時がたった。

対岸の親戚の男Tは村長になっていた。負けじと

加賀屋社長もTと争い村長になった。

加賀屋が勝ったのだ。やったぁ。温泉安泰。

加賀屋はホテルを息子に譲っていた。公職選挙法のためだ。

村長である加賀屋は戦時中口約束でただもらっている村の温泉の権利の一部を公文書で残すことを考えた。口約束も民法上の約束だけどなんら、エビデンスというものがない。息子や子々孫々先のことを考えれば、心配で心配で夜も眠られないから血圧が高くなった。

それもそのはず、親戚の男Tに鶯温泉開発株式会社をつくられ、村の源泉管理をするという事態が発生した。。事態はかなり進んでいた。村もこの新設された民間の会社の株式を38.7%保有していた。もちろん昭和44年のことだで、第3セクターなんていう概念が無かった。加賀助に判らないようにするにはひっそり民間会社をつくるしかなかった。そして、当時の町長を説得して株式を保有してもらったのだ。今から考えれば会社は100%村の公の会社にして良かった。当時の村長は高橋村長のときだからわからなかったんだべな。

そんな動きを知った加賀助はほんとに心配でならなかった。しかも、村長になりやがった。

おれは、今、やっと村長に成り上がったのだし、村民が気づかないうちにこっそり、文書つくって、エビデンスにするべ。完璧だ。

これで鶯泉開発株式会社に横取りされずに済むぜ。糖尿化のある体を揺すりながら深くため息をついた。

しかし、村の人間で加賀屋が村の源泉をただ使っているんでないかと疑いを持ったものもいた。村長が変な事をしているのではないか。監査請求をかけろじゃ。もちろん住民とて対岸の親戚の男Tの仲間だ。議員として監査請求をかけるのはまずいし、先般も芸者と混浴しているところをフライデーにとられて写真誌で批判されたばかりだから俺は目立たない方がいい。そんな思いだった。

しかし、監査請求は却下された。

あーーーーーっ。あとは、裁判するしかないな。

さあ、源泉を巡って裁判になったのは昭和天皇がお亡くなりになってから10年後の平成10年のことじゃった。

軍の目的は未だ達成されなかったが加賀屋の目的は達成されつつあった。

そして、

裁判の結果は加賀助が勝ち、原告である温泉開発の代表取締役でもあるTは敗訴したのだった。対岸の男Tの思惑は外れたかに見えた。

しかし、ここからが

世の中、何が起こるか判らない。まさか、原告と被告が仲良くなるとは誰が思うか。あ、中世は良くありましたから別に珍しくありません。

 何故、二人は仲直りしたか。

それは次回に。

この物語は実話に基づいたフィクションです。


敵は村だ。二人の利害が一致した。
村人を欺くには手を繋ぐしかない。
欲しがりません勝つまでは。
いや、二人ともほしいものを手にいれた。
都合の悪い紙切れ一つは残しません

お湯は大切です。

二人の利権。

いや、二人の銀座。

あや、ふたりの鶯○。







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