美少女になってちやほやされて人生イージーモードで生きたい!   作:紅葉煉瓦

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#85 イベント後の雑談で待機中に他のライバーが遊びに来たとかそういう裏話を聞くのが好き

「………」

 

 椅子に座りながら放心状態になっていた。

 黒猫燦のスケジュールを半分消化した時点で既にわたしの体力は底を尽きていて、もう立ち上がる気力もなかった。

 別に、3Dモデルで歌って踊って常に動き回っているわけじゃなく、Live2Dモデルだから座って喋っているだけなんだけど、数時間ずっと喋りっぱなしっていうのは意外と体力を使うものだ。

 最近は少しでも体力作りをするように言われて色々とレッスンを受けているとはいえ、元がマラソンで常に最後尾をキープするぐらいの体力しかないんだから一ヶ月かそこらのレッスンでは焼け石に水だった。

 そもそもこの身体はどれだけ食っちゃ寝しても太らないしどれだけ鍛えても筋肉が付かないからイマイチレッスンの成果が感じられない。

 いつまで経っても二の腕とか太ももはぷにぷにだし本当に意味あるのか……? あ、でも胸はまた大きくなってたしレッスンの効果出てるかも。

 

 そろそろ新しく下着とか服とか買わないとなぁと考えていると、収録ブースの扉が開いた。

 既に三期生たちは退室していて、これからここでは夏波結のラジオ番組の公開収録が始まる。だから相手は振り向かずとも分かった。

 

「お疲れ様」

「うぃ~……」

「随分疲れた声してるわね」

「つかれた……」

 

 対面に座って資料を広げる夏波結──暁湊。

 見れば今日の一日の段取りが書かれた原稿やイベントの台本が多かった。中には見慣れないものもあって、恐らくあれは仕事関連のものかもしれない。こんな隙間時間を使ってVtuberと本職両方のチェックを欠かさないとか、本当にマメというか真面目というか、余念のない人だ。

 わたしの視線に気づいた湊が顔をあげる。

 

「どうかした?」

「んーん、別に。大変だなって思っただけ」

「そうでもないわよ。慣れよ、慣れ」

 

 慣れ、かぁ。

 確かにわたしも配信活動には慣れてきたし、レッスンにもこの先慣れて体力が付くのかもしれない。でも、湊みたいに色々器用に出来るようになれる気はしなかった。

 

 それからしばらく、機材チェックの間ゆったりとした時間が流れた。

 相手が湊というだけで、さっきまで感じていたソロや後輩相手の気負いのようなものは無くなって、代わりに安心感があった。やっぱり一番コラボしてきた相手だし、慣れ親しんだ間柄っていいなぁ。

 そろそろ時間だし、最後に一応台本のチェックだけでもしておこうかなぁと目の前の紙束を捲った瞬間、収録ブースの扉が開いた。

 もう今さら入ってくる人はいないと思うんだけど、三期生の誰かが忘れ物でもしたのかな?

 

「あなたのアイドル、神代姫穣さんですよー」

「うわぁ……」

「……何しに来たのよ」

「あれあれ? 皆さんもうお疲れですか? 元気がありませんねぇ」

 

 いい笑顔を浮かべながらやってきたのは神代姫穣(リース・エル・リスリット)だった。

 彼女が部屋に入った途端、フローラルな香りが広がった……気がする。

 

「本番五分前に急に来られたら迷惑に決まってるでしょ。自分はこの後出演しないからって……」

「まあまあ、そんなに怒らないでくださいよ。ほら、黒猫さんの様子が気になってお邪魔しただけですから、すぐに退散しますよ」

「わたし?」

 

 急に名指しされてビクッと肩が跳ねた。

 湊と仲良くする彼女のことを、あまりわたしは知らない。

 

「遅刻から始まりイベントの延長、そのまま後輩を相手にずーっと働き詰めの黒猫さんが心配で心配で。あ、差し入れにお菓子を持ってきたんでした。はい、どうぞー」

「あ、ども……」

 

 チョコうまい。

 

「さっき三期生の子たちにも会ったんですけど、彼女たちも黒猫さんのおかげで緊張せずにイベントを終えれて良かったって言ってましたよ。流石二期生の太陽、黒猫燦ですねー」

「べ、別にいつも通りやっただけだし」

 

 そもそもあれは皆で考えた企画候補の中でも、わたしが三期生に混じって違和感なく出来そうな唯一の企画だった。そのおかげもあって先輩ってプレッシャーから多少は解放されて、終始自然体でいられた。

 いや、ほんとにレトロゲー100戦とか読書会とかおじさんを射止める選手権とかじゃなくて良かった……。他のやつなら今頃ラジオに出る元気もなかっただろう。

 

「ふふ、貴女はそのいつも通りが一番なんですよ」

「?」

 

 文化祭に来てくれたときも思ったけど、神代姫穣はなんだかよく分からないやつだ。

 湊も多くは語ってくれないし、一体何を考えているか掴みどころがない。

 

「さて、黒猫さんの無事も確認できたことですし、私はまだまだやることがあるので一旦退散しますね。黒猫さん、あまり頑張らずに気楽にいきましょう。好きにやる、があるてまのポリシーですよ」

「初めて聞いたんだけど」

「はい、初めて言ってみました」

 

 えぇ……。

 

「はいはい、もう本番だからさっさと出ていく」

「ふふ、では湊さん。後はよろしくお願いしますねー」

 

 そう言って神代姫穣は去っていった。

 挨拶回りとか意外とマメな人だな。

 

「なんか、気が緩んだわ」

「緊張してたの?」

「少しね」

 

 湊でも緊張することってあるんだ。

 まあ、緊張がほぐれたって言うなら急な来訪者も良かったのかもしれない。




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