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J-popの分析をする日記

音楽好きな人がJ-popの分析をしたりしてます。ボカロの曲作ったりもします。

過去ログ

花になれ

WARNER MUSIC JAPANが最近ゴリ推しのボーカリスト、指田郁也さん。
キャッチコピーは「100年に1人の逸材」らしい。たいそうですな。

最近出た3rdシングル「花になれ」は、サビでの短三度上への転調、J-popバラードでよく聞く王道の展開。
そしてなんといってもイカしたボーカルの声を楽しめる曲です。


ボーカル
高周波帯域のリバーブが多い印象。
リバーブタイムも長めで、ホールみたいなリバーブ。
ブレスの音も残してる。

バスドラム
余韻がほとんどなく、アタックだけある音色。
ベースが動くタイミングに合わせてドンドンやってます。

スネア
スナッピーの響き控えめのもちっとした音色。
音の高さは低め。
Bメロフィルとサビで登場。

リムショット
初期反射を多く含んだリバーブ。
木の音がきもちいいー。
Bメロで登場。

ハイハット
8ビート。歌が休みの時など、たまに4拍裏でオープンにしたり。

クラッシュシンバル
とても余韻が長い音。3拍目にかかるくらい。
あと音量も大きめ。

ベース
サビでのでーででっでーのリズムが聞きなじみがあってポップ。
rootと5thを行き来するパターン。
1:13のB♭(A♭に対しての椅音、9th)や
1:36~1:42にかけての半音で動くベースラインは中島美嘉など、従来のJ-pop本格派バラードを彷彿とさせます。
洗練されたベースライン、大好物です。

ピアノ
サビでは少し埋もれますが、AメロBメロでは歌に次いで主役ポジション。

エレキピアノ
ピアノのユニゾンをさせてます。あくまでピアノの補佐的役割。

ストリングス
Bメロではピアノと同じタイミングでコード。
サビで駆け上がってからは存在感のあるトップノートを聞かせてくれます。
「ぶつかっていいんだ~」⇒レーミ♭ーシ♭ー
「泣いたっていいんだ~」⇒レーミ♭ーラ♭ー
のオブリはきれいにキマってます。編曲者のドヤ顔が浮かびます。

ブラス
サビ冒頭での「ファーミ♭ーレードー、シーシ♭ー」
などなど内声のおいしいとこ吹いてます。
サビ中間部の「シ♭ラ♭っソっミ♭っシ♭ー」もおいしいオブリ。


プロの方のミックスなので当たり前なのですが、僕がミックスした時と違ってどの音もよく聞こえてきます。
ピアノとブラスなんかは埋もれやすいと思うのですが、場面場面でそれらのおいしい音が聞こえてきます。
たぶんミックス以前にアレンジが優れてるんだろうなーと思います。
僕を含め、たいていの人は2,3個くらいの音しか集中して同時に聞けないと思うのですが
そのことを踏まえてアレンジしないと聞きにくいのかなーと思いました。
メロディ以外のおいしいパートを増やしすぎないっていう。ごちゃごちゃしちゃうから。



コード進行(テンションは割愛)

C-major


intro

Ⅰ Ⅰ^1 Ⅱ Ⅴ
Ⅲ Ⅵ+  Ⅱ Ⅴ

6つ目のコード、Ⅱに行くためのセカンダリードミナント以外はオーソドックスな進行。
Ⅰの1転はやはりやわらかい響きがしますね。


Aメロ前半

Ⅰ ⅤonⅠ Ⅰ Ⅴ^1
Ⅵ Ⅱ+   Ⅱ Ⅴ

最初の3つはルートを保持したままの151。
冒頭で効果的なきれいでやわらかい進行。
6つめでドッペルドミナントを使いますが、普通のⅡに結局落ち着いてツーファイブしてます。


Aメロ後半

Ⅰ ⅤonⅠ Ⅰ Ⅰ^1
Ⅵ Ⅳ  ♭Ⅶ Ⅴ

最初のほうはだいたい同じ。
♭Ⅶはちょっとテクいコード。作曲ゼミの先生、はしごー曰く「ミクソリディアの7の和音」。
サブドミナント的に使えます。
メジャー系の曲でこれを使えば一味違う感じが出て、非常に便利なコードです。
翼をくださいの「とんでーゆきたーいーよー」の「よー」のとこの和音。
ハム太郎とっとこうたの「ひーまわりのたねー」の「わりのた」のとこの和音。


