目次
・【テオドールの有効成分】テオフィリン
・【テオドールの飲み方】1日2回が基本
・【テオドールが使用される病気】主に喘息の治療に使う
>気管支喘息治療での位置づけは、あくまでオマケ
>β刺激薬の登場で厳しい立場に
・【テオドールの副作用】副作用が起きやすい
・【テオドールの飲み合わせ】タバコを吸うと効かなくなる?
・重症喘息の一部にテオドールがとてもよく効く
・まとめ
・【テオドールの有効成分】テオフィリン
・【テオドールの飲み方】1日2回が基本
・【テオドールが使用される病気】主に喘息の治療に使う
>気管支喘息治療での位置づけは、あくまでオマケ
>β刺激薬の登場で厳しい立場に
・【テオドールの副作用】副作用が起きやすい
・【テオドールの飲み合わせ】タバコを吸うと効かなくなる?
・重症喘息の一部にテオドールがとてもよく効く
・まとめ
【テオドールの有効成分】テオフィリン
テオドールはその薬効分類上「キサンチン系気管支拡張剤」にカテゴライズされる薬で、有効成分として「テオフィリン」を含みます (1)。
その効果の一つとして、空気の通り道である気管支を広げる作用をもつため、このような分類がされるのですが、この効果を生かして主に気管支喘息 (以下、単に「喘息」とします) の治療に使います (1)。
すでに世界では80年以上使われている薬、テオフィリンについて解説します (2)。
その効果の一つとして、空気の通り道である気管支を広げる作用をもつため、このような分類がされるのですが、この効果を生かして主に気管支喘息 (以下、単に「喘息」とします) の治療に使います (1)。
すでに世界では80年以上使われている薬、テオフィリンについて解説します (2)。
【テオドールの飲み方】1日2回が基本
テオドールは、1日2回朝と寝る前に飲むのが基本です (1)。ただし、場合によっては1日1回寝る前とすることもあります (1)。
テオドールには、以下の4種類の製品が発売されています (括弧内は200mgあたりの薬価) (3)。
●錠剤 (15.9円)
●シロップ (103円)
●顆粒 (19.7円)
●ドライシロップ (89.5円)
「顆粒」と「ドライシロップ」は、どちらもいわゆる「粉薬」です。違いはどこにあるのかといえば、顆粒の方が粒の大きさが揃っている他、ドライシロップは水に溶かして飲むことができる点などです (4)。
シロップを除いた製品には、対応するジェネリック医薬品が発売されています (3)。しかし、シロップはドライシロップで代用することが認められているので、シロップが処方された場合にも、ジェネリックを使うことは可能です。
テオドールには、以下の4種類の製品が発売されています (括弧内は200mgあたりの薬価) (3)。
●錠剤 (15.9円)
●シロップ (103円)
●顆粒 (19.7円)
●ドライシロップ (89.5円)
「顆粒」と「ドライシロップ」は、どちらもいわゆる「粉薬」です。違いはどこにあるのかといえば、顆粒の方が粒の大きさが揃っている他、ドライシロップは水に溶かして飲むことができる点などです (4)。
シロップを除いた製品には、対応するジェネリック医薬品が発売されています (3)。しかし、シロップはドライシロップで代用することが認められているので、シロップが処方された場合にも、ジェネリックを使うことは可能です。
【テオドールが使用される病気】主に喘息の治療に使う
2016年10月現在、テオドールの使用が保険上認められている病気は、以下の4つです (1)。
●喘息
●喘息様気管支炎
●肺気腫
●慢性気管支炎
これらに共通するのは、呼吸器、もっと有体にいえば気管支や肺の病気であることです。いずれも息苦しさなどが出る病気なので、気管支を広げる効果を持つテオフィリンが治療に役立つわけです。
現在、テオフィリンの治療上の位置づけが比較的はっきりしている、喘息について、以下で詳細に解説します。
●喘息
●喘息様気管支炎
●肺気腫
●慢性気管支炎
これらに共通するのは、呼吸器、もっと有体にいえば気管支や肺の病気であることです。いずれも息苦しさなどが出る病気なので、気管支を広げる効果を持つテオフィリンが治療に役立つわけです。
現在、テオフィリンの治療上の位置づけが比較的はっきりしている、喘息について、以下で詳細に解説します。
