そこにマイクロンの強力な挑戦が加わり、メモリー分野も脅かされる状況となった。サムスンのDRAMシェアは16年の47%から20年の42%へと低下したのに対し、マイクロンのシェアは23%から26%に上昇した。今年1-3月のサムスン電子半導体事業の営業利益率は18%で、マイクロン(20%)に逆転された。米政府の全面的な支援を受け、マイクロンのメモリー市場での支配力はさらに強まる可能性が高い。
その上、TSMCは米国に半導体工場6カ所を増設する計画を発表するなど、バイデン政権の半導体同盟戦略に積極的に乗っている。これに対し、サムスン電子は米国内への工場建設計画をまだ確定できないまま、時間を浪費している。30年前に半導体の覇権を韓国に奪われた日本までTSMCと手を結び、復活を夢見ている。こうした全方位的な危機状況でサムスンの総帥は刑務所に収監されている。李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の空白が半導体戦略の樹立と投資決定を遅延させているのは厳然たる事実だ。世界を飛び回り、半導体戦争を指揮すべき李副会長の手足を縛ることは国益を害する自害行為にほかならない。