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J-popの分析をする日記

音楽好きな人がJ-popの分析をしたりしてます。ボカロの曲作ったりもします。

過去ログ

Virtual Insanity

洋楽に対して、苦手意識があった僕ですが、最近いいなーってよく思います。
子音が多いせいか16分音符が多いせいか知りませんが、なんか英語かっこいいですしね!
J-popじゃないのは気にしない方向です。

日進カップヌードルのCMでも有名になったJamiroquaiの「Virtual Insanity」。
イギリスのクラブシーンから出てきたジャズの一種「アシッド・ジャズ」というジャンルだそうですが
ジャズにもなんか「ビバップ」とか「フュージョン」とか「ファンク」「モダン」「フリー」とか色々ありますからな。
僕の中ではマイナー7th,9thが多い、ダークかっこいいやつって認識です。
あとベースがよくオクターブで動くのが特徴(たぶん)。

この曲、15年前に出てたそうでまずそのことにビビります。
全然古さを感じませんし、むしろこれカッコよすぎだろう、と。


バスドラ
アタックがよく分かる音。リバーブはあんまり感じない。

スネア
かなりタイトな音。つぶがはっきりしてる。

ハイハット
打ち込みっぽい音(tr-909?)。ひたすら8分を刻み続ける。

タンバリン
サビでひたすらスウィング!

エレキベース
スラップをしてるのか、高い音に行った時にアタックがはっきりします。
オクターブの動きと休符を使った独特のかっこいいやつやってます。

ピアノ
一番目立ってますね。1拍目表でルート、裏スウィングでお洒落な和音弾いてます。
リバーブはけっこうある印象。

ストリングス
サビでメロに対して反復しております。
戻ってきたAメロで3連符のリズムでうねうねしたり。

エレキギター(ワウペダル)
サビでF#を右、左と派手に動かしとります。
2回目のAメロでは味付け程度に「ぽーわっ!」ってやってます。
これ、一見地味です。しかしおしゃれ感3割増しのいい仕事をしてる訳ですな。
ギターが曲にもたらす効果は侮れません。



気になるとこ


Aメロ

テーマとなるコード進行をピアノが提示しつつ、ボーカルのジェイ・ケイがなんかいい感じのやつ。
バイオリンの音がクレッシェンドして、弾き直して歌へ。
(0:15~)はピアノとドラムとボーカルだけですが、かなり音に充実感がありますな。
ドラムとピアノがカバーできる音域はやっぱり広い。
ドラムは基本1拍目表と16分裏にバスドラ、2拍目にスネア、のループ(言葉にすると分かりにくいですね)
パターンはそのままで、4拍目裏裏にバスドラをいれたり、たまにスネアを抜いたり
そいうのでさりげない変化を見せてくれるのが最高にクールです。


サビ

ドラムは一見ロックの分かりやすいリズム。
ですが、ベースのおかげで面白いグル―ヴになっとります。
ベースは裏のスウィングを強調した、オクターブで動く派手なやつ。
「っででーでっ!」っていうフレーズの最初の「っ」のタメがきいてますね。かっこいいです。


Aメロ(2回目)

1回目のに加えて、オクターブが歯切れいいベース、ワウペダルを使ったエレキギター、3連符でフェードインしてくるストリングス
なんかが来てなんだか音が埋まった感がありますね。
どれもいい仕事してますが、やっぱりベースが気になります。
ロックなんかだとルートを提示し続けるのがベースの仕事ですが、この曲ではスウィング感の強調に一役買っております。
「でーれっ!」って歯切れいいオクターブがやっぱりいいですねー。


サビ(2回目後半)

メロディがより高いとこに、派手になります。
それにしても、メロの音の入れ方が超かっこいいですね。
のばしながら♭してお洒落音にしたり、イギリス人ならではのセンスって感じがしますな。
カラオケでは歌いにくいかんじ。同じAメロでも違うメロディだったりするし。
よくこんな難しいことするなぁー。


和音進行


E♭-minor


Aメロ

Ⅰm=Ⅱm(key,D♭) Ⅴ7 Ⅰ7=Ⅴ7(key,G♭) ⅠM7 #Ⅳdim7=#Ⅵdim7(key,E♭) ⅥM7 Ⅴ7(♭13)

