皆を困らせる副鼻腔炎!蓄膿というと聞いたことがありますか?それ身近な病気なんです

[2018.03.08]

副鼻腔炎というと何度も小難しい名前に聞こえますが(この時点であっと思う方は、すでにこの病気で困っている方かも知れませんね)、蓄膿というと聞き覚えがあるのでは無いでしょうか?

 鼻の穴のことを「鼻腔」と呼びますが、この鼻腔のまわりに骨で囲まれた空洞部分が左右それぞれ4個ずつ、合計8個あり鼻腔とつながっています。この部分が「補助的な小さな部屋=副鼻腔」と呼ばれています。

 4つの部屋は、篩骨洞(目の間)、蝶形骨洞(篩骨洞の奥)、上顎洞(鼻の横)、前頭洞(おでこのあたり)と名前がついており、通常は顔に強い外力がかかったときのクッションの役割をしていたり、声を綺麗に響かせる役割を担っていたりと言われていますが、何故存在しているのか?というのは未だにわかっていない部分と言われています。しかし、この顔の骨の中にある空洞の内部は、粘膜で覆われており鼻腔と同じ条件でかつ、鼻腔粘膜とつながっています。つながっている入り口を副鼻腔開口部といいますが、ここは狭い出入り口となっています。つまり、風邪などを引くと鼻腔の粘膜が腫れて鼻水が沢山でますが、副鼻腔にも同じようなことが発生します。鼻粘膜の役割は、異物などを除去するために鼻水となって流れ出てきます。炎症が強ければ、もちろん「副鼻腔」にも炎症が及びますので、副鼻腔の唯一の出口である副鼻腔開口部を通って鼻水が流れでていきます。しかし、この出入り口はとても狭く少しずつしか鼻水が流れていかないということと、粘っこい鼻水になると実際には流れ出ることができないことがあります。さらに粘膜がはれてしまうとその出口が塞がれてしまうため、副鼻腔の中に鼻水が溜まり続けてしまいます。

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 溜まり続けた鼻水は、副鼻腔でさらなる炎症を起こすために圧力が上がり顔の痛みや頭痛に繋がることもありとても悩ましい疾患となります。もちろん、鼻水も大量に出るため、後鼻漏といって鼻腔から喉に流れ落ち鼻水が痰となり、咳が止まらなくなるという自体も発生します。嗅覚も徐々に失われてその後、味覚にも影響が出るようになり慢性化してしまうことまであるため、しっかりと診断し治療を勧める必要があります。

「よく蓄膿になる」という方もいらっしゃるとは思いますが、実際にはこれはすべての人間が持っている部屋ですので、皆必ず副鼻腔炎にはなったことがあるか、なる素因があるのは間違いありません。しかし、ひどくなって耳鼻科の先生に長くお世話になるか?自力で回復するか?というところが異なり、全てがわかっているわけではないのですが、鼻水を外に出す力がどの程度あるか?ということがその分かれ道であると考えられています。

 副鼻腔炎を起こしやすい人は、気管支喘息がある人、慢性気管支炎がある人、アレルギー性鼻炎がある人、周囲にタバコを吸っている人がいる人、もしくは吸っている人が言われています。タバコなど辞めることができるものであれば、ぜひとも早期から原因を取り除いてならないように工夫していただきたいとは思いますが、アレルギー性鼻炎でもハウスダスト、ダニ、花粉などが原因であれば今は舌下免疫療法という方法で克服することが可能と言えます。12歳以上ではありますが、スギ花粉のみでなく、ダニ(ハウスダスト)も治療できるためその治療を積極的に行うことで副鼻腔炎にならない身体を獲得することもできるのです。

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 さて、副鼻腔炎になっているのかどうか?という診断方法ですが、一番簡便でよい検査方法は、前かがみになってみるというのが良いと思います。前かがみになると、副鼻腔炎に入っている鼻水が移動して顔を圧迫します。それにより違和感がでたり、痛みが誘発されたりするため、ご自宅にて怪しい咳や鼻水が増えてきたらまずは、「前かがみ(お辞儀するような感じ)」それで、顔の違和感がでたら、副鼻腔炎の可能性がかなり高いといえます。

 クリニックでは胸の音、耳の中など他の病状がないかをチェックし、その後まず喉の中を診ます。これにより、後鼻漏という鼻水が喉に落ちてきているかチェックします。それがありますと限りなく副鼻腔炎や鼻水が増えている炎症を示唆しているため、注意を要します。そこで、鼻鏡という鼻の中を覗く機械を使って検査すると副鼻腔開口部近くに鼻水が出ているためこれがあるとレントゲン検査などをすることなく確定診断となります。場合によっては細菌検査やひどい症状の場合にレントゲン写真をとることがあります。また、乳幼児ではレントゲンを撮影しても副鼻腔という部屋が小さいために診断がつきにくいことがあるため、超音波検査を利用する場合もあります。

 その他にも、ファイバー検査で確認する方法も当院でも行ないますが繰り返しに罹患している人は診断がすぐにつくこともあるために、ファイバー検査まではご案内しないことが多いです。

 治療となりますと、以前も少し記載いたしましたが以下の様なガイドラインに従いながら治療を勧めています。

急性副鼻腔炎の場合・・・

1,咳がひどい

2,熱がでる

3,顔の痛み、頭の痛みがある

場合には抗生剤を使用し、そうでない場合には出来る限り抗生剤以外の治療を選択します。

慢性副鼻腔炎の場合・・・

第1選択 マクロライド少量長期投与

第2選択 漢方薬

としています。このようなガイドライン通りの治療ではありますが、抗生剤の乱用を避けながら、必要なときには出すことをためらわないようにしないといけないと日々考えています。

 繰り返しですが、自分は副鼻腔炎にはならないということは無く、小さいこどもなどは咳、鼻水が多いときに小児科で「喘息性気管支炎や鼻風邪」などと診断されていることがあり、実際には副鼻腔炎であることが多いため近年、減少傾向にある疾患とはいえ、一般的な病気であることに代わりがありません。

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