NEW!PAGE-2更新(20/Mar/1999)
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このコラムでいう「絵」とは専ら線画の事を指します。まず始めに、輪郭線というものについて考えてみます。
目の前に左手を広げて見てください。視野の中に収まっている部分の輪郭を注意深くゆっくり目でなぞってみましょう。両目で見るとはっきりと見ることが出来ないので必ず片目で見てください。手首の左側から始めた場合、親指→人差し指→中指→薬指→小指と指先からそのつけ根、また指先、を繰り返して右側の手首まで戻って来ます。
この軌跡が輪郭線です。あたりまえ?(^_^;)
殆どの人は普段絵を描く時でさえ、これほどじっくりと手を観察することはまず無いはずです。(よね?)
もう一度注意深くやってみましょう。漠然と記憶している手、指のイメージより、ずっと複雑なカーブの組み合わせで輪郭線が形成されていることがわかリます。
「そうでもないけど…」と、感じる人はもう、かなり絵の描ける人なのでこのコラムは不要です(^_^;)
(ここで言う「絵の描ける人」とは「観察→把握→描出」の流れ作業を行う「訓練」を十分積んだ人のことです。正しく訓練を積めば、ほぼ誰にでもこのレベルまでたどり着けます。この事についてはいずれ)
輪郭線は観察者の視点に対して傾きが一致する面の接点の連続したもの、と言うことができます。その線に厚みや、太さは無いはずです。
左手に目を戻してください。指のすき間に何かが見えていますね。キーボードかモニターか、とにかくその指の間から見えているモノにも輪郭線があります。それらの輪郭線と手の輪郭線の違いがわかるでしょうか。一方は人工的に作られた固形物であり、一方は筋肉や間接の動きによって様々に形を変える「生きている」物体です。
その違いを観察によって見いだし、紙の上に描く事が出来るでしょうか。
手をゆっくり動かして、輪郭線がどのように変化するかをよく見てください。立体として認識する必要はありません。輪郭線だけに注意を集中してください。
指を少し曲げたり、伸ばしたりしてみても面白いでしょう。複雑なラインの変化をじっくり観察してください。
紙を用意して線だけで手を描いてみましょう。描くのは輪郭線だけです。線に強弱を付けず、立体感も、骨格の構造も考えず、目に見える線だけの、いわば抜き型を描きます。
この作業を繰り返すことで、概念として頭に入っている「手」のイメージを取り去り、純粋に見たままの形のみを描き出す訓練をします。
ほとんどの場合、形が上手く描けないのは、その形が解ってないからです。既成概念(思いこみ)や、色、表面の質感、立体感といった雑多な情報が形の正確な把握を妨げています。(現段階では)線で描けない情報に関しては一切無視し、「抜き型」のみに注目するようにしましょう。
普段から身の回りのものをこの「抜き型」として観るようにして、形に対する感覚を磨きましょう。余分な情報を上手く省き、必要な部分のみに注目することで物事の理解はずっと優しいものになります。
描く作業の前に、まず、描くべき対象を正しく観て、そして理解することが大切なのです。
Fig-1を見てください。軽く手を握った図です。小指が薬指の下に少しもぐりこむようになっているのが解るでしょうか。実際にやってみてください。詳しいことは骨格の構造を専門書などで見てもらうとして、とにかく小指が曲ってゆこうとするラインと薬指のそれが交錯する形になっているので強く握ればそれだけ薬指に小指が押しつけられる形になります。(Fig-2)これは人差し指と中指にも同じことが起きています。
モノを軽く握るときの(薬指が小指の場所を取ってしまって)小指が浮いている状態(Fig-3)では、なんとなく小指だけがそっぽを向いている様にも見えますが、角度を変えて見ると、その流れの先はちゃんと手首に向かっている事が解ります。(Fig-4) 何が言いたいかというと(^_^;)図で示した水色の部分が案外忘れられやすいということです。この部分をしっかり描かないとモノを握ってる感じにはなりません。モノを握るときは指が内側に向かい、水色の部分が外側から包み込むように押し上げることで、しっかりと固定できるわけです。 指は掌に平行には付いていません。曲げると内側に、内側に入ってゆこうとします。この指向と言うか流れを意識して描くと、例えば剣の握りとか、拳銃の握りなどが、さらに説得力を持つものになるかもしれません。 その際に指同士が場所を取り合い、互いに押しつけあって形が変化し、内部に力がたまっていることも意識するとよいでしょう。この内的な「力」を描写出来ればアクションの力感表現などもかなり違ってくると思います。 最後に落書きの中からいくつか抜粋してみました。 落書き ←click 補足ですが、女性の手はとにかく綺麗に描く事です。柔らかい部分と、固い部分のメリハリ、滑らかなカーブを上手く描いてください。絵全体の印象も手の描き方でかなり変わると思います。手に表情を持たせることも大切。手の綺麗なモデルの写真を参考に使うといいでしょう。あ、もし貴方が女性で、しかも綺麗な手の持ち主でしたら、写真は要りません(^^;) |