大堀川の水辺をきれいにする会
大堀川に流れ込む高鉄分の「赤い水」とは?!
目次:
1)大堀川に流れ込む「茶色の水」と滲み出し源泉の「赤い水」(2007/4/28)
2)「赤い水」の分析と、鉄成分除去の簡易実験のレポート(2007/5/3)
3)鈴木コメント「鉄分の多い水は昔からありました。」(2007/5/5、5/31)
4)堤田コメント「最近の赤茶水の発見ヶ所は3ヶ所となります。」(2007/5/5)
5)加藤プラン: 「赤い水の処理」実験設備の設置計画と事前調整(2007/5/26)
6)「赤い水の処理」実験設備を5人で設置しました。(2007/6/2)
7)実験設備の設置翌日の赤茶モノの沈殿の様子。(2007/6/3)
8)実験日誌と中間成果、大雨後の実験中止(2007/6/13)
9)加藤さん結論:「赤水の処理方法・・滞留による沈殿除去」(2007/6/21)
加藤さんの最終レポート(PDF版)はこちらからご覧になれます。
大堀川に流れ込む「茶色の水」と、滲み出し源泉の
「赤い水」の状況 (2007/5/3)
ふるさと大橋下の「柏下樋菅」は、何故か、以前より茶色く染まっていました。
その源泉の側溝まで行くと、赤茶色のヘドロのようなものが溝底にこびり付いていました。
果たしてこの招待は、悪性か?良性なのか?
(結論を先に言うと: ヨシザワLAさん分析で、鉄分のみで問題はなさそう、とのこと。)
場所: ふるさと大橋下の大堀川右岸、ビニールハウスの傍です。 大堀川への流入: 茶色いモクモク煙にように流れ込んでいます。 滲み出しの源泉: 源泉は透明のきれいな水ですが、すぐに赤茶色が沈殿します。
「赤い水」の分析と、鉄成分除去の簡易実験 2007/5/3
「大堀川に入る赤い水について」 2007/5/3、加藤 哲男 今日は周辺農家が田植え準備の為、田んぼから泥水が沢山出ていた、故に赤い水は目立たなかった。 しかし、次の事を観察した。 |
|||||
1.原因となる場所 | |||||
ふるさと大橋の下の雑草地。 ここから流れ出す水。排水パイプを埋め込んであるので、誰かが管理している。「立ち入り禁止、柏市」の看板あり。従って柏市が管理していると思う。 |
|||||
2.水質 | |||||
鉄分が非常に多いようだ、流出直後の水はあまり着色なし、30分ほど空気に晒しておくと濃い茶色になる。後で分析したい。 | |||||
3.対策案 | |||||
(1)3つの池を掘る。 ・1つは掘りっ放し(直径2m深さ1m程度)。 ・2つは沈殿池(2×2m深さ1m程度)の為、壁が欲しい(プラスチック可)。 (2)含有物を沈殿させて、除去する。 ・攪拌後石灰を入れれば瞬時に沈殿する。 ・沈殿物は年4回程度バキューム車で吸い取り、廃棄は必要。 |
|||||
4.やってみた簡易実験 | |||||
1枚目の写真: (石灰等)無添加で5時間後、ペットボトルの底に沈殿あり。 2枚目の写真: 石灰を入れた攪拌直後と、無添加の原液の比較。 3枚目の写真: 石灰を入れた側は、翌日には透明になる。 4枚目の写真: 無添加でも時間を長くすれば随分きれいになる。(翌日の例) |
|||||
5.赤い水の処理方法の詳細 | |||||
(1)原水の性質 ・鉄は還元状態にある。 ・酸化、沈殿させる為には5時間が適当。 ・石灰を入れれば完全に無色にまでなる。 (2)実験装置の考案 (撹拌は電気が必要で難しい為、無撹拌を考える) ・現在の側溝(U字溝)に実験装置への取り入れ、排水用2箇所穴を開ける。 場所は下水路にごく近い位置 下 水 路 ||←取入れ部 || ここにプラスチック || の箱を埋める ||←排水部 水路 ・プラスチック箱(ごみ収集ボート?)は大きめな物を買う。 ・水の入り口、出口は穴を開け、ビニールホースでつなぐ。 ・水量は滞留時間が5時間程度となるよう決める。 ・小さな穴を空けた石灰容器を入れておく。 (3)事前実験の作業手順 ①現場で単に容器を置き、手でくみ上げて実験をする(加藤) ②その結果もう少し、数値を正確にし、見込みが出来た時点で ③柏市に相談に行き、土地利用の許可と、側溝のコンクリートへ2箇所の工作許可 ④メンバーの大工さん、コンクリートとポリタンクをビニール管で繋いでくれませんか。 (4)本格設備について ・(2)(3)は全量処理の1/50程度の規模と想定。 ・状況がよければ、全量処理装置を設計、市へ申請することになる。 |
