「あ」行は解説済みですので、今度は平仮名51音の最上段にある「かさたなはまやらわ」を順に解説します。ヘブライ語で「か」の発音を有する子音は(クフ)と(カフ)の2つが有ります。後者は語末に文字がくると下が長く伸びた(カフ・ソフィート)になります。このカフの語末形とクフをかぶせて描くだけで、「か」に酷似した形になります。
「さ」の子音になるヘブライ文字は(ツァディ)と(サメフ)という丸に似た形をした2つがありますが、平仮名「さ」の創作には後者を用います。まずサメフの下に母音の(カマツ)を付けるとヘブライ語で「さ」の発音となります。これを「うつし」手法で母音を上部に移動させ、更に若干時計と逆周りに「まわし」、角度をつけて縦の線をサメフの右上に付けます。すると「さ」に見えてきます。「さ」の文字自体、左側から円を描くようにして丸を描いて右に払いますが、この動作字体、サメフの名残ではないでしょうか。
「た」のヘブライ子音も2つありますが、平仮名の創作には(テット)を用います。まず子音の下に横線のパタフを書くと「た」の発音になります。そしてパタフを子音の右下に「うつし」、右上角の横線の下に並ぶようにします。すると「た」に類した文字が見えてきます。平仮名の「な」は、「うつし」と「まるめ」を使って、これもヘブライ語から簡単に創作できます。ヘブライ語でNにあたる子音は(ヌン)です。それに母音の(カマツ)をあわせて、カマツを左上に移動します。そしてヌンの下側の払いが左向きになっているため、そこを「まるめ」て、くるりと上から右の方へ払うと、「な」が完成します。同様に「まるめ」を活用して「は」を描くことができます。ヘブライ語の(へー)に母音のパタフを合わせて「は」の発音となるヘブライ語をつくります。次にパタフを子音の右下に移動して横線を十字になるように重ね、「まるめ」の方法を用いて右側の縦線下から丸めて右外に払うと、「は」になります。
「ま」は(メム)と母音のカマツを組み合わせますが、ここではメムの語末形(メム・ソフィート)を使います。ほぼ長方形のこの子音に母音カマツを逆さまに回転させて「かぶせ」ると、漢字の「虫」に似た字になります。最後に縦線の下部と横棒を「まるめ」ると「ま」になります。
「や」は(ヨッド)をベースとしていることが一目瞭然です。そのに母音のカマツをやや斜め左側から「かぶせ」、最上部の横棒を右にずらすだけで「や」が完成です。また「ら」もヘブライ語ルーツが大変分かりやすい文字の一つです。子音の(ラメッド)と母音のパタフで「ら」の発音になりますが、この母音を上部に移動するだけで、「ら」になります。最後は「わ」ですが、「お」と同様に、(ヴァヴ)と(アレフ)を組み合わせてその原型を作ります。後は文字の曲線をなぞって、「わ」の形を作り上げます。
ヘブライ語ルーツ説以上に平仮名の成り立ちを分かりやすく説明できる学説は存在しません。