芸人並に面白い「アイドル」が、
本当に「芸人」の肩書きで勝負したら、
恐らく実力で勝ち残るのは難しい思います。
モデル並に美しい「美人すぎる○○」が、
本当に「モデル」の肩書きで勝負したら、
恐らく実力で勝ち残るのは難しい思います。
彼女たちが世間の注目の的となったのは、
ズバ抜けた才能があったというよりは、
本業であまり期待をされていないフィールドに十二分な魅力があったからです。
「アイドル」では面白いという才能が。
「海女さん」では美しさという才能が。
職業上その才能は、それ程求められておらず、ハードルも高く設定されていないので、その振れ幅で人は大きく話題にしてくれます。
つまり何が言いたいかといいますと、
「期待されていないフィールドを如何に充実させるか。」
もう少しキャッチーな言い方をすれば、
「如何にハードルを下げるか」
エンタテイメントビジネスにおいて、これは非常に重要な事だと僕は思います。
中でも僕は特に「音楽」という分野で、非常に効力を発揮すると考えています。
音楽はそのジャンルも多種多様に渡ります。関わり方も歌い手、楽器隊、制作者、ダンサー等、様々です。
言い換えれば、同じパフォーマンスでも、売り方や肩書きはどうにでも変えられるという事です。
例えば、
歌とギターが上手くて、容姿も端麗な女性が、ライブハウスで歌っていたとします。
普通ならその子をシンガーソングライターとしてデビューさせると思います。
しかし、
「シンガーソングライター」という肩書きを背負ってデビューさせた時点で、歌も上手くて、良い曲も書いて、という認識を世間に植え付けてしまいます。
これは自らの歌手としてのハードルを最大限に上げています。
もちろんどんなハードルも超えていける様な、誰にも負けないソングライティングセンス・歌唱力・人間力があれば、問題ないと思います。
しかし、世の中には、やり方によってはデビューして売れていける才能はしっかりあったのに、そのハードルが中々超えられなかったミュージシャンは沢山います。
歌唱力は抜群だけど、メインをはれる容姿・人間力が乏しい。
そんな場合は、ツインボーカルにしてバンドのサブボーカルとして機能させれば、「サブなのにめちゃめちゃ上手いボーカルがいるバンド」としてより結果を出せるかもしれません。
歌唱力とソングライティングセンスは普通だけど、容姿は端麗。
そんな場合は、「アイドル」という看板でデビューさせた方が、「自分で曲もかけて楽器も弾けるアイドル」としてより結果を出せるかもしれません。
ハードルを下げる事で、その振れ幅の大きさで、ヒットを出せる可能性は何倍にも膨れ上がると思います。
極端かもしれませんが、肩書き一つで売れなかったミュージシャンも日の目を浴びる可能性は多いにあると思います。
才能があるからと言って、安易なジャッジを下さず、市場の需要と供給を把握し、誰にも負けない・誰もやってない座組は何処にあるかを正確に見極める事が重要だと思います。
適材適所に道案内してあげる事こそ、レコード会社に必要な機能だと思います。
上げ切ったハードルを、更に超えてくるパフォーマンスを見た時、もちろん人は感動します。
それと同様に、
ハードルの下がっていたものが、大幅にそのハードルを超えた時にも、その振れ幅に人は大きく感動します。
ハードルを上げ切っている場合は、本当に実力がなければ超えられません。
しかもそのハードルは回を追う毎に上昇し、いつか自ら上げたハードルを超えられなくなり、ユーザーに飽きられてしまう事も多々あります。
それに比べてハードルを下げる場合は、別の勝負出来るフィールドを探したり、見せ方を少し変えたりするだけで、そのハードルをコントロールできる場合も多いです。
なので、息も長く、多くの人にチャンスが、生まれてくると思います。
あとは、加えてその肩書きや売り方がキャッチーであればある程、更にヒットの可能性は大きくなってくると思います。
Twitter等の短い表現のサービスに代表されますが、WEBの中では素早いコミュニケーションが求められるので、そのミュージシャンを端的に紹介出来るキャッチーさは非常に重要です。
アイドル「なのに」音はゴリゴリのダンスミュージックなPerfume。
バンド「なのに」横ノリな音楽を取り入れているサカナクション。
ファンタジーの世界観を全面に押し出したSEKAI NO OWARI。
今までのミュージシャンとは違う魅力を、端的に誰かに伝えられるキャッチーさというのは、今後も非常に求められてくる要素だと思います。