民間企業のワーク・ライフバランス社が現役の国家公務員を対象に行った実態調査(「2021年 コロナ禍における中央省庁の残業代支払い実態調査」 調査期間:2021年3月16日~4月5日)によると、「テレワークを全くしていない」との回答が38.6%と約4割。そして「テレワーク非推奨、もしくは禁止されている」との回答も35.4%にのぼり、政府が国民に求めているのと同じレベルである「70%以上」という回答はわずか9.5%にすぎないという惨憺たる状況であった。
また、脆弱なオンライン環境や、省庁間でオンライン会議システムがバラバラな状況など、デジタル化についても遅れており、中央官庁においてはテレワーク実施どころか、オンライン化に至る風土や機器、回線などがそもそも全く整っていない現状が明らかになっている。関係者の具体的なコメントを見てみよう。
また、先ほど紹介したように、デジタル対応できていない議員の存在が、官僚のテレワークを阻んでいる原因にもなっている様子が垣間見える。
*1「問取」:省庁が所管する施策に関連した、国会議員の問題意識や質問の趣旨を聞き取ること
*2「レク」:所管業務について外部関係者や国会議員に説明したり、意見交換したりすること
本年1月には、衆院議院運営委員会理事会において、官僚による国会議員への質問取りについて、対面形式をできる限り自粛すると与野党間で合意している。質問通告自体も2日前までというルールで運営していれば、オンライン化と相まって、官僚の長時間労働は多少なりとも軽減されているはずなのだが、なかなかどうしてそうなっていない。
もちろん、この1年でポジティブな変化が起きていることも確かだ。同社が20年6~7月にかけて行った同様の調査結果と今回の結果を比較すると、「オンラインで議員レクができる」と答えた人は「17%」から「67%」へ、また「議員とのやりとりがFAXではなくメールなどになった」は「14%」から「69%」へとそれぞれ急伸しており、コロナ禍において国会運営でも多少はリモート化が進んだ様子が見てとれる。
「大臣レクのオンライン化・ペーパーレス化」に関する省庁別の進捗(しんちょく)を見てみると、前回調査時にも上位であった「環境省」と「経済産業省」は今回調査でも引き続き上位であり、オンライン化・ペーパーレス化が組織文化として定着しつつあるといえよう。また、前回調査時には対応状況がワーストに位置していた「防衛省」と「法務省」が今回は上位に来ており、改善傾向にあることが明らかだ。
環境省の40代は「大臣レクはオンラインが当たり前。対面にしたのは、訪問されるお客さまへの送迎・応接や、機材の設営が必要になった場合だけ」とコメントしている。
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