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回復の見込みがなく、すぐにでも命の灯が消え去ろうとしているときでも、現代の医療は、あなたを生かし続けることが可能です。人工呼吸器をつけて体内に酸素を送り込み、胃に穴をあける胃ろうを装着して栄養を摂取させます。ひとたびこれらの延命措置を始めたら、はずすことは容易ではありません。生命維持装置をはずせば死に至ることが明らかですから、医療者が躊躇するのです。

「あらゆる手段を使って生きたい」と思っている多くの方々の意思も、尊重されるべきことです。一方、チューブや機械につながれて、なお辛い闘病を強いられ、「回復の見込みがないのなら、安らかにその時を迎えたい」と思っている方々も多数いらっしゃいます。「平穏死」「自然死」を望む方々が、自分の意思を元気なうちに記しておく。それがリビングウイル(LW)です。

リビング・ウイル(終末期医療における事前指示書)について

公益財団法人 日本尊厳死協会

1.日本尊厳死協会発行の「リビング・ウイル」(以下LW)は、人生の最終段階(終末期)を迎えたときの医療の選択について事前に意思表示しておく文書です。表明された意思がケアに携わる方々に伝わり、尊重され、あなたが自分らしく誇りを持って最期を生きることにつながります。

2.このLWは、ご自分が意思表示できなくなった状況において、意に添わぬ、ただ単に死の瞬間を引き延ばす延命措置を受けずに済むようにするものです。一時的に生命維持が困難になった患者の回復を目的とする「救命」を拒むものではありません。

3.外傷や神経、心臓、肺などの病気、あるいは遺伝性の病気により、人工呼吸器等の生命維持装置を使い生活されている方にとって、生命維持に関わる措置は延命措置ではないことは言うまでもありません。

4.もしもの時、どのような医療を望むか、望まないかはあなた自身が決めることです。これは憲法に保障されている基本的人権の根幹である自己決定権に基づいています。

5.LWを作成するにあたり、終末期の様々な状態と措置について、当協会や厚労省の資料などから適切な情報提供を受け、内容をよく理解した上で、最善と思う選択をしていただきます。

6.LW作成にはかかりつけ医や医療チーム、訓練を受けたアドバイザーから十分な説明を受け、ご家族を含めた話し合いを繰り返し、よりよい選択をすることを推奨します。この相談過程をアドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning:ACP)と言い、現在、LW作成に望ましい形とされています。

7.ご家族や医療者との話し合いや合意は望ましいのですが、最も優先されるべきはご本人の意思です。LWを作りたくない方は作る必要がなく、強制されたものは無効です。大切なことは、医療者、ご家族、あなたをサポートしてくれる方とLW情報を共有し、理解し合えることです。

8.このLWは、署名者本人の考え方が変われば、いつでも破棄、撤回することができます。病状の変化、医学的評価の変更があれば、人の常として気持ちが変わることもあります。たとえば、年の初めや誕生日などにご自身の意思を確かめておくのも大切です。

人生の最終段階(終末期)とは:
 かつては終末期という表現をしていましたが、人生の最終段階には、がんの末期のように、予後が数日から長くとも2-3ヶ月と予測が出来る場合、慢性疾患の急性増悪を繰り返し予後不良に陥る場合、脳血管疾患の後遺症や老衰など数ヶ月から数年にかけ死を迎える場合があります。どのような状態が人生の最終段階かは、患者の状態を踏まえて、医療・ケアチームの適切かつ妥当な判断によるべき事柄です。(厚労省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」より引用。)
認知症については、生命予後が極めて悪くなるような身体症状の出現をもって末期と考えます。

