顕正
【HO2】
夕暮れ 裏通り
◇<アイデア>
先ほどちらりと見えた男の顔。そして今目の前で行使された魔術の数々。そして気色の悪い笑い方。
頭の中でピースがつながる音がした。アレは、貴方の血筋に名を連ねる同族であることを思い出す。
魔術の才には長けていたものの、素行が悪く人道を外れた行いから一族を追放されたはずの男だ。
その名は『〇〇 〇〇』だ。
(ここで明らかになる模倣犯の名前は、HO2の苗字で悪役になりそうな名前を考えると面白いだろう)
そこで、HO2の携帯が鳴る。番号は松原のものだ。
「よ~、調子はどう?そろそろ進捗を伺おうかと思ったんだけどさ、HO1が電話に出なくて。君ら一緒にいないのかい?」
・現状について話す
「いやあ、バカも休み休み言いなって……マジ?」
「そうかい、状況は何となく理解したよ。じゃあそのまま君はHO1の跡を追って」
「大丈夫、居場所ならこの松原さんにお任せあれってね」
話の後、貴方の端末にGPSの位置情報が送られてくる。どうやらHO1の端末から発信されているもののようだ。その情報を頼りに向かうことができる。その場所は、数日前貴方が誤認逮捕されたあの廃工場だった。
◇<幸運>
廃工場へ向かおうと歩き出した貴方の懐から、とさり何かが落ちた。それは古書店で預かったあの本だった。本が落ちた拍子に、隙間に挟まっていた一枚のメモ書きがひらりと現れた。
『邪悪の神を退かせる事は困難なことではない。奴が依り代とする”箱”を奴もろとも破壊してしまえばよい。箱が壊れ、行き先を失った邪悪の神は、あるべき場所へ帰らざるを得なくなるだろう。』
(これは後にナイフで魔書を刺し壊すためのヒントである。)
【HO1】
貴方は冷たい水をパシャリと掛けられ、目を覚ます。身じろぎをしようと体を動かすも、思うように動けない。というよりも、ロープで椅子に括りつけられている。あたりを見回すなら、どうやらここはどこかの廃工場のようだ。
「よォ、おはよう」
目の前にはあの気味の悪い笑みを浮かべた男が立っている。
「そう怖い顔しなさんなって、俺はアンタに聞いてみたいことがあったんだ」
「この国、ひいては大勢の人々のために日夜奮闘していらっしゃる国家権力のお犬様よ、アンタの”セイギ”ってのはなんだい?」
(HO1がコンヴィクターである事が露見しないラインで煽り蔑むロールをするとよい)
「さあ、おしゃべりはソロソロ終いだ。アンタを殺して、俺は”ホンモノ”になる……!」
そういって手を振り上げた、その時。HO2がこの場に到着する。
駆け付けたHO2の言葉に対し、男は苛立ちを露にする。
「なんなんだHO2!お前はすっこんでやがれよォ!」
「こいつがお前にとって何の価値がある!?別に死んだってかまいやしねえだろうがァ!」
戦闘開始
VS 模倣犯
HP15 MP30 肉体の保護10点 db+1d4
STR:15 CON:11 POW:22 DEX:16
APP:7 SIZ:16 INT:18 EDU:17
・こぶし/キック80% ・鉈80%(1d8+db) ・回避50%
・肉体の保護 ・幽体の剃刀 ・門の創造 ・マインドブラスト
魔術バトルを演出するために、ここでは幽体の剃刀のみで戦闘を行うとよいだろう。
また、確実にダメージを与えHO2に流血させることも目的である。
・3R経過、またはHO2のピンチでイベントシーン
そうして今、日が完全に落ちた。あたりを包むのは夜の闇だ。
HO1を椅子に縛り付けていたロープが弾け飛ぶ。そしてどこからともなく目と口のついた魔書、黒い装束と大きな刃物が出現しHO1はそれを纏いて立ち上がる。
魔書は囁く 『悪ヲ断罪セヨ、悪ヲ喰ラエ』 と。
夜闇の断罪者 コンヴィクターが戦闘に参加します。
(これ以降、模倣犯は鉈の使用を解禁する。しかしそんなものを用いたところで、コンヴィクターの断罪からは逃れることはできないだろう。)
「か、は」
みっともない声を上げ、それは間もなく消え去る。男の胴と首は切り離され頭部は空を舞う。すかさず魔書が大きな口を開き、バクリとそれを飲み込んでしまった。
(真の姿を晒した二人での会話ロールを存分にさせる。魔書はHO2を悪と断じはしない。また、この後の展開においても魔書が拒絶反応を起こすことはない。)
・HO2が魔書をナイフで刺す