Bメロ

Ⅳ Ⅰ^1 Ⅱ  Ⅴ  Ⅰ
Ⅳ Ⅰ^1 Ⅱ  Ⅲ ・Ⅳ ♭Ⅶ

前半はサブドミナント始まりでツーファイブに落ち着く分かりやすい進行。
後半はちょっとテクいです。
・Ⅳは同主調の和音、サブドミナントマイナー。かつE♭-majorのⅠに対してのⅡm。
♭Ⅶはミクソリディアの7。かつE♭-majorのⅤ
つまりE♭-majorに対してのツーファイブをして、転調の前準備をしてます。


サビ前半(E♭-major)

Ⅰ Ⅶdim Ⅲ+ Ⅵ Ⅴ Ⅰ
Ⅳ Ⅰ^1  Ⅱ  Ⅴ

Ⅶdim→Ⅲ+はⅥをⅠに見立てたツーファイブです。(C-minor調のツーファイブ)
全体的にベースが1音ずつ下っていく、なだらかな進行。


サビ後半

Ⅰ  Ⅶdim Ⅲ+  Ⅵ Ⅴ Ⅰ
#Ⅳdim Ⅳ   Ⅲ ♭Ⅲ Ⅱ Ⅴ Ⅰ

前半は同じ。
#Ⅳdimは、まさにここ!サビ4回し目の一番最初によく使います。特殊な響きのするノンダイアトニックコード。
僕の大好きなコードで、僕が中学校、高校時代に好きだった曲は大抵これが入ってます。
当時コードの知識は無かったですが、無意識にこのコードが好きだったみたいです。
♭Ⅲも、この半音で下るコード進行によく出てくる偶成的な和音。
まさに王道でおいしい進行です。



僕は中島美嘉のバラードが大好きなのですが、それとちょっと似た空気を感じます。
2ndシングル「パラレル」もadd9の響きがおしゃれーな聞きやすい曲です。
今後の曲も楽しみですな。

http://www.youtube.com/watch?v=t6WCxcJCcDE&feature=endscreen

STARS

ベースラインがひじょーに美しい曲です。
また、特殊なコードや転回形のコードが多用されていて、面白い響きがたくさん楽しめます。
たくさんおいしい曲です。おすすめー。


※ ○/Ⅴは○に進むためのドッペルドミナントをあらわす。
  半角数字は主音から数えたベースの音。


【Aメロ】

Ⅴ/Ⅴ^1 Ⅴ(11)^3 Ⅴ7^3 Ⅲm7 Ⅰ^1 Ⅱ/Ⅴ11(omit3) #Ⅰdim
#4 4 4 3 3 6 #1
曲始まりのベースが#4なのは独特な浮遊感がある。
#Ⅰdim→Ⅱm7はディミニッシュの経過的用法。


Ⅱm7 Ⅴ7 Ⅲm7 Ⅱ/Ⅴ9(omit3) Ⅴdim
2 5 3 6 5
Ⅲm7→Ⅱ/Ⅴ9(omit3)はⅡに向かうためのツーファイブだが
ここでは長3度下の#4に偽終止。
Ⅴdim→#Ⅳφはディミニッシュの経過的用法。偽終止。


#Ⅳφ ・Ⅳm7 Ⅳdim Ⅰ^1
#4 4 4 3
Ⅳdim→Ⅰ^1は裏コード的な解決


Ⅵ/Ⅴ #Ⅳdim #Ⅴdim Ⅵm11(omit3) Ⅴ7/Ⅴ Ⅴ11(omit3) Ⅴ^1
3 #4 #5 6 2 5 7
Ⅲのメジャースケールになぞりながらディミニッシュを使ってる。
#Ⅳdimと#ⅤdimはⅥ/Ⅴの延長線上にある偶成的な和音。


Ⅴ11(omit3) Ⅴ7 Ⅰ^2 Ⅱ/Ⅴ11(omit3) #Ⅰdim
5 5 5 6 #1
前半は属音の保続低音。


Ⅱm7 Ⅵ/Ⅴ #Ⅳdim #Ⅴdim Ⅵm11(omit3) Ⅴ/Ⅴ11(omit3,5) Ⅰ6
2 3 #4 #5 6 2 1
#Ⅳdimと#ⅤdimはⅥ/ⅤからⅥm11(omit3)にすすむための偶成和音。
Ⅴ/Ⅴ11(omit3,5)→Ⅰ6はドミナントからサブドミナントに落ち着く、特殊な終止。


