登録日:2009/11/14(土) 17:52:44
更新日:2021/05/20 Thu 11:07:53
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ニート(英語圏ではNEET Not in Employment,Education or Trainingの略)は、就業も就学もしておらず、
就業訓練とか就活もしてない人のことを示す。
誤解しないでいただきたいのだが、単純に"正規雇用で働いていない者"というだけではニートとは呼ばず、
アルバイトやパートで生計を立てている者(この場合は非正規・フリーターと呼ばれることが多い)、求職活動を行っているが職を得られていない者はニートには該当しない。
誤った解釈の一つに「自営業者や経営者は雇われてないからニート」という物もあるが当然ながら「就業=雇用」ではないし
自営業や経営業自体は立派な「労働」であり「就業」しているのでニートには当て嵌まらない。
また、単に休みの多い学生や家業に従事する者が、本人または第三者によってニートと呼ばれる事もあるが、これも誤用といえる。
要するに「働く意思があるか否か」によって定義されるため、自分だけの都合で求職活動を止めてしまったら就労意思が無いのでニートに該当する。
一方、心身いずれかもしくは両方に就労が困難な障害を抱えている、家族の介護で付きっ切りなどで働く意志のあるにも関わらず、働けない状態な人もニートには該当しない。
ただ、精神的な障害によって引き籠ってしまった様な人達の場合、ニートかそうでないかを見分けるのはなかなか難しい。
本来の定義は"学校にも行かないし、就職もしない、仕事に就く為の訓練も受けていない、就活しない"状態の若者が該当する。
日本では、15〜34歳までの非労働力人口の内通学・家事を行っていない者を指している。つまり35歳を過ぎると単に「無職」と呼ばれることが多い
とはいえ、2010年代後半以降は認知され出した2000年代に該当世代だった者達が40代以上にスライドした「ニートの高齢化」も指摘されてきている。
80代の親が50代の引きこもりの子の面倒を見ている「8050問題」と絡めて社会問題提起されるケースも有る。
日本においては2004年以降にこの概念が入りはじめたものの、
「働いたら負けかなと思っている」といった某コメントや、「親に寄生」と言った部分がクローズアップされ過ぎたり
フーテンやヒッピーなどの悪いイメージがスライドした事等もあり単なる無就職者の蔑称として、
あるいは「怠け者」「パラサイトシングル」といったマイナスイメージが付き纏う物になってしまっている。
実際、蔑称として使われることも多い。
そのためにニートは本人の心構えや(仕事の選り好みなどの)高望みが問題とする声もあるものの、実際は社会構造、経済状況によるところが大きい。
特に格差が大きかったり、過酷な内容に見合わぬ給与の安さ、休日が異常に少ないなどブラックな仕事ばかりという状況では労働の意欲も湧くまい。
無理にそういう仕事に就いても長続きしないどころか、肉体や精神を病む可能性だってある。
また、未就労期間があると面接などで問い質され、それを理由に不採用とされた結果強烈な自己否定を受けたと感じ病んでしまうといったパターンすらある。
というかそこが負い目になってなかなか踏み出せない…となりがち。
傾向としては男性が多いとされ、7割と言われている。
女性の場合は上記の定義の内、家事を行っていると回答し、該当しないために少ないと見られる。
※以下の記述には多分に偏見が含まれてるかもしれません。が、判断をすることは不可能です。真実かどうかは貴方自身で確認して下さい。
◆生活資金
国からの生活保護費もしくは親族の資産で賄っている…
といわれているが、健康体なら求職しないと生活保護は受けられない(給付されていても打ち切りになる)。
生活保護の場合、実際のところ、何かしらの精神疾患を患っていると判定されているパターンや、
求職してはいるものの、勤め先の条件が悪過ぎる、面接を受けても落とされるなど、受けるには各種の厳しい条件があり、一概にどうとは言えない。
それまで就労自体はしていたという人は79%はいるらしく、人によっては前職分の雇用保険分の失業保険で生活できているという場合もある。
