太陽光会社社長らを逮捕 11億円詐取の疑い 特捜部

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 金融機関にうその書類を提出して約11億円の融資をだまし取ったとして、東京地検特捜部は27日、横浜市西区の太陽光発電関連会社「テクノシステム」の社長・生田尚之容疑者(47)ら3人を詐欺容疑で逮捕し、発表した。特捜部は、生田容疑者らが融資金を借金返済に充てる自転車操業をしていたとみている。

 他に逮捕されたのは、同社の専務取締役・小林広容疑者(66)と専務執行役員・近藤克朋容疑者(53)。発表などによると、3人は昨年7月、静岡県内でのバイオマス発電事業と福島県内での太陽光発電事業への融資名目で、静岡県富士宮市の信用金庫と徳島市の地方銀行にうその書類を提出し、計約11億6500万円を詐取した疑いが持たれている。

「だまし取るつもりはなかった」

 特捜部は4月にテクノ社などを家宅捜索し、押収資料の分析や関係者の聴取を進めていた。関係者によると、生田容疑者は逮捕前の聴取には「だまし取るつもりはなかった」と容疑を否認していたという。

 テクノ社が手がける案件をめぐっては、ネット金融大手「SBIホールディングス」の子会社「SBIソーシャルレンディング」が2017~20年に約380億円を貸し付けていた。しかし、約130億円は違う用途に使われていたことが判明。SBIは5月24日、子会社の廃業を発表した。

 テクノ社は09年に設立。民間調査会社によると、12年から太陽光発電に本格参入し、全国で再生可能エネルギー発電所の運営を計画していたが、次第に行き詰まった。負債は約150億円に上る見込みで、民事再生法の適用を申請する方向で調整中だという。