【Bメロ】


♭ⅦM7 Ⅵm7 ♭ⅦM7 Ⅵm7 Ⅰ^1
♭7 6 ♭7 6 3
ミクソリディアの固有和音♭ⅦM7が特徴的。


Ⅱm7 Ⅰ^1 ⅣM7 #Ⅳφ Ⅴ11(omit3) Ⅴaug^1
2 3 4 #4 5 7
#Ⅳφはノンダイアトニックコード。
サビに向けて高揚感を煽る上昇系のベースライン。


【サビ】


ⅠM7 Ⅳaug Ⅵ/Ⅴ(♭9,#11)
1 4 3
ⅣaugはⅥ/Ⅴ(♭9,#11)に向かうためのドミナント。裏コード。
Ⅵ/Ⅴ(♭9,#11)はオルタードドミナントスケールの和音。


Ⅵ/Ⅴ11(omit3) Ⅵ/Ⅴ #Ⅴdim Ⅵm11(omit3,5) Ⅵm7 Ⅴm7 Ⅳ/Ⅴ11(omit3)
3 3 #5 6 6 5 1
#Ⅴdimは経過的用法。
最後のⅤm7→Ⅳ/Ⅴ11(omit3)はⅣに行くためのツーファイブ。


ⅣM7 Ⅳdim Ⅲφ Ⅱ/Ⅴ7 Ⅱ/Ⅴ7^1
4 4 3 6 #1
Ⅳdimは偽終止をする経過的用法。
Ⅲφは短調からの借用和音で、マイナーコードの5thを♭したもの。
最後の和音は転回形を上手く使って半音下からベースラインをひっかけている。


Ⅱm7 Ⅰ^1 Ⅳm Ⅳm7^1 Ⅴ11(omit3)
2 3 4 ♭6 5
Ⅳm7^1も前のと同じく、展開系を上手く使って半音上からベースラインをひっかけている。
Ⅳmはサブドミナントマイナー。


上の2列をくりかえし。


ⅣM7 Ⅴ7^3 Ⅲφ Ⅱ/Ⅴaug Ⅱ/Ⅴ^1
4 4 3 6 #1
4536の流れはJ-popでは常套句だけど、特徴的な和音付けをしている。
Ⅲφは同主調の借用和音。Ⅱ/Ⅴaugは♭13thの響きがする特殊なドミナント。
一番最後のはベースラインを滑らかにするための転回形和音。


Ⅱm7 Ⅰ^1 ♭ⅦM7 Ⅵm7 Ⅴ11(omit3) ⅠM7
2 3 ♭7 6 5 1
ミクソリディアのⅦ以外は順当な接続。


間にディミニッシュを挟んだり、転回形を上手く使うことでベースラインを滑らかにしとりました。
それとドミナントでは3rdの音を抜いた11thのコードを多用したり、サビ前半ではオーギュメントを使い、独特な空気感を出しとりました。
いやー、ほんとに綺麗な曲ですな。

http://www.youtube.com/watch?v=vDBBa3-HDvY

THE REAL FOLK BLUES

僕が天才だと思う作曲家第二弾。菅野よう子さん。
ちょい渋めのアニメ、カウボーイビバップのEDの曲ですが、僕の人生のED(葬式)でも流したいと密かに思ってる曲です。
それほど好きな曲です。うん、こりゃかっこいい。


楽器について

リズム隊

ドラム全体
全体的に8分裏を強調したリズムパターン。
フィルはシンプルなタム回しが中心。クラッシュシンバルは右の方で鳴るけど音量は控えめ。

→バスドラム
アタックはそれほど強くない。優しめの印象。

→スネア
リバーブ浅め、ピッチは高め。
2拍目の裏裏を強調するリズムパターン。

→ハイハット
8ビート。裏を強調するために随所で挟んでくるオープンが、お洒落かつ効果絶大。

エレキベース
めちゃくちゃかっこいいフレーズ。器用にルートをおさえつつ、自由自在に動き回ってます。
すごい動いてますが、洗練された動きです。
曲が展開するにつれてたくさん動いていくのも、とってもいいです。
特にサビ後半1:47~1:53はキマってます!後ほどくわしく。


コード楽器

エレキギター(ディスト―ション)
右の方にいて、いぶし銀的ないい仕事をしてます。
この曲のコード感は彼によって支えられてます。
サビではワウペダルも使ってるんでしょうか。かなり派手に動いてます。

