ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている!   作:超高校級の切望

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思わぬ出会い

 食人花の目撃情報を聞いたロキは派閥の団員、女性のみを引き連れ港町メレンに来ていた。

 メレンの海にはダンジョンとつながっていたダンジョンの出入り口が存在するのだ。今は封印されているはずだが、闇派閥(イヴィルス)怪人(クリーチャー)達がバベルを経由しない出入り口を持つ以上、少しの可能性でも調査しておきたい。

 ついでに『息抜き』もしようと、人気のない穴場を知り合いである神としてニョルズ訪ねた。

 確かにそこは人の気配は殆どなかった。そう、殆ど。

 

「んあ? なんで【ロキ・ファミリア】が都市の外にいんだあ?」

 

 見たこともないモンスターみたいな不気味な魚を捌いて鍋に入れたり炭で焼いたりしているヴァハがいた。側にはハフハフと焼き烏賊を食べている猫人(キャットピープル)の美女。

 

「何で人がおんねん!? しかも男ぉ! ここは穴場やったんやろうがニョルズぅ!」

「にゃー、ニョルズ様からミャー達もそう聞かされたにゃ」

「くぅ、ウチ等以外にも教えとったんか! まあ、クロエたんの水着が見れたからええとするか。ちゅーか二人ともそういう関係やったん?」

「にゃ!? ち、違うにゃ! ミャーはただ単に最近ランクアップして調子に乗ってるこのクズをボッコボコにするためにステイタス更新に来ただけにゃ!」

 

 その言葉にクロエを知る何人かは驚く。酒場の店員なのに、ステイタスを持ってるのか。都市から離れたニョルズの眷属と言うことは、昔メレンに住んでいただけ?

 

「ほーん、なあなあ、なら昔となぁんか変わった所あらへん?」

「みゃ? んにゃあ…………ニョルズ様も街も、ミャーが知ってる頃となぁんも変わらないにゃ」

「さよか………」

 

 嘘はない、神の目をしてそう見通す。ヴァハは興味ないのか魚を食ってる。というか何だこの魚。ティオナは話のネタにしたいのか、純粋に興味あるのかヴァハに抱きつきながら魚を覗き込む。

 

「わー、変わった魚だねえ」

「深海魚だ。普通の魚じゃ生きてけねえ深い海の底でモンスターの脅威に晒されぬまま独特な進化を続けた、普通の生物。因みにあそこに浮かべてあるあれもモンスターじゃねえよ、モンスター食ったりするけど」

 

 ヴァハが指差した先には6メドルはある烏賊がプカプカ浮いていた。

 

「素潜りしてたら襲ってきやがったからぶち殺したが。臭くて食えやしねえ。後で乾燥させて粉にして撒き餌にでもするさ」

「これも深海に住んでるの?」

「基本的にゃなあ」

「ふーん………あれ?」

 

 ならなんで素潜り中に襲われたんだろう。この男、素潜りでどんだけ深く潜ったんだ?

 

「まあええわ。十分楽しんだやろ? 男がおるとウチの子が水着になれんのや。さあいったいったー!」

「断る。だったら服着て泳ぐんだなあ」

 

 取り付く島も無く、ヴァハは浅瀬で取れた普通の魚も捌いていく。河豚という毒性の強い魚だ。毒のある肝が美味い。

 毒を気にせず鍋にボトボト入れる。ティオナが美味しそ〜と顔を近づけた。

 

「耐異常持ってるなら食っていいぞお」

「やったー! あたし、持ってるよ!」

「え、ていうか毒なんですかそれ……」

 

 喜ぶティオナと毒を食うヴァハ達に対しレフィーヤはちょっと引いた。

 

 

 

 

「はぁぁ、結局こんだけしか着替えんかった……」

 

 その後、希望者のみ水着に着替える事となった。結果、殆どの団員がこれ幸いと拒否。もともと下界の子達に、あまり受けが良いとは言えないのが神が下界に齎した三種の神器『水着』である。残り2つは様々な議論を重ねる。セーラー服とかナース服とかブレザー、スパッツ、つけ獣耳。

 

「せやけどアリシアが着替えるなんて意外やなあ……」

 

 エルフはやはりというか、肌の露出を嫌う中アリシアが意外にも着替えてきた。

 

「別に、深い意味はありませんわ………」

「どうだー! ドロヘドロX〜!」

「ハハァ」

「すごー!」

 

 ティオナは何やら砂で良くわからない顔らしきものが付いた山のような何かを作っていたがヴァハが砂の城(極東風)を作ったのを見て大はしゃぎしている。女性陣の水着にはこれっぽっちも関心がないようだ。アリシアは何故だがため息を吐きたくなった。

 

「せやけどアイズたんは着替えてくれたんやな〜」

「リ………リヴェリアが、泳ぎの練習って………」

「あ〜………」

 

 ロキは憐れむような顔で、アイズを見た。一体過去に何があったのだろう。

 

