日本にラッコが8頭しかいないってホント?水族館に聞いてみた
つぶらな瞳とユニークな表情で私たちを笑顔にしてくれるラッコは、水族館の人気者というイメージがあります。しかし、実は現在、日本国内でいるのはたったの8頭。ラッコは、意外と会えない希少な動物なのです。
一体どうしてこんなにも減ってしまったのか。その理由を知るべく、日本のラッコ飼育を統括している鳥羽水族館の石原良浩さんを直撃!ラッコの現状を伺ってきました。
今回、取材に応じてくれた石原さんは昨年の夏、Twitter上でラッコとの微笑ましすぎる触れ合いが話題を呼んだ飼育員さん。
そもそもラッコが日本で初めて一般公開されたのは、1983年のこと。鳥羽水族館(三重県)と伊豆・三津シーパラダイス(静岡県)で公開されると人気に火が付き、1994年のピーク時には122頭ものラッコが国内で飼育されていました。石原さんによれば、国内のラッコが減ってしまった原因は“飼育個体の高齢化”にあるそう。
実はアメリカでは産まれたばかりのラッコの子どもがはぐれると人工哺育で育て、アメリカやカナダの水族館で飼育されます。そして、保護個体の収容先を確保するため、飼育下での繁殖を禁じ、すぐに去勢を行うようにしているそう。ところが、北米では飽和状態になってきたため、ここ3~4年ではデンマークやフランス、ポルトガルなどへ輸出もされています。
対して、日本は保護個体を受け入れて数を増やすのではなく、あくまで飼育個体内で繁殖させてきました。「日本は世界で一番、飼育下で繁殖をしてきましたが、今いるラッコたちは繁殖した個体の孫・ひ孫世代。世代が進むにつれて、だんだん繁殖能力が低下していて、生まれたとしてもミルクが出なかったりして育たないのです。日本では去勢されたラッコは受け入れてきませんでしたが、そうは言ってはいられなくなってきています。」
日本のラッコは今後、どうなっていくのか。そんな率直な疑問を石原さんにぶつけてみると、厳しい現実を痛感させられました。「今後、海外から日本に新しい個体が入ってくる可能性はないとは言い切れません。しかし、問題があります。」
現在、日本のラッコ飼育スペースは老朽化が進んでおり、施設の新設やリニューアルは高額な費用がかかってしまうため、石原さんは現在の飼育園館数と個体数を維持し続けていくのが現実的なのでは……と考えているよう。
水族館の人気者として一世を風靡したラッコは、いつしか「種を守る」という飼育員さんたちの信念があってこそ出会える動物になっていました。
日本のラッコが減ったワケは「飼育個体の高齢化」
日本のラッコはこれからどうなるのか
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