なんかものすごい分かりにくい表記になりましたが、前半の2小節がtwo-fiveの繰り返し
後半2小節は半音ずつ下っていくというわりと分かりやすい進行です。
前半の2小節で平行調のG♭-majorに転調。その後すぐに元のE-minorに転調。
転調の際、両方の調に共通の和音Cm7(♭5)を使ってるのにも注目したいところです。
このAメロ、ベースが全部4度上か半音下の動きなので、非常にスムーズ。


サビ

ⅥM7 Ⅴ7(♭13) Ⅰm7 Ⅳm7

6514の進行。最後にⅣに行くのが味がありますな。
これまたベースが4度上か半音下に動くスムーズかつクールな進行です。


jamiroquai、ちょっと前に出た「White Knuckle Ride」とか「She's a Fast Persuader」とかもかっこよかったです。
ぜひぜひー。

http://www.youtube.com/watch?v=pzGVgcBJgZo&feature=related

F

中学生の頃流行ってたマキシマムザホルモン。
給食の時間にたまーに流れてたことを思い出します。
思春期の男の子が好きそうなサウンドですもんねー。僕も大好きでした。
「ぶっ生き返す!」ってアルバムがクラスで回って人気だったなぁ。懐かしいです。
ライブで聞いてみたいなぁ。客層が怖いから行かないんですが。
わりとビビりです。

当時は攻撃的な音に圧倒されるばかりでしたが、今聞くとまた違いますな。
タイトルの「F」はドラゴンボールのフリーザを表してるだけだと思ってましたが
コードワークもどうやらFが中心になってるみたいです。

楽器構成

ドラム
バスドラは大きめ、アタック重視。
スネアはピッチ低めでリバーブ深め。
シンバルは小さめの設定。

ベース
ルートを白玉で伸ばしたり、ギターとユニゾンしたり。
Introでスラップ(べんべんするやつ)する以外は非常に堅実な動き。

ギター
かなり大きめの設定。
曲を通して印象的なリフを弾き続けるこのバンドの要。だと思います。



Intro

Ⅰm ♭Ⅱm Ⅰm

Fmと半音上のコードを繰り返すわりと単純な進行。
ドラムのバスドラとタム、ベース、ギターがユニゾンで刻むのが気持ちいいです。
あとなんといっても、0:15からツインペダル。
バスドラを両足でばたばたやってますが、やんちゃしてますねー。すごい音圧です。


A

Ⅰm

ギターは、「F-♭A-G-♭E-F-」のリフをひたすら繰り返し。これがまたかっこいい!
バスドラは4つ打ちでスネアは最初4拍目だけですが、2ループ目から2拍目と4拍裏で叩いとります。
メロは女声とオクターブでユニゾンしたりハモったりしてますが、とってもきれいです。


B

Ⅴm

ギターは「C,♭D,♭E」を使って刻んどります。
ここではベースとユニゾンしてるため、ものすごい安定感があります。
ギターのパワーコード(bass,5th)とベースがユニゾンすると、倍音的にがっちりかみ合いますからね。
ドラムはオープンを4分を叩いて1,3でバスドラ、2,4でスネアを基本とするロック定番パターン。


A'

Ⅰm

Aと同じコード、同じギターのリフですがそれを感じさせないリズミカルなフレーズ。
ドラムは裏でバスドラとオープンを刻むテクいフレーズ。
ギター、ベースのリフも同じタイミングでやってます。
このバスドラ、ギター、ベースが同じ動きをするっていうのが、この安定感の大きな要因でしょうな。
ジャズやボサノバなどとは対称的なつついても動じない感じがします。


B'

Ⅴm

Bとは変わってドラムはバスドラ中心で3拍目のリバーブが深くかかったスネアを聞かせるパターン。
どうどうとした印象をうけます。
後半ではスネアを4つ打ちにして、ギターが高音でリフを弾いて、ギターが2本になって。
ってどんどん音を増やして分かりやすく盛り上げてます。
ものすごいサビへの期待感が増しますね。おかげでサビ冒頭の高音のボーカルがすごい気持ちいいです。


サビ


Ⅰm ♭Ⅲ Ⅳ ♭Ⅵm Ⅴ(1転)
Ⅰm ♭Ⅲ Ⅴ(1転) ♭Ⅵm Ⅴ(1転)

ベースラインがどんどん上がっていくコードワーク。わりとシンプルです。
ドラムは裏でシンバル連打で、バス、スネアは「どったどっどたっ」通常の2倍の速度で繰り返す、とても攻撃的なかんじ。
ここなんか、ベースとギターのユニゾンによる安定感が如実に分かりますね。
これぞロック!ってかんじの充実した響きが聞けます。


