『歪曲報道: 巨大メディアの「騙しの手口」』

DCHシアター「真相深入り!虎ノ門ニュース」

小学校の高学年に入り始めると、見たいテレビ番組の嗜好が変わりました。
まず、ニュース番組を見るようになりました。
それと、ニュースを取り上げて、何人かのコメンテータが解説を加えるという報道番組も見るようになりました。
ニュース番組では事件を淡々と話しますが、報道番組ではニュース番組で流れた事件からいくつかを“取り上げ” 、それに“解説”を加えながら、深堀りします。
でも、結局は誰かの意志で“取り上げ”、主義主張を持った誰かが“解説”しているんですよね。

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書名:『歪曲報道: 巨大メディアの「騙しの手口」』
著者:高山正之
出版:新潮社(2015.11)
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著者は元産経産経新聞の記者でジャーナリスト。
海外経験も豊富で、その豊富な経験と知識を駆使して、雑誌やTVのコメンテータとして活躍しています。
『週刊新潮』に連載しているコラム『変見自在』は有名ですね。


事件、事故、出来事はどんな風に取り上げるかで印象がぐっと変わります。

政府が進める町村合併に批判的な朝日新聞。

朝日新聞といえば「天声人語」ですが、日本一人口が少ない町村合併で消える最後の運動会を取り上げています。

村長の「村民が一丸となってこられたのは三世代が触れ合う運動会があってこそ」という言葉を添えています。
「村民の心をよりどころを壊す政府」
国家に対し、そんな印象を与えてくれます。

それを著者はバッサリ。

<本文引用>------------------------
この村は地方行政の歪みの象徴だった。人口たった200人。そこらの団地の1棟分だが、地方自治体の村であるがゆえに毎年6億円の交付金をもらっていた。
おまけに地方自治体だから、村長がいて村議会があって村役場の職員がるということはこの村の世帯主の半分が公務員になり、交付金をもとに高給を食んできた。それでも6億円全部は使い切れないから村立温泉場をつくり、児童生徒合わせて10人ちょっとの学校に冬でも遊べるガラス張りドームもつくった。でもまだカネが余るから村主催の運動会をやっていたのだ。(本文より)
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こういわれてしまうと、市町村合併って必要だったんだなあと思ってしまいます。


まして、事実でもないことを事実のように報道してしまうと大変なことになりますね。
戦争が絡むと恐ろしいことになります。

<本文引用>------------------------
英国の『デイリー・メール』紙の特派員はドイツ兵が襲って一家皆殺しにされたブリュッセル郊外の民家を取材し、母親に抱かれた赤ん坊だけが助かったことを伝えた。(本文より)
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米政府はこの世論に押されてドイツに宣戦布告し、参戦した。史実を追えば、この米国参戦によって戦争は決着した。(本文より)

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「ドイツ兵が赤ん坊を銃剣で刺したという病院も調査されたがそんな病院はとうとう見つからなかった」(本文より)
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イギリス。
アメリカを戦争に引きずり込むため、世論を煽ろうとしたんですね。
そのために、嘘の情報をニュースとして報道をする。

でも、これって、湾岸戦争やイラク戦争でもあったような・・・。


著者は、基本的には朝日新聞、TBS、欧米に対しては批判的です。

でも、単に批判に終始せず、具体的な事件や事故を取り上げ、それが、どのように報道されていたかを、解説してくれます。

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■読んだきっかけ:DCHシアター「真相深入り!虎ノ門ニュース」
■読んで知ったこと:第一次大戦のアメリカ参戦を後押しした世論と報道のつながり。
■今度読みたくなったもの:高山正之『変見自在 サダム・フセインは偉かった』
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