|||||
6.地金堀で偶然見つけた赤茶の水について | |||||
・地金堀が大堀川に合流する地点で地金堀の水が強く赤茶色になっていた。 (写真左:10時50分) ・すぐに上流へ行ってみた。アサヒビール;排水なし、釣堀側;変化なし、暗渠が空いた場所;既に着色なし、しかし鯉が泳ぐと赤水が底から巻き上がる。 ・その上の配水管を見ていくと、伊藤ハムが出している2本あり、内1本が少し着色している。その上流には気配なし (写真右:11時05分)。 ・そこで、伊藤ハムを直接訪問した。面会してくれた人は、時々ごみ掃除に参加してくれている人で環境管理課長さん、私の事を知っていた。 ・工場側から配水管を観察、一本は処理後排水で問題なし、もう一本は雨水配管とのことだが(パイプの中は見られない)今日は雨が降ってないため、雨水はなく冷却水等だろうとのこと。川への出口に着色なし。 ・検査室に案内してもらい、地金堀の写真を見せて貰った内に、もっと上流で鉄さび色の排水を出している写真もあった。(日時は別です)。 結論: 排出場所を特定できなかったが、今後、見付けた時は発生場所を特定できるよう観察してください。 |
鈴木コメント「鉄分の多い水は昔からありました。」2007/5/5、5/31
鉄分の多い水はむかしからありました。
苦労して掘った井戸が金気の多い水だとがっかりしたものです。汲み上げたきれいな水にお茶の葉っぱを入れるとすぐに鉄色に変わって悔しい思いをしました。
ただ、その水が全然使えないわけではなく、炭を入れ砂を厚く入れたコンクリートの濾過層を通すと問題なく使えました。
手賀沼トラストの赤くなる水も田圃にそのまま入れています。田圃の中を滞留するうちに鉄イオンは酸化され酸化鉄になって沈殿します。土の中に入ったそれは、還元性雰囲気となるためか、黒い鉄色になり掘り返して空気に触れると赤錆色になります。
と言うことで、赤水が鉄分起因であれば何も問題にしなくて良いのではないかと思います。
何処かの処分場の近くみたいに何かを埋めたのが出てきているのなら問題ですが・・・。鉄以外の何であるかを先に調べて貰いたいと思います。
昔超伝導で鉄粉に凝集剤に捕まえさせた燐?だったかを集めさせる実験をしていた人たちが教えてくれたことがありますが、ときどき地金堀の合流点で黒い水が流れ出てきていたと。一度電話を貰って見に行ったけど、真っ黒でした。サンプルを採って数日したら、黒い砂みたいな沈殿が少しあるだけで透明になっていました。暗渠の中を丹念に調べましたが、疑わしい流入口はありませんでした。マンション横の開けたとこより上流では伊藤ハムその他でおかしな所はありませんでした。
(2007/5/5)
【写真右】
地下11mから汲み上げた直後の水は、
・水温: 約14度
・色: 無色透明
できれいな水でしたが、空気に触れて酸化し、赤い沈殿物がでるとのこと。
(2007/5/31)
堤田コメント「最近の赤茶水の発見ヶ所は3ヶ所となります。」2007/5/5
最近の赤茶水の発見箇所は以下の3ヶ所となります。
①加藤さんに調査してもらった地点
(堤田、加藤さん確認)
②戸張野菜さんの近くで見つけた赤茶色の側溝
(堤田確認)
③根戸新田のキグナスGS裏の井戸
(鈴木さん確認)
結局、このあたりは鉄分の多い地下水が多く出てくる地域と思われますが、
不思議なのは、この辺は何故多い地域なんでしょうか? まずは、情報収集も必要かも知れません。
加藤プラン・実験設備の設置計画と、事前調整状況 2007/5/26
「赤い水の処理」の今後の計画と、事前調整状況について 2007/5/26、加藤 哲男今までのまとめ: |
|
1.目的 | |
