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愛知リコール偽造犯を公認 維新は「不祥事の総合商社」

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「週刊文春」編集部
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松井氏の父は元大阪府議会議長
松井氏の父は元大阪府議会議長

 大村秀章愛知県知事へのリコール署名偽造事件で県警は5月19日、リコール団体事務局長の田中孝博容疑者を逮捕した。この田中、実は次期衆院選に日本維新の会の公認候補として出馬予定だった。維新代表の松井一郎大阪市長(57)は20日、「(維新は)組織としては関与してない。やっていたのなら罪を償いなさい」と突き放したが、愛知の地元記者曰く「田中のDNAは維新そのもの」。

 田中は衆院議員秘書などを経て32歳で愛知県議に初当選。在職中に、代表を務める産廃収集運搬会社が2億円超の負債を抱え、自宅や議員報酬を差し押さえられた。その後、落選した田中が目をつけたのがテレビ。芸能プロに所属し、人気番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」などに出演。本人は周囲に2017年のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」にも出たと自慢し、エキストラにもかかわらずこう吹聴していた。「河村たかし名古屋市長も大村知事も『ビートたけしのTVタックル』で有名になった。橋下徹元大阪市長も『行列のできる法律相談所』があった。やっぱりテレビの力は大きい」。

 維新を巡っては、田中を筆頭に不祥事続き。先月、梅村みずほ参院議員の公設第1秘書(当時)が殺人未遂容疑で逮捕。結局不起訴となったが、知人を車ではねた行為は衝撃だ。丸山穂高衆院議員が、北方領土の元島民に「戦争で島を取り返すのは賛成ですか」と迫り、除名されたこともあった。地方に目を転じると、市役所にサウナを持ち込み、辞意を表明した大阪・池田市長、下半身を露出させた東京・港区議……まるで「不祥事の総合商社」だ。

 不祥事を重ねる維新の体質とは何なのか。大阪の全国紙記者はずばり「ヤンキーだ」と指摘する。かつて筑波大の斎藤環教授は安倍政権をヤンキー政権と分析。アゲアゲのノリと「頑張れば何とかなる」の気合主義がその特徴とされるが、「維新の持つヤンキー的気質は他にもある。敵を見定めることと、地元の仲間を大事にすること。大阪を地盤に縄張り拡大を図り、ケンカを厭わない維新にこそヤンキー政治の名はふさわしい」(同前)。

 特に「やんちゃ小僧で、高2で退学した」と公言する松井氏は、57歳の今もヤンキー色が強い。21日、大阪市が進めるオンライン授業を批判した小学校の校長を「決めたことをやらないと言うなら処分の対象」「辞めてもらわな」などと猛批判した。一方で、前述の池田市長への不信任決議案を、維新は公明と組んで否決している。理屈抜きで仲間をかばう姿はヤンキーそのものだ。

source : 週刊文春 2021年6月3日号

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