ただし失業保険はあくまで「次の就職先が決まるまでの繋ぎ」であり、受給するには一定回数の求職活動の認定をハローワークで受ける必要があるため、文字通りのニートでは受けられず、また大抵は90日分、どんなに優遇されても最大360日分しか受けられないので本当に一時のつなぎである。
不正取得しているケースもなくはないが、それはごくごく少数の中の僅か。まあどのみち断じて許されないが。
なお、一定期間だけ期間従業員(所謂「期間工」)として働き、それ以外は仕事をしないという例外もある。
期間従業員とは一定期間(3ヶ月~およそ2年11ヶ月)だけ勤めるという雇用形態である。
主に自動車の生産ラインなどに多い。有名な自動車メーカーは大抵期間従業員を熱心に募集している。
基本的に免許や業界経験などが不要なので応募のハードルが低いのが特徴。給与もそこそこ高く、ボーナスに相当する各種手当ても充実している。
休日数や各種福祉もひととおり備わっており 遠方からの出稼ぎでも寮が提供され食事もある程度保証されている(格安の食堂が付属している・食事補助が給付されるなど)。
結果、出費が少なく貯蓄し易いので一定の期間だけ働き、十分な貯蓄ができたらしばらく休み、また働くといったサイクルができる。
条件こそ非常に厳しいが、年齢と会社でのがんばり次第では正社員登用の可能性もある。
ニートのイメージとは違うのではないかと思うだろうが、貯蓄で生活している間は労働をしておらず、求職もしていないので定義上はしっかりニートである。
家賃収入や投資、印税等の不労所得で十分豊かな生活が可能な、ニートとブルジョアジーを兼ねた「高等遊民」「ネオニート」もこの範疇であろう。
ただしこれらが合法的に稼いだ物で、定められた額の税金や公共料金などを支払い自立出来ているなら問題視される云われはない。
◆そもそもなぜニートは増えるのか
ニートが増えた背景には不景気による若年失業率の上昇や仕事に対する価値観の変化がある。
個性発揮や専門性を過度に求められ、生きていくのにはオールラウンドあるいは生産性のある個性が必要で自分のやりたい仕事に就けなければ自分の人生は不幸だと信じ込んでしまいがち。
ただしあまり努力家でないタイプは大半はマルチタスク脳だが悪くいえば飽き性で集中力が散漫、定職に就いてもすぐビジネスに無関心になり、ニートになるパターンも見られる。
そんなプレッシャーが家庭やメディアで発信され続けている。
そういったプレッシャー源になるものとは正反対の位置にいる、個性も専門性も要求されないイメージが持たれ易い職業である兵士にすら高い専門性が求められるご時世である。
近年問題視されている「
YD(やりたいことしかできない)病な若者の増加
」もこれが原因であるとされており、
事務職などのデスクワーク、室内作業といった所謂ホワイトカラーな職種にばかり求人が少ないにもかかわらず応募が殺到し、逆に需要が多く人手不足な土木・建設業や(本物の)警備業、運送業や介護職の様に就業条件の割に給金が低かったりする業種、また伝統工芸職人やアーティストの様な極めて専門性の高い技術を要する割に修業期間に生活時間の大半を奪ってしまう様な業種、
農業や畜産業、水産業などと言った「自然環境によって生産品の量も質もバラつく上に需要に読みが必要となる」業種(いわゆる第一次産業)などの業界は
どんなに求人や教育環境を整えようとその過酷なイメージから(実際過酷だが)見向きもされないという厳しい現実も存在する。
先述の伝統工芸系の高い専門技能を要する職種は健常者でも中途転職する場合があるが、多くは親の背中を見て決意した様な家業としている者や中学や高校の時点で道を決めた者達に
適性の時点で劣る場合が大半である事も問題点の一つである。
また所謂ニートが本業にステップアップする為の軽作業などは若い世代のフリーターや、賃金や就業条件がより厳しくても働ける発展途上国系の海外労働者に回されがちだったり
脱ニート者向けの負荷が低い作業を一般の健常な若者が取ってしまったり昨今言われている「AIに置き換えられ無くなる仕事」が多いなどの問題もある。
他国ではまた事情が異なることもある。
例えばアメリカでは、個人の独立性を重んじる国民性ゆえに、同様の事態が発生するとニートよりも若年ホームレスの方が増えやすいようだ。
これは子供が成人になったら扶養義務がなくなったとして家から追い出す文化があるからである
…と言われていたが、昨今ではなんだかんだで両親が家から追い出すことをしなくなった結果
日本同様のニートが増加しているというデータもあるらしく、もはや世界的な問題になりつつあるのが現状である。