アコギ
中央付近にいます。かなり音量小さいですが、これもコードをバッキングしてます。
彼もまたいぶし銀ですな。


単音系

ビブラフォン
メロディのカウンターラインとして随所にならしてきます。
おかげで大人感3割増しになってます。

サックス
イントロでリフ吹いとります。

ストリングス
Aメロ後半、低めから控えめに入ってきます。
Bメロで存在感を出してきて、サビのAーBーC#ーから大活躍します。
サビでは一音ずつ上がって最後には5thのC#まで到達します。



コード進行について


intro


F#m A D#m7-5 DM7
1→3→#6→6


3つ目のコードはF#-minorのスケール上には本来無い特殊なコード、ノンダイアトニックコードです。
6のルートだけ半音上げたこの和音を6の直前に挟むことで、聞き手の意表をつくことが出来ます。
クラシック的に考えると、ドリア旋法の6の和音。
僕もこのコード大好きで、無駄に多用したくなります。


Aメロ


F#m A B F#m E
1→3→4→1→7


4→1や7→1からも分かるように、サブドミナント終止が中心の進行です。
この曲からあふれてくる洋楽感はこの為だと思われます。
J-popではドミナント終止が、洋楽ではサブドミナント終止が比較的多いみたいです。


Bメロ


B C#m D#m7-5 D C#
4→5→#6→6→5


サブドミナントの4始まりのコード進行。雰囲気を変える時はやはり4を冒頭に持ってくるのが定石です。
introと同様、3番目のノンダイアトニックコードが効いてますね~。超かっこいいです。
最後はシンプルな形のドミナント。このコードは本来1か6(たまに3)に進むはずですが…


サビ


B C# F#m Em
4→5→1→7


Bメロラストはドミナントでしたが、なんとサブドミナントにきました。
この強引な展開はロック感、ブルース感を聞き手に印象付けます。サビ冒頭にブルース感ぶつけてきましたね~。
ここの進行自体は非常にシンプルで、J-popでもたくさん見られそうなかんじ。


D#m7-5 C#/F F#m/E A B/D# D
#6→5→1→3→4→6


2週目は一味違うみたいです。同じメロディですが、違うコード進行を与えてます。
分数コードだと非常に分かりにくいですが、2つめのコードは5を1転したもの。
3つめは1を3転したもの。4つめは4を1転したものです。
それぞれ本来のコードの3rd,7th,3rdの音をベースが弾いてます。

なんでわざわざこんなめんどくさいことをしたのかというと、おそらくベースラインで何か狙っているものがあるのでしょう。
ということでベースラインだけを見てくと
#6→#7→7→3→#6→6になります。
#6→#7の流れが来ると聞き手は1への解決を期待しますが、偽終止的に半音下に解決します。
解決先の半音上にあるドミナントのことを「裏コード」と言いますが、とても効果的に使っとりますな。
そして続き、間に#6を挟んでますが、全体でみると7→3→6は+3ずつ動いてます。つまりドミナント進行。
ベースラインをこのようにしたことで、さらにスムーズにコードがすすむようになってます。


A/C# B C# F#m
3→4→5→1


シンプルに進んで解決します。
一個ずつコードが上がることでエネルギーが貯まってって、5→1で一気に放出するかんじ。
シンプルですがエンディングにふさわしい、気持ちいい進行です。


ベースが#6に来るD#m7-5が多用されてましたね。随所で聞き手の意表をつく進行が印象的でした。
前半ではサブドミナント終止を中心に展開して、偽終止をおしゃれに挟みながら、一番最後は4→5→1できれいに解決しました。
最後の解決に向かうまで長いドラマがありますな。
4小節や8小節で解決し続けるループミュージックが僕は大好物ですが、こういうのもやっぱりいいですね。

http://www.youtube.com/watch?v=nftxDrStny8

戦場のメリークリスマス

たまにはドラムやベースがいない音楽も真面目に聞いてみる。
坂本龍一さんはクラシックの知識を根幹としながら、どんなジャンルの音楽でも作れる恐ろしい人です。
とくにテクノでの功績がすごいですが、ピアノ曲なんかもやっぱりすばらしーです。


