SE【システムエンジニア】は、社内の情報システム部門(情シス)にてシステムの開発・運用・管理などを行う社内SEと、IT企業に勤務しクライアントから受託した業務を行う社外向けSEに分類されます。今回は2種類のSEそれぞれの業務内容の違いについてご説明します。
情シス(社内SE)とIT企業のSEの違いは?仕事内容と役割を説明
社内SEとSEの違い
社内SEと社外向けSE(以後SE)では仕事内容が異なります。以下は、社内SEとSEの仕事内容やスキル、年収等の違いについてまとめた表です。
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社内SE |
SE |
業務内容 |
予算管理、インフラ・システムの立案、インフラ構築・システム開発、システム運用・保守、ベンダーマネジメント、IT資産管理、ヘルプデスク・サービスデスク |
上流工程【要件定義・本設計】、下流工程【プログラミング・単体テスト・結合テスト・総合テスト】、システム運用・保守 |
必要スキル |
システム開発、システム運用・保守、予算管理、ベンダーマネジメント、プロジェクトマネジメント |
システム開発、システム運用・保守、プロジェクトマネジメント |
キャリア |
システムの立案、開発、構築、運用と一連の工程に携わる |
さまざまなシステムに携わり、最新の技術に触れる機会が多い |
人材量 |
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年収 |
400~800万円 |
400~1,000万円 |
それぞれの内容について、以下に詳しく説明します。
1. 仕事内容
情シスに所属する社内SEは、社内のインフラやシステムに関して、立案から開発、構築、保守・運用など、システム管理に伴う業務全体を担当します。一方、IT企業に所属するSEの場合は、外部のクライアントから受託してシステム開発や構築、保守・運用を行います。
社内SEは社内システムに関して、立案から開発、構築、保守・運用まで一貫して携わるため、所属する業界のシステムについてのノウハウと知識を蓄えられます。
一方でSEは、さまざまなクライアント企業のシステムに携わるため、幅広い知識を得られ、先端技術に触れる機会も多くなります。
2. 必要スキル
SEはシステム開発、運用・保守に関するスキルが必須となります。プロジェクトリーダーや管理職になるとプロジェクトマネジメントスキルが必要となってきます。
社内SEはSEと同じく技術的なスキルが求められますが、その他に予算管理やベンダーマネジメント、プロジェクトマネジメントといったコンサルティング能力も求められます。SEと比べて幅広いスキルが必要となります。
3. キャリア
情シス所属の社内SEは、勤務する会社のシステムに予算管理から開発、保守・運用まで一貫して担当するため、幅広い知識を身につけられます。しかし、自社システム以外に携わる機会がないため必要な技術が固定され、新しい技術を学ぶ機会が限られます。
一方で、SEはさまざまなシステム開発に携わるため、最新の技術を使用する機会が多くなります。そのため、常に最新技術に対するアンテナを張り、それらを習得していかなければならず、結果的に技術力が格段に向上します。
4. 人材量
社内SE、SE共に、人材不足が続いています。社内SEの需要はありますが、企業の経営状態に左右されるため、実際に雇用できる企業は限られています。
一方でSEに関しては、AIやRPAなど最新の技術を持っている人材はどの企業からも重宝されるため、今後さらに需要は増えていくでしょう。
5. 年収
社内SEよりSEの方が平均的に高い年収を得られる傾向にあります。社内SEでも管理職になると1,000万円以上の年収を得られますが、最先端の技術を有するSEは評価が高く、年収も高くなります。
社内SEとSEの仕事内容の違い
ここでは、社内SEとSEの仕事内容の違いについて詳しく説明します。
まずは企業の情シスに所属する、社内SEの仕事内容について説明します。
【社内SEの仕事内容】
1.予算管理
自社のインフラやシステムを維持・改善するための予算案を策定します。経営戦略、システム改善、インフラの整備など複数ある項目に対して、決められた予算の中でどの項目にどれだけ予算を割くかを検討し、定めた予算計画に沿って実行します。
単純なITに関するスキルだけでなく、業務分析や会計などの幅広い知識が必要となり、分析した結果を経営層に進言するための提案力も求められます。技術力よりもコンサルティング能力が問われる業務です。
2.インフラ・システム導入計画の立案
経営戦略に沿ってシステム導入計画の立案を行います。IT企画はIT予算管理とも関わりが深く、どれだけコストダウンを実行し、予算内でシステムを導入できるかの能力が求められます。
3.インフラ構築・システム開発
立案した計画に沿って、インフラの構築・システム開発を行います。インフラの構築では、ネットワークやサーバー、セキュリティなどの知識が必要となります。
システム開発には、設計やプログラミングのスキルが求められ、さらにテストや導入までの作業を担当する場合もあります。
4.システム運用・保守
社内で利用しているインフラやシステムの運用・保守業務を行います。利用環境や稼働状況を監視し、安定して利用ができるよう努めます。より業務を効率化するための改善案の検討も行います。インフラとシステムに関する知識が求められます。
5. ベンダーマネジメント
システム開発や運用・保守をベンダーに委託している場合、ベンダーの選定や進捗確認、品質管理は非常に重要となります。ベンダーを適正に評価し、委託すべきベンダーを見極める選定能力が求められます。
6. IT資産管理
社内で利用しているハードウェアやソフトウェアの管理を行います。ハードウェアの台数やメーカー・型式、ソフトウェアのライセンス数や期限などを管理します。IT資産管理によって、不要な投資を避けられるほか、担当者の引継ぎもスムーズに行えます。
7. ヘルプデスク・サービスデスク
サービスデスクの業務では、社内システムやインフラのトラブルや操作方法、PC操作に関する従業員からの問い合わせに応えます。またヘルプデスクの業務では、製品・サービスの使用方法や故障などについて、顧客からの問い合わせに応える「トラブルシューティング」としての役割を担います。
