2021年5月21日
名古屋工業大学の研究グループは2021年5月13日、太陽光の中で光強度が大きい可視光を有効利用し、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を分解する光触媒を開発したと発表した。カーボンナノチューブを利用した触媒で、温室効果ガス削減への貢献が期待できる技術としている。
温室効果ガスを削減する手法の一つとして、大気中のCO2を自然エネルギーである太陽光を利用して分解(還元)する触媒技術の研究開発が進められている。CO2を効率よく還元できる触媒としてヨウ素酸銀(AgIO3)が知られているが、可視光を効率よく利用できないという問題がある。この課題を可視光を吸収できるヨウ化銀(AgI)と組み合わせることで解決する手法も知られているが、両者の接合法は確立しておらず、また、合成法も複雑だという。
今回研究グループは、開発した太陽光CO2還元触媒は、可視光を効率よく吸収できるヨウ化物(AgI)とCO2を効率よく還元するヨウ素酸(AgIO3)の微結晶を、単層カーボンナノチューブ上に均一に分散担持させた。この合成方法は、ヨウ素分子を内包した単層カーボンナノチューブを硝酸銀水溶液に浸漬(しんし)させるだけという、非常に簡単な手法だという。
研究グループは簡易的な手法なため、合成コストを抑えることができ、広範な実用化が期待できるとしている。また、この手法で合成した光触媒複合体にソーラーシミュレーターにより擬似太陽光を照射したところ、CO2を一酸化炭素(CO)に0.18μmol/(g·h) の効率で還元でき、少なくとも72時間はその性能に大きな劣化がないことも確認したとしている。
なお、この手法ではナノチューブを複合化しているため、光触媒複合体を絶縁性の透明高分子の上に塗布するだけでフレキシブル透明光触媒電極を作製することができ、さまざまな場所に設置することが可能だという。
研究グループでは今後、単層カーボンナノチューブの電子状態制御やヨウ素酸銀とヨウ化銀の結晶サイズの制御などにより、光触媒性能のさらなる向上を目指す方針。またこの光触媒を使用して水から水素を生成する技術への応用も視野に入れるとしている。
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