気管支喘息治療での位置づけは、あくまでオマケ
ここでは、特に慢性期における喘息治療について述べます。
いきなり結論をいえば、喘息の治療において、テオフィリンはあくまでもオマケという位置づけです。なぜなら、もっと重要な治療薬があるからです。
それは、吸入ステロイド (ICS) というグループです。喘息で生じている、気管支の炎症を鎮める効果があり、もっとも確実に効果が得られ、かつ安全性も高い薬であることが世界的な共通認識となっています (5, 6)。したがって、ICSを使っても、上手く症状が治まらないケースに限ってテオフィリンを使うことになります。
いきなり結論をいえば、喘息の治療において、テオフィリンはあくまでもオマケという位置づけです。なぜなら、もっと重要な治療薬があるからです。
それは、吸入ステロイド (ICS) というグループです。喘息で生じている、気管支の炎症を鎮める効果があり、もっとも確実に効果が得られ、かつ安全性も高い薬であることが世界的な共通認識となっています (5, 6)。したがって、ICSを使っても、上手く症状が治まらないケースに限ってテオフィリンを使うことになります。
β刺激薬の登場で厳しい立場に
ともあれ、ICSは喘息における炎症を鎮める効果を、テオフィリンは気管支を広げて呼吸を楽にする効果を、それぞれ持っています。つまり、これらは使う目的が異なるので、一緒に使うことは合理的といえます。
しかし、理屈の上ではよさそうな、ICSとテオフィリンの併用も、昨今ではかつてほど行われなくなっています。それは、テオフィリンのライバルとなる薬が登場したからです。「β刺激薬」というグループで、テオフィリンと同様に気管支を広げる効果を持っています (2)。
では、β刺激薬とテオフィリンでは、どちらが優れているかといえば、有効性・副作用のいずれの面でもβ刺激薬に軍配が上がります (2)。
この結果、テオフィリンは喘息治療において、β刺激薬に取って替わられ、ますますその立場を危うくすることになったのです。
しかし、理屈の上ではよさそうな、ICSとテオフィリンの併用も、昨今ではかつてほど行われなくなっています。それは、テオフィリンのライバルとなる薬が登場したからです。「β刺激薬」というグループで、テオフィリンと同様に気管支を広げる効果を持っています (2)。
では、β刺激薬とテオフィリンでは、どちらが優れているかといえば、有効性・副作用のいずれの面でもβ刺激薬に軍配が上がります (2)。
この結果、テオフィリンは喘息治療において、β刺激薬に取って替わられ、ますますその立場を危うくすることになったのです。
【テオドールの副作用】副作用が起きやすい
テオフィリンがβ刺激薬に水をあけられることになった大きな理由の一つに、その副作用があります。テオフィリンは副作用を起こしやすい薬で、一例として次のような症状が挙げられます (1, 2)。
●頭痛
●吐き気
●腹部の不快感
●動悸
過量になった場合
●けいれん
●不整脈
免疫抑制薬や抗てんかん薬など、量を細かく調整する必要のある薬は、血液検査の一環として血液中の薬物濃度を測定することがあります。こうした薬物濃度測定のことを「TDM (Therapeutic Drug Monitoring)」と呼ぶのですが (4)、テオフィリンはTDMの対象となっている薬でもあります。
実際には手間もかかるため、そこまで厳密な管理をすることは稀ですが、これはひとえにテオフィリンが副作用を起こしやすいことから、過量にならないように注意が必要な薬であることのあらわれです。
●頭痛
●吐き気
●腹部の不快感
●動悸
過量になった場合
●けいれん
●不整脈
免疫抑制薬や抗てんかん薬など、量を細かく調整する必要のある薬は、血液検査の一環として血液中の薬物濃度を測定することがあります。こうした薬物濃度測定のことを「TDM (Therapeutic Drug Monitoring)」と呼ぶのですが (4)、テオフィリンはTDMの対象となっている薬でもあります。
実際には手間もかかるため、そこまで厳密な管理をすることは稀ですが、これはひとえにテオフィリンが副作用を起こしやすいことから、過量にならないように注意が必要な薬であることのあらわれです。
【テオドールの飲み合わせ】タバコを吸うと効かなくなる?