ドッペルドミナントもノンダイアトニックコードも使わない、転調もしない
和声的には非常にシンプルですが、これだけインパクトがありますもんね。
制作をしてるとどうしても、複雑にすればいいわけじゃないってことが分かってても
それを忘れて複雑にしようと思ってしまうもんですが、こういうのを聞くと改めてシンプルな和声のカッコよさを思い出したりします。


http://www.youtube.com/watch?v=oK-eaM4Ox9c


和声、楽器(倍音)、リズム、展開、聞き手の体調、教養、聞く場所とか
いろいろかみ合った時にいい音楽になるのかなーと最近思います。


ちょっと前に声楽の先生である林先生のリサイタルに行ったのですが
これがすごい楽しみにしてたはずなのに最初から最後までうとうとしちゃったんですな。
おそらく僕のオペラに対する教養が全く足りてなかったせいだと思います。発声に対する知識もほとんど無いですし。
あと、ポップスを聞きに行くみたいなノリで行ってしまったものだから
それでモーツァルトのオペラを聞いても当然7thや9th、分数コードやドッペルドミナントが出てくるはずもなく
楽器もピアノ1台とボーカルですから、頭がその厳格なノリについていけなかったんでしょうな。
その場のテンションにあわせて聞かないとなかなか楽しめないのかなーっていう。


もちろん音楽の楽しみ方は人それぞれですが、それでもやっぱりジャンルごとの文脈の読み方があって
テクノだったらバスドラとシンセを楽しむ、ジャズだったら複雑な部分転調とアドリブを楽しむ
演歌だったら歌詞の趣深さを楽しむ、オペラだったら発声やストーリーを楽しむとか
現代の音楽は聞き手にその音楽に対する経験や知識を求めるものみたいです。
よく言われるように音楽は世界共通言語、では無いかもしれません。


世界共通言語であったら、インドネシアのガムランとか
アフリカのケチャとか、現地の人が親しんでるように、日本人も親しめるはずですしね。
音だけで楽しめるものは、実は無いんじゃないかと思ったりしてます。
聞き手の教養とか経験がないと音楽は成立しないんじゃないかとか。


でも、そんなこと考えてると色々とめんどくさいですねw
なんだかいろいろ難しそうですが、とりあえず自分がイイ!って思ったものを大切にしていきたいものです。


Take Me To The Carnival

明日ミュージカル本番なわけですが、僕なりのお休みの取り方ですな。
PE'Zを彷彿とさせるインストバンド「ソノダバンド」から2ndアルバムが出ましたよー。
このバンド、今僕の中で一番熱いです。
インテリ感あふれる和声感から、作ってる人はただものじゃないなーと思ってたのですが
メンバー6人は全員東大生(一人OB)のご様子。ほえー、なんだか圧倒されますな。
特にVn,Vc,keyは灘高校のクラシック研究会(部活)で勉強を重ねていたそうな。
同じ大学生でこれだけ内容の濃い音楽してることにちょっと嫉妬しちゃいますが、間違いなくサウンドは超一流です。


フュージョンっぽいのに、ディスト―ションギターもいる、なんか面白い構成。
特筆すべきはやっぱりキーボードの方のアレンジ。
たぶんこの方が作曲とコード付けをしてるんだと思いますが、ほんとすばらしー。
あと歌ものではない、バイオリンならではの跳躍とスケールが多いメロディラインも聞きどころです。
キーボードの方は十数年後に、有名アーティストのプロデューサーになるんじゃないかと勝手にふんでます。
今回分析するのは、人気曲のひとつ「Take me to the carnival」。



楽器構成(全部生)

バスドラム
ジャズらしい控えめな音。PAでボリュームをしぼってあるんでしょう。

スネア、リムショット
粒のしっかりした高い音。

ハイハット
ライド8分打ちで、たまにスウィングを強調するように裏16分でもいれてきます。

エレキベース
ラインがしっかりみえる、なんだかあったかい音。2:06でチェロの人に水を飲ませてもらうシーンは見どころ。

エレアコギター
左のスピーカー中心に流してる。地味ですが、ライドシンバルと一緒にスウィングの16ビートを感じさせてくれます。
途中からコーラスをかけてアルペジオしたり。ピアノだけでは少し足りない和音感を埋めてくれてます。

