著者 KeroChan(東京都)
7月31日に投開票が行われた東京都知事選挙は、小池百合子氏が291万票を獲得し、大勝した。この選挙では過去最多の21人が出馬し、候補者選びの過程や選挙戦において、混乱やハプニングが相次いだ。私にとっても印象に残る選挙だった。
この選挙では、行動する保守運動代表の桜井誠氏が出馬し、11万票を獲得した。桜井氏は今回の出馬にあたって、外国人生活保護の廃止や反日ヘイトスピーチ禁止条例の制定などを盛り込んだ「日本を取り戻す七つの約束」を公約に掲げた。
都内各地で行われた街頭演説では、各会場によって異なるテーマで演説を行い、多くの都民が耳を傾けていた。また、主要三候補ばかりを取り上げるマスメディアの姿勢を批判したり、妨害に対して徹底的に応戦するなどこれまでの常識を覆すような選挙運動が展開されたことにも注目が集まった。
こうした桜井氏の11万票を支えたのは、祖国を守りたいと願う保守層である。こうした層は本来、自民党に一票を投じてきた。現在の安倍政権もこうした人々の支持によって支えられている。
しかし、現在の自民党の動向を見た際に、「本当に我が国のための政治を行っているのか?」と疑いたくなることがある。今回の都知事選で自民党が推薦した増田寛也氏は、岩手県知事時代に永住外国人への地方参政権の付与に賛成する発言をしている。国政においても、日韓合意や外国人労働者の受け入れ拡大、ヘイトスピーチ規制法の制定など、我が国にとって、不利な政策が立案・実行されている。こうした中で、外国人の利益ではなく、国民の利益を優先させるべきだという都民の怒りの声が、桜井氏への11万票につながったのではないか。
こうした意見を「ヘイトスピーチ」や「時代遅れ」などとレッテルを貼って、無視するのは簡単だ。しかし、こうした従来の対処の仕方では何の解決にもつながらない。そのことは、現在のEUの混乱やアメリカ大統領選挙でトランプ氏とサンダース氏が躍進したことからも明らかだ。レッテル貼りと数の力で抑えこんだとしても、怒りの声はますます高まるだけだ。自民党はこの11万票を直視し、国民の利益につながる政治や経済運営を本当できているのかを真剣に見つめ直すべきである。安定勢力を確保しているからといって、コアな支持層の影響力を過小評価してはならない。
桜井氏は産経新聞とのインタビューの中で、来年の都議選に10~20人程度の候補者を出馬させる計画を表明した。おそらく今回の「七つの約束」を基にした公約を掲げると思われるが、その他の政策の決定、人材の育成や資金の確保など乗り越えなければならない課題は多い。こうした高い壁をどのように乗り越えるのかについてもぜひ注目したい。