2021年4月14日
東京大学の研究グループは2021年4月、従来のリチウムイオン電池よりも高い上限作動電圧を持つリチウムイオン電池の開発に成功したと発表した。上限の作動電圧が5Vを超えるリチウムイオン電池で、実用化レベルの長期安定作動が可能なことを確認したという。
広く普及しているリチウムイオン電池だが、現状の上限作動電圧は4.3Vとされている。さらなる電池の高性能化に向けて、これを5V以上に高める研究開発が行われている。しかし「実用化レベル」とされる、充放電を1000回繰り返し行っても初期容量の80%を維持できる安定動作は実現したいなかった。その原因は高電圧作動時の電解液と、正極活物質の激しい劣化と考えられていたという。
一方、東京大学の研究グループは、新たな劣化要因として、高電圧環境下で正極の導電性を担保するため少量添加している炭素導電助剤に注目。添加によって電解液中のアニオン(マイナスイオン)の挿入が活発に起こり、これが充放電安定性に多大な影響を及ぼすことを突き止めた。
さらに、独自に開発した高濃度電解液とこれによるアニオン(マイナスイオン)の透過を防ぐ表面設計(保護膜形成)を適用したところ、全ての劣化要素を高度かつ同時に抑制することに成功した。高濃度だとアニオンや溶媒分子は全てリチウムイオンと強く結びついているため、炭素導電助剤への挿入を防ぐ効果が得られる。
研究グループでは、この高濃度電解液とフッ化リン酸コバルトリチウム、黒鉛から成る高電圧リチウムイオン電池を試作。その結果、5.2Vを上限電圧とするリチウムイオン電池を実現し、1000回の充放電においても初期容量比93%維持できたという。
この成果により、はるかに高いエネルギー密度を有する新型二次電池や、リチウムイオン電池の格段の長寿命化や高速充電化の可能性が示されたとしている。
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