今春キャンプでドラフト1位新人の高橋宏(右)を指導する門倉コーチ=2月11日、沖縄・読谷

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 中日は26日、門倉健2軍投手コーチ(47)の退団を発表。15日から連絡が取れておらず、警察に捜索願が出されたというから穏やかでない。謎だらけの失踪劇の裏に何があったのか。

 球団によれば、2軍マネジャー宛に20日付消印の手書き文書が郵送され、15日付で「一身上の都合により退団させていただきます」などと記されていた。球団は門倉コーチの家族に筆跡を確認してもらい、本人の退団届と判断。26日をもって受理となったが、複数の球界関係者の話を聞く限り、トラブルには多くの予兆があったようだ。

 日米韓の球団を経て2018年オフ、古巣中日に指導者として復帰するにあたり、球団は“身体検査”で過去の金銭問題を把握したが、与田監督の強い意向もあり、「清算済み」として入閣要請に至ったという。門倉コーチは横浜市の自宅を離れ、愛知県内に部屋を借りて単身赴任。それから2年間、大過なく若手の指導にあたっていた。

 しかし、今年に入って球団にはたびたび、門倉コーチの金銭トラブルに関する電話がかかってくるように。そして今月、事態は急転する。2軍が11-16日まで山口と福岡に遠征中、同コーチは本体を離れ名古屋で残留練習を担当。ところが無断欠勤が続き本人が電話にも出ないことから、15日に球団スタッフが家族に連絡をとった。

 「今年から門倉コーチと同居している息子さんに奥さんが電話で確認したところ、『朝起きたらいなかった。家に携帯や財布は置いたまま帰ってこない』と」(関係者)

 ただならぬものを感じた球団は警察に相談。16日には家族が捜索願を提出した。「事件に巻き込まれた可能性もある。懇意にしていた女性とのトラブルを含め、複雑な事情が絡んでいるようだ」(同)。

 実際に金銭面では苦労が絶えなかったようで、数年前にバラエティー番組で「3億円の豪邸」と紹介された自宅は、登記簿によれば08年の竣工から2度の差し押さえを経て、現在は韓国系の銀行に約8000万円の抵当権が設定されている。

 現役コーチがシーズン中に行方不明になるという、前代未聞の球界ミステリー。真相は解明されるのか。

 ※追加取材をもとに28日午前、一部内容を修正しました。