生命維持に対する措置とは:
 人工呼吸器装着、中心静脈管や胃管などを通した人工栄養補給、水分補給、腎臓透析、化学療法、抗生物質投与、輸血など。

「私の希望表明書」について

協会発行の「リビング・ウイル」(以下、LW)は、もしものときには「私は、延命措置を望まない」という、包括的な事前指示書です。LW尊重の医療は定着してきていますが、医療技術は日々進歩し、超高齢社会の到来による認知症患者の増加など社会情勢の変化も著しく、人生の最終段階のあり方もいろいろな考えが生まれています。人それぞれの思いにつながる「最期を過ごしたい場所」や「食べられなくなったら」を考える人が増えています。協会LWだけでは伝えきれない「私の希望」を伝える表明書をご用意しました。

ご記入、ご利用に当たり

○「私の希望表明書」は、日本尊厳死協会会員が協会に登録した「リビング・ウイル」に付随し、補完する文書です。2018年1月から発行しました。

○ただ「私の希望表明書」は協会LWと違い、協会に登録する文書ではありません。必要とする会員が記入し、個人的に保管する文書です。

○「あなたの意思表明書」ですから、記入日、氏名は直筆にしておきましょう。

○希望事項はチェック方式で記入します。文書記載の項目以外に医療やケアに関する希望、あるいは思いに関する情報がありましたら、「その他」に書き留めておけばよいでしょう。

○自分でわからないことや、決められないことは記入しなくても構いません。

○何らかの理由で、あなたの思いや希望が変わったときは、いつでも撤回、書き改めることができます。変更したときは、その日付をわかるようにしておきましょう。

○書き換える時に備えて、記入前に予備をコピーしておくことをお勧めします。用紙はこのホームページからダウンロードできます。

○「私の希望表明書」は本体の「協会LW」と同様、医師やご家族、あなたをサポートしてくれる方々と情報共有しておくことが大切です。「私の希望」をみなさんに伝えておきましょう。

上の画像をクリックすると、「私の希望表明書」(PDF)ダウンロードページに移動します。

死期が迫っている患者に耐え難い肉体的苦痛があり、患者が「早く逝かせてほしい」との意思を持っていることが明らかな場合でも、医師が積極的な医療行為で患者を死なせることを安楽死と呼びます。延命措置を行わないこととは、明らかに異なりますし、日本では患者を安楽死させた事件では、いずれも医師の有罪判決が確定しています。欧米などでは、この安楽死を合法的に認めている国・州がありますが、日本尊厳死協会は安楽死を支持していません。



LWに書かれている「延命措置」とは、回復の見込みがないと診断された患者で、かつ死期が近づいているにもかかわらず、人工呼吸器や透析、胃ろうなどによって生命を維持するための措置です。意識があっても人工呼吸器を着けていれば話すことができませんし、原疾患による苦痛とも闘わねばなりません。

延命措置を断っても、痛みや呼吸の苦しさを緩和するための医療行為は必要です。延命措置は断っても、これらの緩和医療は積極的に行ってもらうことが、安らかな最後を迎えるための必須の条件だとも考えられます。LWの2番目の項目に、この緩和医療が盛り込まれているのは、そのためです。最近は麻薬の使い方も研究され、痛みからも解放される治療が進んできています。

日本尊厳死協会に入会したい場合は、電話かファクス、あるいは「資料請求フォーム」から、住所、氏名を明記のうえ、パンフレットを請求してください。ご夫婦で入会される場合は、LWがそれぞれ必要です。何部でも無料でお送りします。パンフレットに書かれている説明を熟読のうえで決めてください。大切なのは、家族の皆さんと相談したり、友人と話し合ったりして、納得したうえで入会していただくことです。わからないことがあれば、お気軽に電話でもファクスでもお問い合わせください。

入会登録すると、「リビング・ウイル」を協会で保管します。そのコピー2部と会員証をお送りしますので、会員証は健康保険証などとともに財布などに入れて持ち歩いてください。LWのコピーは家族か親しい友人に渡してください。
会員には年4回、会報「リビング・ウイル」をお送りいたします。LWに理解のある受容協力医師をお知らせできるほか、医療相談の窓口もございますので、お気軽にお電話ください。

資料のご請求

協会本部事務局 9:30 〜 17:00(土日祝休)
電話:03-3818-6563 / FAX:03-3818-6562