福祉国家スウェーデンで、障がい者などへの強制不妊手術が1976年まで行われていた。そのニュースは1997年に報じられ、日本を含め世界各地で驚きをもって受け止められた。実は隣国フィンランドでも、1970年まで強制不妊手術が行われていた。
フィンランドの国営放送Yleのホームページには、「1930年代のフィンランドで、あなたは強制断種されただろうか」というクイズが載っている。
6つ質問があって、最初の質問は性別。「女性、男性、その他」が並んでいる。
女性を選んでみた。答えは「女性は、男性よりも頻繁に強制断種された」である。
また、「その他の性別として生きることは不道徳であり、強制断種されただろう」とある。
続いて質問2は「あなたは30歳以上で、仕事がなく教育も受けていない」である。
「はい」にしてみた。答えは「低脳という理由で、強制断種された可能性がある」
当時は、「低脳」「精神薄弱」などの言葉が使われていた。
質問3「前科がある」
「はい」にしてみた。答えは「刑務所に入れられたことがある場合、特に女性は、出所前に強制断種に同意しなければならなかったかもしれない」
質問4「遺伝病を持っている」
「はい」にしてみた。すると「分裂病、双極性障害、または遺伝すると証明された他の精神病を継続的、または断続的に病む人は、強制断種されたかもしれない」とある。
質問5「あなたはスウェーデン語系フィンランド人である」
フィンランドには、スウェーデン語を母語とする人とフィンランド語を母語とする人がいて、前者は少数派、現在は人口の約5%である。「はい」にした。
「スウェーデン語系フィンランド人は、強制断種はされなかった。逆に、優生学的に良いとみなされ、様々な証明書や賞をもらって、子孫を残すよう奨励された」
質問6は「フィンランドを治めるのは神か、大統領か」である。
この質問は当時、実際に知能テストで使われていたという。神という答えは誤りで、そう答えると低脳とされ、強制断種をされたかもしれないと書かれている。
神が国を治めているという考えは、1900年代初頭まではあっただろう。しかし、フィンランドは1919年に大統領制になったので、正しく答えなければならなかったのだ。
知能テストでは、14歳のレベルが境界線だった。知能がそれ以下と見なされると、強制断種の対象にされる可能性があった。
ただし、知能テストが聞く質問は、学校で教えられていた知識である。当時は、学校には通わなかった人、通えなかった人もいた。