◆ニートから抜け出す為には
抜け出したければまず現状を変えることが重要。
就職できても辞め(させられ)てニートに逆戻り……なんて事になっては笑えないのできちんと地固めする事。
一例
◇まずは何より求人に応募をしてみよう。正社員だけに拘らずアルバイト・派遣・期間工にも選択肢に入れる。それすら難しいならいっそ職業訓練校でもいいから通うべし。
◇自分が働きたい会社だけではなく、自分を雇ってくれる会社を探そう。ありえない好条件ばかり探して「自分は就職活動してるからニートじゃない」と納得させてるならなおさらだ。あくまで就職する為の活動である事を忘れずに。失業保険の認定だけかっさらう為の常套手段でもあるが…。
◇自分の好みだけではなく「自分の適性」も見直してみよう。好みと適性が合致しているケースは多いが逆の「好みと適性が不一致」というケースも少なくない。
◇勉強をしよう。学生時代の復習に興味のある分野、まずは何でも良い。(余裕があれば)学校に通い直す選択肢もある。というか訓練所でもいいから通ってみるといい。
◇資格取得しよう。「免許」と付くものだと応募できる職種も増える。
◇趣味を作ってそれに集中する。
◇本を読んでみよう。新たな知識を得る事は自分の武器となる。
◇新聞やテレビも見よう。ネットの偏った情報だけの鵜呑みは大変危険で、採用担当はあっさりその狭量さを見抜く。新聞やテレビも片寄ってるじゃんとかいうヒトはもういっそ世俗を捨てましょう。
◇外の人間と会話をしてコミュニケーション力を身につけよう。誰かと長らく会話をしないとびっくりするくらい口下手になる。
◇ボランティア活動をしてみる。面接等でも「何もしてませんでした…」よりずっと有利。そこで出来た人脈や経験が仕事に繋がる事も。
◇外出して適度に運動をしよう。引きこもったままだと就職出来ても体が持たない。
◇紙に何か書いてみよう。
◇自分を見つめなおせば何かしら取り柄に気づけたりするかも。余裕があれば一人旅に出てみても良い。
◇ 一度病院に行ってみよう。気づいていないだけで、うつ病を患っていたり、発達障害の可能性もある。きちんとした診断がつけばもはやニートではない。
◇主にネットで底辺職などと言われている職種でも、そこで長らく働いて自立し立派に家族を養っている人が沢山いる。底辺という表現も、正しい意味で社会を支える基盤として無くてはならない最重要なポジションである。匿名掲示板の書き込みだけを鵜呑みにせずに視野を広げ情報を集め、応募だけでもし
てみよう。
業界にもよるが最近は景気が上向いてきていたり、団塊世代の定年退職による人手不足があったりして、一時期に比べるとずっと雇ってもらいやすくなってきている。
しかし、2020年春、新型コロナウイルスで景気はどん底。再び苦しい状況になっている。
◆ニート対策
さすがに国も対策を打っているが、事態の抜本的解決は簡単ではない。
というのも、全く働く気の無い者を無理に働かせたところで貢献度などたかが知れており、プラスにならない人材に給料を出す雇い主にばかり負担がのしかかってしまう。
また、ニートの背景には精神的な病気等があるケースも少なくなく、そうと知らず無理な対応を取った結果、事態がさらに悪化するケースもある。
抜本的な解決には、
本人に最低限度の勤労意欲を持ってもらわなければならない
が、これがとても難しいのである。
一方、しばしばこの話題になると「ニートを徴兵して鍛え直せ」という意見が出るが、
あまりに暴論
である。
そもそも
軍隊・自衛隊は教育機関ではない
し、兵士には命令なしでもある程度臨機応変に対応する機敏な行動(判断)力や緻密なチームワーク・徹底した上下関係の礼節の把握・相手を選ばない
(たとえ日本語が通じない外国の兵士相手だろうと)
柔軟なコミュ力・高い肉体能力…これら全てが必要不可欠。海外の軍隊との合同訓練・任務もあるので日常会話を難なくこなすレベルの英語力は必須(下手すりゃ英語圏以外もあるし)。
更に現代戦では兵士一人ひとりに複雑な機械の操作など高い専門性も求められており、何年もかけて徹底的に鍛え上げる事ができて意欲に溢れ、厳しい試験をクリア出来る程度の能力を持った志願兵でなければ到底使い物にならない。
そういった能力も意欲もない人を無理に採用したところで、逆に能力のある兵士の足を引っ張ることになってしまう。一刻を争う災害現場や紛争地帯なんかの任務でキョドってマゴマゴされたりしょうもない凡ミスをされようものなら、被災者や部隊の命運すら危ぶむ惨事に繋がりかねない。
