平仮名のルーツはヘブライ語 その2

画像 「平仮名のルーツがヘブライ語にある」と聞いても、にわかには信じ難いのではないでしょうか。しかし前述したように、平仮名の「あ」という文字の成り立ちをヘブライルーツ説以上にわかりやすく説明できる方法はありません。いくら漢字をくずして「安」や「阿」から「あ」に転化したと推測しても、所詮字の形状にはかなりの格差があるだけでなく、何故多数ある漢字群の中から特定の漢字が平仮名の素材として選ばれたのかは不透明のままです。ヘブライルーツ説では、単にヘブライ語で「あ」と発音できる2つの子音を重ねるだけで平仮名の「あ」に酷似した形になるため、今までの疑問を払拭して文字の成り立ちをごく自然に理解することができます。

 ヘブライ語から平仮名を創作するためには、日本語と同等の発音を持つヘブライ語のアルファベットを流用することを原則として、次の5つの手法を上手に使い分けます。まず子音が複数ある場合は、それらを重ねて新しい字形を造る「かぶせ」があります。また字画を任意の位置に移動させる「うつし」を使って、新しい字形を創作することもできます。更に字のバランスを整えるために、意識的に点や線を変形させる「のばし」と、文字を回転させる「まわし」、更に字画を簡略化したり差別化するための「まるめ」という手法を使って文字を完成させます。

 例えば平仮名の「い」は「まわし」と「のばし」を活用するだけです。へブライ語の「い」は(ユッド)に母音の「・」(ヒリック)が下に付いた字です。しかしこのままではあからさまにヘブライ語とわかってしまうため、字を時計周りに90度「まわし」、左の点は書きやすくするために「のばし」て、線にします。これで平仮名の「い」が完成です。また「う」の形成方法も簡単です。ヘブライ語では「う」の母音をシュルクと言い、(ヴァヴ)の中に点がある形です。そこで、中の点を真上に「うつし」、その点を伸ばすだけで、平仮名の「う」になります。

 「え」の成り立ちはもう少し複雑になりますが、ヘブライルーツならではの形成方法が浮かび上がってきます。「え」と発音するヘブライ語は(アレフ)と、(ヘー)の2つの子音があります。これらを重ね、「え」の母音となる(ツェーレー・マレー)を合わせます。この母音は(ツェーレー・マレー)を合わせます。この母音はと2つの横並ぶ点から成り立っているので、は文字の上に、2つの点は文字の右下に「うつして」移動させます。すると一見、漢字の「文」とも見えるような文字になりますが、右下の線を2つの点に向かって「のばして」いくと、それまで「文」に見えた文字上に、「え」の形が自然と浮かび上がってきます。また(アレフ)を形成する4つの点線は全て中心に向かって外側から湾曲しているため、特に「え」の下半分に見られるわずかな曲線に酷似した形状として捉えることができます。

 あ行の最後は「お」です。これは(アレフ)とヘブライ語のヴァヴに似た(ホラム・マレー)を重ねて文字の原型とします。そして「かさね」の位置を文字全体の中心よりもやや左側に置くのです。すると、たったそれだけの工夫で見るからに「お」という平仮名に酷似する文字の原型が誕生します。そして(アレフ)下部に半円の線をきれいになぞり、右上の点は90度「まわして」、「お」の右上に書く点とします。こうして平仮名の「お」ができたと推測できます。ヘブライルーツ案が決してこじつけや思い込みによるものではなく、合理的に納得できる平安時代当時の創作方法であるということを理解して頂けたでしょうか。