キーボード(アコピ)
ベースとバイオリンの間でお洒落な和音構成音を弾く、このバンドの要。

チェロ
バイオリンのオクターブ下でユニゾンしたり、ハモったり。

バイオリン
非常にうまいバイオリン。うん、うまいなぁ。



曲構成とききどころ



intro→A→B→A→サビ→ピアノソロ→D→ドラムソロ→A→B→A→サビ→サビ(余興)→大サビ→エンディング


intro
チェロがドリア旋法(6thが#)によるリフ。
次いでドラムがライドシンバルをスウィングで刻みつつ、タム、リムと入ってきて
ギターがハーモニクスを、エレアコとピアノが高いとこでAmを弾いてから、高音で少し遊んで流れのままAメロへ。


Aメロ
2分音符のゆったりしたフレーズ→16ビートの流れ。速いテンポのため16ビートに入った時の疾走感が気持ちいいですな。
ドラムは2分にあわせてのクラッシュ、オープンから裏8分のハイハットを中心としたリズムパターン。
ベースは2分のルートから、符点8分、符点8分、8分のリズムでルートと5thを弾くパターン。
ギターは2分のじゃーん、じゃーんが終わった後はAmを弾き続け
キーボードはふつうにコードチェンジをし
チェロはベースのオクターブ上を白玉でのばしつづけ
バイオリンは4度跳躍のメロディを華麗にみせつつ、最後の小節3拍目でブレイクをいれてBメロへ


Bメロ
ライドシンバルはやっ!っていうドラムのはしゃぎよう。バスドラとスネアはたまーに入ってきます。最後はスネアでフィルを。
ベースは8分で動き続けるウォーキングベース。テンポがもともと速い(180くらい?)ためめっちゃ忙しく聞こえますね。
コード構成音と経過音で刻み続けます。
チェロはバッハの対位法を彷彿とさせるバイオリンとの絡み。おいしいとこひいてます(0:53の,9thのf#とか)
ギターは単音で刻んでます。Bメロ終わりでは高音で印象的なフレーズ。


サビ
躍動感あふれるメロディが頭から離れませんなー。そして4小節目にくるコードはなんなんでしょう。
6thがルートのようですが、かなりテクいコードなんでしょう。後で見ていきます。
ドラムは4分のバスドラ、4分のリム、8分のライドを基本として、たまーに細かくしてくるかんじ。
ベースは5度の跳躍を基本として、2分で弾いとります。
キーボードは4分音符の間、お洒落コードをいい感じのタイミングで連打しとります。
対してギターは2分で細かくコードをポジションを変えて演奏しとります。
チェロは先ほどのテクい動きはやめて、ひたすらバイオリンにオクターブユニゾン。
おかげでサビがより印象に残りやすいというか、ポップで聞きやすいです。
バイオリンのメロはシンコペーションや半音の動きが魅力的なメロディ。
何回聞いてもいいですねー。


ピアノソロ
ドラムとベースもなかなか盛り上げ上手な役回りで
ドラムはスネアの手数が増えてきたり、単純に叩く強さがどんどん強くなってたり
ベースは通して5度跳躍なファンキーな動きですが、要所要所で感情をあおりたてるような細かい動き。
最初の方は♭Ⅵ→Ⅰのループ。
後の方はサビのコード進行でひたすら展開をみせてくれます。
これだけ激しいと、むしろ音を外した方がかっこいい感じがしますな。(2:45~2:50)
ここらへんはクラシックと全然違って面白いです。
分析しちゃうとFM7をオクターブ変えて連打してるだけなんですけど、これだけの前振りがあってからだとかっこよく見えちゃいます。
左手はひたすらAmを。右手で激しい動きを見せてくれます。
指がよく動くとかはおいといて、展開のしかたとか魅せ方がうまいですねー。かっこいいなー。
ピアノグリッサンドでDへ。


Dメロ
Am7の6th,Fだけを弾かない下降系のスケールのメロ。歌モノだと絶対聞けないメロですな。
ドラムはバスドラは1拍目だけであとは8分のライド連打。
ベースは高いとこでなかなかにくい動き。半音とかをみせてくれます。
チェロとバイオリンは最初ユニゾンで、途中から5度ハモリ。
旋律の独立性を重視する古典和声では禁則ですが、完全にメロをサポートする役回りなので、ここでの5度ハモリは全然ありだと思います。


ドラムソロ
Ⅰ→♭Ⅵ→Ⅰ→Ⅵをギターとピアノが弾き続け、その中でドラムが派手にやってます。
こういうタイム感のしっかりしたドラマーのソロは、聞いててにやにやしますね。
タムの連打の音がほんと気持ちいいです。