こう言われると、無能でも囮になるくらいは出来るという反論をする人物もいるが、
今の時代、そんな非人道的な事をしようものなら世界的に非難を受け最悪何らかの経済・輸入出などの制裁を受ける事は避けられないだろうし、そもそも大量破壊兵器がありふれた現代にそのような戦術が有効とも言い難い。
仮に彼らの主張が正しいならば、良心的兵役拒否が認められないなど厳しい兵役制度を持つ韓国にはニートなど存在しないはずだが、
残念ながらニート・引きこもり・不正な兵役逃れは韓国でも深刻な社会問題となっている。
また、
最近はニートを養う事に苦しむ親御さんを自立支援ビジネスの悪徳業者(通称「引き出し屋」)が狙っていると言われ、業者が裁判で敗訴する例も出てきた。
ニートを養っている親御さんは「今は」ニートを一応養うお金がある訳で、しかも精神的に参っていることが多い。
そのため、引き出し屋にとってはいいカモなのである。
「うちにお金を払えばニートのお子さんを自立させられる」と甘言を吐きつつ、実際には何の専門性もやる気も無い怪しい「自称支援団体」が増えてきている。
藁にもすがる思いでなけなしの金銭(大体数百万円になる)をそんな団体に払ってもカウンセリングなどの専門的な支援などなく、
暴力的に連れ出して施設に叩き込み、痛めつけるだけ。場合によっては経営陣が責任逃れや証拠隠匿の為に「施設内居住者同士での諍いや私刑を止めさせたり仲裁しない(暴力を振るったのはあくまで連れてきた「更生者」にすり替えるという事)」という形で虐待を行うケースも有る。
結果、ニートは数少ない拠り所だった親に対しての信頼までもなくし、うつ病など心に深い傷を負って外出すら出来なくなる。
勿論社会経験や就職した際の技術などは微塵も身に付かない。
最悪暴行の末自殺に追い込まれたり
殺される
事すらある。
また、「ニートを更生させる」名目でニートに「自立支援」「研修」名目で無給・或いは最低賃金以下の仕事をさせる自立支援業者に見せかけたブラック企業も出ている。
ニートから脱却するためだからと言って安易にブラック企業に就職してはいけない。
更生からは程遠い結果になることも少なくないし、ブラック企業がのさばる事はニートとは無関係な所でも社会の害になりかねないのだ。
ニートを養うのが大変でなんとかしたい親御さんは、自己流でなんとかしたり、甘言ばかり口走る怪しい団体に高い金を払う前にまず病院やハローワーク・役所に相談してみよう。
真っ当な自立支援ビジネスの業者もいる。しかし、インターネットでちょっと検索して見つけた業者が真っ当かどうかは分からない。
業者に頼むなら、せめて業者が本当に信用できるのかどうか、多少は時間をかけてしっかり見極めよう。業者に頼む何百万円ものお金があるなら、その程度の余裕はあるはずだ。
少なくとも、テレビで引き出しの光景を取材・放送させているような業者はアウトである。
たとえ匿名でモザイクをかけようと、関係者を晒し者にし、関係者の心をより頑なにさせかねないことに抵抗感のない業者がまともなわけがないのだ。
そして、悪徳業者に依頼して子どもの心を壊し、業者には逃げられたとなれば、親も責任を問われることになりかねない。
よく「生半可な措置ではニートは社会復帰しないんだから多少の荒療治は仕方ない」という意見があるが、荒療治には相応に重いリスクもついて回る事を忘れてはならない。
自治体によっては各職種での知識や資格などが格安で得られ、企業への斡旋もしてくれる職業訓練制度もあるので、迷ったらこちらも検討してみるといい。
◆余談
ニートという言葉の流行当初から「求職中の失業者」をニート扱いする風潮がある。
が、「働く気の無い」人がニートなのであって、無職でも仕事に繋がる努力をしている人は必死なのだ。
そういう人の精神に攻撃するような真似はやめよう。
そもそも単に職を奪われた人は「失業者」であって「ニート」ではない。
またその一方で、かつては「専業主婦になるための職業訓練をしている者」と見做されていた女性の家事手伝いが、
女性も外に出て働く事が当たり前になったことでニート同然と見做されるなど、ニートとそうでない者の境界は社会情勢によって変化するようだ。
◆アニメ・漫画等における主なニートキャラは
こちら
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最終更新:2021年05月20日 11:07