リビング・ウイル(終末期医療における事前指示書)について

一般財団法人 日本尊厳死協会

  1. 日本尊厳死協会発行の「リビング・ウイル」(以下LW)は、人生の最終段階(終末期)を迎えたときの医療の選択について事前に意思表示しておく文書です。表明された意思がケアに携わる方々に伝わり、尊重され、あなたが自分らしく誇りを持って最期を生きることにつながります。
  2. このLWは、ご自分が意思表示できなくなった状況において、意に添わぬ、ただ単に死の瞬間を引き延ばす延命措置を受けずに済むようにするものです。一時的に生命維持が困難になった患者の回復を目的とする「救命」を拒むものではありません。
  3. 外傷や神経、心臓、肺などの病気、あるいは遺伝性の病気により、人工呼吸器等の生命維持装置を使い生活されている方にとって、生命維持に関わる措置は延命措置ではないことは言うまでもありません。
  4. もしもの時、どのような医療を望むか、望まないかはあなた自身が決めることです。これは憲法に保障されている基本的人権の根幹である自己決定権に基づいています。
  5. LWを作成するにあたり、終末期の様々な状態と措置について、当協会や厚労省の資料などから適切な情報提供を受け、内容をよく理解した上で、最善と思う選択をしていただきます。
  6. LW作成にはかかりつけ医や医療チーム、訓練を受けたアドバイザーから十分な説明を受け、ご家族を含めた話し合いを繰り返し、よりよい選択をすることを推奨します。この相談過程をアドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning:ACP)と言い、現在、LW作成に望ましい形とされています。
  7. ご家族や医療者との話し合いや合意は望ましいのですが、最も優先されるべきはご本人の意思です。LWを作りたくない方は作る必要がなく、強制されたものは無効です。大切なことは、医療者、ご家族、あなたをサポートしてくれる方とLW情報を共有し、理解し合えることです。
  8. このLWは、署名者本人の考え方が変われば、いつでも破棄、撤回することができます。病状の変化、医学的評価の変更があれば、人の常として気持ちが変わることもあります。たとえば、年の初めや誕生日などにご自身の意思を確かめておくのも大切です。

人生の最終段階(終末期)とは:
 かつては終末期という表現をしていましたが、人生の最終段階には、がんの末期のように、予後が数日から長くとも2-3ヶ月と予測が出来る場合、慢性疾患の急性増悪を繰り返し予後不良に陥る場合、脳血管疾患の後遺症や老衰など数ヶ月から数年にかけ死を迎える場合があります。どのような状態が人生の最終段階かは、患者の状態を踏まえて、医療・ケアチームの適切かつ妥当な判断によるべき事柄です。(厚労省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」より引用。)
認知症については、生命予後が極めて悪くなるような身体症状の出現をもって末期と考えます。

生命維持に対する措置とは:
 人工呼吸器装着、中心静脈管や胃管などを通した人工栄養補給、水分補給、腎臓透析、化学療法、抗生物質投与、輸血など。 

 

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