次世代育成
ろう学園の生徒が字幕放送制作を見学(2014年7月17日実施)
先日、大宮ろう学園の生徒さんがテレビ東京の校外学習のため、来社してくれました。
校外学習で聴覚に障がいを持つ方を受け入れるのは初めてだったため、先生に事前の下見に来ていただきました。
どのように実施したらよいか少しとまどいがあったので、先生に聞いてみたところ、「いつも通りやってくだされば大丈夫です」とのことでした。
<実施当日>
実施当日は先生が手話で“同時通訳”をしてくれたため、いつも通りに順調に進みました。
先生が手話で同時通訳
<手話でキャスター体験>
ニュースの生放送直前のスタジオで放送用の原稿を読む“キャスター体験”は、来訪者に大変人気のメニューです。 しかし、特別な準備を何もしていなかったため「どうしようかな」と思っていたら、なんとキャスター席に座った生徒さんが、手話で原稿をすらすらと読み始めました。
手話でキャスター体験
よく見ると、アナウンサーの手元にある原稿を正面のモニターに映し出す“プロンプター”というシステムを活用していたのです。
プロンプターを活用
プロンプターにはこんなふうに原稿が映し出されます。
プロンプターの画面
生徒さんにとっては目の前に映し出されている原稿を自然に読んでみただけだったのかもしれませんが、初めてのことでもさらりとこなしていく、柔軟さに驚かされました。
そして、ニュースカメラ室では、実際にカメラを肩で担ぐなどカメラマン体験にも挑戦しました。
<字幕制作の現場に潜入!>
カメラ体験を終えて生徒たちが向かったのは・・・
テレビ東京グループの字幕制作を担っているテレビ東京コマーシャル・字幕制作事業部です。
テレビ東京の校外学習は訪れる生徒さんの関心に応じ、毎回プログラムをカスタマイズしていますが、ここを訪れるのは初めてです。
このセクションの責任者の方が、一つの番組をいくつものパートに分けて複数の社員で分担して字幕を作っていることや、約35名の社員がシフトを組んでいることなど、字幕制作の過程について具体的に説明をしました。
責任者による説明
一つの番組をいくつものパートに分けて字幕を制作
<8秒の壁>
その後、実際に字幕を打っている担当者も交えて、生徒さんからの質問を受けました。
生徒さんたちからは「ニュースを見ていると、コマーシャルのところで突然、字幕がなくなってしまい、ニュースのナレーションの最後の部分の内容がわからない。どうしてこうなってしまうのか?」という質問が出ました。
ニュースは実際のOAを見ながらリアルタイムで字幕を打っているので、8秒程度の遅れが出てしまい、どうしても最後の部分が切れてしまうそうです。
字幕制作担当者との意見交換
<職人技のリレー打ち>
ニュースの生放送の字幕制作を別の機会に見てみました。 そこでは4人の入力者がリアルタイムで順番にコメント入力する「リレー打ち」という方法で字幕を制作していました。
4人の担当者が“リレー打ち”
「OAまで3秒前!」
耳で聞き取ったアナウンサーのコメントを前の人がどこまで打ち込むのかを予測して、次の人がその続きのコメントを打ち込みます。
4人が「あうんの呼吸」でリレーしていく手法で、見ている方も緊張するような職人技でした。 ここまでやっても8秒程の遅れはどうしても出てしまうのです。
終わってみると「もっとプログラムに工夫する余地があった」と反省する部分も多かったのですが、 字幕制作の現場を実際に見てもらい担当者と意見交換をしてもらえたことは、今後の字幕制作にとっても有意義なことで、 大宮ろう学園の皆さんの訪問は私たちにとって、とても刺激的な体験となりました。