耳を劈くような金切り声があたりに響き、空気を震わせた。
そして、刺された穴から黒々として、また赤々とした瘴気が噴出した。
それらは叫びであり、憎悪であり、憤怒であり、悪だ。
この本が渡り歩いてきたあらゆる人間の感情が綯い交ぜになって、形を成すかのようだ。
”悪”そのものに直接触れた貴方たちは 1d3/1d10の正気度喪失。
(この時点でHO1の覚醒状態は解除される。)
それらは見る見るうちに目の前に転がる首の無い身体へと入っていく。そして一度死したその体はゆっくりと立ち上がる。肌を白く変容させ、ぶくぶくと垂れ下がるような醜悪な様子へ変貌していく。人知を超えた怪物を目撃した貴方たちは1/1d8の正気度喪失。
それはひどく緩慢な動きで腕のような器官を伸ばすが、空を掴むばかりだ。次第にその身はぼろぼろと崩れ去っていく。まるで、その悪意に見合わぬ器だったかのように。
崩れた灰から立ち上った煙は、急激な風に吹かれたようにHO1の身を包み通り抜けていく。
その直後。HO1はドクン、ドクンと前進が脈打つような感覚に襲われる。身体の中心から末端にかけて迸るような、熱く鋭い衝動が駆け巡る。その場に膝をついてしまうかもしれない。
【HO1用情報】
意識が朦朧とする。ほんの少し気を抜けば、悪意に全てを乗っ取られてしまう程に。
【HO2用情報】
古書から放たれ怪物となったあの魔書の力はいまHO1の中にいることを確信する。
これ以降は戦闘ラウンドの様に進行する。
HO1はラウンドの最後にPOWの倍数でダイスロールを行う。
これはラウンドを追うごとに倍数が減っていく。
失敗した時点で、貴方の体は悪意の神にすべて乗っ取られてしまう。
HO2はこの状況に対して行動を行うことができる。
HO1をどうするかはあなたの判断次第だ。
(ここでHO1が行うPOWの倍数は、探索者によってKP側で調整してよい。POWが低い探索者なら6や7から、高い探索者なら5からスタートするなど良い塩梅で展開してほしい。とはいえ、ここは悩ませ続けると永遠に進まない可能性がある。無理やりでも進展させるように、1R3分など時間を設けるとよいだろう。)
【HO1】
POWロールに成功するごとに、魔書の作者の記憶を情報として得ることができる。
1回成功
脳裏に情景が流れ込んでくる。
これは魔書の作者の記憶だ。
正義を訴え続けた男が、周囲にも友人にも認められず疎まれていく様を。
やがて彼は家族にさえ疎まれてしまう様を。
2回成功
脳裏に情景が流れ込んでくる。
彼は家名のためにも正義をなしたかった。
家族にだけは認めてほしかった。ただそれだけだった。
【HO2】
状況を打開するために情報を集める必要がある。模倣犯の遺品を探すなら、メモ書きを発見する。
『悪意の神の完全なる破壊はイコール、顕現させた者の願いを満たすことと、俺たちの血で神聖なる刃を浸し、ぐっさりと刺しちまうことらしい。念のため覚えておく。それさえしなければずっとあの魔書は存在し続けてくれるって訳だ。しかし先祖様の願いってのはなんだ?まァどうでもいいか』
エンディング到達条件
(KP向け情報)
両者生還の為には、下記を満たす必要がある。
①作者であるHO2の先祖の行いを認める・労うなどの意思表示
②HO2の血液で濡らしたナイフにてHO1を刺す
どちらが欠けてもHO1は悪意の神に支配され、模倣犯がなりかけた怪物の完全体として顕現する。
HO2がその場で喰われるか、撤退するかは定かではない。しかし、神として顕現した後はコンヴィクターなど比ではない程に悪人をむさぼり食らう化け物が世に放たれることとなる。
もしも正しく神を退けられたなら、HO1の身体から瘴気が抜けきり、霧散するだろう。
地に落ちた古書のページが風で捲られる。
そこには『皆に笑っていてほしかった、平穏が欲しかった。ただそれだけだった』と綴られた。
やがて灰と化す古書だったものは、風に乗せられて夜の街に溶けて行ってしまうだろう。
○生還報酬
1d10+KPの任意の値
クトゥルフ神話技能 +5%
この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称等は架空であり実在のものとは一切関係ありません。
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