矯正治療中のトラブル対処法

矯正治療は、治療をする側だけがなおしていくものではなく、患者さんに協力してもらい、なおしていく部分がたくさんあります。患者さんの協力度合いによって、治療が成功するかどうかも決まるほどです。

ここでは、矯正治療中に装置を使っていただくにあたって、どういったトラブルがあって、どう対処すればいいかをご説明しています。

矯正装置

歯に装着したブラケットは、ある程度の強さの力が一気にかかったときに、はずれてしまいます。また、針金(ワイヤー)は、強い力によって折れたり、変形したりすることがあります。

日頃から気をつけていただきたいこと
  • 1.食べ物は、ほとんど何を食べてもかまいませんが、前歯でかみちぎったり、かみ切ったりすると、壊れる原因になります。りんごや肉などは、あらかじめ小さく切ってから奥歯でかむようにしてください。
  • 2.装置をつけたことで、痛みや、慣れない感じがありますが、指や舌でさわったりすると、壊れる原因となりますので注意してください。
  • 3.矯正装置を入れていると、汚れがたまりやすく、虫歯や歯ぐきの病気になりやすくなります。歯ブラシはいつももっているようにして、食事のあとは、歯磨きをしてください。汚れが落ちるまでは、歯磨き剤はつけないで磨き、鏡で汚れがしっかり落ちたかどうかを調べてください。一度に全部きれいにするのは難しいので、汚れがたまりやすい場所を覚えておいて、特にねらって磨くようにしてください。
  • 矯正装置1 金具(ブラケット)と歯ぐきのあいだを、よく磨いてください
  • 矯正装置2 ワイヤーの下も、よく磨いてください
  • 矯正装置3
  • 矯正装置4 歯磨きには、歯間ブラシやタクトブラシを用いてもいいです
トラブル対処法
  • ■リガチャーワイヤーが飛び出た

    「リガチャーワイヤー」は、ブラケットの横で細くねじって、「メインワイヤー」の内側に入れてありますが、ねじれ目が歯磨きなどで飛び出てくるときがあります。そのときは、応急処置として、ツメやようじ、わりばしの先などで、「メインワイヤー」の内側に押し込んでください。
    • リガチャーワイヤー1 リガチャーワイヤーのねじれ目が飛び出てしまいました
    • リガチャーワイヤー2 わりばしの先で、メインワイヤーの内側に押し込みます
    • リガチャーワイヤー3 メインワイヤーの内側に、リガチャーワイヤーが入り、元通りになりました
  • ■メインワイヤーが折れた

    「メインワイヤー」が折れたり、曲がったりしたときには、連絡をしてください。「メインワイヤー」が飛び出て痛いときには、応急処置として、大きなツメ切り、ニッパー等で飛び出ている部分を切るか、曲げるか、またはワックスでワイヤーを上から覆ってください。
  • ■装置がこわれた

    すぐに電話をして、どんな状態かお知らせください。また、壊れた装置は、なるべく捨てずにもってきてください。
  • ■矯正装置装着後、数日痛い

    矯正装置をつけてから数日間は、痛みがあるでしょう。全体に浮いたような感じで、固いものがかめなくなります。これは、歯が動きはじめたことによる反応です。人により痛みの強さや、期間などは違いますが、だんだんおさまってきますので、あまり心配はいりません。

    氷嚢で皮ふの上から冷やしたり、氷をお口のなかで転がして冷やしたりすると、痛みはやわらぎます。もし、どうしても我慢できないときは、市販の痛み止めを飲んでもかまいません。また、痛みがあるときは、やわらかいものを食べてください。
  • ■唇の裏側に装置があたって痛い

    唇の裏側に、「ブラケットやワイヤー」のあとがついたり、口内炎ができたりしたときは、痛む場所にあたる装置の上にワックスをつけてカバーしてください。それでも我慢できないような痛みがあるときは、連絡してください。

リンガルアーチ

リンガルアーチ1

リンガルアーチは歯の裏側につける装置です。奥歯にセメントで接着してありますので、自分でとりはずしができません。

日頃から気をつけていただきたいこと
  • 1.舌や指でさわったりすると、装置が壊れる原因になりますので、注意しましょう。
  • 2.ほとんど何を食べてもかまいませんが、固いものや、くっつきやすいものは、装置が壊れる原因になります。固い食べものは、あらかじめ小さく切ってから食べるようにしましょう。また、くっつきやすいガム、キャラメル、もちなどは食べないようにしてください。
  • 3.装置が入ることにより、歯と歯ぐきのきわが不潔になりやすくなります。不潔な状態が続くと、虫歯や歯ぐきの病気の原因になってしまいます。歯磨きの前にはしっかりうがいをしてください。また汚れは、指やツメで無理矢理とるのではなく、歯ブラシでとりましょう。歯磨きのときは、歯と歯ぐきのきわ、特にバンドとワイヤーのまわりに意識して毛先をあてましょう。
トラブル対処法
  • ■ワイヤーが曲がった、装置がはずれた

    ワイヤーが曲がったり、装置がはずれたりしたときなど、なにか変わったことがありましたら、早めに連絡をしてください。

リテーナー

リテーナーは、ブラケットの治療後に、歯のまわりの骨や、あごの運動が安定するまで、改善された状態を保つための装置で、プレートタイプリテーナー、FSWの2種類があります。プレートタイプリテーナーはとりはずし可能で、FSWは、患者さんがとりはずことはできません。

  • リテーナー1 プレートタイプリテーナー
  • リテーナー2 FSW
日頃から気をつけていただきたいこと
  • 1.リテーナーを使わないで放っておくと、治療前の状態に後戻りして、再治療になることもあります。必ず、毎日、一日中使いましょう。
  • 2.はずしているときは「リテーナーケース」に入れて保管しましょう。出しっぱなしにしていると、壊れたり、なくしたりしてしまう原因になります。ケースはいつも、持ち歩きましょう。
  • 3.お食事や歯磨きのときは、はずしてください。つけたままお食事をすると、リテーナーが壊れてしまいます。
  • 4.歯磨きをするときに、はずしたリテーナーも水で洗いながら、歯ブラシで磨いておきましょう。
  • 5.歯や歯肉に密着させた状態で使いましょう。浮いたままだと、後戻りすることがあります。
  • 6.ワイヤーなどを自分で曲げたりしないでください。
  • 7.激しい運動(マラソン、水泳など)のときは、はずすようにしてください。
  • 8.犬などのペットに、プレートタイプリテーナーをかじられないように気をつけましょう。
  • 9.リテーナーは診療日にチェックしますので、忘れずにもってきてください。
トラブル対処法
  • ■リテーナーの汚れがひどい

    歯ブラシで磨いても、汚れがひどくて落ちにくいときは、市販の入れ歯洗浄剤を使ってもかまいません。
  • ■リテーナーが壊れた

    リテーナーが壊れたり、はずれやすかったり、「おかしいな??」と思ったときは、すぐに電話で連絡してください。