テオフィリンは、飲み合わせに注意が必要な薬が比較的多いのも特徴です。代表的なものを以下に列挙します (1)。
●シメチジン
●キノロン系抗生物質
●マクロライド系抗生物質
これらの薬は、いずれもテオフィリンの分解反応を邪魔する効果があるので、一緒に使うことでテオフィリンが身体に貯まりやすくなり、副作用のリスクが増大します。
また、飲み合わせ、というわけではありませんが、テオフィリンには相性の良くない嗜好品があります。それはタバコです。どうなるかといえば、テオフィリンが効きにくくなります (4)。これは、タバコによって体内でのテオフィリンの分解反応が促されるからです。
もっとも、先ほど述べたように、テオフィリンは肺や気管支が悪い人が使うものですから、そういう病気の人がタバコを吸うのはそもそもどうなの?という話です。テオフィリンを使うことになった喫煙者の方は、この機会に禁煙することを強く推奨します。
●シメチジン
●キノロン系抗生物質
●マクロライド系抗生物質
これらの薬は、いずれもテオフィリンの分解反応を邪魔する効果があるので、一緒に使うことでテオフィリンが身体に貯まりやすくなり、副作用のリスクが増大します。
また、飲み合わせ、というわけではありませんが、テオフィリンには相性の良くない嗜好品があります。それはタバコです。どうなるかといえば、テオフィリンが効きにくくなります (4)。これは、タバコによって体内でのテオフィリンの分解反応が促されるからです。
もっとも、先ほど述べたように、テオフィリンは肺や気管支が悪い人が使うものですから、そういう病気の人がタバコを吸うのはそもそもどうなの?という話です。テオフィリンを使うことになった喫煙者の方は、この機会に禁煙することを強く推奨します。
重症喘息の一部にテオドールがとてもよく効く
このように、どうにも使いにくい印象が目立つテオフィリンですが、落ちこぼれの烙印を押すのはちょっと待ってください。
というのも、どういうわけか他の薬があまり効かず、代わりにテオフィリンとてもよく効く重症喘息が、少数ながら存在するからです (2)。つまり、テオフィリンが特効薬となるケースがあるということです。
そのため、やはりテオフィリンを選択肢から外すわけにはいかないのですが、現時点での問題は、どの患者がこうしたケースに該当するのか、事前に知る方法がないことです。
もし、今後の研究の結果、テオフィリンが特異的に有効な喘息を判別する方法が生み出されたなら、テオフィリンが再びスポットライトを浴びる日も来るでしょう。期待したいところです。
というのも、どういうわけか他の薬があまり効かず、代わりにテオフィリンとてもよく効く重症喘息が、少数ながら存在するからです (2)。つまり、テオフィリンが特効薬となるケースがあるということです。
そのため、やはりテオフィリンを選択肢から外すわけにはいかないのですが、現時点での問題は、どの患者がこうしたケースに該当するのか、事前に知る方法がないことです。
もし、今後の研究の結果、テオフィリンが特異的に有効な喘息を判別する方法が生み出されたなら、テオフィリンが再びスポットライトを浴びる日も来るでしょう。期待したいところです。
まとめ
■テオドールは「テオフィリン」を有効成分とする喘息の薬である
■喘息治療においては、吸入ステロイドのオマケである
■副作用が多く、注意が必要である
■テオフィリンがとてもよく効く喘息が、一定数存在している
■喘息治療においては、吸入ステロイドのオマケである
■副作用が多く、注意が必要である
■テオフィリンがとてもよく効く喘息が、一定数存在している
参考文献
(1) テオドール錠 添付文書 田辺三菱製薬株式会社
(2) Barnes PJ, Pharmaceuticals (Basel). 2010 Mar 18;3(3):725-747. PMID: 27713276
(3) 薬価基準点数早見表平成28年4月版 じほう
(4) 瀬崎仁 他 薬剤学第4版 廣川書店
(5) Dennis RJ, et al. BMJ Clin Evid. 2011 Jul 13;2011. pii: 1512. PMID: 21749735
(6) National Heart, Lung, and Blood Institute Expert Panel Report 3: Guidelines for the Diagnosis and Management of Asthma
(2) Barnes PJ, Pharmaceuticals (Basel). 2010 Mar 18;3(3):725-747. PMID: 27713276
(3) 薬価基準点数早見表平成28年4月版 じほう
(4) 瀬崎仁 他 薬剤学第4版 廣川書店
(5) Dennis RJ, et al. BMJ Clin Evid. 2011 Jul 13;2011. pii: 1512. PMID: 21749735
(6) National Heart, Lung, and Blood Institute Expert Panel Report 3: Guidelines for the Diagnosis and Management of Asthma