「ん? てことはウチが渡したどちゃくそエロい水着を着たリヴェリアが」

「着れるか、あんなもの………」

 

 と、ラッシュパーカーを着たリヴェリアが出て来た。上半身の露出はないが日を知らぬかのような純白の脚線は同性といえど思わず息を呑むものがあった。しかし……

 

「なんでや!? ウチが用意したマイクロ水着はどないした!?」

「捨てた………ヴァハが代わりを持ってきてくれたからな。少し、胸のあたりがキツイが………」

「くぅ、まあこれもこれでエロい。せやけどヴァハ! お前何余計なことしてんねん! リヴェリアの肌に興味ないんか!?」

「ないねえ」

 

 ヴァハはケラケラ笑いながらティオナが止めるのを無視して砂の城を蹴り崩していく。リヴェリアは少しムッとした。

 

 

 

 

 そして、ティオナとティオネが海底のダンジョン出入り口の調査に向かい潜っていった。リヴェリアのスパルタ水泳教室にグロッキーになってたアイズは羨ましそうに見つめる。

 

「別に、泳げなくても困らないもん」

「ベルは速く泳げる奴が好きだがなあ」

 

 ピクリと反応するアイズ。ゆっくり顔を上げ、剣と紐に絡められ苦しんでいる兎の像を作っているヴァハを見る。

 

「………それ、本当?」

「おうよ。田舎の川で競争するたんびに、すごーい、はやーいって先頭の奴に尊敬の目を向けてたなあ」

「…………尊敬………」

「アイズ?」

「リヴェリア、私、もう少し頑張る!」

 

 やる気を出したアイズに、リヴェリアはそうか、と微笑む。アリシアがふと気になることを聞いた。

 

「因みに貴方の故郷に、子供は何人いましたの?」

「俺とベルの二人だけだけど?」

 

 弟が兄を尊敬するのって、泳ぎとか別に関係ないんじゃ、と思っていると不意に一隻の船が湖上に入ってきた。

 しかも食人花が巻き付いている。やはり居たのか、とロキがアイズに撃退の命令を下す前に食人花が撃退された。

 撃退したのは、アマゾネスだ。

 

 

 

 湖から上がってきたティオネはすぐ様船が停泊した港に向かう。周りも、ヴァハも後に続く。

 憎悪に顔を歪めたティオネが、何かを吐き出す前に、雷が迸った。

 

「…………え」

 

 ドォン! と落雷が落ちたような音と共に閃光が駆け巡り、思わず目を覆う。目を開けるとヴァハの拳を一人のアマゾネスが受け止めていた。

 砂色の髪をしたアマゾネスはにぃ、と笑みを浮かべる。

 

「良い目だ………お前、こちら側だ」

「はじめまして。死ね」

 

 突如始まる拳の押収。桟橋があっという間にボロボロになる。レベルは、ヴァハはまだLv.3のままだ。それでもステイタスはほぼカンスト。

 それでも相手はLv.6はある。だと言うのに、戦況は互角。殴ったそばからヴァハの傷が癒えるからだ。

 

「え、ちょっ………ここ、ティオネ達の因縁っぽいのが始まる流れやないん!? 何で争っとんねん!?」

 

 ロキ達が困惑する中、向こうの主神は楽しそうに笑っていた。

 

「ハハ! いいな、お前! なかなか壊れない!」

「んっん〜。お前こそ速くて重くて硬いなあ………」

 

 距離を取り、ベロリと己の拳や爪についた相手の血を舐めとるアマゾネスとヴァハ。ヴァハはバチリと雷を迸らせ、右腕に纏う。アマゾネスも楽しそうに笑い、構える。

 

「「────!!」」

 

 二人がいた場所が砕け飛ぶ。それほどの踏み込み。放たれるは必殺の一撃。互いの喉と心臓をそれぞれえぐらんと放たれる抜き手………だが………

 

「そこまでです」

 

 静で、綺麗な、川のせせらぎを思わせる声が聞こえる。ふたりの間に割って入り、二人の手首をあっさりと捉える。

 

「っ! た、タギー……」

「いけませんよアルガナ。見ず知らずの殿方と殺し合いなどと───あら?」

「───」

 

 アルガナと呼んだ女に視線を向ける黒髪のアマゾネス。ヴァハはそんなアマゾネスに対して抜き手を放つ。

 首を傾げ躱したアマゾネスだったが、頬が僅かに割かれ髪が数本落ちる。

 

「まあ………情熱的。ですが、まずは頭を冷やしてくださいな………ポイ」

 

 と、片腕を動かしヴァハを投げる。ぶん投げられたヴァハはガレオン船を有に超える特大の水柱を上げ海に叩きつけられた。




タギー
オリキャラ。
特徴、超強い。ククク、奴はオリキャラの中でも最強


感想お待ちしております

ヴァハ君のヒロイン

  • フィルヴィス・シャリア
  • アスフィ・アル・アンドロメダ
  • アミッド・テアサナーレ
  • エルフィ・コレット
  • メイナちゃんやティオナを混ぜて全員

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