ブロス編集部です。ここのところ、インターネットをやっているとやたら視界に入ってくる広告がありませんか?
それは……。
自称サバサバ女!!
自称サバサバ女の会社員・網浜(あみはま)さんが、
▼呼ばれていない飲み会に強引に参加したり
▼からあげに勝手にレモンをかけたり
▼カシオレなんて飲めないと煽ったら「血糖値高いんですか?」と煽り返されたり
デリカシーのない言動で所狭しと大暴れする広告が2021年5月現在、あらゆる場所に出没しています。
人によって出る広告は違うので個人差はありますが、最近の編集部周辺ではウェブ検索するたびに
サバ女!
Twitterを開いても
サバ女!
オモコロを開いても
サバ女!
という感じです。
ここまできたら、もういったん読んでおいたほうがいいんじゃないか? と思ったので、サバサバ女の漫画こと『ワタシってサバサバしてるから』を配信しているめちゃコミックに登録し、公開分を全話読んでみました。
以下、公開エピソードを全話読んだライター陣による感想をお届けいたします。
かまどの感想
自称サバサバ女の不愉快な言動が矢継ぎ早に展開されていく漫画だったんですが、僕は真っ当に不愉快な気持ちになりながら最新話まで読み終えたので、結局どう楽しめばいいのかわかりませんでした。懲悪のないスカッとジャパン。僕には早すぎたのかも。
読み終えた後に、他の人とサバ女の悪口を言っている時間は楽しかったので、ニコニコ動画みたいにみんなでガヤガヤ文句言いながら観るアニメになると、最高に面白いかもしれません。コイツの悪口で盛り上がれる給湯室がほしいと思いました。
作中でスッキリする描写が全くないため、どこかで吐き出したくなるというか誰かとこの不快感を共有したくなります。
SNSのシェアを促す要因となりそうで、そういう意味で計算高いWEB漫画なのかもしれません。サバ女が度を超えた悪人として描かれているので、一周して彼女のことを頼もしく感じてきたりもしますが、その反面、次第にサバ女の周囲の人間にも腹が立ってきて「周りの奴らもバシッと言えや!」という新たなストレスがかかり始めました。
作中で発言力のあるキャラクターも彼女に対してチクッとした忠言程度の弱パンチのみで対応してるし、悪いのはサバ女を成敗しないコイツなんじゃないかと思えてきます。というか、サバ女がわかりやすいヒールである一方で、周囲の人間もそれなりに嫌な奴じゃないですか!??!
特に、鈴木。お前まじでなんなん???
大人の無責任な距離感が、サバ女をのびのびと増長させていることに気づいてからは、なんだか彼女の陰口で盛り上がる自分にも後ろめたさを覚え始めて、なおさら楽しみ方がわからなくなりました。
モンゴルナイフの感想
よくバナーで表示されていたので、話をだいたい知った気になっている状態で読みました。
最初は、サバ女が出てくるたび心がギュッと苦しくなりました。サバサバ女さんの言動によって苦しくなるのではなく、こういう部分自分にもあるかもしれない…と不安になるからです。
頼む、どうにか全員幸せになってくれんか? と願いながら読んでいました。
しかし、読み進めていくと、だんだんサバサバ女さんはこの会社の人が共通の敵を作って団結するために作られたサイボーグではないか?と思うようになりました。
そう思うと、サバサバ女さんが恐ろしくポジティブなことにも合点が行きます。サバサバ女さんは、湯水のように人に不快な言葉をかけ続け、毎度しっかり誰かに叱られたり否されたりするのですが、その場で「はぁ?!?!?!」と怒った次の日くらいにはもう忘れて毒を飛ばします。
サバサバ女さんがプログラムによって動いているので、何があってもダメージがないのかもしれない…と思い込んで読む事で、自分のダメージを減らせます。
他の人がどう感じたか、円になって語り合いたくなる漫画でした。
ダ・ヴィンチ・恐山の感想
めちゃコミックに初めて登録したんですけど、漫画単体の買い切りみたいなことはできなくて、サブスクで毎月もらえるポイントを消費して漫画を読むスタイルなんですね。月額22000円のコースとかあって驚きました。年間25万円払ってサバサバ女とかモラハラ夫の復讐とか読みまくっている人がどこかにいるのかもしれない。
※スマホアプリからなら単話購入可能なようです。
さて、本題です。読んだ感想ですが、かなりのシーンで「あ、ここ読んだことあるなー」というデジャヴを感じたのが面白かったです。ネットスラングから知ったジョジョを改めて読んだ時に近い感覚です。広告でめちゃくちゃストーリーの核心まで教えてくれてる。
予想外だったのは、サバサバ女こと網浜さんが想像以上の憎悪拡散モンスターだったことでしょうか。やることなすこと本当に非常識で「そら嫌われるわ」という感じなんですけど、いくら皮肉を言われようが直接注意されようが我が身を省みることなく嫌われもの街道を爆進していく網浜さんの足取りがだんだんと魅力的に見えてきてしまいました。
当初は「いつサバ女に痛い目を見せてくれるんだ? あーん?」という視点で読んでいたはずが、我慢の限界に達した周囲の人々の反発を受けるシーンにさしかかるたびに「さすがに網浜さんの心もそろそろ折れてしまうのではないか」という心配に変わってきます。落ち込んで自分を責める網浜さんなんて見たくない……!
幸いなことに、網浜さんの心が折れる気配はいまのところありません。憎悪をばらまく偶像・逆アイドルとしての網浜さんは、不快なシーンという「見せ場」を作り続けるため、メンタルポイント(MP)が99999まで設定されているのです。本気でサバ女を倒そうと思ったら、みんなしてチクチク嫌味を言うとかじゃなく対・鬼舞辻無惨戦のような協力プレイを駆使して回復する余地を与えないコンボを叩き出し続けるしかないように思われます。
そして、現時点までの連載分を読み終わったあとに残った感情はほんのりとした悲しみでした。
結局、網浜さんみたいに空気が読めなくて傲慢で、客観視の苦手な人はみんなに嫌われながら生きていくしかないんでしょうか?
そりゃまあ、みんなが網浜さんを嫌うのはわかるし、私だって一緒に働きたくはないですけど、網浜さんの放つ負のエネルギーは網浜さん自身にも制御不能に見えるんですよ。苦しみながら熱線を吐き出すゴジラをちょっと連想しました。人の善悪がそういう素質で決まってしまうとしたら悲しすぎる。
だから、これといったスカッと展開がないまま網浜さんが暴れ続けるのはある意味それだけで痛快なのかもしれません。できることならこのまま情報漏えいとか横領とかして会社をぶっ潰すくらいの「暴れ」を見せてほしいし、なんなら最終的に地球を爆破してほしい。塵になった母星を眺めながら「アタシってサバサバしてるからぁ~、母なる地球への郷愁? とかほんと理解不能なんですけど。スペースコロニーでよくね?」って言ってほしい。
我が道を行け! 網浜! 世界を破壊しろ!!
恐山はなぜか「行楽でひとりゆったりとした時間を過ごす網浜さん」の絵も提出してきました。
サバサバ女の漫画こと『ワタシってサバサバしてるから』はめちゃコミックやAmazonなどで読めます。興味のある方はどうぞ(ちなみに、読んだら前以上にサバサバ女の広告が出まくるようになりました)。
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