2015年にはDMZで、韓国軍の副士官2人が北朝鮮の地雷で両足を失うという事件があった。この2人は上記の規則により、かかった治療費の大半を自分たちで負担したという。この対応に激怒した国民からの批判によって国防部は関連法を改正したが、その効果をめぐる議論はまだ続いている。
大韓民国の軍隊は、国民の保護から戦争の抑制、民生支援など、様々な任務を遂行している。軍内部の実情は筆者が勤務していたころと大差ない。どころか、むしろ軍人に対する現在の世論の圧力を見ていると、外界との接触がなく批判を受けることもほとんどなかった1990年代の方が、まだよかったのかもしれない。
このような韓国軍の現状は、どのように変えていけばいいのだろうか? 解決策の一つは、現政権が浪費している予算を軍隊に回すことだ。文在寅政権になってから、慰安婦問題など自身の政治的な立ち位置に沿った課題に費やす予算が増えてきた。
しかし、それがどれだけ実効性があるのか不明であり、以前から批判の的となっている。さらに今回軍隊の問題が浮上したことで、韓国政府は国民の信頼を完全に失ったと言ってもいい。
軍人よりペットの方が良い待遇を受けている――そんな現状は、今すぐにでも打開すべきであろう。