エンディング
Ⅵ→Ⅰを伴奏に、ドラムの裏8分のオープン(ディスコっぽいやつ)とギターがじゃかじゃかで盛り上げてます。
チェロとバイオリンはそれぞれ違う旋律を弾いとります。やっぱりバッハを感じさせてくれます。
バイオリンのビブラートかけながらのポルタメントは圧巻。
最後、5つの楽器がユニゾンしながらリフを弾きます。ドラムもライドやスネアを同じタイミングで叩いてます。
ライブの終わりっぽいドラムのがしゃがしゃ、バイオリンのあらぶりのあとAmで締め。


和音進行


テンションはあまり聞き取れなかったので、とりあえず7thで解釈します。

intro A-minor

Ⅰm7

ドリア旋法によって、お洒落なヨーロッパ感を感じます


Aメロ A-minor

Ⅰm7 ♭Ⅱ7 ♭ⅢM7 Ⅱm7
Ⅰm7  Ⅱm7 ♭ⅢM7 Ⅱm7

♭Ⅱ7はドミナントの代理コード。ここでは♭Ⅲに偽終止してます。
1音ずつベースが上り下りする聞きやすい進行。

Bメロ D-minor

♭Ⅵ7 Ⅴm7(1転) Ⅴm7 Ⅰm7
♭Ⅵ7 Ⅴm7(1転) Ⅲdim Ⅴm7

Aメロから、下属調にあたるD-minorに転調。
一段目は6751の王道進行。
Ⅲdimはこれだけ見ると謎和音ですが、後に♭Ⅲがあって省略されたと考えると経過的に使われたと納得できます。
ジャジーなお洒落和音。

サビ A-minor

Ⅳm7  Ⅴm7   Ⅰm7 Ⅳm7 Ⅴm7 ⅥM7
♭Ⅵm7 Ⅴm7(1転) Ⅴm7 Ⅰm7
Ⅳm7  Ⅴm7   Ⅰm7

普通の451から456の偽終止、それも6がお洒落和音なためちょっと変わった雰囲気を持ってます。
このⅥM7は旋律短音階のダイアトニックコード、テンションをたくさんのせてるためテクい印象を持たされます。
こうやってみてるとⅤを使う時、導音を使わないんですね!
導音を使うと必然的にコード進行が絞られるので、自由度を高めるためにそうしているのかもしれませんね。


ピアノソロ

♭ⅥM7 Ⅰm


Dメロ

Ⅰm ♭ⅥM7

ピアノソロとDメロはそれぞれ逆になっただけ。シンプルなトニックの連続。


ドラムソロ

Ⅰm Ⅱm Ⅴm7(1転) Ⅰm ♭ⅥM7 ×2
Ⅰm Ⅱm Ⅴm7(1転) Ⅰm Ⅵ(2転)

非常に速く展開するコード進行。
最後のⅥ(2転)は謎和音。今の僕には理解できないかんじですな。
そのうち勉強してくうちにわかるでしょー。


エンディング

♭Ⅵ7 Ⅰm7
Ⅰm7  Ⅰm

トニックだけでテンションを聞かせる、シンプルな進行。
でも普通にかっこいいですね。




実はこのバンド、昨日音楽ニュースサイトを見てて知ったのですが
もうすっかりはまってますな。さっき「出たとこ勝負」って曲だけItunesで落としてきました。
こりゃまた歌では難しい、速いパッセージがかっこいい名曲。あとイントロのギターのリフとかもかっこいい。
あとサビの半音を使ったベースラインも、シンコペーション連打で突っ込んでくるリズムも。すばらしー。

最近思ったのですが、クラシック、ジャズ、ハウスを理解出来れば、現代のポップスのシーンは大体理解出来る気がします。
そして僕はジャズの知識が圧倒的に少ないですなー。
最近ジャズピアノの本を買ったのでちょこちょこ勉強してきます。

http://www.youtube.com/watch?v=6DKp02fhjLc

エイリアンズ

ヒットチャートに載ってた訳じゃないんですが、僕の大好きな曲を考察。
夜になると一人で聞きたくなるかんじの曲。キリンジの「エイリアンズ」。
さっきまで音楽科教育の発表のためにシベリウスの交響曲とか箱根八里とか聞いてましたが、なんというか、やっぱりポップスは安心します。
もちろんクラシック、唱歌も面白いんですけども。
プロデューサーは冨田 恵一さん。wikipediaで見てたらこの人、中島美嘉の「stars」のプロデュースもしてた人なんですね。
あれだけ複雑なコードワーク(しかもすごい綺麗でポップ)が出来る人ということで、実力派のプロデューサーを抱えとるようです。
今はエイベックスのrhythm zoneに所属してるんですね。前回のJ Soul Brothersとか倖田來未とかがいるレーベルです。


