ここで筆者が軍に服務していた1990年代に立ち返ってみたい。ここまでは韓国軍内の環境の問題点を指摘してきたが、個人的な経験をもとに軍病院の実態について紹介しよう。
服務していた当時、私は爆発で目を負傷して、軍病院に救急搬送されたことがある。そのまま10日間ほど入院したが、そこで見た公開はなかなか忘れられない。なんと軍医官は毎日のように、筆者を含む他の兵士たちに様々な手術を勧めてきたのだ。
そこで提示されたメニューの中には、包茎手術をはじめ二重まぶた手術や陰茎拡大手術など様々な選択肢があった。しかもどれも無料で受けられるという。喜んで受ける兵士もいたが、いま考えればそこには「からくり」があったのだろう。
これらの手術は「実験」のようなものであり、喜んで手術を受ける兵士は事実上、若手医師たちの「練習台」だったのだろう。今はさすがにそのような例はないと聞くが、筆者より上の世代では軍で包茎手術を受けた人も多かった。軍の医務室は若手医師が経験を積むための「実験場」でもあり、消毒薬と胃腸薬くらいしか処方できない部隊の施設で、平然と手術が行われていた。
もう少し設備が整っている軍病院では、より大がかりな手術も行われたが、大半が軍医として服務している医大生の手によるものだった。
さらに悲惨なのは、現代の兵士が服務中に大きな怪我を負った場合であろう。軍隊内で負傷して軍病院で治療できない場合、負傷者は外部の施設に搬送される。なんと怪我の当日から30日間を過ぎたら、その後の治療費は本人が負担しなければならない。服務中の怪我であるにもかかわらず、30日を過ぎれば自腹で治療しないといけないのだ。