【MQube】能く在る輪廻と猫の噺 - DAICHI で行ったミックスの手順をざっくり解説していく。
一応、ボカロやUTAUではじめてDAWをさわる人向け。
前置き
このページでの注意点としては、書いてる自分自身、わからないことが多い。たまにメシマズの人みたいな「なんとなく入れてみた」もある。
手順などは基本的に、ぼいじゃあ氏がブロマガで公開されているボーカルミックスダウン講座に則っている。
ただし、ぼいじゃあ氏の記事と違うのは、
使用DAWはREAPER、使用プラグインはすべてREAPERに付属されているであろうプラグインで完結させていること。
そもそも教材にREAPERを選んだのは、おためしと無料版(Winのみ)があり、且つWin/Mac両方対応だから。
教えたい相手がWindowsで私がMacだったので、なるべく環境を合わせる必要があった。
手元にあるREAPERは日本語翻訳プラグインを適用済み。
正直、付属プラグインのみで完結というのは縛りプレイのようなもの。
特に便利なフリーのVSTプラグインが豊富なWinでは、素直におすすめプラグインを検索して使ったほうが楽にクオリティを上げられると思う。
1. DAWにカラオケとボーカルデータを読み込む
ボカロ曲のカラオケは.mp3で配布されることがほとんど。
しかし、ソフトによっては読み込めなかったりするので、一旦.wav(Win)か.aif(Mac)に変換しておくと無難。
区別がつきやすいように、ボーカルトラックに色を付けた。
色を変えるには、色を変えたいトラックの上で右クリック>トラックの色>トラックの色変更 でできる。
2. カラオケの音量を下げる
とにかく音が大きいので、おもいっきり下げる。 今回は-12.5bdまで下げてみた。3. プロジェクト全体の音割れ防止
音量0dBを超えると音割れが発生するので、その警告にメーターが赤く表示される。0dBを超えてしまった時のメーター |
これを防ぐためにマスタートラックにリミッターエフェクトをつける。
※0dBを超えた印は、赤くなったところを押せば消える
マスタートラックの「FX」と書かれたアイコンをクリックして、「JS: Master Limiter」を追加 。
値はいじらなくていい。
プラグインの選び方は、左項目の「全プラグイン」を選択してから、下の絞込で「limiter」を入力。途中まででも良い
4.ボーカルのタイミングを合わせる
ボーカルの波形を2つ、「Command+左クリック」(Winは「Control+左クリック」?)で選択して、左右に動かす。動かす時にグリッド単位でしか動かなくて困ったら、スナップモード(左上のU字磁石のアイコン)をオフにするといい。
歌い出しを合わせたのにもかかわらず、間奏部分で歌がのったりするようなら、アイテムを分割をする。
空白部分にマーカーを合わせて、切りたいアイテムを選択してから「S」キーを押すと選択したアイテムが分割される。(選択をしないとすべてのアイテムが分割されてしまう)
切りたい位置にマーカーを合わせて切りたいものを選択 |
「S」を押して分割した状態 |
出だしが合ってるかわからない時は、ボーカル入りの本家音源を読み込んで並べて、聴き比べてみる。
これは経験と勘としかいえない。
配置が終わった状態。長い無音を切ったのは個人的な好み |
5.ハモリの音量を下げる
ハモリは引き立て役。6.メインボーカルにエフェクトをかける
一番大事なところ。
メイントラックのFXボタンをクリックして、エフェクトをどんどんかけていく。
REAPERのエフェクトは上から順にかかっていく仕組みで、順番を入れ替えるだけでも結果が変わる。
ボーカル処理の段階は、低域カット→ディエッサー→均しコンプ→補強EQ→平均音量上げコンプ →補強EQ
※カテゴリ「Tool」
点をいじっているうちに音量を変えたくないところを変えてしまった場合は、右クリックの「Set to 0db」でデフォルトの0に戻る。
どこから切るかは曲や歌手・音源によるけれど、 40Hz以下は確実にボーカルには不要な音域らしい |
・ディエッサー:サ行や「つ」などの耳につく歯擦音を低減させるエフェクト。今回はこちらでDLしたエフェクトチェーンをロードして使う。
リスト上で右クリック>エフェクトチェーン>エフェクトチェーンをロード>REAPER/FXChains/ReaDe-esser.RfxChain を選択
エフェクトチェーンを読み込んだ状態。 7つのエフェクトが追加される |
効き具合の調整ダイアルは REAPER上すべてのエフェクトに共通 |
・ReaComp:カットでデコボコになったであろう音を均す。 ゆるめの設定
※カテゴリ「Dynamics」
正直これで効いてるかどうかよくわかっていない |
・ReaEQ:過剰なディエッサー処理で声がこもったので、中高域ブースト