楽器構成

バスドラ
「どっ」っていうアタックのみの音。「どふっ」の「ふっ」の部分はない。

リムショット
タイトで低い音(リムにしては)。アタックの音のみで残響音はほぼナシ。
もしかしたらリムじゃなくて、残響成分を無くしたスネアかも。

スネア
サビへのフィルインから登場。
低めのチューニング。もしかしたら、落ち着いた曲には低いチューニングのドラムセットがあうのかもしれませんね。
この曲だけではなんとも言えませんが。

ハイハット
ローファイな感じのこの音、やばいです。僕の想像するビートルズのハイハット、っていう感じの音ですがなんだかどきどきしますな。
僕は現代っ子なのでハイファイな音が好きですが、この曲に関してはなんだかどきどきしますな。
この曲全体の雰囲気にすごいあってると思います。
クラッシュシンバルの音量は控えめ。

ベース
符点4分、8分、符点4分、8分を基本とした落ち着いたリズムでしっとりと聞かせてくれてます。
経過音で半音の動きをしたり、5度を挟んだオクターブで遠くまで動いたり、魅せてくれます。

アコギ
7th中心のお洒落コードをアルペジオを混ぜつつ、いい雰囲気で聞かせてくれます。

エレキピアノ(コーラス)
アタックはないエレピ。パッドに近い感じ。奥の方で音の隙間をおしゃれ和音で埋めてます。

トロンボーン&トランペット
サビで低い方の音を埋めてます。さりげなく、でも確実に曲のクオリティを上げてます。

sin派っぽいグライダーかけたうにょうにょしたシンセ
間奏で登場。ポルタメントしながらゆったりしたリフを弾いてます。


Aメロ
1,3拍のバスドラ、2,4拍のリムの基本的なリズムに8分のハイハット。
シンプルなパターンゆえにアクセントにいれてくるオープンが強調されてます。
ベースは基本ロングトーンで、コードチェンジの時に経過音を少しいれとります。


Bメロ
Aメロと同じ楽器構成でしっとりと展開。
でもメロディラインはだんだん上がって盛り上がってます。

サビ
オクターブ下のハモリ(ハモリっていうのかは謎)。
こりゃまたシンプルながら気持ちいい聞かせ方をしてくれます。
サビ繰り返しの「きーみーが」だけ下6度なのもなかなか憎い演出。
リムがスネアになったり、ブラスがはいったり、シンセがはいったり。
しっとりの曲とはいえちゃんとレンジを広げて盛り上げてます。


和音進行 E♭-minor


intro

♭ⅥM7 Ⅴ7 Ⅰm7 Ⅳ7 

♭ⅥM7 ♭Ⅴdim(pass) Ⅴ7 Ⅰm7

Ⅰ7 ♭Ⅱ7

いきなり6の音からくるんかい!っていう。しかもメジャーセブンス。
おかげで最初の時点ではB-majorなのかE♭-minorなのか判断しにくいかんじ。
Ⅳ7はおしゃれーなノンダイアトニックコード。3音が#されてるのが重要。(旋律短音階orドリア旋法上のコード)
Ⅴに向かうためのパッシングディミニッシュはあまり見られない進行ですが、普通に綺麗ですな。
最後の♭Ⅱ7はⅤの代理。はしごー先生的に言うと増六の和音。


Aメロ

Ⅰm7 Ⅳm7 Ⅴm7 Ⅰm7

♭Ⅲ7 ♭ⅥM7 Ⅴm7 ♭Ⅴm7 

Ⅳm7 Ⅴm7 Ⅴaug Ⅰm7 ♭Ⅱ7


ふつうの1451にみえますが、Ⅴがマイナーになっとります。
導音を回避してコード進行の自由度を広げてる感じ、なんかキリンジっぽいですな。なんてー。
♭Ⅲ7は♭ⅥM7に向かうためのドッペルドミナント。
♭Ⅴm7は前のⅤm7の平行移動したものですな。おかげで半音の綺麗なベースラインが出来てます。
そしてⅤのオーギュメント。Ⅰにはいる前に保留音をいれてきてるだけですが、なんだかテクい印象を受けますね。
またまた最後はⅤの代理コード、♭Ⅱ7。