水路を赤く染めるので見栄えが悪い、見栄えを良くする。 今回はその為の小規模実験(約1/10規模) |
|
2.方法 | |
現状排水口から約1/10を横から採集、実験水路に流す。 1)水路構成; 水取入れ通路―酸化池―沈殿槽1-沈殿槽2-排水 2)大きさ:酸化池(素掘);2m(l)×40cm(w)×30cm(d) =0.24m3 沈殿槽(壁付);2m(l)×40cm(w)×30cm(d) =0.24m3 3)予定水量 0.1m3/Hr.(2.4m3/日) 酸化時間 2.5Hr. 沈殿時間 5Hr. 沈殿物量 3.6L/日 |
|
3.処理の流れ | |
1)原水は酸化池に導かれ、通過する間に自然酸化させる。 次に沈殿槽1で大部分沈殿する、更に沈殿槽2で不十分な沈殿を除く。 上澄みを南側の側溝に放流する。 2)沈殿物は1日当たり3.6L溜り、67日で0.24m3予定 (約2ヶ月で1槽満杯になる)。 3)満杯になった時点で沈殿物を廃棄する。 廃棄方法に見通しが付けば継続し、見通しがなければ終了とする。 その場合、沈殿物は現場で土に埋める。 |
|
4.手順、問題 | |
1) 共同実験者;関係者への許可交渉、現場の構想、穴堀り、 2) 用地を使わせてくれるか交渉、土地所有者、市環境課。―5/29済み 3) 沈殿槽にプラスチック容器が欲しい。 4) 沈殿物の処理方法 ―1、廃棄物汚泥として市が引取り(尋ねてみる) -2、容器に入れたまま放置する(旅行の為10日間放置した処、黒色化し、土の色に近くなった) (色が目立たなければ、ここの湿地に廃棄可能と思う)。 -3、その他検討する。 |
|
■地主さん、市役所との事前調整 2007/5/30 | |
地主さんとは面会でき、実験水路を作ることを了解してもらいました。 市の環境公害課にも計画書を置いてきました。 いつでも工作できる状態です。 なお、地主の話では、この土地に今年中にも市が何かの建物を作るそうで、そうなれば赤水は解消されるだろうとの事。 しかし、私としては、実験は他に役立つので、実行したい。 |
「赤い水の処理」実験設備を5人で設置しました。 2007/6/2
加藤さん計画による実験設備の設置と、水路工事を実施しました。 2007/6/2、堤田(記、写真)
好天の中、加藤さんの呼び掛けに、木村さん、芝原さん、山口さん、そして私の総勢5人により、土木作業を実施しました。
9:30の開始し12:00過ぎまで頑張りました。粘りのある泥との格闘は結構大変でした。が、何とか3つのトロ舟を埋め、水の流れを確保できたようです。(本日時点です、、!)
この後、加藤さんは治水工事の仕上げに夕方まで尽力されたようです。
加藤さん、皆様、お疲れ様でした。
1. 水路工事: 粘りのある泥、傾斜の少ない水路の確保に苦闘しました。 2. 「かく拌層」と「沈殿槽」の埋め込み:
トロ舟を3つ埋め込みました。加藤プランでは、流込み側が「かく拌層」、他2つが「沈殿槽」とのことです。
水路途上に穴を掘り、山口さんの重さで水面すれすれまで沈みこませました。3.水の流れ:
写真左: 文化会館側の側溝側に小さな土嚢を積み、トロ舟側に水を押し戻している様子。
写真中: トロ舟地点を通り過ぎ、手前に流れてくる水路を、ふるさと公園側から見た様子。
写真右: ふるさと公園側の側溝にたどり着いた水路。
「赤い水の処理」実験設備の設置翌日・・・沈殿開始 2007/6/3
実験設備設置の翌日には、沈殿が開始している様子を記録しておきます。水源→水路1→水路2→トロ舟1→トロ舟2→トロ舟3→水路3→水路4→側溝への排水口 |
|
水源からトロ舟手前までの水路: 水源はきれいな湧き水です。途上の水路でも沈殿しています。 | |
左から水源、水路1、水路2です。 |
|
トロ舟での沈殿模様: 鉄分の酸化皮膜(鈴木さん曰く)を拭うと、泥の上に鉄分が沈殿です。 | |
左からトロ舟1、トロ舟2、トロ舟3です。 |
|
トロ舟設置ヶ所ろ過ぎて側溝への排水口: 排水出口までくると赤茶分がなくなってきました。 | |