※カテゴリ「EQ」
500Hz前後は声の厚み、1.0KHz〜2.0kHzは声のハリ、 2.0kHz〜3.0kHzはきらびやかさに関わってるらしい |
・ReaComp:全体の音量差を少なくする。強くかけすぎると抑揚がなくなるので注意。プリセットから名前で選んでみた。
※カテゴリ「Dynamics」
プリセット/stock - Modern Vocal |
・ReaEQ:またこもった気がするので、中域をブースト。1.3kHzを+2.1dB
※カテゴリ「EQ」
これでボーカルが前に出てきたように思う |
7. 空間系エフェクト(リバーブ/ディレイ)用のトラックを作る
GarageBandでは各トラックに直接リバーブやディレイをかけていたけど、REAPERでは専用のトラックを作って、そこにボーカルなどを放り込むのが一般的らしい。・新規トラックを挿入 (トラックエリアを右クリック>新規トラックを挿入)
・メインボーカルトラックの「Routing」から、空間系エフェクトトラックの「Routing」へドラッグ&ドロップ
・ReaVerbate:ロック系では声の輪郭をぼかすのはあまり良くないので、あまり響かなそうなものを選んだ。
※カテゴリ「Reverb」
プリセット/insert - intimate vocal |
・ReaDelay:同じくロック系なのでショートディレイっぽそうなものを選んだ。
※カテゴリ「Delay」
プリセット/stock - vocal slapback |
・ReaEQ:音をクリアにするために、低域を少しカット。
※カテゴリ「EQ」
響きすぎているけど、設定の変え方がわからない時は、 右上のつまみできき具合を調整したり、このトラックの音量を少し下げたりしてみる。
8.ハモリにエフェクトをかける
・メインとシンガーが同じなので、メイントラックのエフェクトを全部選択して、ハモリトラックの「FX」ボタンにドラッグ&ドロップ 。・そこから最後の方にかけたEQとコンプの設定を変える。
・ReaEQ:メインに道をゆずるイメージで基本中高域をカットする。
※カテゴリ「EQ」
プリセット/stock - Basic 11 BackGroundVocals |
・ReaComp:メインより音量差を小さくして目立たなくさせる。
※カテゴリ「Dynamics」
プリセット/stock - BackGroundVocals |
・Ozzifier Chorus:左右に音を広げ輪郭をぼかしてメインを包むようにしたかった。設定を誤ると宇宙人みたいな声になるので注意。
※全プラグイン>絞り込み検索「chorus」
wet100%だと少し気になったので、 最終的にwet56%になった。 |
9.ハモリ用空間エフェクトトラックを作る
メインとなじませたくて、最初にメインと同じリバーブとディレイをかけたけど、実際効き目があったかどうかわかっていない。
※カテゴリ「Reverb」
・ReaDelay:メインと同じものをかける。プリセット/stock - vocal slapback
※カテゴリ「Delay」
・ReaVerbate:もう少し奥にいる感じを出すために、メインより少し深めのをかける。
※カテゴリ「Reverb」
プリセット/sink - discrete room |
・ReaEQ:メインと同じく、音をクリアにするために低域をカット。
※カテゴリ「EQ」
10.曲全体の音量差を少なくする
今のままではボーカルが乗っているところと、そうでないところの音量差が大きい。・音割れ防止でマスタートラックにつけた「JS:Master Limiter」のThreshold(スレッショルド)をボーカルが潰れない程度まで下げる。
今回は-7.0dB |
11.微調整
全体を通しで聞いたり、いったんレンダリングをして、気になったところを微調整 。やった覚えがあるのを書き出すと
・オケが強い気がしたので、カラオケトラックにEQを追加してボーカルとかぶりそうな1,0kHz前後を少し下げた(-1.5dB)
・レンダリング結果を聞いて、声が近い印象があったからメインボーカルの音量を少し下げた(-2dBくらい)
・本家を聞くと、ハモリがいるかどうかわからないくらい小さい気がした。ハモリトラックの音量をおもいっきり下げた(-10.2dB)
・オケはEQで少し弱くしたから、音量を少し上げてもいいのではと思って、オケトラックの音量を-11.0dBまで上げた。
12.完成
耳の休憩をはさみつつ微調整とレンダリングをくりかえして、納得がいけば完成。
おつかれさまでした!
おつかれさまでした!
あとがき
ここまで目を通してくださり、ありがとうございます。
丁寧だったり大雑把だったりと、だいぶムラのある内容ですけど、誰かのヒントになると幸いです。