学ぶ・知る

和歌山で中高生が「アイデアソン」 発達障がいについて知恵絞り合う

学生団体「WAKA×YAMA」メンバーとアイデアソン参加者

学生団体「WAKA×YAMA」メンバーとアイデアソン参加者

  • 57

  • 0

 和歌山県立医科大学(和歌山市紀三井寺)で7月29日、和歌山を中心にした中高生たちがアイデアを競うコンテスト「WAKA×YAMA SUMMER IDEATHON(ワカヤマサマーアイデアソン)」の中間報告会が行われた。主催は学生団体「WAKA×YAMA(ワカヤマ)」。

和歌山の高校生によるプレゼンテーションの様子

 同団体は若(WAKA)者のアイデアで病(YAMA)をなくすをモットーにする学生団体。同大学や和歌山大学(栄谷)、京都府立医科大学(京都市)、森ノ宮医療大学(大阪市)などの学生が参加する。

[広告]

 「アイデアソン」はアイデアとマラソンを組み合わせた造語で、新しい解決策を出し合う取り組み。同アイデアソンは、県内を中心とした中高生が個人または4人以下のチームで参加し、ワークショップや中間報告会を経て5チームが本戦へと進む。第1回のテーマは発達障がい。参加者は11チーム23人。

 団体の代表で県立医科大学医学部2年の村田七海さんは「近年発達障がいと診断される人が増加しているが、見た目からは分かりにくく、周囲の理解や支援が適切でないと依存症や精神疾患などの二次障がいを起こし、社会への関わりがより難しくなることがある。中高生は柔軟な考え方を持っている時期。フィールドワークやワークショップを通じて、社会問題を主体的にアプローチすることは大きな挑戦になる。障がいの有無に関係なく、中高生が自分の事として理解するきっかけになれれば、社会の理解も広がっていく」と話す。

 参加した高校1年生の上野嘉子さんは「BV(Blocking the Vison)レンズ」と名付けたサングラスをプレゼン。発達障がいのある人の特徴の一つである視覚過敏に着目し、公共の場所で違和感なく溶け込みながらも視界をシャットダウンできるサングラスを発想した。サンプルとして既存のサングラスに黒いカッティングシートを張り合わせたものを配布。周囲の人にはただの黒いサングラスをかけているように見えるが、黒いシートで視界を遮っているため、視覚に過剰に反応してしまう人が、手軽に1人になれる居場所を確保できる。

 茨木市から参加した高校3年生の松川雅美さんは、災害などの緊急時用に発達障がい者自身が携帯できるGPSとコミュニケーションボード、要支援者マークの3つを兼ね備えたポータブル機「dipron(=disaster ×protect、ディプロン)」を発表。6月の大阪北部地震の体験から発想を得たという。その他のチームからも災害時に混乱なく適応できるよう、VR(バーチャル・リアリティ)を使い事前に避難所の様子を体験するなどといったアイデアが出た。

 村田さんは「どのチームの発表も素晴らしく、エントリーしてくれた中から5チームを選ぶのが心苦しかった。本戦に残ることができなかったチームもこの経験をバネに社会のあらゆる場所に飛び立っていってほしい。発達障がいというデリケートなテーマだが、和歌山から社会を変えていく意気込みでみんな頑張っている」と笑顔を見せた。

 上位5チームによる本戦は8月19日、14時から和歌山JAビル2階和ホール(美園町5)で開催予定。入場無料。審査員と一般参加者の会場票により優勝チームが決まる。