コロナがもたらしたも一つの一律的な価値観は、「医療従事者は尊い」という意識である。
ツイッターを見ていると彼らへの感謝の気持ちが書かれ、「医クラ」と呼ばれる人々による「お前ら遊びまわって感染した連中は来るんじゃねぇ、こっちは大変なんだよ」といった愚痴が一部から書き込まれる。メディアも「医療従事者への感謝を!」と呼びかける。
こうした扱いをされ、自らも尊い職業だと考える者がいるからこそ、医師会は強い調子で国民に自粛を求める。
一方、日本医師会の中川俊男会長と東京都医師会の尾崎治夫会長は、自民党の政治資金パーティーに参加し、中川氏は寿司デートでシャンパーニュを満喫した。
「感染対策はしていた」と中川氏は述べていたが、医療のプロが感染対策をすればあなた方素人ととは違って万全である、とでも言いたいのだろうか。我々には徹底した自粛を求めているのだから、そう解釈するしかない。この男はどこまで国民を見下し続けるのだろうか。
もはや医療従事者は「聖職者」のような扱いになっている。モンスターペアレントに苦しむ学校教師や、台風で田んぼが水没した農家の苦悩、さらにはコロナで雇い止めになった非正規雇用者の苦悩などは脇に置かれ、この1年4ヵ月ほど、徹底的に医療従事者の苦労ばかりが取沙汰される。
飲食店の苦悩もたまには紹介されるが、これまで散々飲食店を悪者扱いしてきたテレビがどの口で言うのだ! 貴殿らが火をつけておいて、それでいて今更「可哀想ですね」とは、なんたることだ。
この件については、昨年のGO TOトラベルキャンペーンを散々悪者にした後に、嘆く旅行業界従事者の声を紹介した構図と酷似している。
賢明な読者諸氏は、バカなテレビの論調にこれ以上付き合うべきではない。
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