そのため、ヘルプデスクやサービスデスクの業務を担う場合は、社内業務や社内システムの操作に関する知識のほか、製品・サービスに関する知識など、さまざまな知識が必要となります。
次に、SEの仕事内容の詳細をご説明します。
【SEの仕事内容】
1. 上流工程【要件定義・基本設計】
用件定義と基本設計は、SEの仕事内容の中でも重要な業務となります。まずクライアント企業に要件のヒアリングを行い、用件定義書を作成します。その後、要件別にどのような機能を設けるかを設計書に起こします。
SEにはシステム開発全般の知識が求められ、要件定義・基本設計の知識が必要となります。さらに管理職になるとプロジェクトマネジメントのスキルも必要となり、実務経験によってノウハウや知識を蓄えることも重要な業務になります。
2. 下流工程【プログラミング、単体テスト、結合テスト、総合テスト】
システム開発途中における、単体テストや結合テスト、総合テストを行います。このテストを繰り返し、プログラムに問題がないと確認できたら本格的に運用を開始します。
プログラミングとテストの知識が必須となります。
3. システム運用・保守
開発したシステムを納品する際に、サーバーやバックアップ等の設定が契約に含まれている場合があります。その場合、クライアントのPCの設定やマニュアル作成なども行い、納品後、安定して稼働できているかの支援を行うケースもあります。
社内SEとSEの必要スキルの違い
企業の情シスに所属する社内SEとSEでは、必要なスキルも大きく違います。
情シスではシステム開発や保守・運用だけでなく、IT予算管理を行うため、社内SEには会計や業務分析のスキルなどのコンサルティングに近い能力が求められます。それに加え、ヘルプデスク業務も行うためコミュニケーション能力も必要となります。
さらに、社内SEは社内のインフラやシステムに関する業務に一貫して携わるため、ITに関する知識や技術力だけでなく、企業の上層部への提案力やマネジメント力などの幅広いスキルが求められます。
対して、SEは技術力への特化が求められます。近年ではAIやIoTなどを業務に取り入れる企業も増えているため、最新の技術をチェックし、システムに取り込めるようITに関する技術と知識を常にアップデートしていかなくてはなりません。
社内SEとSEのキャリアの違い
社内SEの場合は、社内システムの立案・開発・構築・運用まで一貫して携わります。そのため、勤めている企業が属する業界の業務システムについて幅広い知識を得られます。
また情シスでは社内システムの構築を行うにあたり、企業の経営戦略に沿ってシステムを構築していくため、企業への帰属意識が高まります。勤務地も固定されており、基本的には残業はないため、ワークライフバランスがとりやすい点も特徴といえるでしょう。
一方で、IT企業に所属するSEは、さまざまなクライアント企業のシステム構築を担当します。プロジェクトの途中で、人手の足りない別のプロジェクトに参加する場合もあるでしょう。また、プロジェクトによってはクライアント企業に派遣される場合もあり、そのプロジェクトが完了すれば、また別の企業に派遣されるパターンもあります。
社内SEの場合はその企業の情シスに所属している限り、自社システムにしか携わらないため、必要とされる技術も固定されますが、SEは幅広い業種のシステムを構築するなかで、最新の技術に触れる機会も多いため、必然的に技術力は高まります。
つまり、新しいノウハウや知識を得る点では、SEの方がその機会が多く得られるといえます。そのため、社内SEよりSEの方がキャリアを積み重ねるうえでの選択肢が多く、より人気の職種となっています。
技術力を高められるSEは社内SEより人気が高い!
社内SEとSEの人材量の違い
これまで説明した通り、社内SEとSEのキャリアやリスクを考慮すると、SEの方が需要も雇用先も多く、比較的、給与も高い傾向にあります。そのため、必然的に社内SEよりもSEを目指す人材が多くなります。
よって、社内SEを探したくとも人材自体が転職市場に少ない傾向があるといえます。また、社内で育てるにもコストと時間がかかりすぎてしまいます。
社内SEとSEのリスクの違い
社内SEに関しては、近年の企業のIT化に伴い着実に需要は増えています。しかし、社内SEを雇い情報システム部門を創設するとなると、それ相応のコストがかかってしまうため、企業の経営状態によってはなかなか採用に踏み切れない背景があります。
また、社内に情報システム部門を設けて社内SEを雇う場合、経営状態によっては複数人の雇用が難しくなるため、これもリスクとなります。最近では、ひとりで社内すべての情シス業務を担う「ひとり情シス」の状態が増えてきており、問題になっています。
システム管理に携わる人間がひとりしかいない状態では、そのひとりが欠けたときには社内のシステム管理の知識を持つ者が誰もいなくなるため、企業にとっては大きなリスクです。
一方で、社内SEではなく外部のSEにシステム開発を依頼した場合、ひとり情シスのリスクは軽減されます。また前述したとおり、SEはさまざまな業務に携わる機会が多いため、高い技術力と豊富な知識・経験を有している場合が多いといえます。
さらに、コスト面からみても、システム開発を外部委託した方がコストを抑えられます。
AIやRPA、IoTなどの最新技術を身につけているSEは、どの企業からも求められており、今後ますます需要は増していくでしょう。
ココがポイント
社外SEへの業務委託は最新技術を取り入れられ、コスト削減にもなる!
自社サービス【ITヘルパー】のご紹介
情シスの業務は多岐にわたるため、社内でのインハウス化は時間も手間もかかります。そこで、情シスをアウトソーシングする選択肢をとれば、リスクやコストを抑えたシステム管理が実現できます。
私たちの会社でも、情報システム部門のアウトソーシング先として、これまで30,000社以上との取引実績がございます。
もし、困りごとやご不明なことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。