Bメロ

Ⅳm7 ♭Ⅵm7 ♭Ⅶ7 
=Ⅱm7  Ⅳm7  Ⅴ7 (on ♭G-major)

Ⅴm7 ♭Ⅶm7 Ⅰ7
=Ⅱm7  Ⅳm7 Ⅴ7 (on ♭A-major)

Ⅵdim7 Ⅱ7 Ⅴ
=Ⅱdim7 Ⅴ7 Ⅰ(on ♭B-minor)

♭Ⅴdim(pass) Ⅳm7 Ⅴ


いろいろやりすぎてて、脱帽です。
サブドミナントマイナーを挟んだⅡ→Ⅴからの一回目は偽終止Ⅴ→Ⅲ
2回目も同じ偽終止Ⅴ→Ⅲですが、そのⅢは元の調のⅥdim7とも解釈出来る。
でもまたそうみせかけて違う調でⅡ→Ⅴ→Ⅰ。自分でも書いててよく分からんくなってきた。
でもすごいきれいです。
サブドミナントを起点とすると転調しやすいとよく聞きますが、これもまた一つの例ですね。
偽終止を絡めるとスムーズに転調がすすむっていうのも分かりますな。
元の調に戻ってからも、素直に進まずに一回Ⅳの半音上に寄り道するかんじ。よくやるなぁ。
ギターでこんなに膨大なコード扱うなんてすごい大変だろうに。


サビ

♭ⅥM7 ♭Ⅶ7(3転) Ⅴm7 Ⅰm7

Ⅱm7 Ⅴ7 Ⅰm7 Ⅲ7


さっきまでの凝りようとはうってかわって、超分かりやすい進行。
1段目はJ-popの王道進行。6751。
日本人はこの進行が好きだからサビに使えば売れる、みたいな話が昔ありましたな。
事実かはさておき、J-popのサビでよくみられるコード進行であることには間違いないです。
2段目はシンプルなⅡ→Ⅴ→Ⅰ。シンプルすぎてちょっとびっくりします。
A、Bでは♭Ⅱ7とか使ってましたし。


A,Bでは綺麗だけどなかなかつかみどころのない和音進行を。
サビでは思いっきりキャッチ―に。っていう策略もみえてきてなんだか怖いですねw
駅前で弾き語りしてそうなお兄ちゃん、っていう感じとは裏腹に理詰めで曲作りされた恐ろしいバンドです。
僕の思い込みかもしれませんけどねー。

http://www.youtube.com/watch?v=AwxNaRixAUk

リフレイン

Itunes storeシングルランキング7位。
三代目 J Soul Brothersで「リフレイン」。
サビでのノスタルジーな雰囲気漂うベースラインクリシェ(半音ずつ降りてくやつ)が印象的な冬っぽい曲。
たぶん、プロデューサー兼ボーカルのHIROさんはクリスマスにこの曲が流れまくるのを想定して、この時期にリリースしたのでしょう。
さすがです。たくさん流れてそうです。
狙い目の一カ月前にリリースするのがポイントな訳ですな。



楽器構成


バスドラム
「どふっ」っていうゆるめのバスドラ。低音は控えめっぽい。
[符点8分、符点8分,8分]のリズムをループしてます。


クラップ
「ぱんっ!」っていうかなり音量の大きいクラップ。2拍目では「くちゃっ」って音もはいってる。4拍目はシンプルなの。


ハイハット
A,Bでは短い音を8分打ちしてます。サビではミュートしたトライアングルを16分打ち。


ウインドチャイム
冬感を出そうと思ったら、とりあえずこれをイントロに使いますわな。


シンセの短い音
4拍裏に右と左、交互に「ぴゅんっ」ってやってます。この4拍裏のノリはかなり重要な気がします。


てってってーっていうシンセ
一回だけ4分でディレイしてます。左から右にいったり、右から左にいったり。Aメロのフレーズ終わりで出てきます。


ベース
Bメロから登場。
バスドラと同じ[符点8分、符点8分,8分]を基本のリズムとして、5度を経由したオクターブの動きなんかをお洒落にみせてる。


ピアノ
ちょっとかためのピアノ。Aメロでコードをアルペジオ。リバーブはめっちゃ深い。


ギター
ピアノからバトンタッチを受けて、Bメロとサビで活躍。コードをアルペジオ。


ストリングス
Bメロから登場。サビでは大分高いとこまでいきます。
1st,3rd,5thの音でソプラノの旋律を作る古典的な手法ながらも、とても綺麗です。




ききどころ


intro

「さすがにリバーブ深すぎでしょー」っていうピアノが気持ちいいイントロ。
なかなかこんな余韻の残る場所には行けないですね。
右手は6度のハモリでメロディ、左手はアルペジオでコードを弾いとります。
ウインドチャイムと「てってってー」っていうシンセでAメロへ