key B♭-minor

最初の和音を6ではなく1だと解釈すれば、D♭-majorのリディアスケールともとれる気がします。
が、ややこしいのでminorとしてみてきます。


構成

intro-A-B-A-C-A-Coda
のロンド形式。



intro

G♭M7→Cφ/G♭→Fm7→B♭m9→D♭m7
6→7→5→1→3

6751はおなじみの王道進行ですが、2つ目の和音は転回形を上手く使って、ベースラインを持続させてます。
一番最後の3は和音のループをスムーズにさせるため、上手く挟んどります。
和音は基本的に4度上に進みたい性格を持ってます。ex.1→4 2→5→1
音域的にはC6付近のかなり高めのところで弾いとりますな。ピアノでいい雰囲気にしたかったら、やっぱりこの辺の音域です。
ピアノのリフは少しずつ降りてきます。降りてく際、このB♭-minorと相性の少し悪いF#(6th)は回避してます。
majorでは主音から数えての4番目の音、minorでは6番目の音がよく他の音とぶつかります。
曲の核となるリフには入れないほうが無難です。

3週目からのバイオリンの音はF(5th)。5thはどんな和音が来ても対応出来るため、ロングトーンに最適です。
4回ループしたとこでバイオリンがトレモロしてAへ



Aメロ 

G♭M7→A♭9→B♭m7→A♭7
6→7→1→7

ドミナントを挟まないゆったりとした進行。
左手がC2〜C3付近でどっしりとした和音を鳴らしはじめます。
そして右手ではおなじみのメロディ。
平行4度でハモってますが、このハモリは東洋的な印象を聞き手に与えます。
中国っぽさを出す時は平行4度を使うと、それっぽくなります。
この曲が世界的に有名になったのも、この響きを西洋音楽のルールの中で上手く消化したからだと思います。さすがの龍一さん。
あとこのメロディ、ペンタトニックスケールですな。一瞬だけ2ndのCが出てきますが、ほぼ5つの音だけで構成されてます。

3週目から右手のメロディがオクターブ上に移動します。
上にずらすだけっていう、シンプルな形で展開させてきますね。貫禄を感じます。

5週目からバイオリンにメロディを受け渡して、ピアノは両手でベースとコードを弾いてます。



Bメロ E♭-minor(下属調)

A♭m7→E♭m7→A♭m7→Cm11→F
4→1→4→2→5


Cm11→Fは次のG♭M7に偽終止するためのツーファイブ。
下属調に転調したかと思いきや、すぐ元の調にすぐ戻って、2→5→6の進行で戻っていきます。

チェロがメロディ弾いてます。チェロの高音はやっぱり気持ちいいですね。
バイオリンの同じ音域と比べて、少し柔らかい印象があります。
曲の展開によって上手く使い分けたいところ。

ピアノはC3付近で和音→左手はC2、右手C5付近に移動してシンコペーションでちゃーん
の繰り返し。
コードを白玉で弾いてるだけなのにかっこいいなぁ。



Aメロ(2回目)

1回目よりもさらに高いところでメロディを弾いてます。
Cメロに入る直前だけコード進行が変わります。

Eb/G→Ab/Gb→Db/F→Eb7→Ab7→GbM7
2→5→14→7→6

平行調のD♭-majorに一瞬転調して2→5→1をやった後、すぐ元の調に戻ります。
展開形を上手く使ってベースラインが半音で下がるように作りこまれてます。
下の音源だと2:45〜2:55のチェロのラインが超おいしいです。これは相当うつくしーです。



Cメロ

コード進行はAメロと同じ。
ベートーヴェンのヴァルトシュタインを彷彿とさせる、和音の連打。
メロディっぽい要素はあまり無く、最後のAメロへ向けて高揚感を与えてます。



Aメロ(3回目)

チェロとピアノの左手は8分でベースを刻み
ピアノの右手はオクターブも使って派手派手に弾き
バイオリンは基本F(5th)で伸ばしつつ、アドリブっぽくメロディに答えて盛り上がってます。 



Coda

G♭M7
6

ピアノの左手とチェロ、バイオリンはF#でのトレモロ。持続低音(ペダルポイント)をしてます。
ここからは1つのコードでごり押しです。
ピアノの右手は今まで無かった半音階の動きをみせつつ、1オクターブずつあがっていきます。
そして龍一さんフィニッシュのポーズ。これが超かっこいいです(4:40〜)




