則武地所の施工アパートで新たに6棟の不備NEW

則武地所, アセットビルド

ニュース|2021年05月28日

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 東京・八王子市のアパートの階段が崩落し、入居者の女性が死亡した事件で、施工会社の則武地所(神奈川県相模原市)が建築した他のアパートを調査したところ6棟の施工不備が見つかった。17日には則武地所から劣化が発見されたアパートについての報告があり、調査が別途行われる。則武地所施工のアパートのオーナーは改修や建物調査に追われそうだ。

別途劣化のあった57件を追加調査

 国の指示の下、特定行政庁が調査を行う則武地所施工のアパートは事件の物件も含め166棟。木造2階建て以上で外階段がついている物件が対象となる。

 本紙の独自取材では、八王子市で5棟、神奈川県厚木市で1棟、アパートの施工不備が見つかった。

則武地所施工アパートの調査状況

 厚木市で調査対象となった物件は16棟あり、目視で劣化や腐食がないかの確認を行った。そのうち1棟では、2階と3階の階段の踊り場の裏側で、明らかにボードが1枚不足した状態で施工されていた。厚木市は、調査の内容を物件の管理会社に報告し、オーナーに建物点検と入居者への通知を行うよう依頼をしたという。八王子市の施工不備内容は非開示。

 調査対象が62棟あった相模原市では、全棟の調査を完了した。目視での確認では問題がなかったが、内部の腐食が起きている可能性なども踏まえ、オーナーに点検をするように注意喚起を行った。5月31日までをめどに各行政庁から国土交通省に調査の内容を報告する。

 だが、則武地所のアパート施工不備問題は、さらに広がっていきそうだ。13日に横浜地方裁判所相模原支部に自己破産の申請を行った同社は、17日に行政庁に、同社が施工し劣化が見られる賃貸住宅57件についての報告書を提出した。

 「まだ詳細は把握しきれていないが、166棟の調査がまとまりしだい、57件の物件の調査も管轄行政庁に依頼していく予定」(国交省担当者)

 則武地所施工のアパートを保有するオーナーには、物件に問題がないか、建物点検をする指導が行われている。不動産コンサルティングを行うアセットビルド(東京都千代田区)の猪俣淳社長によると、2~3階建てのアパートの建物点検には10万円程度の費用がかかるという。

 また、厚木市で判明したような踊り場のボードが不足して施工されていたケースでは、「ボード自体は安いが、表層部を剥がして中がどんな状態か見てみないと何ともいえず、腐食していることも考えられる。また、基本的には建物に鉄製階段の重量がかからないように応力を負担する鉄柱の施工が必要。比較的安価で施工できる場合もあれば、目安の金額以上にかかる場合もある」(猪俣社長)

 これから調査が開始される57件についても、物件の安全確認や、場合によっては改修が必要になるため、オーナーの迅速な対応が求められる。則武地所の事件は入居者に安全な賃貸住宅を提供するというオーナーの義務を改めて訴えかけている。

(5月31日1面に掲載)

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