Aメロ

イントロの流れを素直に受け継いで、8ビートのドラムを加えてシンプルに展開してきます。
この辺の安心感はさすがEXILE。
とりあえず序盤はシンプルなコードで美声を聞かせてくれます。
ボーカルのリバーブもめっちゃ深いですね。
きらきらしてる気がするのでプレートリバーブを深くかけてるんでしょうかね。


Bメロ

ベースが入ったことによりレンジが広がり、ちょっと盛り上がります。
1:06の、わ「すー」れてたから
1:14の、は「ぐー」れてた
の音はそれぞれ♭Ⅳdim7の7th、Ⅱm7の7thの刺繍音にあたる音ですが非常にやらしーですな。
いいかんじの非和声音をいれてくる、さすがのEXILEクオリティです。


サビ

レーミーミーファラーのメロに対して、オクターブで挟んで
ラーラーラーラ レーのハモリ。なんかゴージャスな響きがしますね。
最後のコーラスもいい感じ。ストリングスともいい具合にかみ合ってますなー。




コード進行 D-minor


intro

Ⅰm ♭Ⅶ ♭ⅥM7 ×2


Aメロ

Ⅰm ♭Ⅶ ♭ⅥM7 ×2
Ⅰm ♭Ⅶ Ⅵdim7 ×2


Bメロ

Ⅳm9 Ⅴm7 ♭Ⅵ ♭Ⅶ ♭Ⅲ→♭Ⅳdim7(pass)→Ⅳm9
Ⅳm9 Ⅳm7(3転) Ⅱm7 Ⅴ


サビ

Ⅰm ⅠmM7(3転) Ⅰm7(3転) Ⅵdim7
[ベースラインクリシェ]
♭ⅥM7 ♭Ⅶ ♭Ⅲ ♭Ⅵm Ⅴ

Ⅰm ⅠmM7(3転) Ⅰm7(3転) Ⅵdim7
[ベースラインクリシェ]
♭ⅥM7 Ⅴm Ⅳm Ⅴm


一音ずつ下がるベースラインをリフレインしてますねー。
そして、僕の大好きなAメロのⅥdim7。(0:47)
これ、前々回でも前回でも紹介してたノンダイアトニックコード、Ⅵのdiminish7ですな。(majorだと#Ⅳdim7)
これ使うだけで相当お洒落な感じになるというつわものコードです。やっぱりトレンドなんでしょうか。

Bメロ二つ目のⅤがマイナーになってるのは、Ⅰへ戻ろうとする力をやわらげるためでしょう。あと急に明るくなっちゃいますし。
♭Ⅵ→♭Ⅶ→♭Ⅲの流れは、F-majorのⅣ→Ⅴ→Ⅰにも聞こえるため、一瞬平行調に転調したようにも聞こえますね。
そしてⅣに戻る時、自然に経過的用法のdiminishを使ってます。うまいなぁ。
BメロラストはシンプルなⅡ→Ⅴ→Ⅰ。

サビは、おなじみのベースラインクリシェ。
最後の方の♭Ⅵmはさりげなくおしゃれ!通常♭Ⅵでつかわれるとこですが第3音を次のⅤに保留してなめらかーにしてます。
これはお洒落ですな。ぜひパクリましょう。
最後はⅤからⅣにちょっと寄り道して、またⅤに戻り、Ⅰに解決します。



サビの展開はこてこてのベースラインクリシェですが、消化の仕方次第でこんなにもいい感じの雰囲気になるんですね。
やっぱりEXILEはつよいなー。
リスナーの需要(ダンス、いい声、ラブソング)に答え続けるあたり、すごいと思います。
世のEXILEファンに怒られそうですが、超一流の商業音楽ってかんじですなー。


http://www.youtube.com/watch?v=MuMdqo2NFSo&ob=av3e