遠い調へ行く転調やノンダイアトニックコードなど、派手な技はありませんが、シンプルで緻密な構成になってます。
だからこんなに美しいんでしょうなー。これぞ一流ってかんじです。

http://www.youtube.com/watch?v=WZQYg0vjLxE

TIGER EYES

jazztronikの「TIGER EYES」。
どのジャンルの音楽も好きですが、やっぱりクラブジャズはたまらんです。


最近、自分でトラックを作ってて痛感するのですが、音の位置が適切じゃないとせっかく力をいれて作った音でも
他の音に埋もれてしまって聞こえなくなっちゃいます。
でも、それでその音のゲインを上げちゃうとバスドラ、スネア、ベースの迫力が減っちゃうっていう。
ああ悪循環。なので最近はもっぱら音の配置に気をつけて聞くようにしてます。

音をまんべんなくバランス良く配置する力が必要な気がしてます。ポップスにおいて。
クラシックなどの生録は音圧を気にする必要が無いので、その点楽な気がします。



~リズム系~


Aメロ、Bメロは基本8ビートで展開するが、拍頭だけハイハットが16分でスウィングを見せたり、3拍目でベースがスウィングでつっこんだり
小出しにお洒落してきます。たしかに「つーつっくつーつっく」って毎回スウィングしてくるより、スマートな印象があるかもしれません。
サビではスクエアな16分を刻むトライアングルもあわさってよりお洒落な感じに。


バスドラム(中央下)
曲を通して4分打ち。と思いきや、4小節おきのキメで「ドッッドッッドッ」って3,3,2をやったり。
Cメロでは「ドッッド」の動きを見せたり、たまに抜いたりちょっとだけ変化させてきます。
クラブDJ出身だけあって、すごいカッコいいですね。十分なアタックとあったかさを感じます。
余韻が気持ちいいのはコンプレッサーのかけ方が上手いからでしょう。真似したい。
位置は(ヘッドフォンで聞くと)胸の少し前の方。


クラップ(中央中)
4拍目のクラップは前につっこんで3拍目の16分裏裏スウィングのタイミング。
4小節目後半のキメのとこだけ音量をあげてます。
このタイミングで、イントロとサビの時だけリバーブを深くかけてる。細かいこだわりだ!さすが!位置はバスドラのちょっと上。首くらい。


ハイハット(右、左近く)
8分刻みで裏拍にアクセントをつけてる。
奇数小節の頭だけ16分裏のスウィングを強調。
耳の近く。右左にいる。


トライアングル(右、左)
サビだけ盛り上げるために登場。
16分のスクエアなリズムをクローズで「ちきちき」刻み続ける。
基本のリズムがスウィングしてるのに、ほぼ16分きっちりのリズムを組み合わせることで独特のノリの良さが生まれてますね。
サビ終わりにだけオープンで「ちゃらちゃら~」ってやってます。


ベース(中央下)
100~200Hzくらいが強調されてる印象。高音域によるアタックは弱めで、ルートのピッチを安心して聴かせてくれる大人な音。
音はオクターブの分かりやすい動き、躍動感があって安定する、ダンスミュージック定番の形。
リズムがおしゃれ。3拍目の頭がつっこんでスウィングを強調する形。
バスドラのちょっとだけ上にいる。


~コード系~

前奏ではピアノがC3付近を。
それ以外はC3~C4付近をアコギがオープンで、C5付近はエレピがクローズでカバー。
左にアルペジオで低めのコードを、右に白玉で高めのコードを配置してバランスをとってる。


ピアノ(中央下)
前奏、サビ、間奏で登場。
左手がクローズボイシングでバッキング。右手はリフを弾き続ける。
位置は中央の低いとこ。


アコースティックギター(左)
Aメロ,Bメロではアルペジオ中心のフレーズ。
サビではコードをじゃかじゃか。指弾きっぽい上品な響き。
中低音による存在感(あったかさ)も十分に感じます。
位置は左肩らへん。ハイハットよりは前


エレキピアノ(右)
フェイザーをかけたしゅわしゅわした音。コードチェンジのタイミングでコードのばし。
C5付近、音程高めでのバッキング。
右肩らへん。同じくハイハットよりは前。


