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インタビュー

TENDOUJIという〈怪獣〉が君の人生を変える

4人が解き放ったポップでカラフルな『MONSTER』

  • 2021.04.27
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(左から)オオイナオユキ、アサノケンジ、ヨシダタカマサ、モリタナオヒコ

千葉・松戸出身、中学の同級生と後輩だったアサノケンジ(ヴォーカル/ギター)、モリタナオヒコ(ヴォーカル/ギター)、ヨシダタカマサ(ベース)、オオイナオユキ(ドラムス)によって2015年に結成。当時、彼らは20代後半で、しかもメンバー全員がほぼ演奏未経験だったという。

アラサーの素人集団だった4人だが、その〈隣のお兄ちゃん感〉に溢れたキャラクターと90年代のオルタナやパンク、インディー・ポップへの愛情が染み出たサウンドで、一躍インディー・シーンの人気者に。メンバーの憧れであったティーンエイジ・ファンクラブの来日公演のサポート・アクトを務め、〈フジロック〉への出演もはたすなど着実なステップアップを遂げてきた。

そんなTENDOUJIがニュー・アルバム『MONSTER』を完成。これは〈TENDOUJIのポップ〉をとことん追求したアルバムだ。ここ数年、タッグを組んできた片寄明人(GREAT3)をプロデューサーに迎え、堀江博久が鍵盤、skillkillsのスグルスキルがアレンジとプログラミングで参加。バンド特有のエナジーは弱まることなく、遊び心に溢れたアレンジ、低音を重視した現代的なプロダクションが、これまでとは異なるフレッシュさをもたらしている。なかでも、THE BAWDIESのROYをフィーチャーした“CRAZY”は出色。ロックンロール特有の熱さや泥臭さを活かしながら、シンセ・ベースを効果的に使った音作りで、スマートかつキャッチーにまとめあげている。

実はTENDOUJIは、〈パンク・アルバムの金字塔では?〉とすでに関係者の間で噂されているアルバム『Smoke!!』も本作と同時に制作しており、そちらは『MONSTER』のリリース後に発表される。〈パンクなTENDOUJI〉にフォーカスした『Smoke!!』があるからこそ、この『MONSTER』では、どこまでもポップに振り切れたのだろう。

さて、カラフルに彩色された『MONSTER』は、いったいどんな〈怪獣〉なのか。メンバー4人に訊いた。

 

もっと行ける、もっとポップにできる

――2017年のファースト・アルバム『MAD CITY』から約4年ぶりの新作です。時間がかかった理由は?

アサノケンジ「『MAD CITY』のときはバンドを始めてあまり経ってない頃で、まだバンドのルーティンとかがわかっていなかったし、曲作りやレコーディングにも慣れていなかったんです。なので、ぜんぶ〈やりきり〉というか。

ほかのバンドだったら、もっとスケジュールを立ててレコーディングや諸々を同時進行で進められると思うんですけど、俺らは1曲を完成させたあとに、またほかの1曲を作りはじめるという流れ。そういう作り方だと、アルバムになるくらいのまとまった曲数を揃えるのは難しくて」

モリタナオヒコ「〈アルバムもそのうち作るんだろうな〉と頭にはありつつ。〈もっとこうしたい〉みたいな理想形はあったから、それが出来るようになるまで4年間で勉強していったというか、少しずつ掴んでいった期間だったのかな」

――モリタさんが描いていた理想像はどんなものだったのでしょう?

モリタ「『MAD CITY』を作ったとき、曲もすごく良かったし、作品自体には満足したんですけど、もっと行けるなという感覚があったんです。作品もサウンドももっとポップにできるなと思った。ただ、それを実現するには、自分たちの見聞や経験が足りないのもあって」

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GREAT3片寄明人の導き

――〈もっとポップにできる〉という気持ちから、EP『FABBY CLUB』(2018年)は片寄明人さんにプロデュースをお願いしたんですか?

アサノ「そうですね。俺らのやりたいことと片寄さんがやってくれそうなことは遠くないだろうと思ったし、俺らを導いてくれそうだなと感じました」

――『FABBY CLUB』以降、新作を含むすべての音源を片寄さんとタッグで制作しています。バンドとの関係性も良好なんでしょうね。

モリタ「もはやファミリーと言ってもいいかもしれません。最初は緊張しましたけどね。俺らは、自分たちがミュージシャンであるという感覚が薄いほうだし、GREAT3のメンバーで、めちゃくちゃ名のあるミュージシャンが自分たちのなかに入ってくるなんて……と(笑)。でも、いまはすごく意思疎通ができていて。音楽の話からプライヴェートなことまで、なんでも話せています」

――『FABBY CLUB』をリリースしてからは、配信でシングルをポンポンと出していったじゃないですか。あの流れはバンドにとって修練期間というか、モリタさんが最初に言った〈もっとポップに〉というテーマで、1曲ごとにトライアルをしていったんですか?

モリタ「そうかもしれない。模索している感じはありました。そのときのアウトプットとしては常に最強のものを出してるんだけど、すぐに〈あっ、もっといいのが出来そう〉という感覚になっていったんです。そのなかで、だんだんイメージを具現化できるようになってきたし、特に“HEARTBEAT”を出したときは自分のなかで転機だと感じられた」

 

踊れない音楽はクソ

――“HEARTBEAT”はTENDOUJIらしい勢いに溢れたパンク・ソングでありつつ、コーラスワークやメリハリのあるリズムが利いていて、よりポップにパワーアップしたという印象を受けました。

モリタ「自分のなかでも〈これだな〉っていう感覚がありました。自分たちが結成して初めてデモを作ったときみたいに、〈おお、これ、これだー!〉〈すげー!〉みたいな。〈俺ら、この感じでいけるわ〉って思ったかな。はじめてシンセ・ベースを入れたのもこの曲だけど、それにも手応えがあったし」

『MONSTER』収録曲“HEARTBEAT”

――“HEARTBEAT”の制作時には、どういうサウンドにしたいと思っていましたか?

モリタ「やっぱり海外のインディー・ロックがすごく好きで、なかでも当時は宅録に近いような音楽を作っているアーティストをいっぱい聴いていたんで、そのあたりを意識していました。音数が少なくてチープだけど、そのほうがなぜかラウドに聴こえる、というサウンド。ただ、そうした音楽を(そのままやるのではなく)もっとポップに鳴らすという方向性が頭にありました」

ヨシダタカマサ「“HEARTBEAT”に関しては、僕も一個抜けたような感じを受けました。音数を減らすこともできたし、すごくガッツのある曲(笑)。前にラーメン屋さんでラジオから“HEARTBEAT”が流れてきたんですよ。そこで、めちゃめちゃいいなって(笑)。普通にラジオとかでかかってていてもおかしくない曲だと思った」

――“HEARTBEAT”以外にも、今回のアルバムではシンセ・ベースが大活躍しています。その効果もあってか、アルバム自体がすごくダンサブルに仕上がっている印象を受けました。

オオイナオユキ「僕もたぶんドラマーとして成長できていて、〈ダンサブル!〉みたいなのが叩けるようになってきたんです(笑)」

モリタ「〈ダンサブルにしよう〉という意志はないんですけどね。でも、スロウな曲だろうが、バラードだろうが、アップテンポな曲だろうが、踊れないものはクソだなって思っていて。どんな国のものでも、どんな時代のものでも、いい曲は踊れるんですよね、ビートルズのスロウな曲でも、トラップでも、もちろんレゲエでも踊れるじゃないですか。パンクだってそう。なので、踊れるってことはいい曲なんだなっていう感覚かな(笑)」

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