左から水路3、水路4、側溝への排水口です。 |
加藤さんの「赤い水」実験日誌(6/2-10)・・・6/10の大雨で中止
加藤さんによる実験日誌と、中間成果のあらましメモを以下に記録しておきます。 実験開始1週間後の週末6/9-10、柏で記録的な集中豪雨があり、諸般により実験中止となりました。 実験のための流路変更のための”堰(簡易の土嚢)”の取り除き依頼あったことにより、 やむを得ずの中止判断にいたりました。 |
|
「赤い水」実験日誌: 沈殿、かく拌層の設置以降の数日間の記録 | |
6/2 (土) |
5人の参加者を得て、水路を作り、沈殿槽を設置する。 側溝は原水発生場所の北側が高かった為、堰(土のう)を作り無理に北から南に流す。 (→右の写真) 現場は泥沼で土と水が渾然としている。 |
6/3 (日) |
上側の土地から普通の土を投入、水路をはっきりさせた。 取り敢えず全量を新水路に流す。実験用トロ箱の前に長い自然水路があるので、ここで、酸化、沈殿生成が起ってくれればそれでも良いと考える。 |
6/4 (月) |
全量通過の場合: 水量 約30L/min。 処理前、処理後とも同程度沈殿を含み、全量処理は無理である。 堰に通水パイプを入れて逃がし、実験水路への通水量を1/3程度に絞る。 |
6/5 (火) |
通水量;約13L/minであった。 逃がし量 20L/min。 沈殿状況、排水路に赤沈殿あり、処理不十分。 各トロ箱の間に観察用隘路を作る、前段階の溜まり場も沈殿池として組み入れる。 表面に鉄化合物らしい薄幕ができて、酸素溶け込みを妨害している、どうも邪魔だ。 |
6/6 (水) |
通水量;約3L/min、逃がし量 20L/min。 沈殿補足状況;処理水は略透明であるが、排水路に赤色沈殿多く、補足不十分。 或いは、ふわふわの物が排水路途中で沈降したものか。 (沈殿槽出口の透明度からはそれ以降の沈殿発生は考え難い。表面の幕は沈殿槽部を覆ってなかった。) |
6/10 (日) |
大雨で、現地に行かず。 事後確認では、大雨で畑前道路のマンホール蓋が浮き上がって外れたらしい。 流路変更のための堰(土のう、6/2の欄の写真)に問題があるかも知れないため、堰を撤去し、実験を中止することにした。 |
実験の中間成果のあらまし: 3つのトロ舟を経た排水の透明度は増してきたが、鉄分の完全な沈殿には至っていない。 |
|
≪左≫3つのトロ舟による沈殿・かく拌層の全景: 水は右端から入り、3つのトロ箱部分で沈殿し左端の樋(流量測定)を通って排水路に流れる。 ≪中≫最終的な水の放流(3つ目のトロ舟)は略透明: 6時間放置した後も沈殿発生なし。つまり、この時点の水は鉄分を含むに違いないが排水路で沈殿を形成するほどの量は無いということ。 ≪右≫取水口の”原水”と放流口の”処理水”の沈殿物発生状況: 原水、処理水を5時間放置した様子。沈殿観察方法は、分析手段がないのでペットボトルにとり、かく拌後静置。原水は着色は多く、この後、6時間の直後沈殿が始まった。 |
|
ここまでの考察: 1.溶解している鉄を沈殿物として捕捉することは未だできていない。 2.沈殿物には水に浮遊する物がある、この補足には別の工夫が必要のようだ。 (排水路を全部着色する程量がある) 3.この水路での処理量は5~10L/minと思われる。 |
加藤さん結論「赤水の処理方法・・・滞留による沈殿除去」
(2007/6/2-6)
実験は中止となったが、以下の方法により”鉄分を沈殿除去できること”がわかった。
(1)水を空気にさらし、含有鉄分を酸化させる。
(2)含有鉄分は、6時間ほど滞留時間を置けば約90%が沈殿する。
(3)水面できる酸化皮膜は、水面に邪魔面を設けることで除去できる。
(4)全水量が約20リットル/分と推定できるため、
6時間滞留には8立方メートル程度のため池が必要と考えられた。
※なお、大きな課題である貯まった沈殿物、皮膜等の撤去方法の検討は、今回はできなかった。
Copyright (C) 大堀川の水辺をきれいにする会