エレキピアノ2(中央)
こちらはシンプルなきれいな音。
間奏とCメロで登場。


~曲を色づけてるやつ~

ストリングス(ちょい右)
サビで、前奏の時提示したリフを弾いてる。C5付近。
位置は中央よりちょっと右。


メインリフのシンセ
一番最初はローパスフィルター使った丸い音。どんどん派手に戻していってます。
左肩らへん。


風っぽい音
間奏、Cメロで「ひょーっ」ってずっとやってます。
雰囲気をがらっと変えてくれてます。いいしごと。


<曲の構成>


前奏

ピアノソロ(8小節)→+バスドラ、ハイハット、シンセ(4小節)→+クラップ(4小節)
と、どんどん音数を増やしていって展開。増やしつつシンセのローパスフィルターを戻して盛り上げてます。
盛り上げたのち、シンセとピアノだけのブレイク→リバーブかけたクラップ、で他のパートも入ります。
リフの「G#,G#,B,C#」C#-minorから見て5,5,7,1の音。属音、導音、主音のリフということで、どのコードがきても大丈夫なかんじ。
リフは4番目の音が入らなければ基本的に大丈夫なようです。(ペンタトニック+導音はセーフ)
Aメロに入る際、シンセの音をだんだん大きくして盛り上げてるのがぬかりないです。


Aメロ

2小節ループにあわせて、LOVEさん(ボーカル)がイカしたメロディを聞かせてくれます。
ほどよいビブラートが最高です。あとこれほどキレのいいリズムを出すのもすごい。
前半16小節は低いところからうねうねするメロディ。
後半16小節は高いところからうねうねして展開してます。


Bメロ

ここは二つ目の超お洒落な響きがするコードが気になりますが、とりあえず後回しにします。
楽器隊はAメロと基本的に同じかんじ。
メロディは「C#,E,F#,G#,F#,E~」を基本として繰り返すフレーズ。
最後はメロディのリズムに楽器隊も合わせ、下4度のハモリも入ってサビへ。


サビ

ギターはコード弾きに。エレピは無くなって、その空いたとこにストリングとピアノがすっぽり入った印象。
「Tiger eyesー!」の力強いコーラスは下4度のハモリ。ここだけ違うリバーブをかけてるっぽいです。
「G#-F#-」(下3度→下4度)のコーラスがあったり、「B,G#,D#ー」(1,下3度,下6度)のコーラスがあったり
とりあえずテクいかんじです。
最後2拍はバスドラを8分で打って、2番Aメロへ。


間奏

ベースが高めのところで、7th,9th絡みのフレーズ。
左のギターは高音をはさんだアルペジオ。
右では風の音を「しゅいー」ってやってます。
中央ではエレピが気ままにお洒落にいろいろやってます。
たまに入ってくるフェイクもお洒落です。


Cメロ

2分音符を中心とした伸びやかなメロディ。
エレピも2分音符でコード弾き。
どんどん音が上がっていき、鮮やかな半音転調を決めて大サビへ。



コード進行

key,C-minor

intro,サビ


♭ⅥM7(9) Ⅴm7 Ⅰm7 Ⅴ/m7(9) ♭ⅥM7(9) Ⅴm7 ♭Ⅲ7-5 Ⅳ
♭ⅥM7(9) Ⅴm7 Ⅰm7 Ⅴ/m7(9) ♭ⅥM7(9)  Ⅵ-5 ♭Ⅶ  Ⅴ/m

半音下のドミナントとなるdimのコードを多用。
Ⅴ/m7(9)の9thがきいてますねー。


Aメロ

♭Ⅵm7(9) Ⅳm7(9) Ⅰm7 Ⅴ/m7(11,13) 

基本的にintro,サビと同じ進行。


Bメロ

♭ⅥM7(9) Ⅴm7(9) Ⅰm7 Ⅴ/m7(11)omit5

2つ目のコードがお洒落に感じたのはギターのアルペジオが9thを強調してたからみたいです。
どうもマイナー9thが好きみたいです。自分。


間奏

Ⅰm7(9) ♭ⅢM7(9) ♭ⅥM7(9) ⅣM7(9) ♭Ⅴ Ⅴm7(9) 

9th絡みの1,3,6,4,5の進行。♭Ⅴはdiminishでもないし、謎だなぁ…
でもこの♭Ⅴが出てきた瞬間に色彩感が変わります。かっこいい謎和音ですね。

 
Cメロ

♭ⅥM7(9) Ⅴm7 Ⅰm7 Ⅴ/m7(9)
ⅣM7/(9) Ⅴ7/(9)

前半はintro,サビと同じ。
最後は今までに出なかった明るいコード、ⅣM7(9)→Ⅴ7/(9)と二つ連続でつないで違う展開をみせます。


最近のイチオシです!ぜひぜひー。